防食概論:塗料・塗装

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         耐候性(屋外暴露)

 JIS K 5500 「塗料用語」では, 耐候性とは,“屋外で,日光,雨風,露霜,寒暖,乾潤などの自然の作用に抵抗して変化しにくい塗膜の性質。”と定義している。
 耐候性の評価は,選定した環境(屋外)に直接暴露し,試験片表面の変化,例えば,さび(表面露出のさび,人工傷部のさび,表面下のさびなど),ふくれ,塗膜割れなどを観察して行われる。
 
 耐候性評価では,選定した暴露地の気象因子環境汚染因子,試験片の形状,暴露開始時期など多くの要因が影響する。
 このため,耐候性の評価では,規定された暴露条件下で,暴露期間中の気象因子が把握されていない限り,異なる暴露地,暴露期間の試験結果を相互比較できないなどの問題もある。
 
 そこで,暴露試験に関しては,塗料試験片の作製や暴露方法について規定するJIS K 5600-7-6 「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 6 節:屋外暴露耐候性」のみならず,JIS Z 2381 「大気暴露試験方法通則」JIS Z 2382 「大気環境の腐食性を評価するための環境汚染因子の測定」などに従い適切に実施しなければならない。
 すなわち,屋外暴露耐候性とは,試験片を単に屋外に曝して置くことを意味していないことに留意しなければならない。

 

【JIS製品規格での扱い例】

 防食塗装用塗料の JIS 製品規格では,何れの塗料規格でも“屋外暴露耐候性”を規定している。
 ここでは,防食塗装に用いる下塗り塗料 JIS K 5551 「構造物用さび止めペイント」の品質項目“屋外暴露耐候性”を紹介する。
 屋外暴露耐候性の試験は,少なくとも 3 年に 1 回は実施する。観察の時期は,試験開始から 12 か月後及び 24 か月後とする。屋外暴露耐候試験の実施及び管理は,JIS K 5600-7-6 「屋外暴露耐候性」の附属書 1 (耐候試験の実施,及び管理)による。
 
 【試験板】
 試験板は,研磨によって調整した大きさが 300mm×100mm×1mmの鋼板を用いる。試験板は 4 枚とする。
 試験板は,JIS G 3141 「冷間圧延鋼板及び鋼帯」に規定する SPCC-SB の鋼板とし,JIS K 5600-1-4 「試験用標準試験板」の(研磨による調整)を行った鋼板を用いる。研磨による調整に用いる研磨紙は,JIS R 6253 「耐水研磨紙」に規定する耐水研磨紙 P280 を用いる。
 
 【試験片の作製】
 試験板 2 枚に,A 種(反応硬化形エポキシ樹脂系,約 30μmの標準形塗料)については,試料をエアスプレー塗りで 24 時間間隔を置いて 2 回塗り,24 時間置いてから,JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」に規定する中塗り塗料を 1 回塗る。このとき,中塗りの乾燥膜厚は,30~35μmとする。
 B 種(反応硬化形エポキシ樹脂系,約 60μmの厚膜形塗料),及び C 種(反応硬化形変性エポキシ樹脂,又は反応硬化形変性ウレタン樹脂系,約 60μmの厚膜形塗料)については,試料をエアスプレー塗りで 1 回塗り,24 時間置いてから,JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」に規定する中塗り塗料 1 回塗る。中塗りの乾燥膜厚は,30~35μmになるようにする。
 塗装後,A 種,B 種,及び C 種は,7 日間置いて試験片とする。
 見本品は,塗料見本,社内見本品及び限度見本品とし,試料を同じ方法によって作製した試験片とする。
 試験片は,試料,及び見本品とも 2 枚ずつとし,2 枚のうち 1 枚を耐候性試験に用い,残りの 1 枚は原状試験片とする。
 なお,試験片の周辺,及び裏面には,試験に供する同一の下塗り塗料を,24 時間間隔をおいて 2 回塗り,試験に影響がないように塗り包んでおく。
 (参考)
 暴露耐候性試験では,下塗り塗料の防食性確認を目的とするため,上塗り塗料を用いない試験片が採用される。しかし,下塗り塗膜のみの試験片では,本来の用い方と異なり,紫外線や環境因子が直接接触することになる。そこで,中塗り塗料で覆った試験片が用いられている。
 
 【試験方法】
 屋外暴露耐候性試験は,JIS K 5600-7-6 「屋外暴露耐候性」の附属書 1 による。ただし,試験期間,及び試験開始時期は,次による。
 1) 試験期間は, 24 か月とする。
 2) 試験開始時期は,4 月,又は 10 月とする。この時期以外に試験を開始する必要が生じた場合には,4 月,又は 10 月以外にも試験を開始することができる。
 
 【観察による評価】
 試料の屋外暴露耐候性試験片,及び原状試験片についてさび,膨れ,割れ,及びはがれ目視によって比較観察し,その差を評価する。
 さらに,見本品と比べてさび,膨れ,割れ,及びはがれ目視によって観察し,その差を評価する。ただし,試験片の周辺,及び端から 10mm以内の塗膜は観察の対象外とする。
 
 【判定】
 試験開始後 24 か月たったときの評価によって,見本品と原状試験片とのさび,膨れ,割れ,及びはがれの評価の差がないときは,屋外暴露耐候性の品質について“さび,膨れ,割れ及びはがれがない。”とする。
 
 【記録の保存期間】
 記録の保存期間は,5 年間とする。記録の項目は,受渡当事者間の協定による。

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