防食概論塗装・塗料

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 ここでは,上塗り塗料の品質規格及び塗膜の評価方法について, 【上塗り塗料とは】, 【 JIS K 5516 合成樹脂調合ペイント】, 【 JIS K 5659 鋼構造物用耐候性塗料の品質】, 【 JIS K 5659 形成塗膜の品質試験】 に項目を分けて紹介する。

 塗膜の評価(上塗り塗料)

 上塗り塗料とは

 JIS K5500「塗料用語」

 上塗り塗料(top coat,top coat,finishing coat)
 塗料を塗り重ねて塗装仕上げをするときの,上塗りに用いる塗料。
 備考:1.ISO(International Organization for Standardization;国際標準化機構)用語規格では,“top coat”と“finishing coat”とは同義語で,“塗装系の最終の塗料(coat)”をいう。
 備考:2.CED(Coatings Encyclopedic Dictionary)では,“topcoat”は“通常プライマー,アンダーコート,又は素地に直接塗装される塗装系の最終塗膜に用いる塗料”をいう。
 備考:3.上塗りは,1回又はそれ以上塗られることもある。また,ある種の系では,上塗りが素地に直接 1回又はそれ以上塗装されることもある。【JIS K5500「塗料用語」】
 上塗り(over coating, finishing)
 下地塗膜の上にまたは直接素地に上塗り用の塗料を塗る行為。【JIS K5500「塗料用語」】
 
 一般に,上塗り塗料とは,製品表面に,要求に応じた色・光沢の付与の他に,意匠性付与,導電性,防汚性などの特殊機能(表面特性付与を目的に用いられる。
 防食塗装では,おもにの付与,すなわち美装,及び中塗り塗膜,ひいては下塗り塗膜の保護を目的に塗装される。他の分野の用途では,硬さ,潤滑性,撥水・撥油性,日射反射性など要求に応じた特殊機能の付与を目的とした塗料もある。
 
 上塗り塗料の概要は,【塗料の評価】・「上塗り塗料」で紹介した。
 ここでは,防食塗装の上塗りとして用いられるJIS K 5516 「合成樹脂調合ペイント」上塗り,及び JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」上塗りの品質規格の概要,及び塗膜特性を評価する適用される試験規格を紹介する。それぞれの塗料の品質項目と対応する試験方法の比較は,「品質試験の項目と手順」で紹介する。
 
 【参考】
 上塗り塗膜の品質に関連する用語を紹介する。
 塗膜の外観(appearance of film)
 塗装作業性の試験に合格した試験片と見本品とを比較し,差異の有無を観察する。
 隠ぺい率(contrast ratio)
 塗料が下地の色の差を覆い隠す度合。【JIS K5500「塗料用語」】
 促進黄色度(accelerated yellowness)
 白塗膜及び透明塗膜の時間とともに黄変する傾向を試験するために,塗膜を湿度の高い暗所において黄変を促進させ,色の三刺激値から黄色さを求め,これを促進黄色度の値とする。【JIS K5500「塗料用語」】
 鏡面光沢度(specular gloss, specular reflection)
 面の入射光に対して,等しい角度での反射光,すなわち鏡面反射光の基準面における同じ条件での反射光に対する百分率。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐屈曲性(flexibility)
 乾燥塗膜が塗られている素地の変形に損傷を起こさずに順応する能力。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐衝撃性(impact resistance, shock resistance, chip resistance)
 塗膜が物体の衝撃を受けても破壊されにくい性質。【JIS K5500「塗料用語」】
 層間付着性(interlayer adhesion)
 下塗り塗料と中塗り塗料との付着性(層間付着性Ⅰ),中塗り塗料と上塗り塗料との付着性(層間付着性Ⅱ)をいう。【JIS K5659「 鋼構造物用耐候性塗料」】
 耐塩水性(salt water resistance)
 食塩水の作用に対して変化しにくい塗膜の性質。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐アルカリ性(alkaliproof, alkali resistance)
 アルカリの作用に対して変化しにくい塗膜の性質。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐酸性(acid resistance, fastness to acid, acidproof)
 酸の作用に抵抗して変化しにくい塗膜の性質。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐湿潤冷熱繰り返し性(humidity and cool-heat cycling test)
 塗膜が湿潤又は浸せきの状態を経た後,温度変化を受けた場合の塗膜の変化を調べる試験をいい,試験方法は,JIS K 5600-7-4「耐湿潤冷熱繰返し性」に規定されている。
 促進耐候試験(accelerated weathering test, artificial weathering test)
 塗膜は屋外にさらされると,日光,風雨などの作用を受けて劣化する。この種の劣化の傾向の一部を短時間に試験するために,紫外線又は太陽光に近似の光線などを照射し,水を吹き付けるなどして行う人工的な試験。【JIS K5500「塗料用語」】
 人工光源から発する光と断続的な人工降雨を与える装置を用い,試験片の腐食,さび,劣化などの状態を調べる試験。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 屋外暴露耐候性(outdoor exposure test, natural weathering)
 試験片を,一定期間屋外にさらして,自然環境での腐食,さび,劣化などの状態を調べる試験。大気暴露試験,耐候性試験ともいう。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 耐候性(weathering resistance)
 屋外で,日光,風雨,露霜,寒暖,乾湿などの自然の作用に抵抗して変化しにくい塗膜の性質。【JIS K5500「塗料用語」】

