防食概論:塗料・塗装

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         溶剤類

 塗料形成助要素(溶剤)は,塗料の粘度や流動性の調整,塗装作業性や塗膜の平滑性確保などを目的として用いられる。また,塗装後に蒸発し塗膜に残らない成分でもある。
 特殊な例としては,塗膜主要素の硬化反応の成分で構成される反応性希釈剤(例えば,フェノール樹脂塗料におけるスチレン)もある。
 溶剤は,塗膜形成時に蒸発し大気に排出(VOC:揮発性有機化合物)されるため,溶剤に含まれる成分によっては大気汚染の原因になることがある。
 水系塗料では,樹脂の分散にアルコール系溶剤,エーテル系溶剤が用いられる。このため,水系塗料といってもVOCはゼロではない。塗料の希釈(粘度調整)に用いる水は,清水と称され,上水など不純物の少ないものが用いられる。
 溶剤系塗料では,石油系溶剤(石油又は天然ガスから誘導・製造される炭化水素系溶剤),アルコール系溶剤,エーテル系溶剤,エステル系溶剤,ケトン系溶剤などが用いられる。これらを単独で用いる場合もあるが,多くの場合は,期待する特性を得るため,性質の異なる複数の溶剤を混合したもの(混合溶剤)として用いる。
 
【石油系溶剤】
 石油系溶剤は,塗料用溶剤として使用実績の多い溶剤である。石油系の炭化水素は,多種多様であり,分子構造の違いから,パラフィン系(工業用ガソリン),オレフィン系,ナフテン系,及び芳香族系に分類される。
 
 工業用ガソリン
 原油を蒸留して得たガソリン分(ナフサともいう)で,パラフィン系炭化水素を主成分とし,他のオレフィン系炭化水素との混合物で少量の芳香族炭化水素を含むものである。
 工業用ガソリンは,再蒸留の沸点の違いで石油エーテル(40~70℃),石油ベンジン(60~110℃),リグロイン(100~150℃),及びミネラルスピリット(140~180℃)に分けられる。
 ミネラルスピリット(ミネラルターペンともいう)は,油性塗料や合成樹脂調合ペイント,弱溶剤形塗料などの希釈溶剤として広く用いられている。
 
 ナフテン系溶剤
 ナフテン系溶剤は,低芳香族含有ミネラルスピリットなどともいわれ,芳香族分の少ないナフテン系原油を蒸留精製して製造される。
 光化学反応性の少ない溶剤で,主要成分は40~80%のパラフィン系炭化水素,20~50%のナフテン系炭化水素で構成される。また,8%以下の芳香族炭化水素を含むため,樹脂の溶解性がミネラルスピリットより高い。油性系塗料,アルキド樹脂塗料やフェノール樹脂塗料などで用いられる。
 
 芳香族系溶剤
 一般に石油系溶剤という場合には,芳香族系溶剤を指すことが多い。原油を蒸留して得た沸点35~180℃のガソリンのうち,沸点の高いもの(重質ナフサ)を熱や触媒を用いてリフォーミング(改質)し,精密蒸留で蒸発範囲ごとに分取する。中沸点溶剤の蒸留範囲別の特徴をに示す。


中沸点溶剤の特徴
  蒸留範囲(℃)  特徴
  90~120    トルエンを主成分とする芳香族含有量70~80%のもの 
  130~160    キシレンを主成分とするもの 
  140~190    キシレンより重質の芳香族を45~55%含有するもの 

【その他溶剤】
 アルコール系溶剤には,メチルアルコール,イソブチルアルコール,ブタノールなどがある。
 エーテル系溶剤では,メチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル),ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル),プロピルセロソルブ(エチレングリコールモノプロピルエーテル)などがある。
 エステル系溶剤としては,酢酸エチル,酢酸イソプロピル,酢酸イソブチル,酢酸メチルセロソルブなどがある。
 ケトン系溶剤には,メチルエチルケトン(2-ブタノン ,MEK),メチル‐n‐へキシルケトン(2-オクタノン),メチルアミルケトン(2-ヘプタノン)などがある。
 実用では,多種多様の溶剤の混合物として使用されている。
 
 【参考】
 パラフィン系炭化水素:鎖状の飽和炭化水素(多重結合を持たない炭化水素)で構成される炭化水素である。炭素鎖の形状で,直鎖状のノルマルパラフィン系と側鎖を持つイソパラフィン系に分けられる。
 ナフテン系炭化水素:飽和の環状(ナフテン環)の結合を有する炭化水素である。
 オレフィン系炭化水素:鎖状の不飽和炭化水素(二重結合などの多重結合を持つ炭化水素)を持つ炭化水素である。 
 芳香族系炭化水素ベンゼン環を有する炭化水素である。ラッカーの希釈剤や合成樹脂塗料などに用いるトルエン,合成樹脂塗料やさび止めペイントに用いるキシレンなどを含む溶剤がある。

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