防食概論:塗料・塗装

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     ポリオール硬化形塗料とは ☜ JIS ポリウレタン樹脂塗料

 現在の JIS規格は,2008年に鋼構造物用上塗り塗料規格の統廃合で制定された JIS K 5659「鋼構造物用耐候性塗料」,2010年の建築物用上塗り塗料規格(コンクリート,モルタル用)の統廃合で制定された JIS K 5658「建築用耐候性上塗り塗料」である。
 JIS K 5659「鋼構造物用耐候性塗料」は,それまでの JIS K 5657「鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料」と JIS K 5659「鋼構造物用ふっ素樹脂塗料」との統合・改称された規格である。
 そこで,統合前の旧 JIS K 5657JIS K5659の概要を文末の【参考】に紹介した。

【JIS K 5659:2008 鋼構造物用耐候性塗料】

適用範囲
 この規格は,主に鋼構造物の美装仕上げ塗りに用い,長期の耐候性をもつ塗料について規定する。(注:旧規格の“長期の防食”の文言が削除された。理由として,上塗り塗膜の防食への寄与が小さいことを踏まえ,誤解を招く表現から正確性な表現に変えたと考えられる。)
種類
 上塗り塗料,及び中塗り塗料に区分し,上塗り塗料は,更に等級分けしている。
   上塗り塗料: 1級,2級,3級
   中塗り塗料: 等級なし
備考
 JIS規格の「表1-種類及び等級」には,最下欄に次の記述がある。
 “上塗り塗料の原料は,ふっ素系樹脂,シリコン(シリコーン)系樹脂,又はポリウレタン系樹脂とする。
 塗料は,上塗り塗料と中塗り塗料とを組み合わせて用いる。上塗り塗料,及び中塗り塗料のいずれも,主剤と硬化剤を混合し硬化させて用いる。”
 JIS規格の趣旨(性能規格化)からは,塗料種を限定するべきではないと考える。しかし,この規格の元となる旧JIS規格がポリウレタン樹脂塗料とふっ素樹脂塗料の製品規格であったため,混乱を避けるための記述になった考えられる。
 注:旧規格の“ふっ素樹脂”から“ふっ素樹脂”と,名称変更されている。


品質(鋼構造物用耐候性塗料)
  項  目   上塗 1級  上塗 2級  上塗 3級  中塗
  容器の中での状態    かき混ぜたとき,堅い塊がなくて一様になる。 
  表面乾燥性    表面乾燥する。(常温 8時間後,低温 5℃ 16時間後) 
  塗膜の外観    正常である。 
  ポットライフ    規定時間(5時間)後,使用できる。 
  隠ぺい率    白・淡彩は 90以上,鮮明な赤及び黄は 50以上,その他の色は 80以上 
  鏡面光沢度(60度)    70以上    ― 
  上塗り適合性    ―    支障がない。 
  耐屈曲性    折曲げに耐える。(10mmマンドレル) 
  耐おもり落下性    塗膜に割れ及びはがれが生じない。(デュポン式300g,500mm) 
  層間付着性 Ⅰ    ―    異常がない。 
  層間付着性 Ⅱ    異常がない。 
  耐アルカリ性    異常がない。(水酸化カルシウム水:JIS K 5600-6-1) 
  耐酸性    異常がない。(硫酸水:JIS K 5600-6-1) 
  耐湿潤冷熱繰返し性    湿潤冷熱繰返しに耐える。(JIS K 5600-7-4) 
  混合塗料中の加熱残分 %    白・淡彩は 50以上,その他の色は 40以上    白・淡彩は 60以上,その他の色は 50以上 
  促進耐候性    照射時間 2000時間の促進耐候性試験に耐える。    照射時間 1000時間の促進耐候性試験に耐える。    照射時間 500時間の促進耐候性試験に耐える。    ― 
  屋外暴露耐候性
  (24か月) 
  光沢保持率が 60%以上で白亜化の等級が 1又は 0    光沢保持率が 40%以上で白亜化の等級が 2,1又は 0    光沢保持率が 30%以上で白亜化の等級が 3,2,1又は 0    ― 