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 合成樹脂調合ペイント

 JIS K 5516 「合成樹脂調合ペイント」は,建築物(鉄部,木部),及び鉄鋼構造物の中塗り,又は上塗りに用いる合成樹脂調合ペイントについて規定している。
 適用範囲
 この規格は,建築物(鉄部,木部),及び鉄鋼構造物の中塗り,又は上塗りに用いる合成樹脂調合ペイントについて規定する。
 参考:合成樹脂調合ペイントは,着色顔料・体質顔料などを,主に長油性フタル酸樹脂ワニスで練り合わせて作った液状・自然乾燥性の塗料である。
 種類
 a) 合成樹脂調合ペイント 1 種 主に,建築物,及び鉄鋼構造物の中塗り,及び上塗りとして,下塗り塗膜の上に数日以内に塗り重ねる場合に用いる。
 b) 合成樹脂調合ペイント 2 種中塗り用 主に,大形鉄鋼構造物の中塗りに用いる。
 c) 合成樹脂調合ペイント 2 種上塗り用 主に,大形鉄鋼構造物の上塗りに用いる。
 【塗膜の品質】
 塗膜形成機能に関連する塗膜の外観,隠ぺい率が規定されている。塗膜の性能や耐久性については,美装性,及び外観性能に関わる促進黄色度,鏡面光沢度,耐久性評価を目的の耐塩水性,促進耐候性,及び屋外暴露耐候性が規定されている。


JIS K 5516「合成樹脂調合ペイント」 1種,及び 2種上塗り用
太字;塗料の品質,青太字:塗膜の品質
  項  目    1 種    2 種 上塗り用 
  容器の中での状態    かき混ぜたとき,堅い塊がなくて一様になる。 
  塗装作業性    はけ塗りで塗装作業に支障があってはならない。 
  乾燥時間(表面乾燥性)    16 時間以内 
  塗膜の外観    塗膜の外観が正常であるものとする。 
  隠ぺい率 %(白及び淡彩(1) )    90 以上 
  促進黄色度(白について)    0.20 以下    ― 
  鏡面光沢度( 60度 )    80 以上 
  重ね塗り適合性    重ね塗りに支障があってはならない。 
  加熱残分 %    65 以上    60 以上 
  耐塩水性    ―    塩化ナトリウム溶液に浸しても,異常がないものとする。 
  促進耐候性    膨れ,割れ及びはがれの等級は 0 であり,色とつやの変化の程度が見本品に比べて大きくないものとする。また,白及び淡彩では,白亜化の等級が 1 以下とする。 
  屋外暴露耐候性    1 種では 1 年間の試験で,2 種では 2 年間の試験で,膨れ,はがれ及び割れがなく,色とつやの変化の程度が見本品に比べて大きくないものとする。また,白及び淡彩では,白亜化の等級が 4 以下とする。 

 形成塗膜の品質試験

 ここでは,合成樹脂調合ペイント 上塗り塗膜品質の試験法を紹介する。塗料品質の試験法については,【塗料の評価】・「合成樹脂調合ペイント・上塗りで紹介する。
 
 7.3 試験の一般条件は,次による。
 試験の一般条件は,JIS K 5600-1-1 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」 ,JIS K 5600-1-6 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」及び JIS K 5601-1-1 「塗料成分試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」によるほか,次による。
 a) 試験の場所
 1) 養生及び試験を行う場所は,他に規定がない場合は,JIS K 5600-1-6 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」の4.1(標準条件)に規定する条件[温度 23±2℃,相対湿度(50±5)%]
 2) 目視観察のときの光源(拡散昼光,色観察ブース)
 b) 試験板の作製
 1) 鋼板: SPCC-SB の鋼板とし,7.5,7.7,7.11及び 7.12の試験では,溶剤洗浄によって調整した鋼板,7.14,7.15及び 7.16の試験では,研磨によって調整した鋼板とする。
 2) ガラス板: 溶剤洗浄によって調整したガラス板(フロート板ガラス又は磨き板ガラス)とする。
 3) アルミニウム板: 溶剤洗浄によって調整したアルミニウム板とする。
 c) 試料の塗り方 はけ塗りとし,1回ごとの塗付け量は,100cm2 当たり 0.50±0.05mL とする。はけの種類は,JIS K 5600-1-5 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第5節:試験板の塗装(はけ塗り)」の 3.1(はけ)又は附属書 A[試験板の塗装(はけ塗り)]による。
 d) 乾燥方法 標準状態で乾燥する。
 
