防食概論塗装・塗料

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 ここでは,塗料の品質が要求性能を満足するか否かの評価方法について,評価対象の 【塗料について】, 【規格とは】, 【主な国家規格・国際規格】, 【塗料製品規格の品質とは】, 【塗料の消費期限について】  ,塗料の品質評価に用いられる 【塗料品質の定義】に項目を分けて紹介する。

 塗料の評価(塗料の規格・品質)

 塗料について

 JIS K 5500 「塗料用語」
 塗料(coating material,coating)
 素地に塗装したとき,保護的,修飾的,又は特殊性能をもったを形成する液状,ペースト状,又は粉末状の製品
 流動状態で物体の表面に広げると薄い膜となり,時間の経過につれてその面に固着したまま固体となり,連続してその面を覆うもの。塗料を用いて,物体の表面に広げる操作を塗るといい。固体の膜ができる過程を乾燥といい。固体の皮膜を塗膜という。
 流動状態とは,液状,融解状,空気懸濁体などの状態を含むものである。顔料を含む塗料の総称をペイントということがある。
 備考ISO用語規格では,“coating material”をここに定義される塗料として,また,“coat”を塗膜として定義している。BS用語規格も同様に“coating material”を塗料,“coat”を塗膜とするほか,“coating”を塗装として定義している。
 しかし,ASTMでは,“coating”をここに定義する内容の塗料として定義しており,また,一般には,“coating”を塗料の意味で用いる場合が多いので,対応英語は,“coating material”だけでなく,“coating”を併記した。
 
 塗膜(coat, film, paint film, coating)
 塗られた塗料が乾燥してできた固体の皮膜
 備考ISO用語規格では,単一の(1回の)塗装でできる塗料の連続層を“coat”,素地に1回又はそれ以上塗装してできる連続層を“film”と定義。

 塗料とは
 塗料にユーザーが期待する性能は,塗付けた後に形成される固体皮膜,すなわち塗膜の性能であり,塗料そのものの性質ではない。すなわち,塗料は最終製品の塗膜を作るための中間製品と考えられる。従って,塗料には施工するまでの安定性,施工し易さなどの特性が求められる。
 塗料の JIS製品規格では,塗料としての性質を定める品質項目,適切な施工で得られる塗膜に必要な最小限の性能を確認する目的の品質項目が定められている。
 本節では,代表的な JIS製品規格を紹介し,規定される塗料としての品質項目試験・評価法を解説する。塗膜の特性の確認を目的とする品質項目についは,次節の「塗膜の評価」で解説する。

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 規格とは

 規格(standard)とは
 与えられた状況において,最適な秩序を達成することを目的に,共通的に繰り返して使用するために,活動又はその結果に関する規則,指針又は特性を規定する文書であって,合意によって確立し,一般に認められている団体によって承認されているもの。【JIS Z 8002「標準化及び関連活動-一般的な用語」】
 
 日本規格協会では,規格を次のように解説している。
 標準化によって決められた,ある「取り決め」(標準)を文章に書いたもの。
 地政学的な分類
 ●国際規格:世界中の国々で共通して利用される規格(ISO規格,IEC規格など)
 ●地域規格:ある地域の国々の中で共通して利用される規格(EN規格など)
 ●国家規格:主に一国内で使われる標準(JIS,BS,ASTM,DINなど)
 ●地区規格:一つの業界や一つの企業内で使う標準(団体規格,業界規格,社内規格など)
 規格の内容による分類
 ●基本規格:用語,記号,単位,など基本的事項を規定した規格。
 ●方法規格:試験,分析,検査及び測定方法,作業方法などを規定した規格。
 ●製品規格:製品の形状,寸法,材質,成分,品質,性能,耐久性,安全性,機能などを規定した規格。
 ●マネジメントシステム規格:組織が方針及び目標を定め,その目標を達成するためのシステムについて規定した規格。組織のマネジメントの継続的な向上を図ることを目的とし,P-D-C-A[トップの方針に基づいて計画を立て(Plan),実施マニュアルを作成・運用し(Do),定期的にチェック評価し(Check),見直す(Act)]というデミングサイクルのモデルをベースにしています。

