防食概論塗装・塗料

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 ここでは,プライマーの品質規格及び評価方法について, 【エッチングプライマーの品質】, 【エッチングプライマーの塗料品質試験】, 【ジンクリッチプライマーの品質】, 【ジンクリッチプライマーの塗料品質試験】 に項目を分けて紹介する。

 塗料の評価(プライマー)

 エッチングプライマーの品質

 JIS K 5633 2010 「エッチングプライマー」

 1996年,2002年の改訂を経て,鉛化合物,クロム化合物を含むさび止めペイントの JIS規格廃止に整合するため,2010年に 2002版の試験方法に関して一部改訂(追補)されている。
 適用範囲
 この規格は,エッチングプライマーについて規定する。
 備考: エッチングプライマーは,金属塗装の際に,金属素地に対する塗装系の付着性を増加する目的で用いるものと,鋼板の素地調整後,本格塗装を行うまでの間,一時的に防せい(錆)力を付与する目的で用いるものとがあり,生地を清浄にした後,直ちに塗り付け,その後にさび止め 塗料,上塗り塗料などを塗り重ねて塗装系を構成する金属表面処理用の地肌塗り塗料である。
 エッチングプライマーは,素地の金属と反応するためのりん酸,又はりん酸とクロム酸塩顔料とを含み,ビニルブチラール樹脂などのアルコール溶液を主なビヒクルとする液状の塗料で,成分を分けて主剤と添加剤との 2液とし,使用の直前に混合するように作ったものである。
 種類
 a) 1種: 金属生地に対する塗装系の付着性を増加する目的で,塗り付けた後,数日以内に次の塗料を塗り重ねるように作ったもの。
 b) 2種: 鋼板の素地調整後,本格塗装を行うまでの間,一時的に防せい力を付与する目的で,塗り付けた後,数か月以内に次の塗料を塗り重ねるように作ったもの。
 
 エッチングプライマーの品質は,主剤添加剤,及び混合物それぞれについて規定されている。
 主剤,及び添加剤の品質規格は,エッチングプライマーとして必要な成分の種類と量を規定することを目的としている。すなわち,主剤では酸化亜鉛とクロム酸の量が,添加剤にはりん酸の濃度範囲量を規定している。
 また,使用直前に主剤と添加剤を混合するため,保管中の塗料性状変化に関する容器の中での状態と,加熱残分については,主剤の品質として規定している。

JIS K 56332010(エッチングプライマー) 品質(主剤
太字;塗料の品質,青太字:塗膜の品質
  項  目    1種(短暴型)    2種(長暴形
  密度 20℃ g/cm3    0.85~0.95    0.88~1.20 
  容器の中での状態    かき混ぜたとき,堅い塊がなくて一様になるものとする。 
  加熱残分 %    17~21    20以上 
  溶剤不溶物 %    8~12    9以上 
  溶剤不溶物中の酸化亜鉛 %    55以上    ― 
  溶剤不溶物中の無水クロム酸 %(CrO2として)    14以上    ― 
  鉛の定性    含まないこと。    ― 


JIS K 56332010(エッチングプライマー) 品質(添加剤
太字;塗料の品質,青太字:塗膜の品質
  項  目    1種(短暴型)    2種(長暴形
  密度 20℃ g/cm3    0.90~0.95    0.80~1.00 
  りん酸 %(H2PO4として)    14~18    6以上 


JIS K 56332010(エッチングプライマー) 品質(混合物
太字;塗料の品質,青太字:塗膜の品質
  項  目    1種(短暴型)    2種(長暴形
  ポットライフ    8時間で使用できるものとする。 
  塗装作業性    はけ塗りで塗装作業に支障があってはならない。 
  乾燥時間 min    30以下 
  塗膜の外観    塗膜の外観が正常であるものとする。 
  耐おもり落下性(デュポン式)    300mm の高さから落としたおもりの衝撃によって,割れ・はがれがあってはならない。 
  耐屈曲性(円筒形マンドレル法)    直径 6mm の折り曲げに耐えるものとする。 
  耐塩水性    ―    塩化ナトリウム溶液に浸したとき, 
  異常がないものとする。 
  屋外暴露耐候性    ―    3か月間の試験で見本品と比べて, 
  さび・膨れ・はがれの程度が大きくないものとする。 