 7.7 塗膜の外観の試験は, JIS K 5600-1-1 の 4.4(塗膜の外観)によるほか,次による。
 a) a) 試験板: 7.3 b) 1)に規定する鋼板とし,寸法は,200mm×100mm×0.8mm とする。
 b) 試験片の作製: 7.3 c)の方法によって,試験板の片面に規定の塗付け量になるように,はけ塗りし,標準状態で 24時間以上 48時間以内で乾燥したものを試験片とする。見本品の試験片も同じ方法で作製する。
  なお,試験片は 7.5の試験が終わった試験片を用いてもよい。ただし,塗り終わってから標準状態で,24時間以上 48時間以内で乾燥したものを試験片とする。見本品の試験片も同時に作製しておく。
 c) 評価及び判定:判定は試験片と見本品試験片とを比べて,塗膜の色及びつやの差異がなく,色むら,つやむら,はけ目,流れ及びしわの程度が大きくないとき,“正常である”とする。
 7.8 隠蔽率試験は,次による。
 a) 試験板JIS K 5600-4-1 「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第1節:隠ぺい力(淡彩色塗料用)」 の 4.1.2[方法 B(隠ぺい率試験紙)]に規定する隠蔽率試験紙を用い,試験紙の大きさは,全寸で 100mm×200mm 以上のものとする。
 b) 試験片の作製: 隠蔽率試験紙を平らなガラス板の上に水平に固定し,隙間 100μmのフィルムアプリケータを用いて,試料をうすめずに塗り付け,塗面を上向きに水平にして,標準状態で 48時間乾燥したものを試験片とする。試験片は,2枚作製する。
 c) 試験方法JIS K 5600-4-1 の 6.の方法 B(隠ぺい率試験紙)による。試験片の白地及び黒地の上の塗膜について,各 4か所以上の三刺激値 Yを測定し,それぞれの平均値 YW(白地上)と YB(黒地上)とを求める。
 d) 計算: 平均値 YWと YBとから,2枚の試験片の隠蔽率 YB/YW を百分率で計算し,その平均値を整数 2桁に丸める。
 7.9 促進黄色度の試験は,次による。
 b) 試験板: 7.3 b) 2) に規定するガラス板とし,寸法は,200mm×150mm×5mm とする。
 c) 試験片の作製: 試料を試験板の片面に隙間 100μm のフィルムアプリケータを用いて,試料をうすめずに塗り付け,水平に置いて標準状態で 48時間乾燥させたものを試験片とする。
 d) 試験方法
 1) :硫酸カリウム飽和溶液を入れたデシケータ中段から上に,塗面を上向きにして試験片を置き,温度 35±1℃で 48時間保持した後,試験片を取り出して一般状態で 1時間放置後,直ちに測色する。
 2) :分光光度計を用いる場合には,JIS K 5600-4-5「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第5節:測色(測定)」の 9.1(分光光度計を用いる方法)又は 9.2(簡易型分光光度計又は三刺激値色彩計を用いる方法)に規定する方法によって塗膜の色の三刺激値を求める。
 e) 計算:促進黄色度は,測色で得られた三刺激値から算出し,小数点以下 2桁に丸める。
 
