防食概論塗装・塗料

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 ここでは,塗膜の耐久性評価に用いられる 耐中性塩水噴霧性について【耐塩水噴霧性とは】, 【耐中性塩水噴霧性】, 【塩水噴霧試験方法】 に項目を分けて紹介する。

 塗膜の評価(塗膜耐久性;耐塩水噴霧性)

 耐塩水噴霧性とは

 耐塩水噴霧性(resistance to salt spray test)とは,塩水噴霧試験に耐える性質と理解されている。
 塩水噴霧試験(salt spray test)
 ○ 試験槽内に試験片を置いて,塩化ナトリウム水溶液を霧状にして吹き込み,金属材料の耐食性,被覆材料などの防食性を調べる試験。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 ○ 5%塩化ナトリウム水溶液を 35℃に保って噴霧させた試験装置内へ試験片を静置して,さび,膨れなどの発生状態を調べる試験。めっき,塗覆装などの表面処理を施したもの,ステンレス鋼などに用いられる。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】
 ○ 溶射された試料を食塩水の噴霧中に暴露して,さび,膨れ,はく離などの状態を調べる試験。【JIS H8200「溶射用語」】
 ○ 塩水を噴霧した雰囲気中において皮膜の耐食性を調べる試験。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】
 ○ 食塩水溶液を噴霧状にして吹きこんだ器中に試験片を入れて金属材料,被覆金属材料,塗装金属材料などの防食性を評価する試験。【JIS K5500「塗料用語」】
 
 基本的には,塩化ナトリウム水溶液を連続的に噴霧し,塩化ナトリウム水で表面が薄く覆われた状況下での金属の腐食進行に対する抵抗性を評価するのが目的である。
 元来は,金属の腐食性の評価,被覆材料の防食性の評価を目的とした試験のため,例えば,塗装試験片では,塗膜に素地に達するを導入し,傷部周辺での金属の腐食進行に対する抵抗性の評価を目的に実施する例も多い。
 
 塩水噴霧試験は,技術分野により用いる噴霧液が異なり,防食塗装に用いられる塗膜の耐久性試験では中性の食塩水(塩化ナトリウム水)を用いた試験( JIS K5600-7-1 「耐中性塩水噴霧性」)を採用している。
 他に,後述のJIS Z2371 「塩水噴霧試験方法」で紹介するように,噴霧液の腐食性を高めるため塩以外の成分を添加した各種試験がある。
 
 【参考】
 中性塩水噴霧試験(neutral salt spray test, NSS test)
 塩水噴霧試験装置などを使用して,中性の塩化ナトリウム溶液を噴霧した雰囲気において,耐食性を調べる試験。【 JIS Z2371「塩水噴霧試験方法」】
 酢酸酸性塩水噴霧試験(acetic acid salt spray test, ASS test)
 塩水噴霧試験装置などを使用して,酢酸を添加した酸性の塩化ナトリウム溶液を噴霧した雰囲気において,耐食性を調べる試験。【 JIS Z2371「塩水噴霧試験方法」】
 キャス試験(copper accelerated acetic acid salt spray test, CASS test)
 塩水噴霧試験に用いる塩化ナトリウム水溶液に,少量の酢酸及び塩化銅(Ⅱ)を添加し,腐食性を高めた試験。【 JIS Z0103「防せい防食用語」】
 塩水噴霧試験装置などを使用して,酢酸を添加した酸性の塩化ナトリウム溶液に,さらに,塩化銅(II)二水和物を加えた溶液を噴霧した雰囲気において,耐食性を調べる試験。【 JIS Z2371「塩水噴霧試験方法」】
 5%塩化ナトリウム水溶液に酢酸と塩化第二銅を添加した溶液を49℃に保って噴霧させた試験装置内へ試験片を静置して差にの発生状態を調べる試験。塩水噴霧試験の腐食条件を過酷にした試験方法で,主としてめっきの耐候性加速試験として用いられるが,ステンレス鋼などにも用いられる。【 JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】

