JIS K 5600_1_4 塗料一般試験方法‐第1部‐第4節:試験用標準試験板

 JIS K 5600-1-4 2004年版 塗料一般試験方法−第1部:通則−第4節:試験用標準試験板 (Testing methods for paints - Part 1: General rule - Section 4: Standard panel for testing)について  【序文・目次・適用範囲・種類】,   【鋼板:材料,塗装前の貯蔵】,   【鋼板:調整方法】,   【亜鉛及び亜鉛合金被覆板】,   【附属書 A(参考)ブラスト処理による鋼板の調整に関する一般的指針】,   【附属書 B(参考)亜鉛及び亜鉛合金被覆の分類】 に分けて紹介する。

 序文・目次・適用範囲・種類

 序文
 通常の試験方法において,試験板の種類,及び前処理方法は,多くの場合,試験の結果に影響を与える。従って,塗装前の試験板及びその前処理方法は,できる限り注意深く規定されなければならない。
 また,試験に用いる試験板の種類は,できるだけ少なくすることも望まれる。なお,塗料の試験に用いる試験板及び前処理の種類を,すべて一つの規格で規定することは不可能なので,次の通り三区分した。
 第一は,塗料,ワニス,その他の製品が,特定の工業塗装に関連して試験される場合である。試験は,実際の工業塗装(材質,洗浄方法及びその後のグリットブラスト又は化成処理のような表面処理の条件)に最も近似した試験板について行われる。
 
 第二は,試験の実施には,その試験に固有の特殊処理を施した試験板を必要とする場合である。例えば,光沢測定用には,光学的に平滑な試験板を必要とする。この場合は,試験板及び表面処理方法についての詳細な仕様が関係する試験方法に規定されている。
 
 第三は,標準品が一般的に入手可能な場合である。この場合には,洗浄又は表面処理が容易で,安定した表面性状を調整し得る材料が望ましい。実際に製品が塗装される素材(板)とは,必ずしも同じ種類でなくてもよい。
 
 この規格は第三の場合に関するもので,再現性のよいことが分かっている表面調整方法について規定する。また,国際的に統一的な方法がいまだ存在せず,再現性が疑わしい場合の付加的な指針である。
 
 JIS規格の目次(ここでは青字の項目を説明)
 序文,1 適用範囲,2 引用規格,3 定義,4 種類5 材料5.1 鋼板,5.2 ぶりき板,5.3 亜鉛及び亜鉛合金被覆板,5.4 アルミニウム板,5.5 ガラス板,5.6 硬質ボード,5.7 せっこうボード,5.8 繊維強化セメント板,5.9 フレキシブル板,5.10 セメントモルタル板,5.11 パーライト板,5.12 木材単板,5.13 木材合板,5.14 アスファルトブロック
 附属書 A(参考)ブラスト処理による鋼板の調整に関する一般的指針
 附属書 B(参考)亜鉛及び亜鉛合金被覆の分類
 
 
 1. 適用範囲
 この規格は,塗料及び塗膜の試験に用いる標準試験板(以下,試験板という。)について規定する。
 試験板の寸法は,試験の項目によってさまざまとなるため,具体的な試験項目ごとに規定する。
 この規格の対応国際規格はISO/DIS 1514:2002,Paints and varnishes−Standard panels for testing (MOD)である。
 
 4. 種類
 試験板の種類と調整方法を示す。( )内は調整方法を,赤字は,次項で紹介する試験板を示す。
 なお,太字は,防食塗装に用いる塗料・塗膜試験での使用例の多い試験板である。
 
 a) 鋼板(溶剤洗浄,水性洗浄,研磨,りん酸処理,ブラスト処理),b) ぶりき板(溶剤洗浄,水性洗浄,研磨),c) 亜鉛めっき鋼板及び亜鉛鋼板(溶剤洗浄,水性洗浄,研磨,薬品処理),d) アルミニウム板(溶剤洗浄,水性洗浄,研磨,クロメート化成被覆),e) ガラス板(溶剤洗浄, 洗剤洗浄),f) 硬質ボード,g) せっこうボード,h) 繊維強化セメント板,i) フレキシブル板j) セメントモルタル板,k) パーライト板,l) 木材単板及び木材合板,m) アスファルトブロック