 7.10 鏡面光沢度の試験は,JIS K5600-4-7「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第7節:鏡面光沢度」による。ただし,試験片は 7.9と同じ方法によって作製し,測定角度は 60度とする。
 7.14 耐塩水性の試験は,JIS K 5600-6-1「塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法)」の箇条 7[方法 1(浸せき法)]によるほか,次による。
 a) 試験板: 7.3 b) 1) に規定する寸法 150mm×70mm×0.8mm 鋼板とする。
 b) 試験片の作製: 試験板 2枚の表面(試験面)に,JIS K 5674「鉛・クロムフリーさび止めペイント」の 1種を塗付け量 100cm2 当たり 0.4±0.05mL で,はけ 1回塗り,24時間乾燥後,その上に 2種中塗り用塗料を 7.3 c) によって 1回塗り,24時間乾燥し,更に 2種上塗り用塗料を 7.3 c) によって 1回塗り重ねる。7日間置いて試験片とする。 なお,乾燥及び養生は,標準状態で行う。
 c) 試験方法: JIS K 5600-6-1 の 7.4[手順 A(単一の液相を使用)]とし,次による。
 3) 48時間浸せきした後,試験片を取り出し,流水で洗い,一般状態で 2時間放置した後,目視によって塗膜を調べる。
 d) 評価及び判定: 試験片 2枚の塗膜に,膨れ,さび,割れ及び剝がれを認めないとき,“異常がない”とする。
 7.15 促進耐候性の試験は,次による。
 a) 試験板: 7.3 b) 1) に規定する寸法 150mm×70mm×0.8mm 鋼板とする。
 b) 試験片の作製: 7.14 と同じ方法によって,試料及び見本品それぞれ 3枚を作製する。ただし,1種の試験片では,中塗り及び上塗りは同一の塗料を用いる。作製した試験片は,1枚を原状試験片とし,残り 2枚を供試試験片とする。
 c) 試験方法JIS K 5600-7-7「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」に規定する装置(方法 1促進耐候性)を用いて,試験片ぬれサイクルのサイクル Aによって,規定の照射時間(240時間)を経過した後,取り出して一般状態で 1時間放置する。
 d) 評価項目及び評価方法: 白亜化の等級は JIS K 5600-8-6「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第6節:白亜化の等級」によって,膨れは JIS K 5600-8-2「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第2節:膨れの等級」によって,剝がれは JIS K 5600-8-5「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第5節:はがれの等級」によって,及び割れは JIS K 5600-8-4「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第4節:割れの等級」によってそれぞれ評価し,同時に試験後の供試試験片及び見本品供試試験片を目視によって直接比較して調べる。
 また,色及びつやの変化の程度は,試験後の供試試験片と原状試験片とについて,及び試験後の見本品供試試験片と見本品原状試験片とについて,それぞれ目視によって観察し,供試試験片及び見本品供試試験片それぞれの試験前後の変化の差を直接比較して調べる。
 e) 判定: d)の評価の結果,膨れ,剝がれ及び割れの等級は 0であり,色及びつやの変化の程度が見本品試験片に比べて大きくなく,また,白及び淡彩色では,白亜化の等級が 1又は 0のとき,“促進耐候性試験に耐える”とする。
 7.16 屋外暴露耐候性の試験は,JIS K 5600-7-6「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第6節:屋外暴露耐候性」によるほか,次による。
 a) 試験板: 7.3 b) 1) に規定する寸法 300mm×150mm×1mm の鋼板とする。
 b) 試験片の作製: 試験片の作製は,次による。
 1) 塗装系
 1.1) 下塗り JIS K 5674「鉛・クロムフリーさび止めペイント」の 1種を塗付け量 100cm2 当たり 0.4±0.05mL で,はけ 1回塗り 24時間乾燥後,同様にはけで 1回塗り重ね,標準状態で24時間乾燥させる。
 1.2) 中塗り 下塗り塗装後,1種及び 2種中塗り用をそれぞれ 7.3 c) の方法によって塗り重ね,標準状態で24時間乾燥させる。
 1.3) 上塗り 中塗り塗装後,1種には更に1種を,2種中塗り用には,2種上塗り用を 7.3 c) の方法によって塗り重ね,一般状態で 7~14日乾燥したものを,試験片とする。
  3) 試験片の数:試料と見本品とについてそれぞれ 4枚とし,4枚のうち 3枚について屋外暴露耐候試験を行い,残りの 1枚は原状試験片とする。
 c) 試験条件及び観察
 1) 試験の開始時期は,4月又は 10月とする。
 2) 試験片の暴露の角度は,水平に対し 30度とする。
 3) 試験の期間は,1種では 12か月及び 2種では 24か月とする。
 4) 試験・観察の時期は,開始後 12か月及び 24か月とする。
 d) 評価項目及び評価方法: 白亜化の等級は JIS K 5600-8-6「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第6節:白亜化の等級」によって,膨れは JIS K 5600-8-2「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第2節:膨れの等級」によって,剝がれは JIS K 5600-8-5「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第5節:はがれの等級」によって,及び割れは JIS K 5600-8-4「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第4節:割れの等級」 によってそれぞれ評価し,同時に屋外暴露耐候試験片と見本品屋外暴露耐候試験片とを目視によって直接比較して調べる。
 また,色及びつやの変化の程度は,屋外暴露耐候試験片と原状試験片とについて,及び見本品屋外暴露耐候試験片と見本品原状試験片とについて,目視によって観察し,それぞれの変化の差を直接比絞して調べる。
 e) 判定: d)の評価の結果,1種では 1年間の試験で,2種では 2年間の試験で,膨れ,剝がれ及び割れがなく,色及びつやの変化の程度が見本品試験片の変化の程度に比べて大きくなく,また,白及び淡彩色では,白亜化の等級が 4,3,2,1又は 0のとき,“1種は 1年間の,2種は 2年間の屋外暴露耐候性試験に耐える”とする。
 f) 試験の実施及び管理JIS K 5600-7-6の附属書 1(耐候試験の実施及び管理)による。

