JIS K 5600_1_1

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「塗料一般試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」
Testing methods for paints−Part 1: General rule−Section 1: General test methods (conditions and methods)

 【JIS規格の目次】(ここでは赤字の項目を説明)
 1適用範囲,2引用規格,3試験の一般条件(3.1試験の場所,3.2共通事項3.3試験片の作製),4一般試験方法(4.1容器の中の状態,4.2塗装作業性,4.3乾燥時間,4.4塗膜の外観)
 
 【適用範囲】
 塗料及び塗膜の品質を評価する際の,試験の一般試験条件及び一般試験方法について規定する。
 一般試験条件では,試験場所の環境条件,試験に用いる器具,薬品,試験装置及びその管理,測定値の処理法,試験片の作製方法(試料の取り扱い,試験板の固定,塗り方,試験片の養生・乾燥方法,及び試験片周辺の処理など)を規定している。
 一般試験方法では,品質項目のうち,一般的な“容器の中の状態”,“乾燥時間”,及び“塗膜の外観”について,試験方法及び評価方法を規定している。

 

 【試験の一般条件】

 試験を行う場所の条件
 一般状態
  一般状態の試験及び場所とは,常温 (5℃~35℃) で直射日光を受けず,試験に影響を与えるガス,蒸気,ほこりなどが少ない室内をいう。
 標準状態の試験及び養生の場所は,JIS K 5600-1-6「塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 6 節:養生並びに試験の温度及び湿度」による。
 
 吹付け塗りの場所
 吹付け塗りの場所は,温度 20±5℃,湿度 78%以下の場所をいい,試験を行うたびにそれらの記録を取り,以降の試験の参考にする。
 約0.7m/sの風速で排気しているスプレーブースの中で塗るのが望ましい。

 

 【共通事項】

 試験に用いるガラス器具・材料及び試薬,試験装置など並びにその管理方法,測定値の処理方法,製品規格の規定条件などの共通事項については,次の通りとする。
 
 試験に用いる器具,材料及び試薬 試験に用いる器具,材料及び試薬
 a) ガラス器具
 JIS R 3503「化学分析用ガラス器具」に規定する化学分析用ガラス器具を用いる。JIS R 3505「ガラス製体積計」に規定するガラス製体積計を用いる。
 
 b) 材料
 JIS K 5600-1-4「塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 4 節:試験用標準試験板」に規定する試験用標準試験板,JIS R 6251「研磨布」に規定する研磨布,JIS R 6252「研磨紙」に規定する研磨紙,JIS R 6253「耐水研磨紙」に規定する耐水研磨紙,JIS Z 1522「セロハン粘着テープ」に規定するセロハン粘着テープを用いる。
 
 c) 試薬
 それぞれの日本工業規格に規定する最上級のものを用いる。なお,脱イオン水は,導電率1μs/cm以下のものを用いる。
 
 試験装置などとその管理方法
 a) 試験装置
 試験装置(設備,機械,器具など)は,原則として次に示す日本工業規格に規定するものを用いる。
 JIS B 7410「石油類試験用ガラス製温度計」に規定する石油類試験用ガラス製温度計,JIS B 7502「マイクロメータ」に規定する外側マイクロメータ,JIS B 7525「密度浮ひょう」に規定する密度浮ひょう,JIS B 7601「上皿天びん」に規定する上皿天びん,JIS B 7751「紫外線カーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機」に規定する紫外線カーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機,JIS B 7754「キセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機」に規定するキセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機,JIS B 9809「スプレーガン」に規定するスプレーガン,JIS Z 2371「塩水噴霧試験方法」に規定する塩水噴霧試験方法の塩水噴霧試験装置,JIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」に規定する色の測定方法−反射及び透過物体色,JIS Z 8741「鏡面光沢度-測定方法」に規定する鏡面光沢度−測定方法の鏡面光沢度測定装置を用いる。
 
 b) 恒温器
 恒温器は,緩やかに換気ができる電気恒温器で,その容積は内部に入れる塗面100cm2に付いて20リットル以上とする。恒温器に試験片を入れてから,5分間以内に規定した温度になるように調節できるものでなければならない。
 
 c) 試験装置の管理方法
 試験に用いる装置(設備・機械・器具など)は,その機能及び精度を適切に維持,管理するため,それぞれの点検項目,点検方法(校正方法),点検基準(許容範囲),点検時間(周期)などを定めた管理基準を設けて,管理しなければならない。
 試験装置などの管理基準の例としては,財団法人日本塗料検査協会が定めた“塗料検査設備の管理・取扱基準”がある。
 