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 耐中性塩水噴霧性

 JJIS K 5600-7-1「塗料一般試験方法−第 7部:塗膜の長期耐久性−第 1節:耐中性塩水噴霧性」(Testing methods for paints−Part 7 : Long-period performance of film−Section 1 : Resistance to neutral spray)
 序文(抜粋)
  この規格は,1984 年に第 1 版として発行された ISO 7253(Paints and varnishes – Dtermination of resistance to neutral salt spray)を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
 塩水噴霧の作用に対する塗膜の抵抗性他の環境における腐食に対する抵抗性とは直接の関係はほとんどない
 これは保護膜の生成のような腐食の進行に与えるいろいろな因子のそれぞれの効果が試験条件とは大きな差があるからである。
 したがって,試験によって得られた結果は,その試料が使用されるすべての環境での腐食抵抗性の直接指標になるものではない
 また,試験での異なった試料の性能は,海洋暴露のような厳しい条件の下でも,それらの塗料の腐食抵抗性の比の直接指標にしてはならない
 それにもかかわらず,この方法は,塗料,又は塗装系の品質のチェックとして意味のあるものである。
 適用範囲
 この規格は,塗料,又は製品の仕様の要求に従って,塗膜の中性塩水噴霧試験に対する抵抗性を決定する方法について規定する。
 試験溶液(要約)
 塩化ナトリウム(NaCl)を蒸留水,又は脱ミネラル水に溶解して濃度 50±5g/リットル(約 5%濃度)に調製する。
 作製した溶液の pH(水素イオン濃度指数;potential hydrogen)が 6.0~7.0 の範囲から外れた場合には,使用した塩,水の純度を確認する。
 塩溶液の pH は,試験槽の中で採取された噴霧溶液 pH 6.5~7.2 の間になるように調整する。
 補正が必要なときには,分析試薬級の塩酸(HCl)か水酸化ナトリウム(NaOH)の溶液を添加して行う。
 備考:溶液を噴霧したときに二酸化炭素の濃度変化で pH が変動する。このような変化は,例えば溶液の装置の中に入れる前に約 35℃に加温するか,又は溶液を調製するとき新しく煮沸した水を使うと防げる。
 参考二酸化炭素(CO2が溶解度(solubility)に達した水溶液(飽和水溶液)の PH は概ね 5.6 の弱酸性である。日本では,pH 5.6 を下回る雨を酸性雨と定義している。
 装置(概要)
 装置は次の部分からなっている。
 ● スプレーキャビネット
 キャビネットの容積は,噴霧の分布の一様性の確保のため, 0.4m3以上とする。なお,2m3 より大きな容積のキャビネットは操作しにくい。
 天井又はふたは水平線から 25度以上の角度の傾斜を付けて,そこに集まった液滴が試験板の上に落ちないようにする。
 ● 熱の供給及び調節
 キャビネットとその内容物の温度は,キャビネットの中に設置した壁から少なくとも 100mm離れているか,又はキャビネットの上の水のジャケットの中に設置したサーモスタットによって制御する。
 ● 塩溶液の噴霧
 一つ,又はそれ以上のアトマイザー(噴霧器)へ,ろ過器を通し 70から 170kPaに加圧したの圧縮空気を供給する。
 噴霧液滴の蒸発を防ぐために,空気はアトマイザーに入る前にキャビネットの温度よりも数℃高い温度の水の入っている飽和塔を通して加湿する。
 備考:キャビネットの中の圧力上昇を防ぐために,装置は実験室の外の雰囲気に通気させるのが普通である。
 ● 集液装置
 集液装置はキャビネットの中で,試験片が置かれている区域に置く。一つはスプレーの入口近くに,もう一つは入口から離して,少なくとも2個を用いる。
 試験片の作製(概要)
 ● 試験板
 特に規定又は合意事項かなければJIS K 5600-1-4「試験用標準試験板」に規定されたみかき鋼板で約 150mm×100mmのものとする。
 ● 調整及び塗装
 特に規定がなければJIS K 5600-1-3「試験用試料の検分及び調整」に従って,試験板を調整し,試験する製品又は多層塗装系で規定された方法で塗る。
 備考:背面と端部の塗装は,試験しようとしている試料,又はより腐食抵抗性の強いものとすべきである。
 ● 乾燥及び状態調節
 塗装した試験板は,規定された時間,規定された条件で乾燥(又は焼付け及び養生)する。特に指定がなければ,23±2℃で相対湿度 50±5%で最低 16時間,空気の自然循環下で,直射日光に当たらないようにして状態調節する。
 ● 塗膜の厚さ
 JIS K 5600-1-7「膜厚」に述べてある非破壊法の一つを用いて乾燥塗膜の厚さをマイクロメートル単位で測定する。
 ● スクラッチの付け方
 規定があれば,塗膜に,素地に達するスクラッチ,又は刻印を付ける。特に指定がなければJIS K 5600-5-6 「付着性(クロスカット法)」に規定されている単一刃を用い,スクラッチを付ける場所は試験板のどの端からも少なくとも 20mm以上離れたところとする。
 試験操作(抜粋)
 ● 操作条件
 スプレーキャビネット内部温度 35±2℃,収集装置に集めた溶液の塩化ナトリウム濃度 50±10g/リットルpH 6.5~7.2 ,溶液捕集の平均速度は,最低 24時間以上で測定して,水平捕集面積 80cm2に対し 1~2ml/hでなければならない。
 なお,スプレーした試験溶液は再使用してはならない。
 ● 試験板の試験
 定期検査は 1日に 24時間ごとに 60分を超えてはならない。できるだけ 1日の同じ時間に行う。パネルは乾燥状態にしてはならない
 規定の試験期間の終わりに,装置から試験板を取り出し,きれいな水で洗って表面の塩溶液の残りを除く。直ちに試験面の劣化の徴候,例えば膨れ,汚れ,付着性の低下,スクラッチからの腐食のクリープなどを検査する。
 素地を侵されているかどうか調べる必要があれば,規定の方法で塗膜を除去する。

