防食概論:塗料・塗装

 技術用語関連のページ探しは
    “キーワード索引”

 関連機関へのリンク,防食関連書籍は
    “お役立ち情報”

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食・防食とは” ⇒ “塗料・塗装” ⇒

         非鉛系さび止めペイント

 従来からの JIS製品規格「一般さび止めペイント」は,安価でそこそこの防食を期待できるため,各分野での利用実績の多い非鉛系のさび止めペイントである。
 鉛・クロム系顔料の使用を規定していない「一般用さび止めペイント」は,古くから用いられてきた。しかし,鉛丹さび止めペイントなどの鉛系さび止めペイントに比較し,防食性能が劣るため,長期防錆を期待する鋼構造物防食には積極的に用いられていなかった。
 そこで,鉛丹さび止めペイントなどの鉛系さび止め顔料を用いた塗料規格の廃止(2008年)に伴い,鋼構造物防食に適用可能な代替品として「鉛・クロムフリーさび止めペイント」が規格化された。
 なお,性能的には,鉛系さび止めペイントに比較して劣ると評価する技術者もいる。このため,あえてこの塗料を用いるより,より長期防錆の期待できる塗装仕様を選択する事業者もすくなくない。

【JIS規定の非鉛系さび止めペイント】

  ここでは,JIS規格の「一般用さび止めペイント」,及び「鉛・クロムフリーさび止めペイント」の概要を紹介する。
 
 JIS K 5621:2008「一般用さび止めペイント」
 適用範囲:この規格は,さび止め顔料に鉛系及びクロム系成分を使用しないで,一般的な環境下での鉄鋼製品などのさび止めに用いる一般用さび止めペイントについて規定する。ただし,JIS K 5674 に規定する鉛・クロムフリーさび止めペイントは除く。
 種類:種類は,次によって区分する。
 a) 1種 屋内外における鉄鋼製品に用いるボイル油系さび止め塗料。
 b) 2種 屋内外における鉄鋼製品に用いる有機溶剤を揮発成分とする液状・自然乾燥性のさび止め塗料。
 c) 3種 屋内外における鉄鋼製品に用いる速乾性で,短期間の防せい(錆)性をもつ有機溶剤を揮発成分とする液状・自然乾燥性のさび止め塗料。
 d) 4種 屋内における鉄鋼製品に用いるもので,を主要な揮発成分とする液状・自然乾燥性のさび止め塗料。
 品質


品質(一般用さび止めペイント)
  項   目   1 種  2 種  3 種  4 種
  容器の中での状態    かき混ぜたとき,堅い塊がなくて一様になる。 
  低温安定性(‐ 5℃)    ―    変質しない。 
  塗装作業性    支障がない。 
  表面乾燥性    表面乾燥する。(1種20時間,2種8時間,3種2時間,4種4時間) 
  塗膜の外観    正常である。 
  上塗り適合性    支障がない。 
  耐屈曲性    折り曲げに耐える。( 6mm) 
  付着安定性    はがれを認めない。 
  サイクル防食性    膨れ,さび及びはがれがない。(1,2種 28サイクル,3,4種 20サイクル) 
  加熱残分(質量分率 %)    90以上    70以上    60以上    50以上 
  防せい(錆)性    6か月の防錆性を持つ。    3か月の防錆性を持つ。 
 注 a) 表のダッシュ(―)は,当該試験を適用しないことを示す。

 
 JIS K 5674:2008「鉛・クロムフリーさび止めペイント」
 適用範囲:この規格は,一般的な環境下での鉄鋼製品,鋼構造物などのさび止めに用いる塗料で,鉛フリー及びクロムフリーのさび止め顔料を含むさび止めペイントについて規定する。
 種類:種類は,次とする。
 a) 1種 有機溶剤を揮発成分とする液状・自然乾燥形のさび止め塗料。
 b) 2種 を主要な揮発成分とする液状・自然乾燥形のさび止め塗料。
 品質

品質(鉛・クロムフリーさび止めペイント)
  項   目   1 種  2 種
  容器の中での状態    かき混ぜたとき,堅い塊がなくて一様になる。 
  低温安定性(‐ 5℃)    ―    変質しない。 
  塗装作業性    支障がない。 
  表面乾燥性    表面乾燥する。(8時間) 
  塗膜の外観    正常である。 
  上塗り適合性    支障がない。 
  耐屈曲性    折り曲げに耐える。( 6mm) 
  付着安定性    はがれを認めない。 
  サイクル防食性    膨れ,さび及びはがれがない。(36サイクル) 
  加熱残分(質量分率 %)    75以上    50以上 
  塗膜中の鉛(質量分率 %)    0.06以下 
  塗膜中のクロム(質量分率 %)    0.03以下 
  防せい(錆)性    防錆性を持つ。(24か月) 
注 a) 表のダッシュ(―)は,当該試験を適用しないことを示す。

【品質試験一覧】

  JIS規格の各品質項目に対する試験方法は次の通りである。


JIS品質項目の試験方法一覧
  項   目   試験   方法
  容器の中での状態    JIS K 5600-1-1 の 4.1(容器の中の状態) 
  低温安定性(-5℃)    JIS K 5600-2-7 の 4.(低温安定性)
  塗装作業性    JIS K 5600-1-1 の 4.2(塗装作業性) 
  表面乾燥性    JIS K 5600-3-2 
  塗膜の外観    JIS K 5600-1-1 の 4.4(塗膜の外観) 
  上塗り適合性    塗料規格に定める方法 
  耐屈曲性    JIS K 5600-5-1 
  付着安定性    塗料規格に定める方法 
  付着性    JIS K 5600-5-6 
  耐塩水性    JIS K 5600-6-1 
  サイクル防食性    JIS K 5600-7-9 の附属書 1(サイクル D) 
  加熱残分 %    JIS K 5601-1-2,105℃,1時間 
  溶剤不溶物 %    塗料規格に定める方法 
  溶剤不溶物中のシアナミド鉛(PbCN2) %    塗料規格に定める方法 
  溶剤不溶物中の鉛酸カルシウム(2CaO・PbO2)%    塗料規格に定める方法 
  塗膜中の鉛(質量分率 %)    塗料規格に定める方法 
  塗膜中のクロム(質量分率 %)    塗料規格に定める方法 
  防せい(錆)性,屋外暴露耐候性    JIS K 5600-7-6 
 JIS K 5600-1-1「塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 1 節:試験一般(条件及び方法)」
 JIS K 5600-2-7「塗料一般試験方法−第 2 部:塗料の性状・安定性−第7節:貯蔵安定性」
 JIS K 5600-3-2「塗料一般試験方法−第 3 部:塗膜の形成機能−第 2 節:表面乾燥性(バロチニ法)」
 JIS K 5600-5-1「塗料一般試験方法−第 5 部:塗膜の機械的性質−第 1 節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法)」
 JIS K 5600-5-6「塗料一般試験方法−第 5 部:塗膜の機械的性質−第 6 節:付着性(クロスカット法)」
 JIS K 5600-6-1「塗料一般試験方法−第 6 部:塗膜の化学的性質−第 1 節:耐液体性(一般的方法)」
 JIS K 5600-7-6「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 6 節:屋外暴露耐候性」
 JIS K 5600-7-9「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 9 節:サイクル腐食試験方法−塩水噴霧/乾燥/湿潤」
 JIS K 5601-1-2「塗料一般試験方法−第1部:通則−第2節:サンプリング」

 ページのトップへ