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 鋼板:材料,塗装前の貯蔵

 5. 材料
 5.1 鋼板

 JIS G 3141「冷間圧延鋼板及び鋼帯」,及びJIS G 3101「一般構造用圧延鋼材」に規定する鋼板とする。
 また,亜鉛めっき鋼板は,厚さ 3.0mm未満のものは,JIS G 3302「溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯」に規定する溶融亜鉛めっき鋼板SGCC. RC Z 27とし,厚さ 3.0mm以上のものは,SGH 400 RC Z 27とする。
 5.1.1 材料
 一般用試験に用いる鋼板は,さび,きず,汚れ,変色,その他の表面欠陥のない板状,又は帯状の平らな軟鋼板とし,鋼板の 厚さ3.0mm未満のものは,JIS G 3141に規定するSPCC-SBの鋼板とし,厚さ3.0mm以上のものは,JIS G 3101に規定するSS400の鋼板とする。
 ブラスト処理鋼板が必要なときは,熱間圧延軟鋼板の使用が望ましい。ブラスト処理についての指針は,附属書 A に示す。
 タイプ 1 鋼板厚さ 0.60~1.00mm の,工業品質の冷間圧延タイプのもの。JIS G 3141に適合する Type CR 1の鋼板は,適切な工業品質の冷間圧延鋼板の一例である。
 この鋼板は,表面粗度 0.63μm~1.65μm(Ra)のダル仕上げでなければならない。この仕上げは,自動車又は家電製品の塗装表面用に使用される鋼板に典型的なものである。
 タイプ 2 鋼板厚さ 0.75~0.80mm の冷間圧延タイプのキルド鋼板JIS G 3141に適合する Type CR 4の鋼板は,適切な冷間圧延キルド鋼板の一例である。
 この鋼板は,表面粗度及び変色が最少度でなければならない。なお,表面粗度は,入手時点で 1.2μm(Ra)を超えないことが望ましい。
 タイプ 3 鋼板厚さ 0.25~0.60mm の,工業品質の冷間圧延タイプのもの。鋼板は平滑な仕上げで,表面粗度は 0.51μm(Ra)を超えてはならない。
 この仕上げは,鋼板仕上げ面の変動の影響を最少にすることが望まれる色,光沢及び塗膜の可とう性又は付着性の測定に有用である。
 5.1.2 塗装前の貯蔵
 鋼板が気化性防せい(錆)剤処理紙で包装されていない場合は,中性軽質鉱物油又は添加剤を含まない炭化水素系溶剤中に貯蔵してさびを防ぐものとする。