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 塩水噴霧試験方法

 関連の JIS 試験規格として,JIS Z 2371 :2000 「塩水噴霧試験方法(Methods of salt spray testing)」の構成を紹介する。この規格には,参考として,金属表面に付着する腐食生成物の標準的な除去方法が示されている。

 JIS Z 2371 「塩水噴霧試験方法」(Methods of salt spray testing)
 適用範囲
 この規格は,金属材料,及びめっきなどの無機皮膜又は塗膜などの有機被膜を施した金属材料耐食性試験として,中性塩水噴霧試験 (NSS),酢酸塩水噴霧試験 (AASS) ,又はキャス試験 (CASS) を行う場合,必要となる塩溶液,試験装置及び手法(腐食性に関わる装置の再現性の検証方法,試験片,試験条件,試験結果の表し方など)について規定する。
 装置(抜粋)
 塩水噴霧試験に必要な装置は,噴霧塔又は噴霧ノズル,塩溶液貯槽,試験片保持器,噴霧液採取容器などを備えた噴霧室,塩溶液補給タンク,圧縮空気供給器,空気飽和器,温度調節装置,排気ダクトなどで構成し,次による。
 噴霧室 :噴霧室は,噴霧室内の噴霧液及び温度の分布が均一に調整できれば,噴霧室の形及び大きさは任意でよい。ただし,噴霧室の容積が 0.4 m3 よりも小さい場合は,噴霧及び温度の分布に十分注意する必要がある。
 温度制御 :噴霧室内の試験片保持器付近の温度は,中性塩水噴霧試験及び酢酸酸性塩水噴霧試験の場合は 35℃±2℃,キャス試験の場合は 50℃±2℃に保たなければならない。温度の測定は,壁から少なくとも 100 mm以上離した位置とする。
 噴霧装置 :塩溶液を噴霧するための噴霧塔又は噴霧ノズルへ送る圧縮空気は,油及びほこりが除去されており,圧力が 70kPa~170kPa の範囲でなければならない。なお,圧力は,98 kPa±10 kPa に保つことが望ましい。
 噴霧液からの水の蒸発を防ぐために,圧縮空気は,加湿器又は空気飽和器の中を通過させて加湿しなければならない。
 噴霧液採取容器 :噴霧液採取容器は,採取面が直径 100mmで水平採取面積約 80cm2 の清浄な容器とし,噴霧の均一性が確認できるように 2か所以上に置く。
 試験片の調整(抜粋)
 試験片の寸法及び形状は,150 mm×70 mm×1 mm の平板が望ましい。
 a) 無機皮膜又は有機被膜で被覆した製品から試験片を切り出す場合には,皮膜又は被膜が試験片の端面周辺で破損しないように切り出さなければならない。
 b) 試験片は,あらかじめ表面の状態及び汚れに応じた適切な方法で清浄にしておかなければならない。
 試験片の表面を損なうような研磨剤又は溶剤を用いてはならない。ただし,金属及び金属皮膜の試験片は,ペースト状の沈降性炭酸カルシウム,酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムからなる研磨剤を用いてもよい。また,試験片を処理した後,再び汚さないようにしなければならない。
 c) 無機皮膜又は有機被膜で被覆した試験片は,試験前に洗浄又は他の処理をしてはならない。ただし,試験に影響を及ぼさないように,指紋,油などの付着物は除去してよい。
 d) 損傷部からの腐食の進行を測定することが必要な場合には,試験前に素地金属が露出するように,皮膜又は被膜に切り込みきずのような人工きずを作る。この場合,切り込みきずの作り方は,受渡当事者間の協定による。
