防食概論:塗装・塗料
☆ “ホーム” ⇒ “腐食・防食とは“ ⇒ “防食概論(塗料・塗装)” ⇒
ここでは,鉄道と道路の鋼橋塗装に適用される防食塗装について, 【塗装系について】, 【プライマー・下塗り塗料】, 【中塗り・上塗り塗料】 に項目を分けて紹介する。
防食塗装系(鋼橋維持管理の背景)
鋼橋塗装に適用される塗料一覧
JIS K5500「塗料用語」
塗装系(一般)(coating system, paint system)
塗装される又は既に塗装されている塗料の塗膜層の総称。塗装の目的・効果を満足するように作った,地肌塗りから上塗りまでの塗り重ね塗膜の組合せを総称する用語。
備考:塗装系は,通常,乾燥又は硬化に必要な適切な間隔をおいて,指定の順番で,別々に塗装された複数の塗膜から構成される。ある種の塗料では,例えば,ウエットオンウエット吹き付け塗りのような多少とも連続する塗装工程によって適切な膜厚と隠ぺい性をもつ塗装系を作ることができる。この場合,塗装系のどの部分も,上記の意味で別々の塗膜とはいえない(CED:Coatings Encyclopedic Dictionary)。
塗料(coating material, coating)
素地に塗装したとき,保護的,修飾的,又は特殊性能をもった膜を形成する液状,ペースト状,又は粉末状の製品。
流動状態で物体の表面に広げると薄い膜となり,時間の経過につれてその面に固着したまま固体の膜となり,連続してその面を覆うもの。塗料を用いて,物体の表面に広げる操作を塗るといい。固体の膜ができる過程を乾燥といい。固体の皮膜を塗膜という。流動状態とは,液状,融解状,空気懸濁体などの状態を含むものである。顔料を含む塗料の総称をペイント(paint)ということがある。
備考:ISO(国際標準化機構)用語規格では,“coating material”をここに定義される塗料として,また,“coat”を塗膜として定義している。
BS(英国規格)用語規格も同様に“coating material”を塗料,“coat”を塗膜とするほか,“coating”を塗装として定義している。
しかし,ASTM(米国材料試験協会)では,“coating”をここに定義する内容の塗料として定義しており,また,一般には,“coating”を塗料の意味で用いる場合が多いので,対応英語は,“coating material”だけでなく,“coating”を併記した。
鋼構造物の防食塗装に用いる塗料は,道路,鉄道,建築などの分野別に,それぞれの歴史的背景を踏まえた地区規格があり,そのため,用いる塗料が同じでも異なる名称がつけられている。
混乱を避けるため,国家規格である JIS 製品規格における塗料名称に対応した道路分野と鉄道分野で採用している塗料名称とその概要を紹介する。
なお,鋼道路橋に用いる塗料は「鋼道路橋塗装・防食便覧」,鋼鉄道橋に用いる塗料は「鋼構造物塗装設計施工指針」に記載される塗料名称を用いた。
【参考】
規格(standard)
規格とは,標準化によって決められた,ある「取り決め」(標準)を文章に書いたもの。【日本規格協会】
地政学的な規格の分類
●国際規格:世界中の国々で共通して利用される規格(ISO規格,IEC規格など)
●地域規格:ある地域の国々の中で共通して利用される規格(EN規格など)
●国家規格:主に一国内で使われる標準(JISなど)
●地区規格:一つの業界や一つの企業内で使う標準(業界規格,社内規格など)
規格の内容による分類
●基本規格:用語,記号,単位,など基本的事項を規定した規格
●方法規格:試験,分析,検査及び測定方法,作業方法などを規定した規格。
●製品規格:製品の形状,寸法,材質,成分,品質,性能,耐久性,安全性,機能などを規定した規格
●マネジメントシステム規格:組織が方針及び目標を定め,その目標を達成するためのシステムについて規定した規格。
JIS (Japanese Industrial Standards)
2019年(令和元年)までは,日本工業規格(Japanese Industrial Standards)の通称で,1946年(昭和 21年)に制定された工業標準化法に基づき,経済産業省に設置された日本工業標準調査会(略称 JISC)の答申を受け,大臣が制定する国家標準(工業標準)であった。