 【品質項目の概要】
 塗料の成分 : 主剤では酸化亜鉛量,無水クロム酸量,鉛を含まないことが,添加剤ではリン酸量が規定されている。
 塗料の性状 : 容器の中での状態,密度,加熱残分,溶剤不溶物が規定されている。
 塗装作業 : 塗装作業性,乾燥時間,ポットライフが規定されている。
 塗膜形成機能 : 塗膜の外観,耐衝撃性(耐おもり落下性),耐屈曲性が規定されている。
 塗膜の性能や耐久性 : 2種(長暴形)には,耐塩水性,屋外暴露耐候性が規定されている。

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 エッチングプライマーの塗料品質試験

   ここでは,エッチングプライマー 塗料品質の試験法を紹介する。塗膜品質の試験法については,【塗膜の評価】・「プライマーで紹介する。
 7. 試験方法
 7.1 サンプリングは,JIS K 5600-1-2 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:サンプリング」による。
 7.2 試験用試料の検分及び調整は,JIS K 5600-1-3 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第3節:試験用試料の検分及び調整」による。
 
 7.3 試験の一般条件は,JIS K 5600-1-1 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」 ,JIS K 5600-1-6 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」及び JIS K 5601-1-1 「塗料成分試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」による。ほか,次による。
 7.3.2 試験片の作製
 7.3.2.1 試験板 : JIS K 5600-1-4 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第4節:試験用標準試験板」による。ただし,特に規定する以外は,耐水研磨紙によって調整した鋼板 (150×70×0.8mm) とする。
 7.3.2.2 試料の混合と薄め方 : 主剤と添加剤とを質量比 80:20 で量り取り,よく混合する。混合した試料は,容器にふたをして,1時間おく。混合した試料は,毎回よくかき混ぜた後,直ちに塗る。初めの混合から時間を測定して 8時間を過ぎたものは,試験に用いてはならない。
 7.3.2.3 試料の塗り方 : はけ塗りとし,塗り付け量は 1回ごとに塗り面積 100cm2 当たり, 1種では 0.6g 以下で流れない程度になるべく多く,2種では 0.80±0.08g とし,いずれも試験片の長辺に平行に塗り付ける。必要に応じて,製品に規定するシンナーを用いて,10%(質量)以下で薄めてもよい。
 
