防食概論:塗料・塗装

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         塗替え塗装(塗り付け作業)

 塗替え塗装は,現場作業となる。このため,基本的には前出の【塗り付け方法】に従い,適切な工具を用いて塗り付ける。
 ここでは,塗替え塗装の実施に際して,留意点や管理の要点を解説する。

【先行塗装】

 隅部,角部,部材合わせ部,ボルト・ナット部など複雑な構造部位は,1回の塗装で十分な厚みを確保できないことが多い。そこで,素地調整で鋼素地を露出させたこの種の個所では,指触乾燥の状態で補修塗装を1回多く増し塗りするなど状況に応じた仕様の変更が望ましい。
 また,塗膜調査で,これらの部位の腐食が甚だしく,通常の塗装では長期耐久が期待できないと想定される場合には,塗装仕様の変更(超厚膜形塗料の部分採用など),ボルトキャップの採用を検討するのが良い。

 

【塗り付け量の確認】

 その塗料に規定する量を過不足なく塗り付け,均一で必要な厚さを確保しなければならない。塗り替え塗装では,新設時に実施した塗膜厚み管理は原理的に不可能(下地の凹凸や旧塗膜残存の影響)である。
 そこで,塗り付け作業が適切に実施されているかは,塗り付ける塗料の量を厚み計測(ウェット膜厚)で随時確認しながら行うのが良い。

ウェットフィルム膜厚計

ウェットフィルム膜厚計
写真出典:(株)サンコウ電子研究所 カタログ

 ウェット膜厚の測定は,JIS K 5600-1-7「膜厚」方法 No.1(ぬれ膜厚の測定)に規定されるくし形ウェットフィルム膜厚計,又はロータリー形ウェットフィルム膜厚計を用いるのが一般的である。
 塗装系に規定される乾燥膜厚を Tdとすると,作業中のウェット膜厚(Tw)を次の要領で推定できる。
 厳密には,塗料密度,希釈に用いた溶剤量,密度を考慮した計算が必要であるが,過不足なく塗り付けているかの確認が目的なので,塗料試験成績書に示される混合塗料中の加熱残分 Vs(%),希釈した溶剤の割合 S(%)を用いて,
   Tw ≒ Td×100/Vs×(100+S)/100 =Td ×(100+S)/Vs
で得られる厚みの管理で十分である。

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【気象条件の記録】

 塗装作業中は,天候,温度,湿度を記録しておく。塗料ごとに,気温,湿度の制限があるので,これを厳守しなければならない。
 特に,冬季の低温時(硬化反応が進まない),夏季の高温時,特に鋼板温度(溶剤揮発が速すぎ,レベリング不良など均一な塗膜が形成されない),相対湿度の高い時期(塗膜表面の結露)は,注意が必要である。
 
 相対湿度の制限は,塗料の多くで相対湿度 85%以上を施工禁止としている。相対湿度 85%の制限が設けられた理由は次による。
 塗り付けた塗料からの溶剤揮発で塗膜表面の熱(気化熱)が奪われ,表面温度が低下する。常温(23℃程度)付近で表面温度が気温より約 2.7℃低下した場合には,相対湿度 85%で露点(結露開始)に達する。塗り付けた塗料の乾燥前に,水が表面に付着すると塗膜不具合の原因になる。
 一般的には,構造物用塗料の溶剤揮発で表面温度が 2℃以上低下することが少ないので,安全な範囲として,相対湿度 85%が作業禁止の条件として定められた。
 これは,ブラスト処理の作業禁止条件の相対湿度 80%以上とは意味合いが違うので混同しないこと。
 他には,強風,降雨,降雪,霜も塗装作業に影響するので,塗装作業期間の気候も記録しておくのが良い。

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