 測定値の処理方法
 測定値の処理方法は,JIS Z 9041「測定値の処理方法」による。

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 【試験片の作製】

 試料から塗膜を作製するときの試験板への塗り方及び塗膜としての試験を行うための乾燥・保持などの方法について規定する。
 試料試験板に塗って作ったものを試験片という。試験片を作るときは,試験板を固定又は保持して,規定の方法で塗装して乾燥させ,さらに養生の必要な場合は,試料の製品規格に規定する時間だけ引き続き保持する。
 試験するときに,試験片の周辺及び裏面に影響を受けるおそれがある場合には,規定の塗料又は材料でその部分を塗り包む
 
 試料の準備
 試料は,試験の都度,よくかき混ぜて一様にした後,直ちに用いる。試料に皮が張っているときは,皮を取り除く。
 液状の塗料の場合,皮が薄く取り除きにくいとき,又は塗料の中に皮が混入しているときは,初めに中身をかき混ぜて,一様にしてから JIS Z 8801「試験用ふるい」に規定する標準ふるい500μmでふるい分けて試験に用いる。
 
 試料の混合
 幾つかの成分に分けて,別々の容器に入れて一組にした試料の場合には,試料の製品規格に規定した割合及び方法で混合する。
 混合物は,製品規格に規定するポットライフの時間の範囲内に使用しなければならない。
 
 試料の薄め方
 試料を薄めるときは,試料をかき混ぜながら,薄め液又はシンナーを少しずつ加えて一様にする。
 薄め液又はシンナーは,試料の製品規格に規定するものを用い,試料の製品規格に規定した粘度になるように薄める。ここで得られた試料と薄め液又はシンナーとの割合は質量比で記録しておく。
 
 塗装するときの試験板の固定
 塗装するときの試験板の固定は,次の通り行う。
 a) 試験板が動くときは,適当な方法で試験板を挟んで固定するか,はり付けて固定する。
 b) 試験板の寸法が 200×150mm より小さく,手で持って塗る場合,又は試験板の両面に塗る場合は,短辺の一方を指で挟むか又は器具で締め付けて固定し,固定した辺は幅約 10mm を塗り残す
 両面に塗る場合は,塗り残しの一辺以外は縁まで塗り包むようにする。

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 【吹付け塗り】

 塗り方
 試験板に試料を吹き付け塗りするときの塗り方は,試料の製品規格の規定に従う。
 塗るときの環境条件・塗り方及び試験板の固定・保持は,表に示す。


塗るときの環境条件・塗り方と試験板の固定・保持
  条件   0.1m2以上の試験板  0.1m2未満の試験板
  試料を塗るときの試験板の固定及び保持方法    長辺を水平に,短辺をほぼ垂直に立てる。    なるべく長辺を垂直に立てる。 
  塗るときの環境条件    温度20±5℃,湿度78%以下,風速0.7m/s 以下。 
  塗り方    1. 長辺に平行。
 2. 2回以上塗り重ねるときは前回の塗り方向に対して直角にする。
 3. 板の各辺の外側 10cm 以上までが均等に塗り付けられるように吹き付ける。
 4. 各回とも,行間の塗り重ねは塗り幅1/3になるようにする。 
  左の方法に準じて塗膜が均等な厚さになるように注意する。 
  塗り終わってからの試験試験片の保持    長辺を水平に,短辺を水平に対して約85度にして立てる。    1. 水平に置く。
 2. 液に浸す試験片は, 浸す際の上端を下に固定して立てて置く。 

 a) 装置
 スプレーガンは, JIS B 9809「スプレーガン」 に規定するものから,その試料に適したものを選ぶ。
 
 b) 塗膜の厚さの測定
 塗膜の厚さは,JIS K 5600-1-7 「塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 7 節:膜厚」によって測る。
 
 c) 試料の準備
 試料は,製品規格に規定した粘度に薄めて,必要があれば,ふるい,吉野紙(古くから漆のろ過に用いられていたコウゾを原料とする薄手の和紙)などを用いて,ろ過して容器に入れる。
 
  d) スプレーを行う場所
 スプレーを行う場所は,前述の「 試験の一般条件」で示した条件 による。
 
 e) スプレーガンの種類及び吹付け条件
 スプレーガンの種類・ノズル口径・吹付け空気圧力・試験板とスプレーガンとの距離などは,塗り付け操作がよい状態で行われるように,その試料に適したものとする。
 