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 鋼構造物用耐候性塗料の品質

 JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」は,鋼構造物美装仕上げ塗りに用いられ耐候性(耐紫外線性)に優れた塗料の性能規定である。
 この規格は,2008年に,それまでの製品規格であった旧JIS K 5657 「鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料」と旧JIS K 5659 「鋼構造物用ふっ素樹脂塗料」を統合し,鋼構造物用の上塗り塗料の性能規格化を図ったものである。
 適用範囲
 この規格は,主に鋼構造物美装仕上げ塗りに用い,長期の耐候性をもつ塗料について規定する。
 種類
   A種a)上塗り塗料c): 1級,2級,3級e)
   A種中塗り塗料d): 等級なし
   B種b)上塗り塗料: 1級,2級,3級
   B種中塗り塗料: 等級なし
 
 a) 溶剤形塗料で,有機溶剤を主要な揮発成分とし,主剤,硬化剤などを混合し反応硬化させて用いる(多液形)塗料。
 b) 水性塗料で,水を主要な揮発成分とし,主剤,硬化剤などを混合し反応硬化させて用いる(多液形)塗料と,1液で反応硬化させて用いる(1液形)塗料とがある。
 c) 上塗り塗料の原料は,ふっ素系樹脂,シリコン系樹脂又はポリウレタン系樹脂とする。
 d) 中塗り塗料は,表 4(塗り重ね塗料の組合せ)の組合せで用いる。
 e) 等級については,促進耐候性及び屋外暴露耐候性の品質によって等級分けし,表 2(品質)による。
 
 JIS K 5659 は,性能規定のため,塗料種を限定する成分規定はない。しかしながら,旧 JIS 規格との整合のためか,目的は不明であるが,JIS K 5659「表1-種類及び等級」には,
 “上塗り塗料原料は,ふっ素系樹脂シリコン(シリコーン)系樹脂,又はポリウレタン系樹脂とする。塗料は,上塗り塗料と中塗り塗料とを組み合わせて用いる。上塗り塗料,及び中塗り塗料のいずれも,主剤と硬化剤を混合し硬化させて用いる。”
 と記述されている。
 
 【塗膜の品質】
 塗膜形成機能として,塗膜の外観,隠ぺい率,鏡面光沢度,層間付着性Ⅱ,耐屈曲性,耐衝撃性(耐おもり落下性)が規定されている。塗膜の性能については,耐アルカリ性,耐酸性,耐湿潤冷熱繰返し性が,塗膜の耐久性については,促進耐候性,屋外暴露耐候性が規定されている。


JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」 上塗り塗料
太字;塗料の品質,青太字:塗膜の品質
  項  目    上塗り 1級    上塗り 2級    上塗り 3級 
  容器の中での状態    かき混ぜたとき,堅い塊がなくて一様になる。 
  低温安定性(-5±2℃)    変質しない。( B種のみ) 
  表面乾燥性    表面乾燥する。(常温 8 時間後,低温 5 ℃ 16 時間後) 
  塗膜の外観    塗膜の外観が正常であるものとする。 
  ポットライフ    規定時間(5 時間)後,使用できる。 
  隠ぺい率    白・淡彩は 90 以上,鮮明な赤,及び黄は 50 以上,その他の色は 80 以上 
  鏡面光沢度(60度)    70 以上 
  耐屈曲性    折曲げに耐える。( 10mmマンドレル) 
  耐おもり落下性(デュポン式)    塗膜に割れ,及びはがれが生じない。(デュポン式 300g,500mm) 
  層間付着性 Ⅱ    異常がない。 
  耐アルカリ性,耐酸性    異常がない。(水酸化カルシウム水,硫酸水) 
  耐湿潤冷熱繰返し性    湿潤冷熱繰返しに耐える。 
  混合塗料中の加熱残分 %    白・淡彩は 50 以上,その他の色は 40 以上 
  促進耐候性    照射時間 2000 時間の促進耐候性試験に耐える。    照射時間 1000 時間の促進耐候性試験に耐える。    照射時間 500 時間の促進耐候性試験に耐える。 
  屋外暴露耐候性(24か月)    光沢保持率が 60 %以上で白亜化の等級が 1 又は 0     光沢保持率が 40 %以上で白亜化の等級が 2,1 又は 0     光沢保持率が 30 %以上で白亜化の等級が 3,2,1 又は 0  