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 主要な国家規格・国際規格

 JIS (Japanese Industrial Standards)
 2019年 7月までは,日本工業規格の通称で,1946年(昭和 21年)に制定された工業標準化法に基づき,経済産業省に設置された日本工業標準調査会(略称 JISC)の答申を受け,大臣が制定する国家標準(工業標準)であった。
 工業標準化法の改正により,2019年7月に法の名称が産業標準化法に,日本工業標準調査会が日本産業標準調査会(Japanese Industrial Standards Committee ;略称 JISC)に改称され,日本工業規格も「データ,サービス」を含む日本産業規格(Japanese Industrial Standards)に名称が変更された。
 参考: JIS以外の日本の国家標準には,医薬品に関する品質を規定する JP(Japanese Pharmacopoeia ;日本薬局方),農,林,水,畜産物,およびその加工品の品質を規定する JAS(Japanese Agricultural Standard ;日本農林規格)などがある。
 
 ISO規格(ISO)
 各国の国家標準化団体で構成される非政府組織の ISO(International Organization for Standardization;国際標準化機構)が定める国際規格である。
 ISOは,国際連合経済社会理事会に総合協議資格(general consultative status)を有する機関に認定された最初の組織の 1つである。
 IEC規格(IEC)
 IEC規格は,IECが定める電気通信分野をのぞく電気・電子分野の国際規格である。IEC(International Electrotechnical Commission;国際電気標準会議)は,各国の代表的な標準化機関で組織される電気工学,電子工学,および関連した技術を扱う非政府間国際機関である。
 EN規格(EN)
 EN規格(European Standard;欧州規格)は,CEN(欧州標準化委員会),CENELEC(欧州電気標準化委員会),ETSI(欧州通信規格協会)が発行する欧州の統一規格(地域規格)である。
 欧州標準化委員会(Comité Européen de Normalisation;CEN)は,一貫した標準規格と仕様の開発・保守・配布を行うための効率的基盤を提供することによって,国際社会におけるヨーロッパ経済の力を強め,ヨーロッパの市民の福祉や環境を高めることを目的に,欧州連合 27カ国と欧州自由貿易連合 (EFTA) 3カ国で構成される私的な非営利組織である。
 BS規格(British Standard)
 英国規格協会(British Standards Institution ; BSI)が制定するイギリスの工業規格。英国規格協会は,1901年にイギリス土木学会が提唱し開設した非営利団体である,英国規格(BS)はドイツのドイツ連邦規格(DIN)やアメリカ合衆国の ASTM規格と並んで世界で広く活用されている。
 ASTM規格(ASTM)
 旧称 米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)が制定した材料・試験などの規格。なお,米国材料試験協会は,2001年に,ASTM規格が国際化したことを反映して,ASTMインターナショナル (ASTM International) に改称している。ASTM規格は,ドイツのドイツ連邦規格(DIN)やイギリスの英国規格(BS)と並んで世界で広く活用されている。
 DIN規格(DIN-Norm)
 DIN(Deutsches Institut für Normung;ドイツ規格協会)が制定したドイツの工業規格。ドイツ連邦規格(DIN)は,イギリスの英国規格(BS)やアメリカ合衆国の ASTM規格と並んで世界で広く活用されている。

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 塗料製品規格の品質とは

 JIS製品規格や各種団体の塗料規格で採用される品質は,塗料の安定性性状に関わる品質,塗料を施工する際の作業性に関わる品質,塗膜形成過程や塗膜特性に関わる品質に分けられる。
 例えば,
 塗料の性状に関わる品質
 容器の中での状態,粘度,密度,分散度,低温安定性,常温貯蔵安定性,加熱貯蔵安定性,皮張り性など。
 塗装作業に関わる品質
 塗装作業性,乾燥時間,ポットライフ,厚塗り性,たるみ性,にじみ,隠ぺい率など。
 塗膜形成に関わる品質
 レベリング,加熱残分,上塗り適合性(中塗り),重ね塗り適合性(上塗り),層間付着性,不粘着性など。
 形成塗膜の基本特性に関わる品質
 塗膜の外観,視覚特性(隠ぺい力,鏡面光沢度,色など),機械特性(塗膜硬度,耐屈曲性,付着性,耐衝撃性など)など。
 塗膜の耐久性に関わる品質
 化学特性(耐水,耐アルカリ,耐酸などの耐液体性など),耐湿性,耐塩水噴霧性,促進耐候性,屋外暴露耐候性など。
 