工業標準化法の改正により,2019年 7月に法の名称が産業標準化法に,日本工業標準調査会が日本産業標準調査会(Japanese Industrial Standards Committee ;略称 JISC)に,日本工業規格は「データ,サービス」を含む日本産業規格(Japanese Industrial Standards;略称 JIS)に名称変更された。
鋼橋塗装に適用される塗料一覧
JIS K5500「塗料用語」
塗装系(一般)(coating system, paint system)塗装される又は既に塗装されている塗料の塗膜層の総称。塗装の目的・効果を満足するように作った,地肌塗りから上塗りまでの塗り重ね塗膜の組合せを総称する用語。
備考:塗装系は,通常,乾燥又は硬化に必要な適切な間隔をおいて,指定の順番で,別々に塗装された複数の塗膜から構成される。ある種の塗料では,例えば,ウエットオンウエット吹き付け塗りのような多少とも連続する塗装工程によって適切な膜厚と隠ぺい性をもつ塗装系を作ることができる。この場合,塗装系のどの部分も,上記の意味で別々の塗膜とはいえない(CED:Coatings Encyclopedic Dictionary)。
塗料(coating material, coating)
素地に塗装したとき,保護的,修飾的,又は特殊性能をもった膜を形成する液状,ペースト状,又は粉末状の製品。
流動状態で物体の表面に広げると薄い膜となり,時間の経過につれてその面に固着したまま固体の膜となり,連続してその面を覆うもの。塗料を用いて,物体の表面に広げる操作を塗るといい。固体の膜ができる過程を乾燥といい。固体の皮膜を塗膜という。流動状態とは,液状,融解状,空気懸濁体などの状態を含むものである。顔料を含む塗料の総称をペイント(paint)ということがある。
備考:ISO(国際標準化機構)用語規格では,“coating material”をここに定義される塗料として,また,“coat”を塗膜として定義している。
BS(英国規格)用語規格も同様に“coating material”を塗料,“coat”を塗膜とするほか,“coating”を塗装として定義している。
しかし,ASTM(米国材料試験協会)では,“coating”をここに定義する内容の塗料として定義しており,また,一般には,“coating”を塗料の意味で用いる場合が多いので,対応英語は,“coating material”だけでなく,“coating”を併記した。
鋼構造物の防食塗装に用いる塗料は,道路,鉄道,建築などの分野別に,それぞれの歴史的背景を踏まえた地区規格があり,そのため,用いる塗料が同じでも異なる名称がつけられている。
混乱を避けるため,国家規格である JIS 製品規格における塗料名称に対応した道路分野と鉄道分野で採用している塗料名称とその概要を紹介する。
なお,鋼道路橋に用いる塗料は「鋼道路橋塗装・防食便覧」,鋼鉄道橋に用いる塗料は「鋼構造物塗装設計施工指針」に記載される塗料名称を用いた。
【参考】
規格(standard)
規格とは,標準化によって決められた,ある「取り決め」(標準)を文章に書いたもの。【日本規格協会】
地政学的な規格の分類
●国際規格:世界中の国々で共通して利用される規格(ISO規格,IEC規格など)
●地域規格:ある地域の国々の中で共通して利用される規格(EN規格など)
●国家規格:主に一国内で使われる標準(JISなど)
●地区規格:一つの業界や一つの企業内で使う標準(業界規格,社内規格など)
規格の内容による分類
●基本規格:用語,記号,単位,など基本的事項を規定した規格
●方法規格:試験,分析,検査及び測定方法,作業方法などを規定した規格。
●製品規格:製品の形状,寸法,材質,成分,品質,性能,耐久性,安全性,機能などを規定した規格
●マネジメントシステム規格:組織が方針及び目標を定め,その目標を達成するためのシステムについて規定した規格。
JIS (Japanese Industrial Standards)
2019年(令和元年)までは,日本工業規格(Japanese Industrial Standards)の通称で,1946年(昭和 21年)に制定された工業標準化法に基づき,経済産業省に設置された日本工業標準調査会(略称 JISC)の答申を受け,大臣が制定する国家標準(工業標準)であった。
