防食概論:塗料・塗装

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         プライマーとは

 プライマー(primer)とは,“塗装系の中で素地に初めに用いる塗料” と定義され,素地の種類や塗装系の種類に応じた各種のものがある。
 例えば,JIS K 5535(ラッカー系下地塗料),JIS K 5552(ジンクリッチプライマー),JIS K 5583(塩化ビニル樹脂プライマー,H21年廃止),JIS K 5591(油性系下地塗料),JIS K 5633(エッチングプライマー),JIS K 5646(カシュー樹脂下地塗料)などがある。
 ここでは,【塗料各論】で紹介した長期防錆型(重防食)塗装で利用される JIS K 5552(ジンクリッチプライマー)と,防食塗装として使用実績が多かったJIS K 5633(エッチングプライマー)を紹介する。
 なお,JIS K 5633(エッチングプライマー)は,【塗料各論】で紹介していないので,種類,機能,付着原理などについても解説する。
 

【JIS K 5552 ジンクリッチプライマー】

 ジンクリッチプライマーは,【塗料各論】ジンクリッチ系塗料とはで解説したように,電気化学的防食作用を与えるのに十分な量の亜鉛粉末を配合した鉄鋼用のさび止め塗料の一種である。
 下塗りに厚膜形ジンクリッチペイントを用いる長期防錆型(重防食)塗装系の一次防せいを主目的とした塗料である。
 ジンクリッチプライマーには,塗膜形成要素として,アルキルシリケート系ビヒクルを用いた無機系ジンクリッチプライマー(1種)とエポキシ樹脂系ビヒクルを用いた有機系ジンクリッチプライマー(2種)とがある。
 

【JIS K 5633 エッチングプライマー】

 エッチングプライマーの用途には,金属素地に対する塗膜の付着性改善のために金属表面を調整(エッチング)する場合,素地調整から本塗装までの間の一時的な防せいを目的とする場合がある。
 一般的には,素地を清浄にした後,直ちに塗り付け,その後にさび止め塗料,上塗り塗料などを塗り重ねて塗装系を構成する金属表面処理用の地肌塗り塗料として用いられる。
 エッチングプライマーは,素地の金属と反応するためのりん酸,又はりん酸とクロム酸塩顔料とを含み,ビニルブチラール樹脂などのアルコール溶液を主なビヒクルとする液状の塗料である。
 荷姿は,成分を分けて主剤添加剤との 2 液とし,使用の直前に混合するのが一般的である。

エッチングプライマー被覆(模式図)

エッチングプライマー被覆(模式図)

 主剤には,ビニルブチラール樹脂( PVB :ポリビニルブチラール)のアルコール溶液にジンククロメート(亜鉛 Zn とクロム酸イオン CrO42- を主成分とする化合物)などを分散した溶液を用い,添加剤にはりん酸水溶液が用いられる。
 主剤と添加剤を混合することで,ジンククロメートとりん酸が反応し,生成したりん酸クロムの錯塩がPVBの水酸基と反応し三次元の網目構造を取り強固な被膜になる。さらに,りん酸塩が金属表面に結合(吸着)し,被膜との結合で有効な防せい被膜(図 参照)を形成すると考えられている。
 JIS K 5633では,金属生地に対する塗装系の付着性を増加する目的で,塗り付けた後,数日以内に次の塗料を塗り重ねるように作ったものを 1種短暴型エッチングプライマー)という。
 鋼板の素地調整後,本格塗装を行うまでの間,一時的に防せい力を付与する目的で,塗り付けた後,数か月以内に次の塗料を塗り重ねるように作ったものを 2種長暴形エッチングプライマー)という。
 近年になり,クロム酸塩(六価クロム)の有害性が注目され,クロム酸塩の代替材料として,ホウ酸塩などを用いたクロムフリーのエッチングプライマーが開発されている。

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