JIS K 5600_3_3 塗料一般試験方法‐第3部‐第3節:硬化乾燥性

 JIS K 5600-3-3 1999年版 塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第3節:硬化乾燥性 (Testing methods for paints−Part 3 : Film formability−Section 3 : Through-dry)について  【序文・目次・適用範囲・用語】,   【原理・試料採取・試験板】,   【手順】 に分けて紹介する。

 序文・目次・適用範囲・用語

 序文
 この規格は,1990年に第 1版として発行された ISO 9117, Paints and varnishes−Determination of through-dry state and through-dry time−Method of test を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
 
 JIS規格の目次(ここでは青字の項目を説明)
 序文,1 適用範囲,2 引用規格,3 定義,4 必要な捕捉情報,5 原理,6 器具類及び材料(6.1 基盤及びプランジャー部,6.2 平らなゴム円盤,6.3 ガーゼ,6.4 おもり,6.5 ストップウォッチ),7 試料採取方法,8 試験板(8.1 素地,8.2 塗装前の処理),9 手順(9.1 器具の調整,9.2 試験片の乾燥,9.3 硬化乾燥状態の判定,9.4 硬化乾燥時間の測定,9.5 膜厚),10. 試験報告
 附属書A(規定) 必要な捕捉情報
 
 1 適用範囲
 標準状態の下で,塗料又は関連製品の単一塗膜系,又は多層膜系が,規定された乾燥時間経過後に,硬化乾燥状態に達しているかどうかの判定を行う試験方法,すなわち,合否判定試験方法について規定する。
 また,この試験手順は,その状態に達するまでに要する時間の測定にも使用できる。
 
 3 定義
 3.1 硬化乾燥状態(through-dry state)
 塗膜の表面は乾燥しているが,塗膜の大部分は,まだ柔らかいといった状態ではなく,塗膜の厚さ全体にわたって乾燥している状態。
 この規格では,塗料,ワニス,又は関連製品の単一塗膜系,又は多層塗膜系が,規定された荷重,ねじれ,及び時間の下で,規定されたガーゼが塗膜に跡を残したり,損傷させたりしない場合を硬化乾燥状態であるとする。
 
 3.2 硬化乾燥時間 (through-dry time)
 調整された試験板に塗料が塗られてから,規定された試験手順によって,硬化乾燥の状態に達したと判断されるまでの時間。

 ページのトップ

 原理・試料採取・試験板

 5 原理
 協定された膜厚で塗料を素地に塗装し,規定の条件の下で静置乾燥する。
 表面の規定された部分に,負荷を掛け,負荷を掛けたままで 90°回転させた後,塗膜の表面を観察し,塗膜全体の乾燥の完了を判断する。
 
 7 試料採取方法
 JIS K 5600-1-2 「塗料一般試験方法‐第1部:通則‐第2節:サンプリング」の規定に従って試験対象製品(又は多層膜系の場合は各製品ごと)の代表試料を採取する。
 誘料は JIS K 5600-1-3「塗料一般試験方法‐第1部:通則‐第3節:試験用試料の検分及び調整」の規定によって,試験用試料を検分,調整する。
 
 8 試験板
 8.1 素地
 素地としてJIS K 5600-1-4「塗料一般試験方法‐第1部:通則‐第4節:試験用標準試験板」に規定する試験板の中から 1枚を選ぶ。また可能であれば,塗装しようとしているものと同等なもの。
 
 8.2 塗装前の処理
  JIS K 5600-1-4に規定する各試験板を調整し,規定された方法によって試験対象の製品又は塗膜系を,規定する乾燥膜厚になるように塗装する。

 ページのトップ

 9 手順

 9.1 器具の調整
 暴露表面に,しわのないことを確認,注意しながらガーゼをプランジャーヘッド下部のゴム円盤に取り付ける。試験ごとに新しいガーゼを使用する。
 
 9.2 試験片の乾燥
 各試験片は 23±2℃,相対湿度50±5 %の場所で,風,直射日光を避けて,自然な気流中に垂直に立てて乾燥する。
 焼付け塗料については,規定された条件によって焼付け及びエージングを行う。
 
 9.3 硬化乾燥状態の判定
  ・規定された乾燥時間が経過したら,試験片を基盤の上に置く。
  ・総質量 1500±10g のおもりをプランジャーの上に載せる。
  ・試験片にガーゼが接触するように,静かにプランジャーを下ろす。
  ・ストップウォッチをスタートさせ,プランジャーをそのままの位置で 10±1秒置く。
  ・この時間の終わりに,プランジャーヘッドを 2±0.5秒かけて90°回転させる。
  ・直ちにプランジャーを上げ,試験片を取り外し,
   試験した部分の塗膜を裸眼で,もし必要があれば視力を修正して判定する。
 
 塗装された 2枚の追加の試験片について試験を繰り返す。
 3枚の試験片の表面いずれにも,きず,又は跡が見られなければ,結果を“硬化乾燥状態に達している”と報告する。
 3枚の試験片の表面の中の,1枚かそれ以上の試験片にきず,又は跡が見られたならば,結果を“硬化乾燥状態に達していない”と報告する。 塗膜層内の付着性(この試験対象の欠陥)及び塗膜と素地間の付着性の欠陥(この試験の対象でない欠陥)を混同しないように注意する。
 
 9.4 硬化乾燥時間の測定
  ・規定された乾燥時間に近付いたら,試験片を基盤の上に置く。
  ・適切な間隔ごとに,前出の方法によって試験を行う。
  ・きず,又は跡について塗膜の試験部分を調べる。
  ・塗膜にきずが付かなくなったら,試験を止める。
 塗装された 2枚の追加の試験片について試験を繰り返す。
 3回の試験の中で最も長い時間を,塗膜が硬化乾燥状態に達した時間として報告する。
 
 9.5 膜厚
 塗装された試験片のまだ試験に使われていない部分を使用して,JIS K 5600-1-7「塗料一般試験方法‐第1部:通則‐第7節:膜厚」に規定する手順の中の一つによって,硬化乾燥状態の膜厚をマイクロメートル単位で測定する。

 ページのトップ