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 JIS K 5659 形成塗膜の品質試験

 ここでは,鋼構造物用耐候性塗料 上塗り形成塗膜の品質に関する試験法を紹介する。
 
 7.3 試験の一般条件は,次による。
 試験の一般条件は,JIS K 5600-1-1 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」 ,JIS K 5600-1-6 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」及び JIS K 5601-1-1 「塗料成分試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」によるほか,次による。
 a) 試験の場所
 1) 養生及び試験を行う場所は,他に規定がない場合は,JIS K 5600-1-6 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」の4.1(標準条件)に規定する条件[温度 23±2℃,相対湿度(50±5)%]
 2) 目視観察のときの光源(拡散昼光,色観察ブース)
 b) 試験板の作製
 1) 試験板: 研磨によって調整した SPCC-SB の鋼板とする。
 2) 試料の調整: 1液形の場合は,かくはん(攪拌)し,均一の液体とする。多液形の場合は,均一にした主剤,硬化剤などを,その製品の製造業者が指定する混合比率で混合し,更にかくはん(攪拌)によって均一にする。多液形塗料は,混合したときから A種は 5時間を過ぎたもの,B種は 3時間を過ぎたものは,試験に用いてはならない。
 3) 試料の塗り方: 2)で調製した試料を使用直前によくかくはん(攪拌)し,直ちに試験板の片面にエアスプレー塗りで 1回塗る。塗付け量は,7日間乾燥後の乾燥膜厚を測定し,中塗りのときは 25μm~35μm,上塗りのときは 20μm~30μm になるようにする。
 4) 乾燥方法: 自然乾燥による。試験までの乾燥時間は,7日間とする。
 
 7.7 塗膜の外観の試験は,次による。
 a) 試験板: A種に用いる試験板は,7.3 b) 1)による。大きさは,200mm×100mm×0.8mm とする。B種に用いる試験板は,溶剤洗浄によって調整した大きさ 200mm×100mm×2mm の板ガラスとする。
 b) 試験片の作製: 試験板に,A種及び B種の中塗り塗料及び上塗り塗料を7.3 b) 3)の方法によって,それぞれ塗り付けて,48時間塗面を水平に置いたものを試験片とする。
 c) 試験方法 JIS K 5600-1-1 の 4.4(塗膜の外観)による。
 c) 評価及び判定:試験片を目視による観察によって評価し,割れ,剝がれ及び膨れを認めず,色,つや,平らさ,流れ,つぶ,むら及び穴の程度が見本品に比べて差異が大きくないとき,“正常である”とする。
 7.9 隠蔽率(いんぺいりつ)試験は,次による。
 a) 試験片の作製JIS K 5600-4-1 「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第1節:隠ぺい力(淡彩色塗料用)」 の 4.1.2[方法 B(隠ぺい率試験紙)]に規定する隠蔽率試験紙を置くことのできる平らなガラス板の上に水平に固定し,隙間 150μmのフィルムアプリケータを用いて,上塗り塗料及び中塗り塗料をそれぞれ塗り付け,72時間塗面を水平に置いたものを試験片とする。試験片は 2枚作製する。
 b) 試験方法JIS K 5600-4-1 の 6.4.2[方法B(隠ぺい率試験紙)]による。試験片の白地部分及び黒地部分の塗膜の各 4か所について,JIS Z8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」によって三刺激値 Yを測定し,それぞれの平均値 YW(白地上)と YB(黒地上)とを求める。
 c) 評価及び判定: 4か所の平均値 YW及び YBから,2枚の試験片の隠蔽率 YB/YW を百分率で計算後,2舞の平均値を産出し,整数 2桁に丸めた数字を隠蔽率とする。隠蔽率は,白・淡彩色は 90%以上,鮮明な赤及び黄色は 50%以上,その他の色は 80%以上とする。
 7.10 鏡面光沢度(60度)の試験は,次による。
 a) 試験板: 溶剤洗浄によって調整した,大きさ 200mm×100mm×2mm のガラス板とする。
 b) 試験片の作製: 試験板に 7.6 b)と同様に隙間 150μmのフィルムアプリケータによって塗り付け,標準状態で72時間塗面を水平に置いたものを試験片とする。
 c) 試験方法JIS K 5600-4-7「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第7節:鏡面光沢度」によって,幾何条件 60°の反射率計を用いて鏡面光沢度を測定する。
 d) 評価及び判定: 評価は,JIS K 5600-4-7 による測定の平均値を評価する。判定は,70以上とする。
 
