防食概論塗装・塗料

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 塗膜の評価(塗膜劣化評価;塗膜はがれの等級)

 はがれの等級

 JIS K5500「塗料用語」

 はがれ(塗膜の)(peeling, flaking, scaling)
 付着性が失われてある広さの膜が自然に素地から分離する現象。一般に,割れ,膨れが生じた後に,付着性が失われた結果,塗装系の1層,又はそれ以上の塗膜が下層塗膜から,又は塗装系全体が素地からはがれる。はがれは,その形状,程度及び深さによって評価する。
 備考:“peeling(ピーリング)”はリボン,又はシート状の大きなはがれ,“flaking(フレーキング)”はりん片状の小さなはがれ,“scaling(スケーリング)”はスケール状の大きなはがれをいうこともある。なお,”scaling”ははがれの他にさび落としの意味にも用いられる。

 JIS K 5600-8-5 1999「塗料一般試験方法−第 8部:塗膜劣化の評価−第 5節:はがれの等級」(Testing methods for paints−Part 8 : Evaluation of degradation of paint coatings−Section 5 : Designation of degree of flaking)
 適用範囲
 この規格は,塗膜のはがれの程度を表示するための図版による基準について規定する。
 
 等級付け
 はがれには,一般的な方向性のないはがれの他に,素地の異方性に起因する方向性のあるはがれに分けられる。図版は,それぞれに応じて等級付けできるものが用意されている。
 図版では,はがれの面積比を基に,はがれの量を等級付けしている。
 等級はがれの面積
  0 : 0 %
  1 : 0.1 %
  2 : 0.3 %
  3 : 1 %
  4 : 3 %
  5 : 15 %
 適用可能な場合は,次によって,はがれ露出した個々の面積の平均の大きさを等級付けする。
 等級はがれの大きさ最大寸法
  0 : 10 倍に拡大しても視認できない。
  1 : 1mmまで
  2 : 3mmまで
  3 : 10mmまで
  4 : 30mmまで
  5 : 30mm以上
 はがれによる欠陥の主要な形態(はがれの深さ)は,次の二つに区別できる。
  a) 上塗りと下塗りとの塗膜層間のはがれ。
  b) 素地からの全塗膜層のはがれ。
 
 試験報告
 はがれの量(面積)の数値等級,はがれの大きさの数値等級,はがれの深さ( a 又は b )
 例えば,はがれ 3 ( S2 ) a
  試験片のはがれの種々の大きさがあるときは,代表とみなせる試験片最大はがれ面積の等級を適用する。
  必要があれば基準表示は,言葉によって補足してもよい。ただし,そのようなコメントの使用は,できるだけ避けなければならない。
 
 【参考】
 劣化(degradation, deterioration, aging)
 材料の劣化は,時間経過,繰り返し使用などにより,熱,光(放射線),機械的摩擦,化学薬品,微生物などの影響を受け,化学的・物理的変化により材料の品質・性能が損なわれること。老化(aging)ともいわれる。
 JIS K6900「プラスチック用語」では,劣化(崩壊;degradation)を“特性に有害な変化を伴うプラスチックの化学構造の変化。”,劣化(変質;deterioration)を“それらの特性の悪化により現れるプラスチックの物理的特性の永久変化。”,老化(aging)を“時間の経過の中で材料に生ずるすべての不可逆的な化学的及び物理的作用の全体。”と定義している。
 老化(塗膜の)(ageing, aging)
 塗膜の性質が経時的に不可逆な変化をする現象。この経時的な変化には,劣化を意味する老化と品質向上を意味する熟成とがある。【JIS K5500「塗料用語」】
 ぜい化(脆化)(塗膜の)(brittleness, embrittlement)
 脆化(brittleness)とは,時間の経過に伴って,塗膜が柔軟性を失って小さな細片に容易に分解するようになる現象。
 脆化(embrittlement)とは,膜がたわみ性を損なう現象。【JIS K5500「塗料用語」】

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