防食概論:塗料・塗装

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         耐衝撃性

 JIS K 5500 「塗料用語」では,耐衝撃性(impact resistance, shock resistance, chip resistance)とは“塗膜が物体の衝撃を受けても破壊されにくい性質”と定義している。
 
 ここでは,塗膜の耐衝撃性評価に広く用いられている耐おもり落下性を紹介する。耐おもり落下性は,比較的狭い範囲に,おもりの落下時の瞬間的な衝撃(急激な変形)を与え,塗膜に生じた割れはがれの程度を評価する試験である。
 
 耐衝撃性を評価する試験規格には,JIS K 5600-5-3 :1999 「塗料一般試験方法−第 5 部:塗膜の機械的性質−第 3 節:耐おもり落下性(Testing methods for paints−Part 5 : Mechanical property of filmSectitn 3 : Falling-weight test」がある。
 耐衝撃性試験では,1/100 ~ 1/10000 秒程度の短時間の衝撃的な荷重への耐性を評価している。すなわち,引張速度がきわめて大きい引張試験での応力―ひずみ曲線の面積(破断エネルギー)と対応して考えるのが妥当である。
 
 一般的に,塗膜のガラス転移温度(Tg)が雰囲気温度より高い場合は,剛性の高いガラス状態で,応力緩和に時間を要するため,柔軟性に乏しく,耐衝撃性が悪い場合が多い。逆の場合は,剛性の低いゴム状態のため,耐衝撃性が良い場合が多い。
 ガラス転移温度とは,非晶質の固体(有機高分子材料など)が,剛性が高いガラス状態から剛性の低いゴム状態に急激に変化する温度(狭い温度範囲を持つ)をいう。
 
 この種の性質に関し,自動車塗装の分野では,より実用性を考慮し,一定サイズの砕石を吹き当てる試験を行い,耐チッピング性と呼んでいる。
 なお,試験結果は,塗膜の破壊エネルギーやTgに加えて,下地の物性,下地との付着性の影響を受けるので,これらを考慮して評価する必要がある。

 

【JIS製品規格での扱い例】

 JIS K 5551 「構造物用さび止めペイント」,及び JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」に“耐衝撃性(デュポン式)が規定されている。
 耐衝撃性(デュポン式)の概要は,「塗料の評価」の“耐衝撃性に紹介した。

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