防食概論:塗料・塗装

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     ポリオール硬化形塗料とは ☞ JIS ポリウレタン樹脂塗料

 前項の分類に示したポリオール硬化形ポリウレタン樹脂塗料は,ポリオールイソシアネートプレポリマーを原料とした塗料である。ここでは,塗料に用いられる代表的材料を紹介する。

【ポリオール】

  a ) アクリルポリオール
 アクリル酸エステルビニル化合物などを共重合したアクリル樹脂である。
 樹脂特性の調整が比較的容易で,耐水性,耐薬品性,耐光性に優れるため用途が広い
 
 b ) ポリエステルポリオール
 二塩基酸( 1分子でプロトン H を 2つ放出する酸)と過剰の多価アルコール(分子中に水酸基を 2つ以上持つアルコール)の縮合(エステル結合)で生成する複数の水酸基を持つポリエステル樹脂である。
 酸及びアルコールの種類,官能基数により特性の調整が可能である。
 
 c ) ポリエーテルポリオール
 多価アルコールプロピレンオキサイド(CH3-CH(-O-)-CH2)を付加重合させたポリプロピレングリコールを主成分とした樹脂である。
 粘度が低いという特徴はあるが,耐候性が低いため塗料用途は限定される。
 
 d ) エポキシポリオール
 ビスフェノール形エポキシ樹脂をアミン変性,又はアミノアルコール変性したものがある。
 防せい性に優れるため,防食塗装用途に使用される。
 
 e ) ポリオレフィン系ポリオール
 ブタジエン(CH2=CH-CH=CH2)の重合体(ポリブタジエンなど合成ゴムの原料)や,ブタジエンとアクリロニトリル(CH2=CH-C≡N)やスチレン(ベンゼン環-CH=CH2)との共重合体(ニトリルブタジエンゴム,スチレンブタジエンゴム,ABS樹脂の原料)の末端に水酸基を有するポリオールで,電気的特性に優れる。
 また,分子中の不飽和結合(二重結合)を解消して耐候性を高めたタイプもある。
 
 f ) ふっ素含有ポリオール
 クロロフルオロエチレン(例えばF2C=CFCl)とビニルエーテル類との交互共重合からなる溶剤に可溶なポリオール樹脂(フルオロエチレンビニルエーテルFEVEなど)である。一般的に常温硬化形ふっ素樹脂塗料と称される塗料の原料でもある。

ポリオールの例

ポリオールの例

 【参考】
 鋼道路橋などで用いられる常温硬化形ふっ素樹脂塗料と称される塗料は,後述する一般的なふっ素樹脂塗料とは硬化機構が異なる。つまり,ふっ素を含むポリオールを主剤に用い,硬化剤のイソシアネートプレポリマーとのウレタン結合により硬化するポリウレタン樹脂塗料の一種である。
 従って,常温硬化形ふっ素樹脂塗料は,一般的なふっ素樹脂塗料との誤解を避けるため,ふっ素含有ポリウレタン樹脂塗料ふっ素系ポリウレタン樹脂塗料などと称するのが望ましいと考える。
 次項で解説するように,JIS規格においても,2008年に JIS K 5659「鋼構造物用ふっ素樹脂塗料」は,JIS K 5657「鋼構造物用ポリウレタン樹脂塗料」と統合され,JIS K 5659「鋼構造物用耐候性塗料」と全面改訂された。JIS K 5659では,“ふっ素樹脂”の表現から“ふっ素樹脂”に変更された。
 

【イソシアネートプレポリマー】

  イソシアネート単体で用いられることが少なく,一般的にはイソシアネートプレポリマーとして用いられる。イソシアネートプレポリマーとは,ジイソシアネートを原料とし,単量体の含有量が 1%以下となように高分子化したものである。
 イソシアネートプレポリマーは,3種の構造(アダクト体,ビュレット体,イソシアヌレート体)に分けられる。
 アダクト体とは,ジイソシアネートとトリメチロールプロパン(CH3-CH2-C(CH2-OH) 3)との付加体をいう。
 ビュレット体とは,ヘキサメチレンジイソシアネートと水,又は三級アルコールとの反応物をいう。
 イソシアヌレート体とは,ジイソシアネートの三量体( 3つの分子が反応し 1つの化合物になったもの,例えばベンゼンはアセチレンの三量体)をいう。
 
 原料のジイソシアネートには,芳香族系,脂肪族系,脂環族系がある。一般的に,反応性は,芳香族系>脂肪族系>脂環族系の順に高い。しかし,黄変性(光や熱の影響で黄みを帯びる)も,芳香族系≫脂肪族系>脂環族の順に高いので,屋外使用の鋼構造物上塗り塗料など景観性を重視する用途には,反応性は低いが,黄変性のない脂環族系が用いられる。  
 自動車外板補修用や屋外鋼構造物などの高い耐候性を求めるポリウレタン樹脂塗料には,図に例示すような,耐候性の高い脂肪族のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)誘導体であるHDIイソシアヌレートなどが用いられている。

 HDIとその誘導体の例

HDIとその誘導体の例

 近年は,石油系溶剤などの弱溶剤に対する溶解性があるアルコール変性HDIイソシアヌレート,低粘度イソシアヌレート体なども用いられている。他にも脂環族のアダクト体,脂肪族都市環族のビュレット体などさまざまのイソシアネートが開発・利用されている。

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