防食概論塗装・塗料

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 塗膜の評価(塗膜劣化評価; JIS評価の一般原則)

 塗膜劣化の評価一般原則

 塗膜劣化評価で採用される塗膜欠陥の分類,塗膜欠陥の等級分類の考え方と等級について,原則を規定する JIS 規格を紹介する。

 JIS K 5600-8-1 「塗料一般試験方法−第 8部:塗膜劣化の評価−欠陥の量,大きさ及び外観の変化に関する表示− 第 1節:一般的な原則と等級」(Testing methods for paints−Part 8 : Evaluation of degradation of paint coatings −Designation of quantity and size of defects, and of intensity of uniform changes in appearance -Section 1 : General principles and rating schemes)
 序文(抜粋)
 1999年版:この規格は,1982年に第 2版として発行された ISO 4628-1 を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。この規格は,塗料,及び関連製品の試料採取,及び試験に関する一連の規格の中の一つである。
 JIS K 5600-8-2 ~ JIS K 5600-8-6 は,特定の種類の欠陥の等級付けのための補助的な基準図版,又はその他の参照尺度を規定している。
 この規格は,塗膜の一般的な種類の欠陥を規定するとともに,特に老化,及び風化に起因する欠陥における欠陥の表示に関するシステムを概説している。
 2014年版:この規格は,2003年に第 3版として発行された ISO 4628-1 を基に,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
 
 適用範囲(抜粋)
 1999年版:この規格は,塗膜の一般的な種類の欠陥の程度,量及び大きさを表示するための全般的なシステムを確立するとともに,欠陥の程度,量及び大きさの表示に関するシステムの基本的な原則の概説を示したものである。
 2014年版:この規格は,塗膜欠陥の量,大きさ及び均一な外観の変化の程度を表示するシステム並びに JIS K 5600-8 を通じて用いるシステムの一般原則について規定する。
 注記 1 :このシステムは,特に老化及び風化に起因する欠陥及び均一な色変化(例えば,黄変)を評価することを目的としている。JIS K 5600-8 の他の節は,基準図版又は特定の種類の欠陥を評価する方法について規定している。このシステムは,できる限り,既に存在する評価方法と対応を図っている。
 
 表示システムの一般原則(2014年版,抜粋)
 表示システムは,塗膜欠陥の量,大きさ及び変化の程度を,0から 5までの数値で表す。0は欠陥,変化などがないことを示し, 5は非常に著しい欠陥,変化などがあることを示す。
 また,0~5の間を最適に区分するように 1,2,3 及び 4等級に細分する。等級に加えて,評価対象の面積又は全体に占める割合を百分率で表示する。
 注記 1 試験部全体に散在している小欠陥の量は,格子法によって評価する方法がある。
 注記 2 JIS K 5600-8 規格群で規定する等級は,ほかの規格で用いている等級と異なることがある。 例えば,JIS K 5600-8-2 によるさびの等級の場合,ASTM D 610(Standard Practice for Evaluating Degree of Rusting on Painted Steel Surfaces)でのさび等級の評価は 10~1で,10は変化がなく,1が大の変化であることを示す。
 
 欠陥の量,大きさ及び変化の程度の評価(2014年版,抜粋)
 塗膜変化の程度の表示
 塗膜の色相変化(例えば,黄変)及び白亜化のような,塗膜面が一様に変化するものの程度の表示。ほかに受渡当事者間の協定がなければ,等級は整数で示す。
  0: 無変化(すなわち,認められるような変化がない。)
  1: 極めてわずか(すなわち,かろうじて認められる程度の変化。)
  2: 僅か(すなわち,明らかに認められる変化。)
  3: 中程度(すなわち,非常にはっきりと認められる変化。)
  4: 重大(すなわち,相当な変化。)
  5: 非常に激しい変化。
 欠陥の量の表示
 ほぼ同じようなパターンで試験面に散在している欠陥(塗膜の連続性を損なう欠陥)の量の表示。ただし,受渡当事者間の協定があれば,等級は整数でなくてもよい。
  0: なし(すなわち,判別できるような欠陥がない。)
  1: 極めてわずか,すなわち,かろうじて判別できる程度の変化。)
  2: 僅か(すなわち,小さいか判別できる量の欠陥。)
  3: 中程度の量の欠陥。
  4: 相当なの欠陥。
  5: 著しいの欠陥。
 欠陥の大きさの表示
  欠陥の平均的な大きさがどの程度のものかを具体的に示す必要があるときは,次による。
  0: 10倍に拡大しても視認できない。
  1: 10倍に拡大してようやく視認できる。
  2: 正常に補正された視力でやっと視認できる。
  3: 正常に補正された視力ではっきり視認できる( 0.5mm以下)。
  4: 0.5~5mm
  5: 5mm以上
 注:次の記述に該当しなければ,この表の表示を用いる。
 色々な大きさの欠陥が試験面にある場合,その試験面を量的に代表するも大きな欠陥を,評価の等級としなければならない。その場合の欠陥表示は,Sn を用いて報告する。ここで,Sは大きさを意味し,nは等級を示す。例えば,正常に補正された視力でようやく視認できる欠陥は S2と表示する。
 
 等級表示の他の節との関係(2014年版,抜粋,要約)
  膨れの等級:欠陥の大きさで評価
  さびの等級:欠陥の大きさ(さびの等級及び面積)で評価
  割れの等級:欠陥の大きさ(割れの大きさ)で評価
  はがれ:欠陥の(はがれの量)大きさ(はがれによって露出したほぼ平均の大きさ)で評価
  白亜化変化の程度(判定標準写真(1~5)との比較)で評価
 
 表示の例(2014年版,要約)
 膨れ:2(S2) 膨れの量が等級で 2,量的に代表する膨れの大きさが等級 2であることを示す。
 さび;Ri 3(S4) さびの面積が等級で Ri 3(面積で 1%)を表し,量的に代表するも大きなさび膨れの大きさが,膨れの等級 4(0.5~5 mm)であることを表す。
 剝がれ:3(S2) 剥がれの量が等級で 3,量的に代表する剥がれの大きさが等級 2であることを示す。
 白亜化:4  標準写真との比較で白亜化の等級 4であることをしめす。
 なお,評価対象のおよその面積又は全体の面積のうち,評価した面積の割合(百分率)を付記する。必要があれば,試験結果に端部に限定,上塗から中塗に達する膨れなどのように補足してもよい。

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