防食概論:塗料・塗装

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         常温硬化形エポキシ樹脂塗料

 鋼構造物などの防食塗装に用いられる常温硬化形エポキシ樹脂塗料(2液形)の硬化反応と塗料・塗膜の一般的な特徴を紹介する。

【硬化反応の特徴】
 防食塗装に用いる常温硬化形エポキシ樹脂塗料(2液形)では,比較的分子量の小さい( 1000以下)ビスフェノール A 形エポキシ樹脂(プレポリマー)が用いられる。硬化剤としては,アミン,アミンアダクト,又はポリアミドを使用する例が多い。
 アミンとエポキシ基との反応例を図に示す。防食塗料に用いるエポキシ樹脂には,一つのプレポリマーに複数のエポキシ基を有する材料を用いる。従って,各エポキシ基が硬化剤のアミンと反応することで,複雑な三次元網目構造を形成することができる。

エポキシ樹脂塗料の硬化反応例(模式図)

硬化反応例(模式図)

 
 低級アミン(分子内アルキル基の短いアミン)は,反応性は高いが,臭気や毒性の問題で汎用塗料での使用例が少なく,作業者の健康影響に配慮し,アミンアダクト,ポリアミドを推奨しているケースが多い。
 一方,超厚膜形エポキシ塗料や無溶剤形エポキシ樹脂塗料では,期待する塗料特性を得るため,毒性の問題はあるがアミンを硬化剤として用いるのが多い。このため,作業者には,十分な防護措置(防護服など)が求められる。
 アミンアダクトとは,アミンの欠点を除くため,複数のアミノ基(-NH2,-NHRなど)を持つポリアミンにエポキシ樹脂を部分的に付加したものである。アミンアダクト硬化形エポキシ樹脂塗料は,耐薬品性や耐溶剤性に優れる。
 ポリアミドは,脂肪酸とポリアミンとの反応生成物で,硬化剤としては液状のポリアミド樹脂が用いられる。ポリアミド硬化形エポキシ樹脂塗料は,接着性,たわみ性,耐衝撃性に富み,良好な耐水性を持つ。
 
 特殊な硬化剤の例として,アミンアダクトとポリアミド両方の構造を持つポリアミドアダクトやケチミン(空気中の水分でアミン生成,ハイソリッド形塗料に用いられる)なども用いられることもある。
 

【塗料・塗膜の一般的な特徴】

  常温硬化形エポキシ樹脂塗料の一般的な長所と短所を次に示す。

    長所
  • 機械的強度が高く,耐薬品性,付着性,及び耐水性に優れる塗膜を形成する。
  • 十分に混合された塗料を塗付けることで,膜内での均一な硬化反応が期待できるため,厚塗りが可能になる。
  • 適切なエポキシ樹脂,硬化剤の選択で,ハイソリッド形(溶剤成分の少ないタイプ),無溶剤形の塗料を設計できる。
    短所
  • 分子構造内にベンゼン環を持つため,耐紫外線性に劣る。そのままでの屋外暴露で,早期(2~3カ月)に白亜化(チョーキング)する。
  • 硬化反応は,5℃以下でほとんど進まない。すなわち,低温での硬化性に劣るため,外気温 10℃以下での施工を禁止するのが通例である。
  • 施工直後に結露,降雨により塗面が濡れた場合,又は高湿度下で施工した場合には,硬化が完了する前にアミンが塗膜表面に浮き,白化(ブラッシング)する。
     これは,塗膜性能(防食性能)には大きく影響しないが,仕上がりが悪くなるので問題視されることがある。この現象をアミンブラッシングという。

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