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 鋼板:調整方法

 5. 材料
 5.1 鋼板

 5.1.3 溶剤洗浄による調整
 試験板についた油をふき取った後,適切な溶剤で洗浄して,油を完全に除去する。キシレン,又は鉱物性溶剤は,この目的に適する。蒸発速度の速い他の溶剤を使用してもよいが,酸性,アルカリ性又は毒性のあるものは避けるものとする。
 ふき取り用布からの小さな繊維状ごみは,完全に取り除き,布にふき取られた油によるパネルの再汚れを避けるため,あらかじめ決めた間隔で布を取り替える。清浄にしたパネルを汚してはならない。
 洗浄後すぐに塗装しない場合には,塗装するときまで,活性乾燥剤を入れたデシケータ中に入れるか,気化性防せい剤含しん紙で包んで保管する。
 5.1.4 水性洗浄による調整(スプレー又は浸せき方法)
 市販のアルカリ性水性洗浄剤で試験板を洗浄する。スプレー方法が望ましいが,浸せき方法を使用してもよい。製造業者の推奨方法に従って,洗浄剤の濃度を調整する。スプレー方法による洗浄方法には,次の 4 工程が必要である。
   a) 試験板の両面を 10秒間以上洗浄する。
   b) 試験板の両面を水道水ですすぐ。
   c) 試験板の両面を脱イオン水ですすぐ。
   d) すすぎの後,直ちに,試験板を乾燥炉,又は熱気流中で強制乾燥する。
 水性洗浄で調整した試験板は,白色布によるふき取り方法(汚れ残留の目視検査)に加え,水膜切れ試験を行う。
 水膜切れ試験は,試験板を蒸留水,又は脱イオン水に瞬間的に入れ,試験板を取り出したとき,その表面で水が不連続な水滴とならず,連続した切れ目のない膜となることを確認する試験である。
 5.1.5 研磨による調整
 5.1.5.1 通則
 均一で再現性のよい表面が要求される場合,表面のむら,又は汚れを機械的研磨で取り除く。
 表面の汚れが完全に除去されたことを保証するには,目視で判定して黒皮が完全に除去されていなければならない。
 表面から除去されるべき厚さは,初期の表面状態に依存するが,いずれの場合も 0.7μm以上とすべきである。1m2当たり 5~6gの質量減は,約 0.7μmの厚さの減少に相当する。
 研磨前に前述の規定する方法によって試験板を洗浄する。特に取決めがない場合,表面研削は次に規定する方法によって行う。
 5.1.5.2 方法 1−手研磨
 粒度 #220のシリコンカーバイド砂を用いた良質の研磨紙を使って,試験板の乾式研磨を行う。手作業で研磨するときの操作方法の基本は,次による。
   a) いずれかの辺に平行に試験板表面の端から他の端まで真っすぐに研磨する。
   b) 元の研磨の跡が除去されるまで,最初の方向に直角に研磨する。
   c) 互いに重なり合う円形研磨マークが模様として構成されるまで直径 80~100mmの円形運動で研磨する。
 5.1.5.3 方法 2−機械研磨
 粒度 #220のシリコンカーバイド砂を用いた良質の研磨紙を使って試験板の機械研磨を行う。
 この方法を用いるときは,直径 80~100mmの円形運動で試験板を研磨する。元の表面又は何らかの凹凸が肉眼で見えないとき,研磨操作が完了したとみなす。
 5.1.5.4 方法 3−フラット研磨,又は研削
 元のミル面を除去するための試験板のフラット研磨,又は研削を用いる。フラット研磨は表面を研磨ベルトで機械的に研削するものである。
 この作業には #100グリット酸化アルミニウムに相当する粒度の良質の研磨ベルトが適している。研磨した試験板の表面粗度は0.50~1.14μm(Ra)でなければならない。
 5.1.5.5 検査及び洗浄
 元の表面が完全に除去されていることを保証するため,研磨,又は研削した試験板を検査する。
 砂,鉄くず,他の異物全部を除去するため,前述の規定によって試験板を十分に洗浄する。
 洗浄後は汚さないように保存する。
 5.1.6 りん酸処理による調整
 5.1.6.1 通則
 りん酸化成皮膜化処理剤は,スプレー用,又は浸せき用のものとして入手できる。
 試験板の調整は,洗浄,水洗,又は皮膜化成処理などの手順からなる。通常,皮膜化成処理後,更に水洗する必要がある。りん酸処理板が必要なときは,次の調整方法を用いる。
 5.1.6.2 方法 1−結晶性りん酸亜鉛処理
 この皮膜化成方法は,鋼板表面を酸化剤促進剤塩とを含む酸性りん酸亜鉛溶液中で反応させるものである。
 鋼板表面は結晶性りん酸亜鉛皮膜に変わり,腐食を防ぎ,続いて塗られる塗料の膜の付着性,及び耐性を増す。
 5.1.6.3 方法 2−非晶質りん酸鉄処理
 この皮膜化成方法は,鋼板表面を酸化剤促進剤塩とを含む酸性りん酸塩溶液中で反応させるものである。
 鋼板表面は非晶質りん酸鉄皮膜に変わり,続いて塗られる塗料の膜の付着性を増し,結晶性りん酸亜鉛皮膜よりは劣るが腐食を防ぐ。
 5.1.7 ブラスト処理による調整
 ブラスト処理の前に,前述の規定によって試験板を洗浄する。
 ブラスト処理はJIS Z 0310「素地調整用ブラスト処理方法通則」による。
 なお,ブラスト処理による試験板の調整に関する一般指針を,附属書 Aに示す。また,ブラスト処理による調整は,一般試験用の冷間圧延鋼板を対象としない