工業標準化法の改正により,2019年 7月に法の名称が産業標準化法に,日本工業標準調査会が日本産業標準調査会(Japanese Industrial Standards Committee ;略称 JISC)に,日本工業規格は「データ,サービス」を含む日本産業規格(Japanese Industrial Standards;略称 JIS)に名称変更された。
ページのトップへ
プライマー・下塗り塗料
製鋼工場で,鋼板の素地調整後に直ちに塗装されるプライマーは,橋梁製作工場に搬入され,切断・組立された後に実施される塗装までの一次防せい(錆)(temporary rust prevention)目的で塗られる塗料である。鋼橋防食塗装では,塗装系に応じて次の 2種が用いられる。
エッチングプライマー( JIS K 5633 ;etching primer, wash praimer)
主剤はビニルブチラール樹脂を主成分とし,添加剤は素地の金属と反応するためのリン酸を含む 2 液形の塗料で,素地調整を行った鋼面に直ちに塗装して一時的に防錆するためのものである。道路の鋼道路橋塗装・防食便覧では,長ばく形エッチングプライマーの名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,塗装系 A-5 ,塗装系 D-6 である。
鉄道の鋼構造物塗装設計施工指針では,鉛・クロムフリー長ばく形エッチングプライマーの名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,新設塗装系 BSU である。
ジンクリッチプライマー( JIS K 5552 ;zinc-rich primer)
亜鉛末を主成分とする粉末と,アルキルシリケートを主成分とする液とからなる 2 液形の塗料で,素地調整を行った鋼面に直ちに塗装して一時的に防せいするためのものである。JIS K5552 では,アルキルシリケートをビヒクルとした,1液 1粉末形の 1種(無機ジンクリッチプライマー)とエポキシ樹脂をビヒクルとした,2液 1粉末形又は 2液形(亜鉛末を含む液と硬化剤)の 2種(有機ジンクリッチプライマー)が規定されている。
道路の鋼道路橋塗装・防食便覧では,JIS 1種を無機ジンクリッチプライマーの名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,塗装系 C-5 ,塗装系 D-5 ,金属溶射+塗装である。
鉄道の鋼構造物塗装設計施工指針では,JIS 1種を無機ジンクリッチプライマーの名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,新設塗装系 BMU ,新設塗装系 L ,新設塗装系 J,JECO ,新設塗装系 LN ,新設塗装系 WW である。
なお,新設塗装系 L では,下塗り塗料としても用いられている。
一般的に,塗装系に対する素地の影響を防止し,付着性を増加させるために用いる塗料を下塗り塗料(undercoat,priming coat)という。防食塗装系では,防せい顔料(rust preventive pigment)を用いた塗料,エポキシ樹脂などを用いた環境遮断性の高い厚膜形(high-build type)の塗料が防食目的の下塗り塗料として用いられる。
鉛・クロムフリーさび止めペイント( JIS K 5674 ;lead-free, chromium-free anticorrosive paint)
一般的な環境下での鉄鋼製品,鋼構造物などのさび止めに用いる塗料で,鉛フリー(鉛化合物を含まない)及びクロムフリー(クロム化合物を含まない)のさび止め顔料を含み,ボイル油,及び/又は,フタル酸樹脂ワニスをビヒクルとした 1 液形の塗料で,用いる揮発成分により次の2種に分かれる。り塗装に使用するものである。1種 有機溶剤を揮発成分とする液状・自然乾燥形のさび止め塗料。
2種 水を主要な揮発成分とする液状・自然乾燥形のさび止め塗料。
道路の鋼道路橋塗装・防食便覧では,JIS 1種を鉛・クロムフリーさび止めペイントの名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,新設塗装系 A-5 ,塗替塗装系 Ra-Ⅲである。
鉄道の鋼構造物塗装設計施工指針では,JIS 1種を鉛・クロムフリーさび止めペイントの名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,新設塗装系 BSU である。
