防食概論:塗料・塗装

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         塗装の施工管理とは

 一般的には,塗料開発の段階において,実施工を想定した条件を考慮し,試験室で性能試験が実施される。この試験で得られた塗膜性能を実施工の塗膜が発揮するためには,性能試験で想定した条件を満たす施工が実施されなければならない。
 
 試験室での試験片作製では,温・湿度の変動が少ない室内で,適切に脱脂した清浄な鋼板に,適切に準備した塗料を規定量塗り付け,塗膜が硬化乾燥状態になるまで,室内で養生される。
 実施工でも試験片作製時と同じ環境条件の確保が理想である。しかし,鋼構造物塗装は,新設時であっても屋外塗装となることが多い。
 従って,可能な限り適切な施工ができるよう,塗膜性能に影響する諸要因の調査と管理が必要になる。
 塗膜性能に影響する施工工程ごとの要因を次に紹介する。
 
 【素地調整】
 作業前
 さび度(rust grade),塗替え塗装では塗膜劣化状態
 素地調整作業中
 作業時の気象条件(天候,気温,湿度)
 素地品質
 素地の表面粗さ(surface roughness),清浄度(cleanliness)
 作業後
 第 1層目塗装までの経過時間,気象条件(温度,湿度)

 【塗装】
 作業前
 使用塗料の状態
 規定品質との適合性,製造後の保管状態と保管期間
 塗装下地
 乾燥状態,被塗面の汚染状態(付着塩分,油分など)
 塗料調合作業
 調合(mixing)時の混合比,溶剤希釈率,塗料温度,塗料粘度
 塗料の可使時間
 塗料混合後から塗り付けるまでの経過時間(可使時間(pot life)未満)。
 塗り付け作業
 被塗面の表面温度,気象条件(天候,気温,湿度,風向・風速),塗装器具の適不適,作業者の技能,塗付量(ウェット膜厚;wet-film thickness)
 塗膜品質
 塗膜の乾燥膜厚(dry-film thickness),塗膜変状の評価と措置
 塗装作業完了後
 塗膜損傷(足場撤去時の傷,チェーンクランク取り付け跡)の補修
 
 【参考】
 さび度(rust grade)
 清浄作業前の鋼材表面に形成されているさびの程度を説明する分類。さびの程度は,5段階に分けた写真によって評価する(JIS K 5600-8-3「塗料一般試験方法− 第8部:塗膜劣化の評価− 第3節:さびの等級」,JIS Z 0310「素地調整用ブラスト処理方法通則」参照)。【JIS K5500「塗料用語」】
 鋼材表面を処理する前のミルスケールの付着程度又はさびの発生程度。【 JIS Z 0310「素地調整用ブラスト処理方法通則」】
 鋼橋用鋼板表面の清浄度は,ミルスケール付着程度又はさびの発生程度を示す「さび度」と除去程度を示す「除せい度」を組み合わせた等級で表される。
 清浄度(cleanliness, preparation grade)
 鋼材表面を処理した後の,被覆の付着を阻害するミルスケール及びさび,塩類,油分などの汚れの除去程度。【 JIS Z 0310「素地調整用ブラスト処理方法通則」】
 ある(素地調整)方法によって得られる清浄仕上げの品質水準を説明する分類(JIS Z 0310「素地調整用ブラスト処理方法通則」,ISO 8501/1参照)。【JIS K5500「塗料用語」】
 表面粗さ(surface roughness, surface profile)
 金属表面などの表面性状を表すパラメータ。
 JIS B 0601「製品の幾何特性仕様 (GPS) -表面性状:輪郭曲線方式-用語,定義及び表面性状パラメータ」に規定されている。
 素地調整では,十点平均粗さ(ten point height of irregularities)で規定されることが多い。一方,JIS B 0601は過去の改訂で,パラメータの定義が変更され,それに伴い記号も変更されているので注意が必要である。
 以下に示すように,2001年の JIS改訂でそれまで十点平均粗さを示す記号Rzは最大高さの記号になり,十点平均粗さの概念が削除された。このため,それまでの十点平均粗さ意味する記号として,RZJISの表記が用いられている。
 2001年以前の文献と現在の文献を引用する場合は記号の意味が異なるので注意が必要である。2001年の記号と1994年の記号からの変更は次の通りである。
 Ra(算術平均粗さ)⇒Ra(算術平均粗さ) ,Ry(最大高さ)⇒Rz(最大高さ) ,Rz(十点平均粗さ)⇒(削除) ,Sm(凹凸の平均間隔)⇒Rsm(輪郭曲線要素の平均長さ) ,S(局部山頂の平均間隔)⇒(削除) ,tp(負荷長さ率)⇒Rmr(負荷長さ)
 ポットライフ(pot life)
 幾つかの成分に分けて供給される塗料を混合した後,使用できる最長の時間。【JIS K5500「塗料用語」】
 ウェット膜厚(wet-film thickness)
 ぬれ膜厚(wet-film thickness)ともいい,塗装直後の未乾燥状態での膜厚で,JIS K5600-1-7「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」当該規格には,機械式測定法(mechanical methods)と重量法(gravimetric method)が規定されている。
 機械式測定法には,“くし形ゲージ”(comb gauge),“ロータリー形ゲージ”(wheel gauge)がある。
 最も広く用いられる“くし形ゲージ”(comb gauge)は,板の両端の一対の歯の内側に隙間の異なる歯列があり,塗料によってぬれる歯の最も大きいギャップの読みから塗料の厚みが求められる。
 乾燥膜厚(dry-film thickness)
 塗料乾燥後の膜厚で,JIS K5600-1-7「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」には,乾燥膜厚の測定に使用する機械式測定法(mechanical methods),重量法(gravimetric method),光学的方法(optical methods),磁気法(magnetic methods),放射線法(radiological method)及び音響法(acoustic method)が規定されている。一般的には,磁気法と光学的方法が用いられている。
 磁気法には,永久磁石と強磁性の素地との間の磁気吸引力を測定する磁気プルオフ膜厚計(magnetic pull-off gauge),強磁性の素地に電磁石が接近するときに磁場中で起こる電磁誘導による磁気誘導膜厚計(megnetic-induction gauge),導電性素地中の高周波渦電流によって生じた磁場の変化かラ求める渦電流膜厚計(eddy-current gauge)がある。
 光学的方法には,塗膜断面を成形し拡大観察する断面法(cross-sectioning),一定角度で斜めに切削した塗膜の幅を計測して三角関数を用いて深さを求めるくさび形切削法(wedge cut)がある。

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