 なお,塗料の品質を管理するための項目は,塗料,及び塗膜に期待する性能の違いから,プライマー(下塗り塗料),中塗り塗料,及び上塗り塗料などの塗料種別,酸化重合形の塗料(1液形塗料)と付加重合形の塗料(多液形塗料)などの乾燥機構の違いで採用する品質項目,試験方法が異なるのが一般的である。

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 塗料の消費期限について

 鋼橋などの鋼構造物防食に用いられる塗料は,使用者側からの注文を受けてからの受注生産が一般的である。従って,発注時と施工時期が大きく異なる場合,気象条件やその他の要因により施工開始が大幅に遅れた場合には,塗料を保管する期間が長くなる。そこで,塗料には実用で不具合の生じないある程度の期間( 6か月以上)の貯蔵に耐える性能が求められる。
 このため,多くの塗料は,大気成分や光の影響を避け,長期間の保管が可能な密封できる缶詰で供給されている。過去に防食塗装の主流であった油性系塗料,鉛系さび止めペイント,合成樹脂調合ペイントなどは,無期限ではないが,少なくとも 6か月以上の保管でも実用上で不具合が生じないことを経験的に知られていた。
 
 しかしながら,反応硬化形の多液形塗料は,長期間保存されると変質する恐れがある。このため,一般的な保管状況における貯蔵安定性を評価し,塗料の有効期間を定める例が多い。また,塗料を発注した使用者側においても,トラブル防止を目的に塗料の保管と管理方法を定めている。
 一般的には,適切な保管(温度,湿度)と有効期間内での使用を推奨し,仮に有効期間を過ぎた場合の対処法として,発注時に実施された塗料規格に基づく品質試験と同等の試験を行い,発注時の試験成績との比較で,その塗料の使用可否を判定する方法が推奨される。
 例えば,鉄道分野で採用する鋼構造物塗装設計施工指針では,“塗料の保管と管理”に関し次のように規定している。
 規定
 塗料の保管と管理は関連法規に準拠して行わなければならない。なお,有効期間を表示された塗料は,その期間を越えない範囲で使用すること。有効期間を越えた場合は,塗料の状態を確認して,使用の可否を判定すること。
 備考
 ● 塗料の保管に関係する関連法規として,消防法,労働安全衛生法,有機溶剤中毒予防規則等がある。
 ● 有効期間を表示する塗料は,多液形塗料とし,有効期間は,製造月から起算して原則として,6か月とする。
 ● 製造月から起算して 6か月を超えた塗料は,塗料性状を調査し,塗装作業が可能か否か,塗装後に所期の塗膜性状が発揮できる状況にあるか等を評価する必要がある。同一塗料種でも,製造会社によって,原材料,配合が異なるので,塗料の評価は,当該塗料を製造した会社において行う必要がある。
 
 貯蔵安定性について
 塗料が変質するまでの期間は,塗料の保管状態,特に保管中の温度で差があるため,一概には決められない。そこで,貯蔵による安定性は,規定された試験方法に基づいて行われる。
 貯蔵安定性(storage stability)
 貯蔵しても変質しにくい性質。塗料を一定の条件で貯蔵した後に塗ってみて,塗る作業,できた塗膜に支障がないかどうかを調べて判定する。想定される貯蔵条件により,常温貯蔵安定性,加熱貯蔵安定性などに分けられる。【JIS K5500「塗料用語」】
 
 JIS K 5600-2-7「塗料一般試験方法-第 7節:貯蔵安定性」では,塗料及び関連製品が貯蔵されたとき,使用に当たって安定であるかどうかを調べる試験方法について,低温安定性,皮張り性,常温貯蔵安定性,加熱貯蔵安定性の 4種に分類し,次のように解説している。
 低温安定性(storage stability at low temperature)
 試料を低温に保存した後,室温に戻す操作を 3回繰り返した後,かき混ぜて一様になるかどうかを調べ,さらに,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”を試験して,試料の変質の有無を判定する。この方法は,主としてエマルション塗料に適用する。
 皮張り性(skinning)
 容器の中で塗料の表面に,皮ができやすいかどうかを調べる。
 常温貯蔵安定性(storage stability at room temperature)
 試料を常温で一定期間貯蔵した後,使用に適する状態を保っているかどうかを“容器の中の状態”,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”を調べて判定する。
 加温貯蔵安定性(storage stability at warm temperature)
 試料を容器に入れて密封し,温度 35℃で 3か月間保存した後,室温に戻し“容器の中の状態”,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”の変化の有無を調べて判定する。