 f) 塗り方
  1) 試験板の面積が 0.1m2以上の場合には,試験板の 長辺を水平に,短辺をほぼ垂直になるように 立て掛けて,試料をスプレーガンで吹き付けて均等に塗る。
 試験板に試料を塗るには,空気キャップを試験板の面に向け試験板との距離を 20cm~25cm の範囲に保ち,スプレーガンを試験板の 長辺に平行に等速に動かす
 この間,スプレーガンから出る塗料の霧の主方向は,常に試験板の面に直角になるようにする。
 また,霧の断面は,だ円パターンが出るようにして,だ円パターンの長径は,スプレーガンを動かす方向に直角になるようにしながら,試験板の周辺から外へ,それぞれ幅 10cm以上の部分までが均等に塗られるように,また 各行の重ね合せが互いにパターン開きの 1/3 になるようにスプレーガンを動かす。
 吹付け塗りで何回か重ねて塗り付ける場合は,毎回のスプレーガンを動かす方向は前回の方向に対して,それぞれ常に直角になるようにする。ただし,短辺に平行に塗るときは,塗料の霧の垂直断面が横長のだ円形に均等に出るように,空気キャップを調節する。
 
  2) 試験板の面積が 0.1m2未満の場合は,スプレーガンの選び方,試験板の立て方,スプレーの方法,スプレーガンを動かす方向などは,1)の規定に従わなくてもよい。
 例えば,試験板の長辺を垂直に固定する場合もある。
 
 g) 試験片の養生
 塗り終わった試験片は,標準状態に保った場所に移し,0.1m2以上の試験片は 長辺を水平に,短辺を水平面に対し約 85 度になるように立て掛け,0.1m2未満の試験片は塗面を上向きにして水平に置く。ただし,液に浸す試験片は,浸すときの上端を下にして立てておく。
 
 乾燥方法
 a)自然乾燥の場合
 JIS K 5600-1-6「塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 6 節:養生並びに試験の温度及び湿度」 による標準状態で乾燥する。
 乾燥時間及び養生時間は,試料の製品規格の規定による。
  b)焼付乾燥の場合
 前述の恒温器で乾燥する。焼付温度及び焼付時間は試料の製品規格の規定による。
 
 試験片の周辺塗り包み及び保持
 a) 周辺塗り包み
 液に浸して試験する試験板に試料を塗るには,試験板がガラス板のときは片面に,ガラス板以外のときは両面に試料を塗るか,又は表面に試料を塗り,裏面は試験液の影響を受けず,試験に影響を与えない外の塗料又は材料で周辺を塗り包む
  塗り包みのときの塗り重ねの幅は約5mmとする。
 
 b) 試験片の保持
 試験片を立て掛けて保持するには,試験片立てに立て掛けるか,又は器具で締め付けて立てる。  
 両面を塗った試験片を水平に固定するには,塗り残しの辺を器具で締め付けておく。

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 【一般試験方法:容器の中の状態

 要旨
 容器の中の塗料が使用に適する状態になるかを,へら又はなどでかき混ぜたときの触感によって調べる。
 
 操作及び評価
 a) 液状塗料の場合
 容器の口を開き,表面に皮が張っている場合は,これを取り除いた後,へら又は棒などで中身をかき混ぜて調べる。
 容器の底に成分の一部が沈んでいても,特に堅い塊がなく,底の部分を少しずつこすって沈殿を溶きほぐしてからかき混ぜ,中身全体が容易に一様になるときは“かき混ぜたとき,堅い塊がなくて一様になる”とする。
 ただし,分散媒中にゲル相・固体相を分散した形の合成樹脂エマルション模様塗料などの場合には,分散されているゲル粒子・固体粒子などの大きさと分散密度も含めて一様になるかどうかを調べるものとする。
  b) ペースト状塗料の場合
 容器の口を開き,表面に皮が張っている場合は,これを取り除いた後,へら又は棒などを差し込んで,動かして中身の状態を探ってみる。
 中身が軟らかくて塊が感じられず,およそ一様であれば,“塊がなくて一様である”とする。液状成分が上層に分離していても,中身全体をかき混ぜて一様になるときは,同様に“塊がなくて一様である”とする。
 
 c) 固形分が分離しやすい塗料の場合
 容器の口を開き,表面に皮が張っている場合は,これを取り除く。次に底に沈んだ成分をへら又は棒などで練り混ぜて一様になるかどうかを調べる。この操作で,底に沈んだ成分が一様になるときは,“練り混ぜれば一様になる”とする。