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 亜鉛及び亜鉛合金被覆板

 5. 材料
 5.3 亜鉛及び亜鉛合金被覆板

 5.3.1 材料
 試験板は,亜鉛又は亜鉛合金で被覆した冷間圧延炭素鋼板とする。
 亜鉛及び亜鉛合金被覆の分類は,附属書 B に記載している。
 試験板の化学的不動態化処理は,それらの処理が後に塗る被覆の付着性を阻害するので,行わない。
 備考: 不動態化処理とは,通常,二クロム酸ナトリウム液によって,貯蔵中の亜鉛被覆表面の湿潤保存さび(白さび)を防ぐため,圧延工程で行われる。この不動態化処理は,除去しないと後に塗る被覆の付着を阻害する。
 不動態化されていない亜鉛被覆鋼を得るには,通常圧延業者に材料を特注する必要がある。それができない場合,不動態化処理を 5.2.3「研磨」によって除く。
 5.3.2 溶剤洗浄による調整
 後処理の必要がない清浄な試験板の調整は,鋼板の洗浄工程による。
 5.3.3 水性洗浄による調整
 後処理の必要がない清浄な試験板の調整は,鋼板の洗浄工程による。一般に洗浄剤濃度,温度及び接触時間は,亜鉛被覆鋼を洗浄する場合には低くする。
 アルカリ度の高い洗浄剤は,亜鉛被覆を侵すため,亜鉛被覆鋼板はpH範囲11~12のアルカリ溶液を用いて洗浄するものとし,pH13以上であってはならない。
 5.3.4 薬品処理による調整
 5.3.4.1 通則
 薬品処理が必要な場合,次の方法 1~方法 3のいづれかの方法を用いる。
 5.3.4.2 方法 1−結晶性りん酸亜鉛処理
 この化成被覆方法は,酸化剤と促進剤塩とを含む酸性りん酸亜鉛溶液中で亜鉛表面を反応させることからなる。
 亜鉛表面が結晶性りん酸塩被覆に変わり,腐食を防ぎ後続の塗装塗膜の付着性及び耐性を増す。 この処理は,スプレー,浸せき又は軟性剛毛ナイロンブラシで行う。
 5.3.4.3 方法 2−クロム酸塩処理
 この処理は,三酸化クロムと他の酸類,及び適切な促進剤とを含む独自の希薄液で浸せき又はスプレー処理することからなる。
 この処理で薄い非晶質のクロム酸塩膜ができ,耐食性及び塗料の付着性を増す。
 5.3.4.4 方法 3−クロム酸−水溶性有機物処理
 ある種の水溶性樹脂は,クロム化合物とうまく配合すると,ローラ塗り,軽く浸すか又はスキージーロールのような適切な方法で,亜鉛表面に塗付できる。
 これは塗付される塗料系の適切な焼付け,硬化又はその両方に要求される広い温度領域で実施可能である。結果としての被覆は,次に塗装される塗膜の付着性を高める耐食性被膜になる。

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 附属書 A(参考)ブラスト処理による鋼板の調整に関する一般的指針