 7.12 耐屈曲性の試験は,次による。
 a) 試験板: 7.3 b) 1) による。ただし,大きさは 150mm×50mm×0.3mm の鋼板とし,3枚とする。
 b) 試験片の作製: A種上塗り塗料は,7.3 b) 3) の方法で塗装したものを試験片とする。B種上塗り塗料は,B種中塗り塗料を 7.3 b) 3) の方法で塗装し,標準状態で1日放置後,上塗り塗料を 7.3 b) 3) の方法で塗装したものを試験片とする。
 c) 試験方法: JIS K 5600-5-1による。試験装置は, JIS K 5600-5-1 「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法)」による。タイプ 1の試験装置を用い,試験片を直径 10mmのマンドレルの周りに沿って折り曲げ,塗膜の割れ及び素地からの剝がれを目視によって調べる。
 d) 評価及び判定:試験片 3枚について,目視によって評価し,塗膜に割れ及び剝がれを認めないときは,“折曲げに耐える”とする
 7.13 耐おもり落下性の試験は,次による。
 a) 試験板: 7.3 b) 1) による。ただし,大きさは 150mm×70mm×0.8mmとし,2枚とする。
 b) 試験片の作製: A種上塗り塗料は,7.3 b) 3) の方法で塗装したものを試験片とする。B種上塗り塗料は,B種中塗り塗料を 7.3 b) 3) の方法で塗装し,標準状態で1日放置後,上塗り塗料を 7.3 b) 3) の方法で塗装したものを試験片とする。
 c) 試験方法 JIS K 5600-5-3 「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第3節:耐おもり落下性」の 6.(デュポン式)による。ただし,おもりの質量は,300g±1g とし,おもりを落とす高さは,500mm とする。
 d) 評価及び判定:試験片 2枚について,目視によって塗膜を観察し評価する。試験片 2枚に衝撃的変形による塗膜の割れ及び剝がれを認めないときは,“塗膜に割れ及び剝がれが生じない”とする。
 7.14 層間付着性 Ⅱ(中塗り塗料と上塗り塗料との間)の試験は,次による。
 a) 試験板: 7.3 b) 1) の大きさ 150mm×70mm×0.8mm の鋼板 2枚とする。
 b) 試験片の作製: 試験板の両面に JIS K 5551 「構造物用さび止めペイント」に規定するさび止めペイントを下塗り塗料として,乾燥膜厚が 55μm~65μm になるように吹付け塗りで 1買い塗り,室内に 1日放置した後,中塗り塗料を 7.3 b) 3) によって 1回塗りし,室内に 1日放置する,JIS K 5600-7-7「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 7 節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」に規定する条件(方法1),及び表3(試験片ぬれサイクル)のサイクル Aによって 20時間照射した後,取り出して 24時間放置する。次に,上塗り塗料を 7.3 b) 3) によって 1回塗り,室内に 7日間置いたものを試験片とする。
 c) 試験方法
 1) 試験片を,JIS K 5600-7-2 「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 2 節:耐湿性(連続結露法)」の 5.(回転式)に規定する 50±1 ℃,相対湿度 95 %以上に保った耐湿試験機につり下げる。
 2) 24時間後取り出して,直ちにろ紙を軽く当てて塗面の水分を取り除き,2時間おく。
 3) JIS K 5600-5-6 「塗料一般試験方法−第 5 部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に規定するカッタナイフの刃先で,試験片の中央部に試験片の短辺と平行に,15mmの間隔で長さ約 40mm の切り傷 2本を,試験片の生地に達するように付ける。
 4) 切りきずの幅のほぼ中央に,2本の切りきずを横切って直角にセロハン粘着テープ(24mm)を 2 本の切りきずの外側が約 10mmはみ出してはり付ける。
 5) セロハン粘着テーブの表面をプラスチック字消しで強くこすり付け,塗面にテープを完全に付着する。
 6) 1~2 分後に,テープの折返し部を塗面に直角に,素早く引きはがした後,塗面を調べる。
 d) 評価及び判定
 試験片 2枚について,塗面を目視によって観察し評価する。中塗り塗膜と上塗り塗膜との層間にはがれがないか,又はあっても切りきずから直角な方向に長さ約 2mm以下のときは,“異常がない”とする。
 7.16 耐アルカリ性の試験は,次による。
 a) 試験板: 7.3 b) 1)による。ただし,大きさは 150mm×70mm×0.8mmとし,3枚とする。
 b) 試験片の作製:試験板の片面に JIS K 5551 「構造物用さび止めペイント」に規定するさび止めペイントを下塗り塗料として,乾燥膜厚が 55μm~65μm になるように吹付け塗りで 1回塗装し,室内に 1日放置後,中塗り塗料を 7.3 b) 3) の方法で 1回塗り,更に1日放置後,上塗り塗料を7.3 b) 3)の方法で 1回塗り重ねる。室内に 7日間置いたものを試験片とする。
 c) 試験方法
 1) 試験液 水酸化カルシウムを脱イオン水で調製した飽和溶液を用いる。
 2) 浸せき(漬)方法 JIS K 5600-6-1 「塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法)」の 7.4[手順A(単一の液相を使用)]による。ただし,試験片 2枚を 23±1℃の試験液に 168時間完全に浸せきする。
 3) 観察方法 水で塗膜表面を軽く洗い流し,2時間放置後,目視によって塗膜を観察する。
 d) 評価及び判定: 試験片 2枚について,塗膜に膨れ,割れ,剝がれ及び穴を認めず,色の変化の程度が原状試験片と比べ大きくないときは,“異常がない”とする。
 7.17 耐酸性の試験は,次による。
 a) 試験片の作製:試験片の作製は,7.16の a)及び b)による。
 b) 試験方法
 1) 試験液 硫酸を脱イオン水で,5g/L に調製したものを用いる。
 2) 浸せき(漬)方法 7.16の c) 2) による。
 3) 観察方法 7.16の c) 3) による。
 c) 評価及び判定: 試験片 2枚について,塗膜に膨れ,割れ,剝がれ及び穴を認めず,色の変化の程度が原状試験片と比べ大きくないときは,“異常がない”とする。
 7.18 耐湿潤冷熱繰返し性の試験は,次による。
 a) 試験片の作製:試験片の作製は,7.16の a)及び b)による。
 b) 試験方法
 1) 試験片 2枚を 23±1℃の水中に 18時間浸した後,直ちに −20±3℃に保った恒温槽で 3時間冷却し,次に,50±3℃に保った別の恒温槽で 3時間加温する。この操作を 10回繰り返す。なお,繰返し操作の途中で試験を中断する場合は,50±3℃で 3時間加温した後とし,試験期間は 4週間を超えてはならない。
 2) 標準状態に約1時間置いた試験片を,原状試験片とともに鏡面光沢度(60度)を測定し,光沢保持率を算出する。
 c) 評価及び判定: 試験片 2枚について,目視によって観察し,塗膜に膨れ,割れ及び剝がれを認めず,光沢保持率が 80%以上あるときは,“湿潤冷熱繰返しに耐える”とする。
 7.20 促進耐候性の試験は,次による。
 a) 試験板: 7.3 b) 1) に規定する寸法 150mm×70mm×0.8mm 鋼板とする。
 b) 試験片の作製: 7.16 b) と同じ方法によって,試料及び見本品それぞれ 2枚を作製する。作製した試験片は,1枚を原状試験片とし,残り 1枚を供試試験片とする。
 c) 試験方法JIS K 5600-7-7「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」による。
 1) 照射時間は,次のいずれかによる。
  1.1) 7.21の試験結果が得られるに行う場合には,1級では 2 000時間,2級では 1 000時間,3級では 500時間とする。
  1.2) 7.21の試験結果が得られたに行う場合には,1級では 500時間,2級及び 3級では 300時間とする。
 2) 試験条件は, JIS K 5600-7-7の方法1,及び試験片ぬれサイクル Aによる。規定の照射時間を経過した後,取り出して室内に 1時間放置する。
 d) 評価:割れ,剝がれ及び膨れの有無,色の変化の程度を目視によって比較する。鏡面光沢度の測定を 7.10 c) によって行い,光沢保持率を求める。白亜化の等級を,JIS K 5600-8-6「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第6節:白亜化の等級」によって評価する。
 7.21 屋外暴露耐候性の試験は,附属書 Bによる。
 
