防食概論:塗料・塗装

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         促進耐候性

 促進耐候性は,環境因子繰り返し性の一種で,塗料の品質評価では,上塗り塗膜景観性能(耐紫外線性)評価に用いられる。
 促進耐候性と称しているため,短い試験期間で“耐候性”を評価できると誤解されがちであるが,別に紹介する“耐候性”で得られた結果とは相関が低いので注意が必要である。
 
 JIS K 5500 「塗料用語」では, 促進耐候試験とは,“塗膜は屋外にさらされると,日光,風雨などの作用を受けて劣化する。この種の劣化の傾向の一部を短時間に試験するために,紫外線,又は太陽光に近似の光線などを照射し,水を吹き付けるなどして行う人工的な試験。”と定義されている。
 
 塗料のJIS製品規格では,上塗り塗膜に適用し,紫外線分布に特徴のある人工光源を用い,光沢度白亜化の程度,及び色の変化を重視した評価試験法である。すなわち,上塗り塗膜の耐紫外線性を評価する試験法と考えられる。
 よく似た用語の「耐候性」は,別途解説するように“屋外で,日光,風雨,露霜,寒暖,乾湿などの自然の作用に抵抗して変化しにくい塗膜の性質。”を評価する試験法である。
 このように,促進耐候性試験は,耐候性とは目的が異なり,むしろ「耐光性」の定義“顔料及び塗膜の性質。特に色が,光の作用に抵抗して変化しにくい性質。”に近い用い評価試験法と考えられる。
 
 防食塗装用の JIS 製品(塗料)で,品質項目に“促進耐候性”を規定するのは,上塗り塗料の規格JIS K 5516 「合成樹脂調合ペイント」,及びJIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」である。

 

【JIS製品規格での扱い例】

 ここでは,JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」(防食塗装の上塗り塗料)の品質項目“促進耐候性”を紹介する。
 
 【試験板】
 試験板は,大きさ 150mm×70mm×0.8mmの鋼板 4 枚とする。
 
 【試験片の作製】
 試験板の片面にJIS K 5551 「構造物用さび止めペイント」の B 種,又は C 種下塗り塗料)を,乾燥膜厚が 55~65μmになるように吹付け塗りで 1 回塗装し,室内に 1 日放置後,中塗り塗料エアレススプレー塗りで 1 回塗り,更に 1 日放置後,上塗り塗料エアレススプレー塗りで 1 回塗り重ねる。
 1 日後に試験片の裏面及び周辺を製造業者の指定するさび止めペイントで試験に影響がないように塗り包み,6 日間置いたものを試験片とする。
 試験片は,試料・見本品とも2枚ずつとし,試験は,2 枚のうち 1 枚を行い,残りの 1 枚は原状試験片とする。見本品は,塗料見本,社内見本品,及び限度見本とする。
 見本品JIS K 5600-1-8 「塗料一般試験方法−第 1部:通則−第 8 節:見本品」に規定する見本品の区分による。
 
 【試験方法】
 試験方法は,JIS K 5600-7-7 「促進耐候性,及び促進耐光性(キセノンランプ法)」による。ただし,照射時間,及び試験条件は,次による。
 1) 照射時間は,次による。
  1.1) :屋外暴露耐候性の試験結果が得られる前に行う場合には, 1 級: 2000 時間,2 級: 1000 時間,3 級: 500 時間とする。
  1.2) :屋外暴露耐候性の試験結果が得られた後に行う場合には,1級: 500 時間,2,及び 3 級: 300 時間とする。
 2) :試験条件は,JIS K 5600-7-7 の表 1 (方法 1 :キセノンアークランプ),及び表 3 (湿潤サイクル試験)のサイクル A (照射連続,濡れ 18 分,乾燥 102 分)による。ただし,乾燥期間中の相対湿度は 40~60%とする。
 
 規定の照射時間を経過した後,取り出して室内に 1 時間放置し,目視によって塗面を観察する。割れ・はがれ・膨れ・色の変化の程度・光沢保持率・白亜化の等級を調べる。
 
 【評価】
 1) :割れ・はがれ・膨れの有無は,上塗り塗料の促進耐候性を試験した試験片と見本品の促進耐候性を試験した試験片とを目視によって比較し,評価する。
 2) :色の変化の程度を,上塗り塗料の促進耐候試験片と原状試験片とを目視によって比較し,促進耐候試験によって生じた色の変化を調べる。次に見本品について同様に比べ,更に,試料と見本品との変化の大小を比べる。
 3) :上塗り塗料の促進耐候性試験を実施した試験板の,鏡面光沢度の測定を行い,光沢保持率を求める。
 4) :上塗り塗料の促進耐候性試験を実施した試験板の,白亜化の等級を,JIS K 5600-8-6 「白亜化の等級」によって評価する。
 
 【判定】
 判定は,評価結果に基づいて,塗膜に,割れ・はがれ・膨れがなく,色の変化の程度が見本品と比べて大きくなく,更に白亜化の等級が 1,又は 0 であって,かつ各等級によって光沢保持率が次の条件を満たしたとき,1 級は,“照射時間 2000 時間の促進耐候性試験に耐える。”,2 級は,“照射時間 1000 時間の促進耐候性試験に耐える。”,3 級は,“照射時間 500 時間の促進耐候性試験に耐える。”とする。
 光沢保持率の条件
 ( )内は屋外暴露耐候性の結果が得られた後で試験する場合の照射時間と光沢保持率
 1 級: 80%以上(500 時間,90%以上)
 2 級: 80%以上(300 時間,90%以上)
 3 級: 70%以上(300 時間,80%以上)

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