防食概論:塗料・塗装

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 【はじめに】

 金属腐食(metallic corrosion)の経済に与える影響,すなわち腐食コスト(corrosion cost)に関し,1971年にイギリスで実施された調査1) によると,腐食損傷(事故)の1/4は,既知の知識の活用で防ぐことができたとある。このことは,腐食・防食技術の多くは,過去の経験が大きな比率を占め,過去の事例を学ぶことの重要性を説いている。
 日本においても,1975年と1997年に腐食コストの調査2),3) を実施している。1997年の調査では,直接コストは,対 GDP(国内総生産)で約 1%(4~5兆円)で,間接コストを含めると 15兆円規模に及ぶと推定されている。
 防食対策別の腐食コストに関し,1975年の調査では表面塗装 62.5%,金属表面処理 25.4%,耐食材料 9.4%,1997年の調査では表面塗装 58.4%,金属表面処理 25.7%,耐食材料 11.3%であった。
 このように,20年以上経過し,高度成長期での社会構造が大きく変化しても,防食対策に占める塗装の割合が大きく,最も一般的に採用されている防食方法である。
 塗装が多用される理由として,特殊な設備を必ずしも必要としないことや対象物の構造上の制約が少ないこと,現場でも施工可能であること,色彩選択の自由度が高いことなどが挙げられる。
 なお,調査結果によると,1975年の防食対策費は,初期コストが多くを占めていたが,1997年には,初期コストの伸びに比較してメンテナンスコストが大きく伸びている。
 参考資料
 1) Department of Trade and Industry, (T. P. Hoar)“Report of the Committee on Corrosion and Protection”, Her Magesty’s Stationary Office (1971)
 2) 腐食損失調査委員会“わが国における腐食損失調査報告書”,防食技術,Vol.27,No.7,pp.401-428(1977)
 3) 腐食コスト調査委員会“我が国の腐食コスト”, 材料と環境, Vol. 5 0, No. 11, pp.490-512 (2001)

防食対策別腐食コストの比較

防食対策別腐食コストの比較
データ:参考資料 2), 3)

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 【構成内容について】

 このサイトでは,鋼橋などの鋼構造物に採用される防食塗装(anticorrosion coating)を中心に,鋼構造物の塗装技術,塗料の分類,主な塗料の特徴,塗料や塗膜に求められる性能とその評価法,防食塗装に用いられる塗装系などにについて解説する。
 
 「塗装概要」
  この章では,塗装関連の基礎用語,塗装施工の概要として,素地調整の考え方,素地調整に用いる工具等,塗り付け方法の概要,塗り付けに用いる工具類などを紹介する。
 さらに,鋼橋の新設時塗装と塗替え塗装に分けて,塗装作業の流れ,塗替え塗装要否の判定,素地調整方法,塗り付け方法,及び膜厚管理や塗膜変状など塗装管理の要点なども紹介する。

 「塗料概論」
 この章では,一般的な塗料の分類,塗料を構成する成分の分類とその概要を紹介する。また,塗料を構成する主な材料について,その材料に用いる成分,使用目的なども紹介する。

 「塗料各論」
 鋼橋の防食塗装の理解を助けるため,塗料の分類,使用原料の基礎知識を紹介し,次いで鋼橋などの鋼構造物防食に用いられる塗料を中心に,さび止め塗料,アルキド樹脂塗料,エポキシ樹脂塗料,ポリウレタン樹脂塗料,ふっ素樹脂塗料について,原料,硬化過程,JIS規格を含めて比較的詳細に解説する。

「塗料の評価」
 塗料の性能・品質評価試験について,鋼構造物などの防食塗装に用いられる塗料を例に,プライマー,下塗り塗料,中塗り塗料,及び上塗り塗料別に解説する。
 次いで,主な塗料品質項目について,概要の紹介と JIS等に規格される試験方法を紹介する。
 「塗料・塗装関連のJIS試験規格一覧」

「塗膜の評価」
 塗装・塗膜の要求性能,塗膜品質の分類,各品質の評価試験について,鋼構造物などの防食塗装に用いられる塗料を例に解説する。
 さらに,塗膜の性能分類別,すなわち“視覚特性”,“機械特性”,“化学的特性”,“耐久性”に分けて,塗料製品規格の中での取り扱い,各品質項目の概要や試験規格を紹介する。

「防食塗装系」
 鋼道路橋,及び鋼鉄道橋の維持管理の基本,防食塗装の考え方,主要な塗装系を紹介する。参考のため,その他の社会資本の例として,タンク類,水道鋼管,建築物などで採用される防食を目的とする塗装系の概要も紹介する。

 【参考】 JIS K5500「塗料用語」
 塗料(coating material, coating)
 素地に塗装したとき,保護的,修飾的,又は特殊性能をもった膜を形成する液状,ペースト状,又は粉末状の製品。流動状態で物体の表面に広げると薄い膜となり,時間の経過につれてその面に固着したまま固体の膜となり,連続してその面を覆うもの。
 塗料を用いて,物体の表面に広げる操作を塗るといい。固体の膜ができる過程を乾燥といい。固体の皮膜を塗膜という。流動状態とは,液状,融解状,空気懸濁体などの状態を含むものである。顔料を含む塗料の総称をペイントということがある。
 備考:ISO用語規格では,“coating material”をここに定義される塗料として,また,“coat”を塗膜として定義している。BS用語規格も同様に“coating material”を塗料,“coat”を塗膜とするほか,“coating”を塗装として定義している。
 しかし,ASTMでは,“coating”をここに定義する内容の塗料として定義しており,また,一般には,“coating”を塗料の意味で用いる場合が多いので,対応英語は,“coating material”だけでなく,“coating”を併記した。
 ペイント(paint)
 素地に塗付したとき,保護,装飾又は特殊な性能を持つ不透明膜を形成する,液状,ペースト状又は粉末状の顔料を含む塗料。
 備考:広義では,顔料を含む塗料の総称。狭義では,顔料をボイル油で練り合わせて作った塗料をいう。
 塗装(coating, application, painting, finishing)
 物体の表面に,塗料を用いて塗膜又は塗膜層を作る作業の総称。
 備考:ISO 用語規格では,塗料は“coating material”,塗膜は“coat”と定義しているが,ここに記載する塗装に対応する用語は規定されていない。また,BS 用語規格では,同様に“coating material”を塗料,“coat”を塗膜とするほか,“coating”を塗装として定義している。
 しかし,ASTM 用語規格では,“coating”は塗料として,また,塗ることは“paint(vb)”として定義されている。そのほか,CED には,塗装の意味の用語として“application”が記載されている。
 ここでは,対応英語は,“coating”,“application”その他を併記している。
 塗装系(coating system, paint system)
 塗装される又は既に塗装されている塗料の塗膜層の総称。塗装の目的・効果を満足するように作った,地肌塗りから上塗りまでの塗り重ね塗膜の組合せを総称する用語。
 備考:塗装系は,通常,乾燥又は硬化に必要な適切な間隔をおいて,指定の順番で,別々に塗装された複数の塗膜から構成される。ある種の塗料では,例えば,ウエットオンウエット吹き付け塗りのような多少とも連続する塗装工程によって適切な膜厚と隠ぺい性をもつ塗装系を作ることができる。この場合,塗装系のどの部分も,上記の意味で別々の塗膜とはいえない(CED)。

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