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 塗料品質の定義

 JIS K 5500「塗料用語」関連 JIS規格に定められる主な品質項目の定義は次の通りである。
 容器の中での状態(condition in container)【JIS K 5500「塗料用語」】
 塗料を容器に入れて貯蔵した後の状態。顔料を含む塗料では,かき混ぜるか練り混ぜるかしてみて,一様な状態になればよいとする。
 粘度(viscosity)【JIS K 6900「プラスチック―用語」】
 粘度 η ( Pa・s ) :材料の本体内部で示される定常流に対する抵抗特性。
 見かけ密度(塗料)(apparent density)【JIS K5500「塗料用語」】
 見かけ比容(apparent specific volume)ともいい,単位質量の顔料を落下して自然にたい積又はタップしたときに示す見掛けの容積(又は見掛けの密度)。見掛け比容は ml/g で表し,見掛け密度は g/ml で表す。見掛け比容はかさ,見掛け密度はかさ比重のことをいう。
 分散度(fineness of grid)【JIS K5500「塗料用語」】
 ミルベース中の,又は塗料中の最大粒子の大きさに関連する用語。規定の試験条件の下で,標準ゲージで製品中のはっきりした固形粒子が容易に認められる溝の深さを示す数値の読みで表す。
 低温安定性(low temperature stability, storage stability at low temperature)【JIS K5500「塗料用語」】
 冷却しても常温に戻せば,元の性能状態に戻る性質。
 皮張り(skinning)【JIS K5500「塗料用語」】
 貯蔵中に容器の中で,塗料が空気と接触する表面に皮を作る現象。
 塗装作業性【JIS K5500「塗料用語」】
 試料を製品規格に規定する方法で塗装して,塗装作業に支障がないかどうかを調べる。
 乾燥時間(drying time)【JIS K5500「塗料用語」】
 塗料が乾燥(液体から固体に変化する過程の総称)するのに必要な時間。塗料の試験では,規定の条件下で,規定の時間経過した後に,塗膜の乾燥状態を評価する。乾燥の条件には,自然乾燥,強制乾燥,加熱乾燥などがある。一般的に用いられている乾燥状態の表現には,指触乾燥,半硬化乾燥,硬化乾燥,表面乾燥(上乾き)があり,それぞれの用語について定義されている。
 ポットライフ(pot life)【JIS K5500「塗料用語」】
 幾つかの成分に分けて供給される塗料を混合した後,使用できる最長の時間。
 たるみ(塗膜の)(sags, sagging)【JIS K5500「塗料用語」】
 垂直又は傾斜した面に塗料を塗ったとき,乾燥までの間に,塗料の層が下方に移動して起こる局部的な膜厚の異常。半円状,つらら状,波状又はカーテンのひだ状などになる現象をいう。厚く塗り過ぎたとき,塗料の流動特性の不適,大気状態の不敵などによって起こりやすい。
 備考:小さな sags は流れ(runs),涙滴(tears),小滴(droplets)と呼ばれ,幅広のカーテンのひだ状の外観を呈する大きな sags はカーテン(curtains)と呼ばれる。
 にじみ(塗膜の)(bleeding)【JIS K5500「塗料用語」】
 塗膜の下から着色物質が拡散して汚れや変色を起こす現象。この欠陥を引き起こす物質の例は,歴青質系塗料,木材防腐剤,節からの油性樹脂,有機顔料及びステインなどがある。
 隠ぺい率(塗膜の)(contrast ratio)【JIS K5500「塗料用語」】
 塗料が下地の色の差を覆い隠す度合。黒と白とに塗り分けて作った下地の上に,同じ厚さに塗ったときの,塗膜の 45度,0度拡散反射率又は三刺激値 Yの比で表わす。
 レべリング(leveling)【JIS K5500「塗料用語」】
 塗料を塗った後,塗料が流動して,平らで滑らかな塗膜ができる性質。
 加熱残分(solid content, nonvolatile content, non-volatile matter content)【JIS K5500「塗料用語」】
