防食概論:塗料・塗装

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         環境因子繰り返し性

 複数の環境因子を組み合わせ,これを繰り返し負荷することで,塗膜の変化(表面特性,ふくれ,割れ,さび)に対する抵抗性を評価する試験である。
 主なものには,塩水噴霧,乾燥,湿潤などの腐食因子を組合せ,防食性能を評価するサイクル腐食性, 濡れた塗膜に対し低温と高温を繰り返すことで,温度衝撃に対する抵抗性を評価する耐湿潤冷熱繰返し性紫外線照射と湿潤の繰り返しで上塗り塗膜の景観性能変化を調べる促進耐候性とに分けられる。
 
 防食塗装用塗料(JIS製品)において,品質項目に“環境因子繰り返し性”を規定するのは,下塗り塗料JIS K 5674 「鉛・クロムフリーさび止めペイント」,及びJIS K 5551 「構造物用さび止めペイント」,中・上塗り塗料JIS K 5516 「合成樹脂調合ペイント」,及びJIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」である。
 下塗り塗料では,防食性能を評価する“サイクル腐食性”が規定されている。中・上塗り塗料では,“耐湿潤冷熱繰返し性”と“促進耐候性”が規定されている。
 ここでは,“サイクル腐食性”を解説し,“促進耐候性”については,別途解説する。なお,“耐湿潤冷熱繰返し性”については概略のみを次の(参考)に示す。
 
 (参考)
 JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」の“耐湿潤冷熱繰返し性”は,景観維持性の評価目的で実施される。試験は,23±1℃水中 18 時間,-20±3℃恒温槽 3 時間,50±3℃恒温槽 3 時間を繰り返し,上塗り塗膜の表面変状(ふくれ,割れ,はがれ,光沢保持率)を評価する方法である。

 

【JIS製品規格での扱い例】

 ここでは,JIS K 5551 「構造物用さび止めペイント」の品質項目“サイクル腐食性”を紹介する。
 
 【試験板】
 試験板は,JIS G 3101 に規定する SS400 の鋼板 150mm×70mm×3.2mm,ブラスト処理したものとする。ブラスト処理条件は,次による。
 除せい度ISO 8501-1 Sa2 1/2以上,研掃材:グリット,表面粗さ:25μmRzJIS
 
 【試験片の作製】
 試験片の枚数は 3 枚とする。
 A 種(反応硬化形エポキシ樹脂系,約 30μmの標準形塗料)の試験片は,次の(試料の塗り方)によって 1 回につき乾燥膜厚 25~35μmとなるよう 2 回塗る。塗装間隔は 24 時間とする。
 B 種(反応硬化形エポキシ樹脂系,約 60μmの厚膜形塗料),及び C 種(反応硬化形変性エポキシ樹脂,又は反応硬化形変性ウレタン樹脂系,約 60μmの厚膜形塗料)の試験片は,乾燥膜厚 55~65μmとなるように,次の(試料の塗り方)の方法で 1 回塗る。
 24 時間後,試験片の裏面,及び周辺に,試験に影響がないように同じ塗料で塗り包み6 日間乾燥後,JIS K 5600-7-7 「促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」の(方法 1 )に規定する促進耐候性試験機によって,JIS K 5600-7-7 表 3 (湿潤サイクル試験)のサイクル A の条件で 60 時間照射したものを試験片とする。
 (試料の塗り方)
 試料の塗り方は,試験板の片面に吹付け塗り(エアスプレー塗り) 1 回とする。膜厚は 7 日間乾燥後に測定し,A 種で25~35μm,B 種,及び C 種で 55~65μmになるようにする。
 膜厚の測定方法は,JIS K 5600-1-7 「膜厚」に規定する方法 No.6 (磁気法)又は No.7 (渦電流法)による。
 
 【試験方法】
 試験方法は,次による。
 1) : 切り込みきずの付け方は,JIS K 5600-7-9 「サイクル腐食試験方法−塩水噴霧/乾燥/湿潤」の(切り込みきずの付け方)による。
 2) : サイクル腐食試験装置(JIS K 5600-7-9 の 5.参照)に試験片を取り付け,JIS K 5600-7-9 の附属書 1 (サイクル D )に示す条件の試験を行う。
 120 サイクル行った後,試験片を取り出して流水で洗い,2 時間置いた後,塗膜を評価する。
 
 【評価,及び判定】
 評価は,目視によって,塗膜のさび,膨れ,割れ,及びはがれの有無を観察する。
 このとき,試験片の周辺約 10mm以内,及び塗膜に付けたきずの両側それぞれ 4mm以内の塗膜は評価の対象から外し,さび汁による汚れも評価の対象外とする。
 判定は,試験片 3 枚のうち 2 枚塗膜にさび,膨れ,割れ及びはがれを認めないとき,“膨れ,割れ及びはがれがない。”とする。

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