厚膜形ジンクリッチペイント( JIS K 5553 ;high build type zinc rich paint)
乾燥塗膜の大部分が金属亜鉛末から成り,わずかの無機質と有機質のバインダーで結合された塗料で鋼材のさび止めに用いる塗料。【JIS Z0103「防せい防食用語」】展色材をできるだけ少なくし,合成樹脂ワニス又はアルキルシリケート,アルカリシリケートなどシリケート系ビヒクルに亜鉛末をできるだけ多く配合して作ったさび止めペイント。
塗膜が水分に触れると,鉄よりもイオン化傾向の大きい亜鉛が陽極となって,亜鉛から鉄に向って防食電流が流れ,鉄は腐食から守られる。塗膜中に亜鉛末が 85~95%含まれているとき,防食効果が大きい。各種鋼構造物の防食塗装に用いられる。被塗鉄面は,サンドブラストなどで十分にさびを除き,適度の粗さにしてから塗らないと効果が薄い。【JIS K5500「塗料用語」】
JIS K 5553 では,亜鉛末,及びアルキルシリケート又はエポキシ樹脂,及び硬化剤,顔料,及び溶剤を主な原料としたもので,次の 2種が規定されている。
1種 厚膜形無機ジンクリッチペイント: アルキルシリケートをビヒクルとした,1液 1粉末形のもの。
2種 厚膜形有機ジンクリッチペイント: エポキシ樹脂をビヒクルとした,2液 1粉末形,又は 2液形(亜鉛末を含む液と硬化剤)のもので,硬化剤にはポリアミド,アミンアダクトなどを用いる。
道路の鋼道路橋塗装・防食便覧では,JIS 1種を無機ジンクリッチペイントの名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,塗装系 C-5 ,摩擦接合部の塗装系 F-11・接触面である。
JIS 2種は,有機ジンクリッチベイントの名称で,塗装系 Rc-Ⅰ,Rc-Ⅱ,摩擦接合部(F-13)に用いられている。
鉄道の鋼構造物塗装設計施工指針では,JIS 1種を厚膜型無機ジンクリッチペイントの名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,新設塗装系 WW,新設摩擦接合部の接触面である。
JIS 2種は,厚膜型エポキシ樹脂ジンクリッチペイントの名称で,新設塗装系 J,JECO ,塗替塗装系 L ,塗替塗装系 J ,塗替塗装系 ECO2 ,塗替塗装系 WS1 に用いられている。
構造物用さび止めペイント( JIS K 5551 ;heavy-duty anticorrosive paints for metal structures)
橋りょう(梁),タンク,プラントなどの鋼構造物,及び鉄,鋼,ステンレス鋼,アルミニウム,アルミニウム合金の建築などの金属部分の塗装に用いる構造物用さび止めペイント。用いる展色材,溶剤,適用温度範囲,及び目標膜厚により次の種類がある。A 種:有機溶剤を揮発成分とする反応硬化形エポキシ樹脂系塗料で,膜厚が約 30μmの標準形塗料。主に鋼構造物及び建築金属部の防せい(錆)に用いるもの。
B 種:有機溶剤を揮発成分とする反応硬化形エポキシ樹脂系塗料で,膜厚が約 60μmの厚膜形塗料。主に鋼構造物の長期防せい(錆)に用いるもの。
C 種 1 号:有機溶剤を揮発成分とする反応硬化形変性エポキシ樹脂系塗料,又は反応硬化形変性ウレタン樹脂系塗料で,標準の膜厚が約 60μmの厚膜形塗料のうち,常温環境下で施工する,主に鋼構造物の長期防せい(錆)に用いるもの。
C 種 2 号:有機溶剤を揮発成分とする反応硬化形変性エポキシ樹脂系塗料,又は反応硬化形変性ウレタン樹脂系塗料で,標準の膜厚が約 60μmの厚膜形塗料のうち,低温環境下で施工する,主に鋼構造物の長期防せい(錆)に用いるもの。
D種:水を主要な揮発成分とする反応硬化形エポキシ樹脂系塗料で,膜厚が約 30μm の標準形塗料。主に建築金属部の防せい(錆)に用いるもの。
E種:水を主要な揮発成分とする反応硬化形エポキシ樹脂系塗料で,膜厚が約 60μm の厚膜形塗料。主に鋼構造物の長期防せい(錆)に用いるもの。
道路の鋼道路橋塗装・防食便覧では,JIS B種をエポキシ樹脂塗料下塗 A の名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,塗装系 C-5 ,金属溶射の塗装系である。
