防食概論:塗料・塗装

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         ポリウレタン樹脂塗料の分類

 JIS K 5500「塗料用語」には,用語としての“ポリウレタン樹脂塗料”は定義されていない。一般的には,「塗膜形成要素の樹脂骨格にウレタン結合を有するか,あるいは塗膜を形成する過程でウレタン結合を生成する塗料の総称。」と理解されている。
 従って,ウレタン結合以外の部分には様々の材料が利用可能であり,特性の異なる種々のポリウレタン樹脂塗料が存在し得る。
 そこで,ここではポリウレタン樹脂塗料の硬化機構の違いによる分類と特徴を紹介し,次節では鋼構造物防食塗装で実績の多いポリオール硬化形ポリウレタン樹脂塗料を紹介する。
 

【硬化機構による分類】

 ポリウレタン樹脂塗料は,硬化機構の違いで,次の 6種に分類するのが一般的である。
 ① 油変性ポリウレタン樹脂塗料
 油変性アルキド樹脂の二塩基酸(フタル酸など)を,イソシアネート基(-N=C=O)を複数持つ化合物(例えばジイソシアネート)で置換し,分子内にウレタン結合を形成したウレタン化アルキド(ウレタン化油ともいう)である。
 このタイプは,1液形の塗料で,長油性フタル酸樹脂塗料などのアルキド樹脂塗料と同じく,大気中の酸素による酸化重合で硬化する。
 主な用途は,床用,木材外装用,船舶用である。
 
 ② 湿気硬化形ポリウレタン樹脂塗料
 1液形の塗料で,イソシアネート基(NCO基)と空気中の水分との反応で,前項の「イソシアネートと水の反応」で説明した過程を経て,尿素結合(R-NH-CO-NH-R’:ウレア結合ともいう)により造膜する。
 このとき反応生成物として,二酸化炭素(CO2)が生成する。湿気硬化形ポリウレタン樹脂塗料では,発生する二酸化炭素量の抑制を目的に,ポリエーテルポリオールなどとあらかじめ反応させ,NCO基の量を抑えたイソシアネートプレポリマーが用いられる。
 イソシアネートプレポリマーとは,ジイソシアネートと水酸基を複数持つポリオールを反応させ,最終品のポリマーに至る前に,縮合反応を適当な所で止めた中間生成物である。すなわち,ウレタン結合を持つ高分子の末端にイソシアネート基を有する材料である。
 反応過程での二酸化炭素発生量を抑えた材料であっても,不適切な施工を行うと塗膜に泡が発生し易い。このため,施工時の環境条件や塗膜厚みの適切な管理が求められる。
 他のタイプに,水酸基をケイ酸エステルでブロックした湿気硬化形ウレタン用ポリオールを用いたものがある。これは,塗料に侵入した水分がケイ酸エステルの加水分解で消費され,再生されたポリオールとイソシアネートとの反応で造膜できるようにした 1液形の塗料もある。
 主な用途は,床用,木工用,皮革用である。
 
 ③ ブロック形ポリウレタン樹脂塗料
 イソシアネートプレポリマーにブロック化剤を反応させ,遊離のイソシアネートを持たない状態にした材料(ブロック化イソシアネートなどともいう)を用いた塗料である。
 ブロック化剤とは,適切な活性水素化合物(水酸基などの活性水素を持つ化合物)で,適切な温度でブロック化剤がかい離し,イソシアネート基が再生されるものである。ある温度以上でポリオールと反応し高分子樹脂になる。1液形焼付塗料として用いられる。
 かい離する温度は,焼付温度より低くなるよう適切な材料が選ばれる。一般的には,フェノール類(ベンゼン環-OH),アルコール類(R-OH),オキシム類(R’-C ( =N-OH) -R),ラクタム類(環状化合物で,環の一部に‐CO-NH-を有する)が用いられる。
 主な用途は,電線,缶,家電など焼付塗装用,電着塗装用,粉体塗装用である。
 
 ④ ラッカー形ポリウレタン樹脂塗料
 熱可塑性を持つ範囲(3次元網目構造が低く,加熱で溶融する範囲)で,ポリオールとイソシアネートを反応させたポリウレタン樹脂を溶剤に分散させる。
 1液形の塗料,溶剤の揮発で造膜する。架橋構造をとらないため,耐薬品性,耐溶剤性に劣る。
 主な用途は,プラスチック用プライマー,軟質素材用である。
 
 ⑤ 触媒硬化形ポリウレタン樹脂塗料
 湿気硬化形ポリウレタン樹脂と同等の樹脂を第一成分とし,触媒作用を有する成分(アミン類,アミノアルコールなど)を第二成分とする。
 使用直前に両者を混合する 2液形の塗料である。硬化過程では,湿気硬化形ポリウレタンと同様の空気中の水との反応に加えて,触媒の官能基(アミン)との反応が起きる。
 ポットライフが非常に短く,数秒~数十秒で硬化するため,作業性の面から用途が限定される。例えば,先端衝突混合スプレーガンなどを用いた吹付けによる防水ライニングなどシート工法に代わる用途などで用いられている。
 
 ⑥ ポリオール硬化形ポリウレタン樹脂塗料
 イソシアネートプレポリマーとポリオールを別々に保管し,使用直前に混合して用いる 2液形の塗料である。次章で代表的な使用材料を紹介する
 一般的に,ポリウレタン樹脂塗料という場合,ポリオール硬化形ポリウレタン樹脂を指す場合が多い。イソシアネートプレポリマーポリオールの種類,構造の組合せで幅広い特性を有する樹脂が得られる。
 幅広い用途の中で,主な用途には,鋼橋,船舶,タンク,車両等の金属製品,高級家具,楽器,仏具などの木工製品,バンパー,スポイラー等のプラスチック製品がある。

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