 塗料を一定条件で加熱したときに,塗料成分の一部が揮発,又は蒸発した後に残ったものの質量の,元の質量に対する百分率。残分は,主として塗膜構成要素(展色材,添加剤,顔料)中の不揮発物で,塗膜として最終的に残るものである。
 上塗り適合性(overcoatability)【JIS K5500「塗料用語」】
 ある塗料の塗膜の上に,決められた塗料を塗り重ねたときに,塗装上の支障が起こらず,正常な組合せの塗膜層が得られるための,塗り重ねられる下地塗膜の性状。
 重ね塗り適合性(recoatability)【JIS K5500「塗料用語」】
 乾燥した塗膜の上に,同じ塗料を塗り重ねたときに,塗装上の支障が起こらず,正常な塗り重ね塗膜層が得られるための塗料の性状。
 付着性(adhesive property, adhesion)【JIS K5500「塗料用語」】
 塗膜が下地面に付着して離れにくい性質。
 層間付着性【JIS K5500「塗料用語」】
 塗膜と塗膜の間の付着性。下塗り塗料と中塗り塗料の付着性を層間付着性Ⅰ,中塗り塗料と上塗り塗料の付着性を層間付着性Ⅱという。
 不粘着性(print resistance)【JIS K5500「塗料用語」】
 塗膜の表面の粘着しにくい性質。多くの塗料の塗膜は,湿度が高いときや,温度が高いときに粘着性を生じる。塗料一般試験方法は,塗面にガーゼを置き,おもりを載せて一定時間おき,ガーゼをはがして,粘着の程度と塗面にできた布目の程度とを調べて不粘着の大小を評価する。
 塗膜の外観(appearance of film)【JIS K5500「塗料用語」】
 肉眼で見たときの塗膜の状態。塗膜を拡散昼光の下で見本品と比べて,色の差異・色むらの程度・つやの差異・つやむらの程度・厚さのむらの程度・レべリング・はけ目・ゆず肌・しわ・つぶ・くぼみ・穴の程度・流れ・はじき・泡・膨れ・はがれ・白化の程度を調べる。
 引っかき硬度(scratch hardness)
 塗膜の硬さの一種。
 JIS K 5600-5-5「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第5節:引っかき硬度(荷重針法)」では,試験に用いる針(先端が規定の径の半球状の鋼球,タングステンカーバイト球,ルビー又はセラミックス球からなる)に規定の荷重を掛けて引っかき,塗膜の表面の傷つきの程度で評価する。
 JIS K 5600-5-4「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」では,針の代わりに硬度の異なる鉛筆のしんを用いて行う。
 耐屈曲性(flexibility)【JIS K5500「塗料用語」】
 塗膜が素地の変形に対し,塗膜の損傷なしで追従する性能。屈曲試験では,薄い試験板に塗装された試験片の塗膜を外にし,試験板の内側に規定される丸棒を当てて 180度折り曲げた後,塗膜に表面の割れ等の損傷を調べる。
 耐衝撃性(impact resistance, shock resistance, chip resistance)【JIS K5500「塗料用語」】
 塗膜が物体の衝撃を受けても破壊されにくい性質。
 耐液体性(resistance to liquids)【JIS K 5600-6-1「塗料一般試験方法-第6部:塗膜の化学的性質-第1節:耐液体性(一般的方法)」】
 液体の作用に対する,塗料又は関連製品の単一塗膜または多層塗膜系の抵抗性(耐性)。
 促進耐候性(accelerated weathering test, accelerated weathering, artificial weathering)【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 人工光源から発する光と断続的な人工降雨を与える装置を用い,試験片の腐食,さび,劣化などの状態を調べる試験。
 屋外暴露耐候性(outdoor exposure test , natural weathering)【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 試験片を,一定期間屋外にさらして,自然環境での腐食,さび,劣化などの状態を調べる試験。大気暴露試験,耐候性試験ともいう。

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