防食概論:塗料・塗装

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         不動態化・還元系防せい顔料

   金属表面を不動態化することで防せいする不動態被膜形成形の防せい顔料,金属表面を還元することで防せいする還元系防せい顔料を紹介する。

【不動態被膜形成形の防せい顔料】

  クロム系防せい顔料
 ジンククロメートZPC型:K2CrO4・3ZnCrO4・ZnO・3H2O,ZTO型:ZnCrO4・4Zn(OH) 2
 防せい顔料として用いるジンククロメートには 2種あり,ZPC型は緑みを帯びた黄色で,ZTO型は赤味を帯びた黄色である。このため,下塗り塗料の色でいずれを用いているかが分かる。
 ジンククロメートは,酸,アルカリに可溶で,水に対し僅かに溶解する。鉄,亜鉛鋼板,アルミニウム合金,マグネシウム合金の防せい塗料に利用されている。
 防せい原理
 外部から水が浸入すると,僅かに溶解し,ZnOとK2Oにより金属表面が微塩基性雰囲気になる。また,クロム酸イオン(CrO4‐,強い酸化剤)で金属表面を不動態化する。
 さらには,大気中の二酸化炭素と反応し,不溶性の炭酸塩(Zn(OH) 2・ZnCO3)が塗膜を緻密化する。
 これらの作用が複合的に作用していると考えられている。水に対してある程度の溶解性があるので,水と接触する環境での使用には適さない。
 塩基性クロム酸鉛(PbO・mPbCrO4
 黄鉛の一種で橙色の顔料である。密度は 5,500~6,200 kg/m3である。水に対する溶解度は低いが,水抽出液のpHが 9~11と塩基性雰囲気を長時間継続できるので,不動態化の状態を維持できる。鋼構造物のさび止めペイントとして実績の多い顔料である。
 防せい原理
 アルカリ性雰囲気の維持による長期間の不動態化状態を維持できる。また,脂肪酸と反応し鉛石鹸を生成し,塗膜の緻密化にも寄与する。
 
 りん酸亜鉛系防せい顔料
 りん酸亜鉛系防せい顔料(Zn3 (PO4) 2・nH2Oなど)は,密度約 3,000 kg/m3で,白色中性の顔料である。油性系塗料,溶剤系塗料,及び水系塗料用のグレードがあり,鋼,及び非鉄金属など広範囲に使用されている。
 防せい原理
 塗膜中で分解生成したりん酸イオンが金属表面で金属イオンと反応し,不溶性のりん酸塩で金属表面を覆う(不動態化)ことで腐食を抑制する。
 
 りん酸アルミニウム系防せい顔料
 りん酸アルミニウム系防せい顔料(AlH2P3O10・2H2Oなど)は,工業用塗料,自動車塗料,鋼構造物等で広く採用されている。
 防せい原理
 主成分のトリポリりん酸アルミニウムが分解しトリポリりん酸イオンが鋼面と反応し,保護性の高い化成皮膜を形成することで腐食を抑制する。
 
 モリブデン酸塩系防せい顔料
 モリブデン酸塩系防せい顔料(ZnMoO4/ZnOなど)は,リン酸亜鉛系防せい顔料,リン酸アルミニウム系防せい顔料とともに,鉛・クロムフリーさび止めペイントなどに利用されている。
 防せい原理
 外部から侵入する水分で分解し,生成したモリブデン酸イオンが鋼表面で鉄イオンと反応したモリブデン酸錯化合物で表面が覆われることで腐食が抑制される。

【還元系防せい顔料】

  亜鉛末
 亜鉛末を得る方法としては,亜鉛を高温で気化し,空気を遮断した密閉容器中で冷却して粉末状の亜鉛を得る方法が一般的である。得られた粉末を分級して,粒子径4~10μmのものが防せい顔料として用いられる。
 他には,溶融した亜鉛をノズルから噴霧して作製する方法もある。この方法では数十μmと大きい粒子径の粉末が得られる。
 性状は,元素記号 Zn,分子量 65.39,融点 419℃,沸点 907℃,密度 7,140kg/m3,かさ密 2,500kg/m3である。防せい顔料の亜鉛末は,粒子径が小さいので空気中の水分,酸素で容易に酸化され固化する。また,加熱すると容易に燃焼するので,保管には注意が必要である。
 塗料用途では,長期防せいを期待する塗装系(船舶,海上コンテナ,タンク,送水鉄管,橋梁,大型鋼構造物など)のさび止め塗料の顔料として用いられる。塗料名称は,亜鉛末含有量で分類される。亜鉛含有量 20~60%のものをジンクダストペイント,多量(一般的には 70%以上)に含むものをジンクリッチペイントと称している。
 防せい原理
 鉄より電極電位が卑のため,塗膜に素地に達する傷が発生した場合に,異種金属接触腐食と同じ原理で,亜鉛末が犠牲的にアノードとなり,鋼の腐食を抑制すると考えられている。

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