防食概論:塗料・塗装

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         環境規制

 環境規制には,オゾン層破壊防止,地球温暖化防止,海洋汚染防止,大気汚染防止,水質汚染防止,公害防止など,地球規模の問題から局地的な問題まで様々な問題に対処するため,多くの規制がある。
 ここでは,塗料製造や塗装に大きく関連する大気汚染防止法PRTR について,その概要を紹介する。
 
 【大気汚染防止法改正】
 公害に対応するため,ばい煙規制法に自動車排ガス規制を加えた「大気汚染防止法」が 1968年に制定された。その後,1970年の大改正を経て,工場からのばい煙や自動車排ガスによる大気汚染が改善されてきた。ばい煙等による大気汚染が改善されることにより,それまで顕在化していなかった他の要因による環境汚染が問題となり,それに対応するための法改正が進んだ。

工場地帯岩国地区における硫化水素付着量(月平均)の推移

工場地帯岩国地区における硫化水素付着量(月平均)の推移
出典:参考資料 1)

 【参考資料】
 1):長沢,村島,青木,田中,片山:「工場環境における架線材料の耐食性」鉄道総研報告vol.3,No.9(1989.9)

 大気汚染防止法の一部を改正する法律が1996年5月9日に公布され,同改正法を施行するための政令が1997年1月に公布,同4月1日より施行された。この改正により,「工場や事業者に有害物質の大気中への排出状況を把握し,排出抑制に必要な措置をとること」が義務付けられた。
 2004年(平成16年)には,浮遊粒子状物質(SPM),及び光化学オキシダントによる大気汚染の防止を図るため,揮発性有機化合物(VOC)を規制するための改正がなされた。
 法改正前に実施された調査結果によると,VOC の発生源として,塗料,洗浄剤,接着剤,およびインキが全体の 75%を占め,業種別に見ても塗料等を多く扱う業種からの排出(平成12年度で全体の32%)が多く,塗料・塗装業界としての取り組みが求められた。
 
 【PRTR】
 PRTR(Pollutant Release and Transfer Registers;環境汚染物質排出・移動登録制度)は,アジェンダ21でその意義が確認され,導入を推奨された。これを受け,1996年にOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)がガイダンスマニュアルを公表し,加盟各国に導入を勧告した。
 日本では,1997年より導入に向けた技術的課題抽出を目的に,19市町村でPRTRパイロット事業が開始された。この事業では,PRTR対象物質(関係法規制、発癌性等有害性のリスクが高いと判断される物質)として191物質を指定し,このうち178物質について工場、事業所等における排出,移動量を調査している。
 パイロット事業の成果を元に,1999年(平成11年)に,「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(俗称PRTR法)が制定され,2013年時点で,排出・移動の届けが必要な第一種指定化学物質として,354物質が,排出量の報告は必要ないが,有害性等の情報提供(SDS制度)が必要な第二種指定化学物質として,81物質が指定されている。
 法で指定する 435物質は,少なくとも環境,人の健康に対する有害性を有する化学物質と考えられ,環境への排出量削減が求められている。

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