 7.4 密度の試験は,JIS K 5600-2-4 「塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第4節:密度」による。
 7.5 容器の中での状態の試験は, JIS K 5600-1-1 の 4.1.2 a)(液状塗料の場合)による。
 7.6 ポットライフの試験は, JIS K 5600-2-6 「塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第6節:ポットライフ」によるほか次による。
 7.6.1 試験板・試料 : 試験板は,ぶりき板 (500×200×0.3mm) とし,試料は,7.3.2.2によって混合したものを用いる。
 7.6.2 操作 : 密閉できる金属製容器を用い,混合して 8時間後の試料について,7.5,7.9及び JIS K 5600-1-1 の 4.2(塗装作業性)によって塗装作業性を調べる。
 7.6.3 判定 : 容器の中での状態が容易に一様になり,塗装作業性に支障がなく,塗膜の外観が正常であるときは, 8時間使用できる。とする。
 7.7 塗装作業性の試験は, JIS K 5600-1-1 の 4.2.3 a)(1 回塗りの場合)による。ただし,試験板は,溶剤洗浄によって調整したぶりき板 (500×200×0.3mm) とし,によって,試験板の片面に 規定の塗付け量になるように,はけ塗りする。判定は,はけ塗り作業に特に困難を感じないとき, はけ塗りで塗装作業に支障がない。とする。
 7.8 乾燥時間の試験は,JIS K 5600-3-2 「塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第2節:表面乾燥性(バロチニ法)」による。ただし,試験板は,溶剤洗浄によって調整したガラス板 (200×100×2mm) を用い,すきま 100μmのフィルムアプリケータ塗りとし,乾燥時間は 30分以下とする。判定は,表面乾燥状態の評価による。
 7.13 加熱残分の試験は, JIS K 5601-1-2 「塗料成分試験方法−第1部:通則−第2節:加熱残分」による。ただし,試験条件は加熱温度 105±2℃,加熱時間は 1時間とする。
 7.14 溶剤不溶物 溶剤不溶物の試験は,附属書 1(規定)(溶剤不溶物の定量)による。
 7.15 溶剤不溶物中の組成
 7.15.1 酸化亜鉛の定量 : 溶剤不溶物中の酸化亜鉛の定量は,附属書 2(規定)(溶剤不溶物ちゅうの酸化亜鉛の定量)による。ただし,塗料 中にジンククロメート顔料が含まれていても,その亜鉛分は減じないものとする。
 7.15.2 無水クロム酸の定量 : 溶剤不溶物中の無水クロム酸の定量試験は,附属書 3(規定)(溶剤不溶物中の無水クロム酸の定量)による。
 7.16 鉛の定性は,次による。
 7.16.1 試薬
 a) 硝酸 (1+5) は,JIS K8541に規定する硝酸を用いて調製する。
 b) 過酸化水素水 (3%) は,JIS K8230に規定する過酸化水素を用いて調製する。
 c) よう化カリウム溶液 (100g/L) は,JIS K8913に規定するよう化カリウムを用いて調製する。
 7.16.2 操作
 a) 試料約 20g を磁器るつぼに入れ,初めは弱く加熱して揮発分の大部分を蒸発させた後,強く加熱し試 料を灰化する。さらに,約 600℃で強熱する。
 b) るつぼをデシケータの中で放冷した後,内容物約 0.1g をビーカ 100ml に取り,硝酸 (1+5) 約 10ml を加えて溶かす。過酸化水素水 (3%) を数滴加え,内容物が十分に溶けるまで水浴上で加熱した後,過剰の過酸化物が揮発するまで静かに煮沸する。
 c) 室温まで冷却し,よう化カリウム溶液 (100g/L) を数滴加えてかき混ぜる。
 7.16.3 判定 : 黄色の板状結晶を生じないときは, 鉛を含まない。とする。
 7.17 りん酸の定量は,この規格の附属書 4(規定)(リン酸の定量)による。
 
 附属書 1(規定) 溶剤不溶物の定量
 1. 要旨 試料に溶剤を加えて溶剤可溶物を溶かし,遠心分離して得た固形物を溶剤不溶物として,これを試料中の質量分率として求める。
 附属書 2(規定) 溶剤不溶物中の酸化亜鉛の定量
 1. 要旨 溶剤不溶物に塩化アンモニウム溶液を加えて酸化亜鉛を溶かし,キシレノールオレンジ溶液を指示薬としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液で亜鉛をキレート滴定し,対応する酸化亜鉛の量を溶剤不溶物中の質量分率として求める。
 附属書 3(規定) 溶剤不溶物中の無水クロム酸の定量
 1. 要旨 無水クロム酸の定量には,よう素滴定法と酸化還元滴定法とがある。 溶剤不溶物に含まれるクロム酸塩顔料中のクロム酸を定量して,無水クロム酸として求め,溶剤不溶物中の質量分率として表す。
 溶剤不溶物にクロム酸塩顔料,又はこれと白顔料及び体質顔料を含む場合には,よう素滴定法で求め,白顔料及び体質顔料の有無にかかわらずクロム酸塩顔料と他の顔料とを含む場合には,酸化還元滴定法によって求める。
 附属書 4(規定) りん酸の定量
 1. 要旨 チモールブルーを指示薬として,水酸化ナトリウム溶液で中和滴定し,対応するりん酸の量を試料中の質量分率として求める。

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 ジンクリッチプライマーの品質

 

 JIS K 55522010 「ジンクリッチプライマー」

 鉛化合物,クロム化合物を含むさび止めペイントの JIS規格廃止に整合するため,2010年に試験方法に関して一部改訂(追補)されている。
 適用範囲
 この規格は,鋼材の防せい(錆)に用いるジンクリッチプライマーについて規定する。
 備考: ジンクリッチプライマーは,亜鉛末及びアルキルシリケート又はエポキシ樹脂及び硬化剤,顔料及び溶剤を主な原料としたものである。
 種類
 a) 1種 無機ジンクリッチプライマー: アルキルシリケートをビヒクルとした,1液 1粉末形のもの。
 b) 2種 有機ジンクリッチプライマー: エポキシ樹脂をビヒクルとした,2液 1粉末形又は 2液形(亜鉛末を含む液と硬化剤)のもの。
 