JIS C種 1号は,変性エポキシ樹脂塗料下塗 A の名称で,塗装系 D-5,D-6 ,摩擦接合部の塗装系 F-11,F-13 に用いられている。なお,品質規格が同じで溶剤種の異なる弱溶剤形変性エポキシ樹脂塗料下塗 A は,塗替え塗装に用いる塗装系 Rc-Ⅰ,Rc-Ⅱ,Rc-Ⅲ,Rc-Ⅳに用いられている。
なお,低温( 5~ 20℃程度)時に適用できる JIS C種2号は,変性エポキシ樹脂塗料下塗 B の名称で用いられている。
鉄道の鋼構造物塗装設計施工指針では,JIS B種を厚膜型エポキシ樹脂系塗料の名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,新設塗装系 J,JECO ,塗替え塗装系 J である。
JIS C種 1号は,厚膜型変性エポキシ樹脂系塗料の名称で,新設塗装系 BMU1 , 新設塗装系 L , 新設塗装系 LN , 新設塗装系 R , 塗替塗装系 BMU1,BMU2 , 塗替塗装系 G,T , 塗替塗装系 L , 塗替塗装系 ECO1, ECO2 , 塗替塗装系 WS1,WS2 に用いられている。
なお,低温( 5~ 20℃程度)時に適用できる JIS C種 2号は,厚膜型変性エポキシ樹脂塗料低温用の名称で用いられている。
ページのトップへ
中・上塗り塗料
防食塗装に用いる中塗り塗料(intermediate coat, undercoat)は,上塗り塗料(top coat, topcoat, finishing coat)との付着性を重視しているため,中塗り塗料単独の JIS製品規格としてではなく,組み合わせられるの上塗り塗料の JIS製品規格の中で規定されている。
合成樹脂調合ペイント( JIS K 5516 ;ready mixed paints (synthetic resin type))
着色顔料・体質顔料などを,主に長油性フタル酸樹脂ワニスで練り合わせて作った液状・自然乾燥性の塗料で,次の種類が規定されている。a) 合成樹脂調合ペイント 1 種 : 主に,建築物,及び鉄鋼構造物の中塗り,及び上塗りとして,下塗り塗膜の上に数日以内に塗り重ねる場合に用いる。
b) 合成樹脂調合ペイント 2 種中塗り用 : 主に,大形鉄鋼構造物の中塗りに用いる。
c) 合成樹脂調合ペイント 2 種上塗り用 : 主に,大形鉄鋼構造物の上塗りに用いる。
道路の鋼道路橋塗装・防食便覧では,長油性フタル酸樹脂塗料中塗,上塗の名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,新設塗装系 A-5 ,塗替塗装系 Ra-Ⅲである。
鉄道の鋼構造物塗装設計施工指針では,長油性フタル酸樹脂塗料中塗,上塗の名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,新設塗装系 BSU ,塗替塗装系 BMU2 である。
鋼構造物用耐候性塗料( JIS K 5659 ;long durable paints for steel structures)
主に鋼構造物の美装仕上げ塗りに用い,長期の耐候性をもつ塗料で,次の種類が規定されている。A種上塗り塗料:溶剤形塗料
A種中塗り塗料:溶剤形塗料
B種上塗り塗料:水性塗料
B種中塗り塗料:水性塗料
道路の鋼道路橋塗装・防食便覧では,JIS A種をふっ素樹脂塗料用中塗,ふっ素樹脂塗料上塗の名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,塗装系 A-5 ,新設塗装系 D-5 ,摩擦接合部の新設塗装系 F-11,F-13 ,金属溶射の塗装系である。なお,品質規格が同じで溶剤種の異なる弱溶剤形ふっ素樹脂塗料用中塗,弱溶剤形ふっ素樹脂塗料上塗は,塗替え塗装系の塗装系 Rc-Ⅰ,Rc-Ⅱ,Rc-Ⅲ,Rc-Ⅳで用いている。
鉄道の鋼構造物塗装設計施工指針では,JIS A種をポリウレタン樹脂塗料用中塗,ポリウレタン樹脂塗料上塗の名称で用いられている。この塗料を用いる塗装仕様は,新設塗装系 BMU1 , 新設塗装系 J , 塗替塗装系 BMU1 , 塗替塗装系 J である。
はけ塗り 1回で 50~60μmの乾燥塗膜厚みが得られる塗料を厚膜形ポリウレタン樹脂塗料上塗の名称で,新設塗装系 L , 塗替塗装系 T , 塗替塗装系 L に用いられている。
JIS B種は,水系ポリウレタン樹脂塗料用中塗,水系ポリウレタン樹脂塗料上塗の名称で, 新設塗装系 JECO ,塗替塗装系 ECO1, ECO2 に用いられている。
このページの“トップ”へ