防食概論:塗料・塗装

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         付着性

 JIS K 5500 「塗料用語」では,付着性(adhesive property, adhesion)とは,“塗膜が下地面に付着して離れにくい性質”と定義されている。
 防食塗装の場合には,金属素地との付着性,すなわち直接接触する下塗り塗料に強く求められる品質と考えることができる。
 景観性能を重視する場合には,素地と下塗り塗膜の付着性に加え,中塗り塗膜や上塗り塗膜の層間付着性も無視できない特性である。
 塗膜の付着性評価には,原理の異なるクロスカット法プルオフ法(引張り破断法)の 2 方式が JIS 試験規格として規定されている。塗料の JIS製品規格では,品質評価にクロスカット法を用いている。プルオフ法は,塗料の研究,塗膜調査などでの適用が多い。
 
 付着性(クロスカット法)
 JIS K 5600-5-6 :1999 「塗料一般試験方法−第 5 部:塗膜の機械的性質−第 6 節:付着性(クロスカット法)(Testing methods for paints− Part 5 : Mechanical property of film−Section 6 : Adhesion test (Cross-cut test))」
 碁盤目試験ともよばれ,塗膜表面にカッターナイフを用いて素地に達する碁盤目状の切り込みを入れ,粘着テープで引き剥がしたときに,碁盤目状の塗膜のはく離程度により塗膜の付着性を評価する方法である。
 試験では,カッターナイフの刃で塗膜をV字カットするため,塗膜の付着面と水平方向剪断力が加わる。
 クロスカット法では,この剪断力に抗する界面の付着強さ,塗膜の凝集強さ,剪断力を緩和する塗膜の柔軟性を総合的に評価していると考えるのが妥当である。
 すなわち,厳密な意味での塗膜の付着強さの評価ではなく,塗膜の素地との界面の状態に加え,塗膜自身の脆さなどの物性を評価する方法である。従って,実用的な付着性の評価法として古くから用いられてきた。
 例えば,単純に界面の付着強さが低い場合のみならず,塗膜が硬い(柔軟性低下)場合,脆い(凝集強さ低下)場合にも碁盤目試験で低い評価になる。このため,塗膜の劣化評価では,引張り強さを計測するプルオフ法の結果と剪断力に対する抵抗性を評価するクロスカット法の結果を総合的に考察する手法が用いられている。
 
 付着性(プルオフ法)
 JIS K 5600-5-7 :1999 「塗料一般試験方法−第 5 部:塗膜の機械的性質−第 7 節:付着性(プルオフ法)(Testing methods for paints−Part 5 : Mechanical property of film−Section 7 : Adhesion test (Pull-off methods))」
 塗膜表面に引張り治具を接着剤で張り付け,塗膜面に対して垂直方向に引張り,塗膜破壊時の応力と塗膜破壊状況の観察で付着性を評価する方法である。
 塗膜の破壊状況には,界面破壊塗膜凝集破壊,及び両者の混在がある。破壊面の大部分が界面破壊の場合には付着強さを評価したといえるが, その他の場合は,厳密な意味での塗膜の付着強さの評価ではない。
 この方法で得られた結果は,塗膜層の中で最も強度の弱い層や層間の強さであり,塗膜のはがれ易さの評価に用いることは推奨できない。
 一般的には,塗膜の垂直引っ張り強さの経年変化を定量的な指標として,クロスカット法と組み合わせて塗膜の劣化程度の評価に用いられる例がある。

【JIS製品規格での扱い例】

 JIS K 5551「構造物用さび止めペイント」に“付着性(クロスカット法)が規定されている。この規格で扱う試験方法の概要は,「塗料の評価」の“付着性に紹介した。

 【参考情報】
 試験結果の評価は,品質評価を目的とする場合には,JIS 規格で定める次の分類によるのが良い。この場合の他に,塗膜の経時変化把握などを目的とする場合では,はがれの面積率,損傷を受けたマス目数などの変化程度の評価が行われる。
 分類 0 : カットの縁が完全に滑らかで,どの格子の目にもはがれがない。
 分類 1 : カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に 5 %を上回ることはない
 分類 2 : 塗膜がカットの縁に沿って,及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に 5 %を超えるが 15 %を上回ることはない
 分類 3 : 塗膜がカットの縁に沿って,部分的,又は全面的に大はがれを生じており,及び/又は目のいろいろな部分が,部分的,又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に 15 %を超えるが 35 %を上回ることはない
 分類 4 : 塗膜がカットの縁に沿って,部分的,又は全面的に大はがれを生じており,及び/又は数か所の目が部分的,又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に 65 %を上回ることはない
 分類 5 : 分類 4 でも分類できないはがれ程度のいずれか。

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