 e) 塗膜などの有機被膜をもつ試験片を用いる場合において,受渡当事者間の協定がないときは,附属書 C(塗膜などの有機被膜をもつ試験片の作製)によって試験片を作製する。
 試験用塩溶液
 塩溶液の調製方法は,次による。
 a) 塩 : JIS K 8150 「塩化ナトリウム(試薬)」に規定する特級の塩化ナトリウム,又は同等以上とする(注)。
 b) 水 : 25±2℃で電導率 20μS/cm以下の脱イオン水,又は蒸留水とする。なお,電導率を 1μS/cm以下にすることが望ましい。
 c) 調製方法 : 塩を水に溶かして,塩濃度 50±5g/リットルに調製する。
 pH調節
 中性塩水噴霧試験
 試験用塩溶液は,噴霧したときに採取した噴霧液が pH 6.5~7.2 の範囲にあるようにしなければならない。
 pH の調節に際しては,必要によって JIS K 8576 「水酸化ナトリウム(試薬)」に規定する水酸化ナトリウム又は JIS K 8180 「塩酸(試薬)」に規定する塩酸のそれぞれ 0.1mol/リットル水溶液を用いる。
 酢酸塩水噴霧試験
 試験用塩溶液は,噴霧したときに採取した噴霧液が pH 3.1~3.3 になるように,JIS K 8355 「酢酸(試薬)」に規定する酢酸を十分に加える。採取液の pHを規定の範囲に入れるようにするためには,塩溶液の pHを当初 3.0~3.1 に調節すればよい。
 pH の測定は,25±2℃で JIS Z 8802 「pH測定方法」によって行い,必要に応じて酢酸又は JIS K 8576 「水酸化ナトリウム(試薬)」に規定する水酸化ナトリウムを適宜追加して補正をする。酢酸及び水酸化ナトリウムは,0.1mol/リットル水溶液を用いることが望ましい。
 キャス試験
 試験用塩溶液 1リットルにつき,塩化銅(II) 0.205+0.015g( JIS K 8145 「塩化銅 (II) 二水和物(試薬)」 に規定する塩化銅(II)二水和物0.26±0.02g)を加える。次に酢酸塩水噴霧試験に規定する方法によって pH を調節する。
 試験条件(抜粋)
 噴霧室温度 :35℃±2℃(中性塩水噴霧試験,酢酸酸性塩水噴霧試験),50℃±2℃(キャス試験)
 噴霧液の平均採取量 :1.5mL/h±0.5mL/h(中性塩水噴霧試験,酢酸酸性塩水噴霧試験,キャス試験)
 採取噴霧液の pH :6.5~7.2(中性塩水噴霧試験),3.1~3.3(酢酸酸性塩水噴霧試験,キャス試験)
 装置の検証法(抜粋)
 試験結果の再現性及び繰返し性を確認するため,装置を定期的に検証しなければならない。
 中性塩水噴霧試験
 照合試験片: SPCEの冷間圧延鋼板で,150mm×70mm,厚さ 1mm±0.2mm ,つや消し仕上げ(表面粗さ Ra=0.8μm±0.3μm)のものを 4 個。
 腐食減量の測定: 試験を 48 時間行う。試験の終了後,直ちに取り出し,40℃以下の流水で洗浄し,軽くブラシをかけるなどの機械的及び化学的洗浄によって腐食生成物を取り除く。腐食生成物を除去した後,40℃以下の流水で洗浄し,軽くブラシをかけ,次に,エタノールなどの有機溶剤ですすぎ,その後乾燥する。試験片の質量を 1mg の桁まで測定し,質量減をグラム毎平方メートル(g/m2)の単位で表示する。
 装置の検証
 各照合試験片の腐食減量が 48 時間運転で 70g/m2±20g/m2であれば,装置は正常であるものとみなす。