 塗膜の成分規定として加熱残分中の亜鉛量を規定している。また,塗膜形成要素としてエポキシ樹脂を規定する 2種(有機系)では,エポキシ樹脂の定性を規定している。
 なお,2002年版ではエポキシ樹脂の定性について,JIS K 55512002 「エポキシ樹脂塗料」の附属書を引用していたが,引用した規格が 2008年の改訂で規格名称を「鋼構造物用さび止めペイント」に変更するとともに,品質項目からエポキシ樹脂の定性が削除されたため,本規格の 2010年の改正で,附属書 3(参考)「樹脂分の赤外分光法による定性」を追加している。

JIS K 55522010 「ジンクリッチプライマー」品質
太字;塗料の品質,青太字:塗膜の品質
  項  目    1 種(無機)    2 種(有機) 
  容器の中での状態    粉は微小で一様な粉末であるものとする。 
  液はかき混ぜたとき堅い塊がなくて一様になるものとする。 
  塗装作業性    塗装作業に支障があってはならない。 
  乾燥時間   1以下 
  塗膜の外観    塗膜の外観が正常であるものとする。 
  ポットライフ    5時間で使用できるものとする。 
  耐衝撃性    衝撃によって割れ及びはがれが生じてはならない。(500g,500mm) 
  耐塩水噴霧性    塩水噴霧に耐えるものとする。 
  混合塗料中の加熱残分(%)    70以上 
  加熱残分中の金属亜鉛(%)    80以上    70以上 
  エポキシ樹脂の定性    ―    [附属書 3(参考)参照] 
  屋外暴露耐候性    6か月間の試験で 
  さび,割れ,はがれ及び膨れがあってはならない。 

 【規定項目の概要】
 塗料の成分 : 1種,2種とも亜鉛量が,2種ではエポキシ樹脂の定性が規定されている。
 塗料の性状 : 容器の中での状態,加熱残分,溶剤不溶物が規定されている。
 塗装作業 : 塗装作業性,乾燥時間,ポットライフが規定されている。
 塗膜形成機能 : 塗膜の外観,耐衝撃性(耐おもり落下性)が規定されている。
 塗膜の性能や耐久性 : 耐塩水噴霧性,屋外暴露耐候性が規定されている。

