防食概論:塗料・塗装

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         鋼鉄道橋の維持管理

 鉄道は,国土交通省の省令(鉄道に関する技術上の基準を定める省令)に基づき運営されている。
 従って,構造物の維持管理は,省令の解釈基準の一つである「鉄道構造物等維持管理標準」(国土交通省鉄道局)に準拠して実施される。
 維持管理技術の詳細は,【社会資本とは】の「鉄道橋の維持管理」に示す。ここでは,点検方法,腐食・塗装に関連する項目を抜粋して紹介する。

 

【全般検査】

 全般検査とは,定期的に実施することが定められた構造物検査である。全般検査には,通常全般検査と特別全般検査の2種がある。
   【全般検査の頻度】
 通常全般検査は,2 年を超えない時期に実施される全般検査である。特別全般検査は,それぞれの構造物の必要性から事業者の定める期間ごと(重要構造物では 10 年程度が推奨されている)に実施される全般検査である。

    【全般検査の目的】
  1. 構造物の変状の有無を確認
  2. 健全度の判定ができる情報(変状の程度)を把握
  3. 運転保安,及び旅客公衆の安全を脅かす恐れの判断
  4. 悪影響を及ぼす恐れのある環境変化の判断
  5. 個別検査の必要性の判断
  6. 措置の必要性の判断
    【全般検査の調査項目】
  1. 塗膜の劣化,及び腐食の状態
  2. 耐候性鋼材の保護性さびの生成状態
  3. 建築限界支障の有無
  4. 列車通過時の橋桁の振動状態
  5. 支承部の変状
  6. リベット,及びボルトの変状
  7. 溶接部,及び母材の変状
  8. 補修・補強個所の再変状
  9. 衝撃によって疲労亀裂が生じやすい個所
  10. 排水設備の状態
  11. 歩道,及び防音工等付帯物の変状
  12. 周辺環境に与える影響

【腐食,塗膜劣化の調査方法】

 通常全般検査の調査項目は,一律ではなく,構造物の特性と周辺の状況に応じて,当該構造物に最適な条件を設定して行なわれる。ここでは,塗膜の劣化,腐食,及び耐候性鋼材のさびに関する一般的な調査方法を紹介する。
 【塗膜の劣化】
 塗膜劣化そのものは,構造物本体にとって変状とはいえない面もあるが,防食性能低下による鋼腐食は,構造物の健全性に影響する変状に至る可能性がある。
 このため,通常全般検査では,「鋼構造物塗装設計施工指針」(鉄道総合技術研究所編集,研友社発行)に準じて塗膜の劣化状態を評価する。
 塗膜劣化状態は,「鋼構造物塗装設計施工指針」に示す見本写真との比較で,部位別の変状レベルを求めることで評価する。この評価では,塗膜劣化の中で光沢や色変化などの評価は低く,塗膜割れ,はがれやさび発生など塗膜の防食性能低下に関連する変化を高く評価する評点付けを採用している。
 【腐食の状態】
 腐食の状態調査では,鋼の腐食が一律に進むことは少なく,部位ごと(上・下フランジ,腹板等)でその進行程度が異なることを考慮して評価しなければならない。
 目視による調査で注目する項目は,
 a) さび,b) 滞水,c) 付着物,d) 堆積物,e) 排水装置からの漏水
 である。
 【耐候性鋼材の保護性さび生成状態】
 耐候性鋼を用いた無塗装橋梁では,表面が保護性のさびで覆われているか否かの判定が必要になる。
 既往の研究では,耐候性鋼材の暴露後 3 年程度で“層状のはく離さび”や“うろこ状のはく離さび”に至る場合は,保護性さびの形成が期待できないことを示している。このため,架設後 3~ 5 年間程度の調査結果が重要となる。
 “層状のはく離さび”発生が認められた場合には,当該環境で保護性さびの形成は期待できないと判定できる。 一方で,架設後 3 年程度ではく離に至っていないが,“うろこ状のさび”が観察された場合などは,将来に保護性さびの形成が期待できるか否かを把握するため,環境や飛来塩分量の調査,原因の特定,さび厚の計測などを行うのがよい。
 目視による主な調査項目は,
a) 層状はく離さび,うろこ状はく離さびの有無
 うろこ状さびが発見された場合には,監視により進行度合いを把握するが,層状はく離さびが発見された場合には早期に補修計画を立てる必要がある。
b) 補修塗装部や部分塗装部のさびの有無
 新設時からの塗装面,補修による塗装面について,さびや塗膜はがれの有無を確認する。
c) 漏水・滞水の有無
 漏水は,桁端部,排水管近傍,床版ドレインパイプ近傍,床版ひび割れ部,高欄付近に着目し,濡れ,及びさびの変色状況を調査する。滞水については,縦断勾配,横断勾配の低い個所,水平上面,格点部等を調査する。
d) 構造・施工上の不備,劣化,損傷の有無
e) 周辺環境における腐食因子の有無
 構造物の周辺環境で,例えば道路等の凍結防止剤飛散などの腐食促進因子発生の有無や状況を調査するなどがある。

 

【全般検査時の健全度判定】

 全般検査は,目視調査を主体とする検査である。目視観察結果から,変状の種類,程度,及び進行性などを総合的に判断し,構造物の健全度を評価しなければならない。
 判断に際して,検査者による評価のばらつきを小さくするため,典型的な変状に対して目安が「維持管理標準」に示されている。
 【各部位の耐荷性や耐疲労性】
 各部位の耐荷性や耐疲労性等に関する標準的な変状腐食,亀裂,破断など)は,構造物の部材・部位別に示された図例と比較して評価できるように工夫されている。
 全般検査結果に基づく健全度判定の基本的な考え方は次の通りである。
  全般検査における健全度の判定は,変状の種類,程度,及び進行性等に関する調査の結果に基づき,総合的に行うものとする。
  安全を脅かす変状等がある場合は健全度 AA と判定し,緊急に使用制限等の措置を行うものとする。
  健全度 A と判定された構造物は,個別検査を実施するものとする。
 【耐荷性や耐疲労性以外の構造物の要求性能】
 ここでは,塗膜の劣化状態,耐候性鋼材のさびの状態について紹介する。
 (塗膜の劣化状態)
 塗膜劣化状態は,「鋼構造物塗装設計施工指針」に示す見本写真との比較で部位別の変状レベルを求める。
 部位別の変状レベルから塗膜劣化度を算出し,補修措置の一つである塗替え塗装の要否と塗装時期を判定する。
 評価に際しては,外観観察に加えて,塗膜付着性試験などを行うことが推奨されている。
 (耐候性鋼材のさびの状態)
 耐候性鋼材を用いた無塗装橋梁の健全度判定の目安は,次表の通りである。


さびの状態と健全度判定の目安
  健全度   外観の状態   さび厚み(μm)
  B   層状はく離のあるさびが発生している。   800 以上
  架設後 3 年程度までに,うろこ状はく離のさびが生じている。   400~ 800
  C   架設後 3 年以降,外観粒径 1~ 25mm程度のうろこ状はく離のあるさびが発生している。   400~ 800
  S   平均外観粒径 1~ 5mm程度のさび。   400 未満

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