 附属書 B(規定) 屋外暴露耐候性
 試験板: 7.3 b) 1) に規定する寸法 300mm×150mm×1mm の研磨によって調整した鋼板 6枚とする。試験板6枚のうち 3枚を試料用,残りの 3枚を見本品用とする。
 試験片の作製:試験板の片面に JIS K 5551 「構造物用さび止めペイント」に規定するさび止めペイント B種,C種及び E種のいずれかを,乾燥膜厚が 55μm~65μm になるように吹付け塗りで 1回塗装し,室内に 1日放置後,中塗り塗料を 7.3 b) 3) の方法で,乾燥膜厚が 55μm~65μm になるように吹付け塗り 1回,更に1日放置後,上塗り塗料を7.3 b) 3)の方法で,乾燥膜厚が 20μm~30μm になるように 1回塗り重ねる。室内に 7日間置いたものを試験片とする。試料及び見本品とも 3枚のうち 2枚を屋外暴露耐候試験に用い,残りの 1枚は原状試験片とする。
 試験方法: 屋外暴露耐候性の試験は,JIS K 5600-7-6「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第6節:屋外暴露耐候性」による。試験の期間は,24か月とする。試験の開始時期は,4月又は 10月とする。
 評価:白亜化の等級は JIS K 5600-8-6「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第6節:白亜化の等級」によって,膨れは JIS K 5600-8-2「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第2節:膨れの等級」によって,剝がれは JIS K 5600-8-5「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第5節:はがれの等級」によって,及び割れは JIS K 5600-8-4「塗料一般試験方法−第8部:塗膜劣化の評価−第4節:割れの等級」 によって評価する。
 また,色及びつやの変化の程度は,屋外暴露耐候試験片と原状試験片とについて,及び見本品屋外暴露耐候試験片と見本品原状試験片とについて,目視によって観察し,それぞれの変化の差を直接比絞して調べる。光沢保持率は,屋外暴露耐候性試験片及び原状試験片について,鏡面光沢度を 7.10 c) によって測定し,光沢保持率を算出する。
 判定:判定は,試験開始後 24か月たったときの評価によって,塗膜に,膨れ,剝がれ及び割れがなく,色の変化の程度は,見本品と比べて大きくなく,かつ,各等級によって白亜化の等級及び光沢保持率が,品質表に示した各等級の条件を満たしたとき“屋外暴露耐候性に耐える”とする。
 記録の保存期間:記録する項目は,受渡当事者間の協定とし,記録の保存期間は,5年間とする。

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