 この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
 
 A.1 適用範囲
 この附属書は,ブラスト処理による鋼板の調整に関する一般的指針についての記述である。
 A.2 一般的指針
 ブラスト処理による鋼板の調整は,冷間圧延鋼板を対象とするものではなく,熱間圧延鋼のさび,黒かわなどを除くのに必要であるとされている。このような目的に以下の一般的指針が示される。
 研削材の寸法及び種類は,処理する鋼の硬さ,表面状態,用いるブラスト処理の種類及び仕上げたい表面外観によって選択する。
 一般試験用には,処理される鋼より堅い材質とし,せん(尖)角(angular),又は準せん(尖)角(sub-angular)の粗粒(grit)を用いる。適切な研削材には,鋼粗粒(steel grit),酸化アルミニウム,ざくろ石(garnet),及び銅スラグ又は石炭スラグがある。使用される研削材の粒子の大きさは,通常 0.5~1.2mmのものとする。
 特定の試験には,他の研削材や寸法を規定してもよい。ブラスト処理研削材の要求事項(注 1)は,ISO 11124 「Preparation of steel substrates before application of paints and related products -- Specifications for metallic blast-cleaning abrasives -- Part 1: General introduction and classification」及び ISO 11126「Preparation of steel substrates before application of paints and related products -- Specifications for non-metallic blast-cleaning abrasives -- Part 1: General introduction and classification,Part 3: Copper refinery slag」 に規定されている。
 ブラスト処理の前に,目視可能な油又はグリースの付着物は,溶剤洗浄,水性洗浄又は他の適切な方法ですべて除く。これらの付着物は除かないと研削材を汚し,その後のブラスト処理板の汚染につながる。とがった縁,又はばりのようなその他の表面欠陥もすべて除く。
 ノズルブラスティングには,清浄で乾燥した圧縮空気を使用する。このためには,水分離器,油分離器,トラップ又はその他の装置が必要となる。ISO 8504-2 「Preparation of steel substrates before application of paints and related products -- Surface preparation methods -- Part 2: Abrasive blast-cleaning」の第 5節に規定されたブラスト処理方法ならどれでも使える(注 2 )。
 圧搾空気研削材ブラスト処理及び遠心力式研削材ブラスト処理はこの目的に有効(注 3 )である。
 最善の結果を得るには,研削材を,処理される表面に 70~90度の角度で,研削材が最適の加速となる距離から当てる。最適な速度及び距離は,使用する研削材の種類による。
 表面が目に見える汚染又は変色が完全にない ISO 8501-1 「Preparation of steel substrates before application of paints and related products−Visualassessment of surface cleanliness−Part 1: Rust grades and preparation grades of uncoated steel substrates and of steel substrates after overall removal of previous coatings 」に規定する表面粗度(grade)Sa 3に相当するブラスト処理模様を示すまで,ブラスト処理を続ける。
 上記で調整した試験板の表面粗度 Rz(凹凸の最大高さ)は,塗られる塗料の推奨塗膜厚の 30%より大きくてはならない。乾式研削材ブラスト処理の後は,ちり及び緩着残さ(渣)を吸引,はけ掃き又は清浄で乾燥した圧搾空気気流での吹き飛ばしによって表面から除く。
 湿式研削材ブラスト処理の後は,表面を新水で洗ってゆるく付着した残さ(渣)を除く。塗料の塗付の前に,圧搾空気又は温風で表面を乾かす。他に合意事項がなければ試験板をブラスト処理後,4時間以内に確実に塗装する。処理した試験板を汚さない。
 ブラスト処理した試験板は,処理後直ちに塗装しないとさびやすい。さびの生成の危険を最少にするため,試験板の温度が環境空気の露点より少なくとも 3℃高くなければブラスト処理板の使用は推奨できない。
 
 注 1 :遊離シリカを含む研削材の使用は,多くの国で規制の対象となっている。
 注 2 : 一部の方法は他のものより低効率で,必要とされる表面を達成するのに時間がかかる。各種方法の効果については,ISO 8504-2を参照。
 注 3 :鋼材は,湿式研削材で処理すると早くさびやすい。一時的にさびの生成を防ぐため,防せい剤を水に加えることが必要となろう。