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 ジンクリッチプライマー塗料の品質試験

 ここでは,ジンクリッチプライマー 塗料品質の試験法を紹介する。塗膜品質の試験法については,【塗膜の評価】・「プライマーで紹介する。
 6. 試験方法
 6.1 サンプリングは,JIS K 5600-1-2 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:サンプリング」による。
 6.2 試験用試料の検分及び調整は,JIS K 5600-1-3 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第3節:試験用試料の検分及び調整」による。
 6.3 試験の一般条件は, JIS K 5600-1-1 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」 ,JIS K 5600-1-6 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」及び JIS K 5601-1-1 「塗料成分試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」による。
 6.3.2 試験片の作製
 6.3.2.1 試験板 : JIS K 5600-1-4 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第4節:試験用標準試験板」による。ただし,特に規定する以外は,ブラスト処理した鋼板 (150×70×3.2mm) とする。ブラストの条件は,除せい度 ISO 8501-1 Sa2・1/2以上,研掃材グリット,表面粗さ 25μmRzJISを標準とする。
 6.3.2.2 試料の混合と薄め方 : 液と粉末の混合は,その製品の指定する方法による。試料の薄め方は,その製品に指定するシンナーを用いて,混合物の 20%(質量)以下で薄めてもよい。
 6.3.2.3 試料の塗り方 : 混合した試料は,よくかき混ぜた後,目開き 600μm の金網でろ過し,直ちに塗る。初めの混合から時間を測定して,5時間を過ぎたものは試験に用いてはならない。試料の塗り方は,特に規定する以外は,吹付け塗り(エアスプレー塗り)とし,7日間乾燥したときに測定して,塗膜の厚さが 15~20μm になるように 1回塗る。
 6.3.2.5 膜厚の測定 : 膜厚の測定は,JIS K 5600-1-7 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」による。
 6.4 容器の中での状態の試験は, JIS K 5600-1-1 の 4.1(容器の中の状態)による。ただし,粉末については目視によって観察し判定する。
 6.5 塗装作業性の試験は, JIS K 5600-1-1 の 4.2(塗装作業性)による。
 6.6 乾燥時間の試験は,JIS K 5600-3-3 「塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第3節:硬化乾燥性」によって評価する。
 6.8 ポットライフの試験は, JIS K 5600-2-6 「塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第6節:ポットライフ」によるほか次による。
 6.8.1 試験容器 : 密封できる金属製,ガラス瓶又はポリエチレン製とする。
 6.8.2 試験板 :  6.3.2.1 に規定するブラスト処理をした鋼板で,寸法は 200×100×3.2mm とする。
 6.8.3 操作 : 次による。
 a) 主剤と硬化剤をその製品に規定した方法によって,よく混合し,容器に入れふたをし,標準条件で 5時間静置したものを試料とする。
 b) 試料をかくはん棒でよくかき混ぜ,容器の中での状態を調べる。
 c) 試料を目開き 600μm の金網でろ過し,エアスプレーで塗り,試験片を立て掛けて 48 時間置いた後,塗膜の外観を調べる。
 6.8.4 判定 : 試料をかき混ぜたとき,顔料の沈降がないか,あってもかき混ぜれば容易に一様に分散し,混合直後に比べて著しい粘度の上昇及びゲル化がなく,更に,塗膜の外観が正常で,流れ・あな及びしわの程度が大きくないときは,ポットライフは 5時間で使用できる。とする。
 6.11 混合塗料中の加熱残分の試験は, JIS K 5601-1-2 「塗料成分試験方法−第1部:通則−第2節:加熱残分」による。ただし,1種は液について,105±2℃で 1時間の条件で測定し,粉末との混合比から混合塗料の加熱残分を求める。2種は混合塗料について 105±2℃で 3時間の条件で測定する。
 6.12 加熱残分中の金属亜鉛の定量試験は,附属書 1(規定)(溶剤不溶物中の金属亜鉛の定量)による。ただし,亜鉛粉末のこん(梱)包形態によって,次の 2種類の試験方法を適用する。
 a) 1液 1粉末形,又は 2液 1粉末形の試料 粉末中の金属亜鉛の量を求め,加熱残分中の金属亜鉛は,粉末の混合比及び加熱残分から算出する。
 b) 2液形の試料 亜鉛粉末の入っている液から,附属書 2(規定)(溶剤不溶物の定量)によって溶剤不溶物を分取し,溶剤不溶物中の金属亜鉛の量を求め,溶剤不溶物及び加熱残分から金属亜鉛を算出する。なお,溶剤不溶物を分取するときに用いる溶剤は,JIS K 8903 に規定する 4-メチル-2-ペンタノン及び JIS K 8034 に規定するアセトンを容量比 1:1 で混合する。
 附属書 1(規定) 溶剤不溶物中の金属亜鉛の定量
 1. 要旨 溶剤不溶物中の金属亜鉛を塩化鉄(III)溶液に溶解し,還元によって生成した第 1 鉄イオンを過マンガン酸カリウム溶液で滴定して,対応する金属亜鉛の量を溶剤不溶物中の質量分率として求める。
 附属書 2(規定) 溶剤不溶物の定量
 1. 要旨 試料に溶剤を加えて溶剤可溶物を溶かし,遠心分離して得た固形物を溶剤不溶物として,これを試料中の質量分率として求める。
 
 附属書 3(参考) 樹脂分の赤外分光法による定性
 1. 要旨 溶剤可溶物を赤外分光法によって得られた赤外吸収スペクトルについて,成分既知の赤外吸収スペクトルとの類似性及び特性吸収の一致性によって樹脂成分の定性を行う。

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