防食概論:塗料・塗装

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         ブラスト処理

 ブラスト処理は,JIS Z 0103「防せい防食用語」では,“金属製品に防せい防食を目的として塗料などを被覆する場合に,素地調整のために行われる。研削材に大きな運動エネルギーを与えて金属表面に衝突させ,金属表面を細かく切削及び打撃することによってさび,スケールなどの付着物を除去して金属表面を清浄化又は粗面化させる方法。”と定義している。
 ブラスト処理方法は,水を活用するか否かで,乾式ブラスト湿式ブラストに分類される。次には,JIS Z 0310「素地調整用ブラスト処理方法通則」に従って,ブラスト処理の種類と特徴を解説する。

 

【乾式ブラスト】

 水を用いない乾式ブラストに共通する特性として,鋼材表面の塩類,油分などの汚染物質を完全に除去することはできないので,適切な除去方法を別途講じなければならないことにある。
 特に,塩の付着した構造物で,塗替え塗装時に現場ブラストを採用する場合には,事前に水洗等による表面付着塩分の除去が最小限必要となる。これでも残存さび中の塩分を除去することは困難といわれている。
 また,塗替え塗装で,塗膜表面に付着する塩分を水洗などで除去せずにブラスト処理すると,露出した清浄な鋼表面を,作業中に飛散した塩で汚染し,塗替え塗膜の耐久性を著しく短くすることになる。
 乾式ブラストは,ブラスト原理の違いから,遠心式ブラスト(DC),エアーブラスト(DA),及びバキュームブラスト(DV)の3種に分類される。
 
 遠心式ブラスト

遠心式ブラスト装置の例

遠心式ブラスト装置の例
写真出典:JFEメカニカル株式会社 カタログ

 回転するディスクの遠心力で研削材を投射する方式である。比較的単純な形状の面に適し,さび度の異なる表面を高度の除せい度にまで仕上げることができる。密度の大きい金属系の研削材を利用するのがよい。粉じんが発生し,飛散しやすいので適切な防護対策が必要になる。
 一般的に,単純形状の材料を連続的に処理するのに向いているため,工場内等での据え置き型で用いることが多い。
 
 エアーブラスト
 圧縮空気の流れに研削材を供給し,ノズルから研削材を噴射する方式である。様々な場所での適用が可能であり,さび度の異なる表面を高度の除せい度にまで仕上げることができる。他の方式に比べて粉じんの量が多く,飛散しやすいので,作業者の防護,周囲への飛散防止が必要になる。

乾式ブラスト装置の例

乾式ブラスト装置の例
写真出典:厚地鉄工株式会社 カタログ



 バキュームブラスト
 エアーブラスト方式の噴射ノズル周辺に吸引器具を設置し,ブラスト直後に研削材及び発生した粉じんを吸引する方式である。粉じんの影響が少なく,かつ被処理物を部分的に処理すればよい場合に適している。
 吸引口をシールし難い複雑な形状には適用が困難である。また,作業効率が低いので,広範囲の作業には不向きなため,部分的な除せいを目的にした素地調整などで採用される。

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【湿式ブラスト】

 水を活用したブラスト法に共通する特性は,ブラスト処理中の粉じんの発生を抑制できること,ブラスト処理後に,さび再発の危険があることである。さび発生の防止に腐食抑制剤を添加してもよいが,その抑制剤を含む廃棄物の処理,ブラスト処理後の処理(塗装など)への影響に配慮する必要がある。
 湿式ブラストには,水の活用方法により,モイスチュアブラスト(MA),湿式エアーブラスト(WF),スラリーブラスト(WS),及びウォータージェットブラスト(WJ)の4種がある。
 
 モイスチュアブラスト
 湿潤させた研削材をエアーブラスト方式で噴射する方式である。エアーブラスト法と同様に,様々な場所での適用が可能であり,高度な除せい度の仕上げが可能である。研削材には,腐食しない非金属系の粒子を用いる。
 水の活用は補助的なため,性能としては乾式ブラストと同様で,鋼材表面の塩類,油分などの汚染物質を完全に除去することはできない
 
 湿式エアーブラスト

湿式エアーブラスト装置の例

湿式エアーブラスト装置の例
写真出典:厚地鉄工株式会社 カタログ

 圧縮空気,及び研削材に水分を添加し,水を霧状にして噴射する方式である。水が存在してはいけないところ以外の様々な場所での適用が可能である。
 腐食鋼板,特に化学的に汚染された鋼材の表面を,高度の除せい度にまで仕上げることができる。研削材には,腐食しない非金属系の粒子を用いる。塩類などの水溶性汚染物質を低減させることができる。
 
 スラリーブラスト
 水流に圧縮空気と研削材を加え,スラリー状にして噴射する方式である。表面粗さの小さい,きめの細かな表面を作る場合に適している。塩類などの水溶性汚染物質を低減させることができる。

 ウォータージェットブラスト
 極めて高圧の水の流れに研削材を加え,ジェット水流として噴射する方式である。水が存在してはいけないところ以外の様々な場所での適用が可能である。
 除せい能力はさほど高くないので,腐食程度の低い鋼材の表面は,高度の除せい度にまで仕上げることができる。しかし,ブラスト処理前に厚いさびで覆われている鋼材のさびを完全に除去することは困難である。
 研削材には,比較的少量の非金属系粒子が用いられる。塩類などの水溶性汚染物質を低減させることができる。高圧の水流に対する安全に注意が必要である。

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