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 附属書 B(参考)亜鉛及び亜鉛合金被覆の分類

 この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
 この附属書は,市販の幾つかの亜鉛及び亜鉛合金被覆について記述するものである。亜鉛被覆鋼板についての追加情報は,適用されるISO規格から得られる。
 B.1 適用範囲
 この附属書は,亜鉛及び亜鉛合金被覆の種類についての記述である。
 B.1.1 ホットディップ亜鉛被覆品
 (ISO 3575「Continuous hot-dip zinc-coated carbon steel sheet of commercial and drawing qualities」)
 この製品は,通常ホットディップ亜鉛鋼板(溶融亜鉛めっき鋼板と呼ばれる。
 被覆工程には,帯状(sheet)又は切り板状(strip)の冷間圧延鋼の溶融亜鉛浴への浸せきを伴う。溶融亜鉛浴は微量のアルミニウムを含み,それが被覆工程での亜鉛−鉄合金の形成を抑制する。その結果として鋼の切片表面上で実質上純粋な亜鉛被覆となる。特別の手順をとらない限り,亜鉛被覆はシートメタルのエアダクト上に見られるおなじみの模様のように亜鉛結晶の“フルスパングル”模様を現出する。塗膜外観をよくするには,特殊工程で“最少スパングル”,又は“無スパングル”亜鉛被覆ができる。亜鉛被覆質量は,Z 700(700g/m2)まで高められるが,Z 350(350g/m2)又は Z 275(275g/m2)がより一般的である。
 ホットディップ亜鉛被覆は,また,切り板の表裏面で異なる被覆量を付けたり,切り板の片側だけに付けたりできる。
 B.1.2 亜鉛・鉄合金被覆品
 (ISO 3575「Continuous hot-dip zinc-coated carbon steel sheet of commercial and drawing qualities」)
 このタイプの被覆は,しばしば“ガルバニールド”と呼ばれる。この被覆はホットディップ亜鉛被覆した表面を,亜鉛被覆が鋼表面からの鉄と合金化するような方法で加熱又はしごくことで得られる。でき上がった亜鉛−鉄合金被覆はつやのにぶい灰色の外観で,普通のホットディップ亜鉛被覆表面より塗装に適している。標準的な被覆質量は,上限 ZF 180(180g/m2)までの範囲にある。被覆の指定は,切り板両面の合計質量で規定する。
 B.1.3 電気亜鉛被覆品
 (ISO 5002「Hot-rolled and cold-reduced electrolytic zinc-coated carbon steel sheet of commercial and drawing qualities」)
 このタイプの被覆は,しばしば“エレクトロガルバナイズド”とよばれる。このタイプの被覆を作るには,純亜鉛を連続工程で鋼の表面上にめっきする。通常の被覆指定は,ZE 10/10(各面 1.0μm)から ZE 75/75(各面 7.5μm)までの範囲にわたる。被覆の変種としては,格差被覆品(切り板の表裏面で被覆質量が異なる)や片側だけ被覆品と同様,亜鉛−ニッケル及び亜鉛−鉄の合金めっき被覆を含む。
 B.1.4 亜鉛−5%アルミニウム合金被覆品
 (ISO/DIS 14788「 Continuous hot-dip zinc-5% aluminium alloy coated steel sheet」)
 このタイプの被覆は,しばしば“ガルファン”とよばれる。被覆の付け方は,溶融亜鉛浴が約 5%のアルミニウムを含むほかは,ホットディップ亜鉛被覆のそれと同様である。このタイプの被覆は,優れた防せい性と塗装適性をもつ。被覆質量は,上限 700g/m2までの範囲にある。この被覆質量は,帯状又は切り板状の鋼の両面での合計質量を表す。

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