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 【一般試験方法:塗装作業性

 要旨
 試料を製品規格に規定する方法で塗装して,塗装作業に支障がないかどうかを調べる。
 
 器具及び材料
 a) 塗装器具
 試料の製品規格に規定するものを用いる。
 b) 試験板
  製品規格に規定していない場合は,鋼板 (500×200×1mm) を用いる。
 操作
 a) 1回塗りの場合
 製品規格に規定する条件及び “塗り方” によって試験板の片面に,規定の塗り付け量になるように塗って,塗装作業性に支障がないかどうかを調べる。
 この試験片は,試料の製品規格に規定する条件で乾燥・保持した後,「塗膜の外観」の試験又は2回塗りの「塗装作業性」の試験に用いる。
 
 b) 2回塗りの場合
 1回塗りした試験板を用い,1 回塗りの場合と同様に試料を塗って,塗装作業に支障がないかどうかを調べる。
 この試験片は,試料の製品規格に規定する条件で乾燥・保持した後,2回塗りの「塗膜の外観」の試験に用いる。
 
 評価
 製品規格に規定する条件で試料を塗って,塗装作業に特に困難を感じないときは,塗り方に応じて“塗装作業に支障がない”又は“ 2 回塗りで塗装作業に支障がない”とする。

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 【一般試験方法:乾燥時間

 要旨
 塗料が塗り付けられた後,粘着性を失い,塗膜を形成するまでの乾燥時間を求めて,乾燥の速さの程度を調べる。
 
 装置及び器具
 a) 恒温恒湿室 標準状態の温度23±2℃及び相対湿度50±5%に保持できるもの。
 b) 恒温器 製品規格に規定する温度範囲内に保持できるもの。
 c) 低温恒温器 5±1℃に保持できるもの。
 d) 試験板 試験板の寸法は,200×100mmで,製品規格に規定する材質のもの。
 
 試験片の作製
 試料を試験板の片面に「塗り方」に規定する方法及び試料の製品規格に規定する方法で塗装したものを試験片とする。
 
 操作
 a) 常温乾燥
 試験片の塗面を上向きに,板を水平に,ほこりが付かないようにして標準状態で規定の時間乾かし,乾燥の程度を調べる。
 
 b) 低温乾燥
 試験片の塗面を上向きにして,直ちに温度5±1℃の低温恒温器に水平に入れて製品規格に規定する時間乾燥し,低温恒温器から取り出して,標準状態に20分放置してから乾燥の程度を調べる。
 
 c) 加熱乾燥
 試験片の塗面を上向きに板を水平に,ほこりが付かないようにして室内に製品規格に規定する時間置き,あらかじめ規定する温度に調節した恒温器の中に,水平に入れて,規定の時間焼き付けし,恒温器から取り出して,室内で1時間放冷してから乾燥の程度を調べる。
 
 評価
 製品規格に規定する乾燥時間を過ぎたとき,次のいずれかの方法によって乾燥の程度を調べる。
 a) 指触乾燥
 塗面の中央に指先で軽く触れて,指先が汚れない状態。
 b) 半硬化乾燥
 塗面の中央を指先で静かに軽くこすって塗面にすり跡が付かない状態。
 c) 硬化乾燥
 塗面の中央を親指と人差指とで強く挟んで,塗面に指紋によるへこみが付かず,塗膜の動きが感じられず,また,塗面の中央を指先で急速に繰り返しこすって,塗面にすり跡が付かない状態。

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 【一般試験方法:塗膜の外観

 要旨
 塗膜の外観が,正常であるかどうかを目視によって調べる。
 
 見本品
 見本品は,製品規格に規定する塗料見本又は塗膜見本とする。
 
 試験片の作製
 試料の製品規格に規定する塗装作業性の試験を行い,製品規格に時間が規定されていないときは,試料を塗り終わったときから,乾燥時間を半硬化乾燥で調べる塗料で48時間,硬化乾燥を調べる塗料で24時間,加熱乾燥の塗料では加熱し終わってから30分間放置したものを試験片とする。
 見本品が塗料見本のときは,同様に試験片を作製する。
 
 操作
 拡散昼光のもとで,見本品の塗面と試験片の塗面とを比べ,試料の製品規格で規定する観察項目について調べる。
 
 評価
 塗膜の外観を目視観察し,製品規格の品質規定(例えば,割れ・はがれ・膨れを認めず,色・つや,平らさ,流れ,つぶ,しわ,むら及び穴の程度が見本品に比べて差異が大きくないなど)に適合したときは,“塗膜の外観が正常である”とする。

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