防食概論:塗料・塗装

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         塗替え塗装の計画と施工の流れ

 鋼橋の多くは,設計寿命 60年(現在は 100年)で製作されていたが,多くの鋼橋は,適切な維持管理により設計寿命より長期間供用されてきた。例えば,鉄道在来線の鋼鉄道橋では,明治・大正時代に架設され100年を超えるものも少なくない。
 これを支えたのは,鋼橋の健全性度(soundness, integrity)維持を目的に実施されてきた定期的な検査によると考えられる。
 この検査の中では,鋼橋の腐食による健全性低下に至る前に,塗替え塗装や補修・補強の要否判定を行うため,腐食の発生状況や塗膜劣化程度の評価がなされてきた。
 
 塗替え塗装は,新設時塗装とは異なり,橋梁架設個所,すなわち現場で供用しながらの施工となる。このため,架設現況に適した足場を架設し,運用しながら施工するための制約の下で素地調整及び塗り付け作業が行われる。
 運用を確保するために,状況によっては,昼間の作業が困難で,夜間作業が中心となる場合,時間を限定して足場の架設と撤去を繰り返しながらの作業を強いられる場合もある。また,河川上の橋梁では,河川法(River Act)の制約や施工期間が 11月~ 5月などの渇水期(dry season)に指定される場合もある。

塗替え塗装時の作業風景

塗替え塗装時の作業風景

 【参考】
 河川法(River Act)
 日本の国土保全や公共利害に関係のある重要な河川を指定し,これらの管理・治水及び利用等を定めた法律である。
 昭和39年7月10日 法律第167号 第一章 総則(目的) 第一条「この法律は、河川について、洪水、津波、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。」
 渇水期(dry season)
 読み「かっすいき」,雨量が少なく,水源の水が乏しくなる時期。

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 塗替え作業の流れ

    鋼橋における塗替え塗装の一般的な流れは次の通りである。
  1. 塗膜調査(橋梁定期検査)
     橋梁の健全度判定を目的に,橋梁を管理する事業者が実施する定期検査の中で,腐食の発生程度や塗膜の健全性も調査される。
  2. 塗替え塗装設計と発注
     塗膜調査結果,架設環境,各種制約を考慮して,事業者が塗装設計(素地調整種別,塗装系など)を行い,塗替え塗装の施工者(塗装会社)に発注する。
  3. 足場工・防護工
     施工者は,構造物構造や設置環境に配慮した適切な足場工・防護工の設計・施工を行う。
  4. 塗膜詳細調査 ⇒ 防食設計の変更要否判定
     架設された足場を活用して,近接した調査を行い,定期検査時の調査結果と対比し,事業者と施行者とで防食設計の変更について要否を検討する。
  5. 素地調整(施工と管理)
     施行者は,架設環境,塗膜劣化状態,腐食状態に応じた適切な施工と管理を行う。
  6. 塗り付け作業(施工と管理)
     塗装系に規定される適切な施工と管理を行う。管理状況は事業者に報告されるとともに,重要な作業では事業者の立ち合いも求められる。
  7. 塗膜検査(ダメ直し)
     事業者は,塗装された塗膜の状態を調査し,塗膜欠陥等の不具合が発見された場合は,施行者がこれを補修する。
  8. 足場工の解体,補修塗装
     足場を解体し,足場解体による傷等の補修塗装を行う。
  9. 竣工検査
     事業者は,施工状態を確認するために,工事がほぼ終了した時点で,竣工検査(inspection of completion, final inspection)を実施し,設計通りに施工されたかを検査する。
 なお,新設時と異なり,塗装された塗膜の膜厚検査は,素地の不均一・不整により,実務上困難である。このため,塗装面積に対する塗料使用量(空缶検査)で代用するのが一般的である。
 疑義が生じた場合には,JIS K 5600-1-7「膜厚」に規定される破壊試験(destructive testing)を採用することになる。一般的には,2014年版の測定法 6B くさび形切削法 (1999年版では方法 No.5B)が用いられる。

 

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