 

【JIS K 5658:2010 建築用耐候性上塗り塗料】

  適用範囲:この規格は,建築物のコンクリート,セメント・モルタル面,プレキャストコンクリートなどの美装仕上げ塗りに用いる建築用耐候性上塗り塗料(以下,塗料という。)について規定する。
 この規格は,主要原料がふっ素樹脂,シリコン(シリコーン)樹脂又はポリウレタン樹脂を用いるもので,主剤と硬化剤とを混合し硬化させる塗料に適用する。(注:鋼構造物用JISと指定材料の名称が異なるので注意が必要である。業界用語の不統一が原因か?)
 等級:塗料の等級は,耐候性の程度によって分類し,耐候性のよいものから 1 級,2 級及び 3 級とする。
 品質


品質(建築用耐候性上塗り塗料)
  項  目   1 級  2 級  3 級
  容器の中での状態    硬い塊がなくて一様な状態 
  表面乾燥性(23℃)    8 時間以内で表面乾燥する。 
  表面乾燥性(5℃)    16 時間以内で表面乾燥する。 
  塗膜の外観    正常である。 
  ポットライフ    5 時間 
  隠ぺい率(%)「白及び淡彩」    90 以上 
  鏡面光沢度(60度)    70以上 
  耐衝撃性    割れ及びはがれが生じない。 
  付着性
  (クロスカット法) 
  分類 1又は分類 0である。 
  重ね塗り適合性    支障がない。 
  耐アルカリ性    異常がない。 
  耐酸性    異常がない。 
  耐湿潤冷熱繰返し性    湿潤冷熱繰返しに耐える。 
  促進耐候性    規定照射時間後,塗膜に,割れ,はがれ及び膨れがなく,試料の色差が見本品の色差と比較して大きくなく,さらに,白亜化の等級が 1 又は 0である。 
  照射時間 2500時間後の光沢保持率が 80 %以上である。    照射時間 1200時間後の光沢保持率が 80 %以上である。    照射時間 600時間後の光沢保持率が 70 %以上である。 
  屋外暴露耐候性
  (24か月) 
  光沢保持率が 60 %以上で,試料の色差が見本品の色差と比較して大きくなく,白亜化の等級が 1又は 0である。    光沢保持率が 40%以上で,試料の色差が見本 品の色差と比較して大きくなく,白亜化の等級が 2,1又は 0である。    光沢保持率が 30 %以上で,試料の色差が見本品の色差と比較して大きくなく,白亜化の等級が 3,2,1又は 0である。 

【品質項目と試験方法】

 JIS規格の品質項目に対応する試験方法は次の通りである。


JIS 品質項目の試験方法一覧
  項   目   試験   方法
  容器の中での状態    JIS K 5600-1-1 の 4.1(容器の中の状態) 
  表面乾燥性    JIS K 5600-3-2 
  塗膜の外観    JIS K 5600-1-1 の 4.4(塗膜の外観) 
  ポットライフ    JIS K 5600-2-6 
  隠ぺい率    JIS K 5600-4-1 の 4.1.2(隠ぺい率) 
  鏡面光沢度(60度)    JIS K 5600-4-7 
  上塗り適合性    塗料規格に規定する方法 
  耐屈曲性    JIS K 5600-5-1 の タイプ1 
  耐おもり落下性(デュポン式)    JIS K 5600-5-3の6.(デュポン式) 
  層間付着性 Ⅰ,層間付着性 Ⅱ    塗料に規定する方法 
  耐アルカリ性,耐酸性    JIS K 5600-6-1 の 7.(方法1(浸漬方法)) 
  耐湿潤冷熱繰返し性    JIS K 5600-7-4 
  混合塗料中の加熱残分(%)    JIS K 5601-1-2 
  促進耐候性    JIS K 5600-7-7 
  屋外暴露耐候性    塗料規格に規定する方法 
 JIS K 5600-1-1「塗料一般試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」
 JIS K 5600-2-6「塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第6節:ポットライフ」
 JIS K 5600-3-2「塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第2節:表面乾燥性(バロチニ法)」
 JIS K 5600-3-4「塗料一般試験方法−第3部:塗膜の形成機能−第4節:製品と被塗装面との適合性」
 JIS K 5600-4-1「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第1節:隠ぺい力(淡彩色塗料用)」
 JIS K 5600-4-7「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第7節:鏡面光沢度」
 JIS K 5600-5-1「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法)」
 JIS K 5600-5-3「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第3節:耐おもり落下性」
 JIS K 5600-6-1「塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法)」
 JIS K 5600-7-4「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第4節:耐湿潤冷熱繰返し性」
 JIS K 5600-7-7「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」
 JIS K 5601-1-2「塗料成分試験方法−第1部:通則−第2節:加熱残分」

