防食概論:塗料・塗装

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ふっ素樹脂塗料

 一般的な被覆の目的は,母材の保護(腐食防止)及び/又は表面機能の付与である。ふっ素樹脂による被覆は,樹脂の特性から両目的を同時に期待する場合に用いられることが多い。
 特に,耐熱性,耐薬品性が高いため,100℃を超える高温の腐食性環境において,他の有機被覆(80℃程度が限界)では追従できない防食特性を発揮する。
 ふっ素樹脂は,熱可塑性樹脂のため,塗膜を得るためには,300℃を超える温度での焼付け処理が必要になる。
 また,樹脂の表面張力が非常に小さく,母材との濡れが期待できない。すなわち,母材に直接付着できない場合が多いので,塗装では適切なプライマーが必要になる。
 注意: 防食塗装などで用いられるいわゆる“常温硬化形ふっ素樹脂塗料”は,厳密にはふっ素含有ポリウレタン樹脂を用いた“ポリウレタン樹脂塗料”に分類され,ここで紹介するふっ素樹脂塗料とは異なる。

【ふっ素樹脂塗料の分類】

  ふっ素樹脂塗料は,塗り付け作業の違いにより,固体の粉末(粉体)で扱う場合と溶媒に分散した形態(サスペンジョンという)で扱う場合に分けられる。
 さらに,サスペンションは,溶媒により水性サスペンジョンと溶剤性サスペンジョンに分けられる。
 
 水性サスペンジョン形の塗料
 このタイプには,PTFE塗料,FEP塗料,PCTFE塗料がある。水性サスペンジョン形の塗料は,エアースプレーによる吹付け方法(静電塗装を含む),又は浸漬方法で塗装される。
 強いせん断力を与えると繊維化するため,強い攪拌や高圧のかかるエアレススプレーによる塗装が困難である。
 また,1回の塗装で 25μm以上の厚塗りすると割れが発生しやすい。このため,厚塗りが必要な場合は,複数回の塗付けと焼付けの繰り返しが必要になる。
 
 溶剤性サスペンジョン形の塗料
 このタイプには,PTFE塗料,PVF塗料,PVDF塗料,FEP塗料などがある。溶剤性サスペンジョンには,水性サスペンジョンのような制約が少なく,一般的な塗装方法が採用できる。
 
 粉体形の塗料
 このタイプには,PVDF塗料,FEP塗料,ETFE塗料,ECTFE塗料,PFA塗料などがある。粉体形は,一般的な粉体塗料と同様に,粉体静電塗装静電流動浸せき法での塗装が可能である。

【ふっ素樹脂塗膜の特徴】

  次には,主なふっ素樹脂塗膜の特徴を示す。

  • PTFE(ボリテトラフルオロエチレン)
     最も高い連続使用耐熱温度 260℃を有し,非粘着性,低摩擦特性などにも優れるが,熱溶融粘度が高くピンホールが発生しやすい。
  • PVDF(ポリふっ化ビニリデン)
     機械強度が高い特徴がある。連続使用耐熱温度は 150℃である。
  • PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)
     連続使用耐熱温度 260℃を有し,熟溶融粘度が低いため PTFEでは得られないピンホールの少ない連続被膜を得ることができる。
     高温使用の耐食用として用いられる。非粘着性,耐薬品性,物理特性にも優れている。
  • FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)
     焼成作業により,平滑でピンホールの少ない被膜を得ることができる。
     耐薬品性,耐食性,非粘着性に優れて,連続使用耐熱温度は 200℃である。
  • E/TFE(エチレン/テトラフルオロエチレン)
     機械強度と耐放射線性が高い特徴がある。連続使用耐熱温度は 180℃である。

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