 酢酸塩水噴霧試験
 照合試験片中性塩水噴霧試験と同じ。
 腐食減量の測定: 試験を 24 時間行う。試験の終了後,中性塩水噴霧試験と同様の方法で,試験片の質量を 1mg の桁まで測定し,質量減をグラム毎平方メートル(g/m2)の単位で表示する。
 装置の検証
 各照合試験片の腐食減量が 24 時間運転で 40g/m2±10g/m2であれば,装置は正常であるものとみなす。
 キャス試験
 照合試験片酢酸塩水噴霧試験と同じ。
 腐食減量の測定酢酸塩水噴霧試験と同じ。
 装置の検証
 各照合試験片の腐食減量が 24 時間運転で 55g/m2±15g/m2であれば,装置は正常であるものとみなす。
 試験結果の表し方(抜粋)
 試験結果の表し方は,次の事項から選択する。なお,試験する材料,製品又は部材によって,受渡当事者間で適切な試験結果の表し方を設定してもよい。
 a) 腐食面積 :レイティングナンバ方法によって判定する。
 b) 腐食減量 :試験前の試験片の質量と試験後の腐食生成物を取り除いた試験片との質量を比較して判定する。
 c)  :試験後の試験片表面の腐食生成物を取り除く前の外観
 d)  :試験後の試験片表面の腐食生成物を取り除いた後の外観
 e)  :腐食欠陥の数及び分布(塗膜などの有機被膜の場合は,切り込みきずからのピット,ひび割れ,膨れ,さび,クリープなど)
 なお,塗膜などの有機被膜については,JIS K 5600-8-1,JIS K 5600-8-2 及び JIS K 5600-8-3 に規定されている方法で評価してもよい。
 f)  :腐食の発生までの時間
 g)  :顕微鏡観察によって明らかになった変質
 h)  :引張り強度などの機械的特性の変化
 レイティングナンバ法(抜粋)
 試験片の有効面で,少なくとも 5000mm2 の面積を選ぶ。評価する面を決めるために,50×100mmの窓をもったマスクを用いてもよい。有効面の腐食欠陥の寸法及び数を標準図と比較し,試験片に最も近い標準図のナンバ,例えば,9.8-2,9.5-5 などのように判定する。
 試験結果の表示は,判定したレイティングナンバによって行う。また,腐食面積率レイティングナンバとの関係を,附属書 1 付表 1 に示す。


附属書1付表1 腐食面積率とレイティングナンバの関係
  腐食面積率,A (%)    レイティングナンバ (RN) 
  0.00    10 
  0.02以下    9.8
  0.02を超え0.05以下    9.5
  0.05を超え0.07以下    9.3
  0.07を超え0.10以下    9
  0.10を超え0.25以下    8
  0.25を超え0.50以下    7
  0.50を超え1.00以下    6
  1.0を超え2.5以下    5
  2.5を超え5以下    4
  5を超え10以下    3
  10を超え25以下    2
  25を超え50以下    1
  50を超える    0
 レイティングナンバー(rating number)
 塩水噴霧試験やキャス試験など耐候性加速試験後のさびなどの発生状態を評価する方法の一つ。試験面に占める腐食面積率(%)又は色彩,大きさ及び個数によってレイティングされた標準写真から求める。【JIS G 0202「鉄鋼用語(試験)」】

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