 

【参 考】

  旧 JIS K 5657「鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料」の概要
 この規格の適用範囲は,主に橋梁・タンク・プラント,その他の鋼構造物などを対象とする長期の防食及び耐候性美粧仕上げに用いられる鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料についてである。
 この規格では,鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料用中塗と鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料上塗の 2種類が規定されている。
 鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料用中塗は,鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料上塗と組み合わせて用いることによって下塗り塗料との付着性向上を目的とする塗料である。
 気温 10℃以上ではエポキシ樹脂・顔料・溶剤などを原料とする主剤,及びポリアミド樹脂を主な原料とする硬化剤からなる常温硬化形の 2液形エポキシ樹脂塗料が規格されている。
 外気温 10℃未満ではエポキシ反応が進まないので,低温用として,ポリオール樹脂で構成される主剤,ポリイソシアネートを硬化剤とする常温硬化形のウレタン結合で硬化するタイプが規格されている。
 鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料上塗は,ポリオール樹脂・顔料・溶剤などを主な原料とした主剤とポリイソシアネートを硬化剤とする常温硬化形の 2液形ポリウレタン樹脂塗料が規格されている。
 
 旧 JIS K 5659「鋼構造物用ふっ素樹脂塗料」の概要
 この規格の適用範囲は,主に橋梁・タンク・プラント,その他の鋼構造物などを対象とする長期の防食及び耐候性美粧仕上げに用いられる鋼構造物用ふっ素樹脂塗料についてである。
 この規格では,鋼構造物用ふっ素樹脂塗料用中塗と鋼構造物用ふっ素樹脂塗料上塗の 2種類が規定されている。
 鋼構造物用ふっ素樹脂塗料用中塗は,鋼構造物用ふっ素樹脂塗料上塗と組み合わせて用いることによって付着性向上を目的とする材料である。
 JIS K 5657と同様に,外気温 10℃では常温硬化形の2液形エポキシ樹脂塗料が,外気温 10℃未満では常温硬化形のウレタン結合で硬化するタイプが規格されている。
 鋼構造物用ふっ素樹脂塗料上塗は,ポリオール樹脂(ふっ素含有ポリオール)・顔料・溶剤などを主な原料とした主剤とポリイソシアネートを主な原料とした硬化剤からなる常温のウレタン結合で硬化する 2液形塗料として規格されている。
 
 :規格の種類に関する解説から,構造物用ふっ素樹脂塗料上塗は,水酸基を持つフルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体,又はフルオロオレフィン/ビニルエステル共重合体などのふっ素を含むポリオールを主剤に用い,イソシアネートプレポリマーを硬化剤とする常温硬化形のポリオール硬化形ポリウレタン樹脂の範ちゅうに入る塗料である。
 次節で紹介する一般的な【ふっ素樹脂塗料】とは異なる材料である。

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