防食概論:塗料・塗装

 技術用語関連のページ探しは
    “キーワード索引”

 関連機関へのリンク,防食関連書籍は
    “お役立ち情報”

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食・防食とは” ⇒ “塗料・塗装” ⇒

         塗替え塗装管理(塗膜除去)

 一般的な塗替え塗装では,活膜を残して,腐食生成物と劣化塗膜を除去する。
 劣化塗膜とは,塗膜はがれに至った旧塗膜,付着性の低下で塗膜はがれ寸前の旧塗膜,付着しているが塗膜割れに至った旧塗膜,付着しているが塗膜割れ寸前まで変質し要求性能を満たさなくなった旧塗膜である。
 これらを残して塗替えた場合には,早期の塗膜割れ塗膜はがれの原因となる。
 塗膜はがれや塗膜割れは,目視で明確に判定できるが,その直前の段階の塗膜老化で性能低下した塗膜は目視で判定できない。この種の塗膜は脆化が進んでいるので,【素地調整】で解説した「活膜の判定」により,塗膜劣化が進んでいるかを確認しながら素地調整する。
 
 劣化塗膜を除去した個所の鋼素地について
 基本的には,腐食に至っていない場合が多いので,除せい度の概念は適用しない。しかしながら,塗替え塗膜と露出した鋼表面との付着性確保のため,鋼素地が黒皮鋼板(1960年代以前の構造物)では,黒皮皮膜の面粗し目的の処理が望ましい。

   ページのトップへ

【劣化塗膜の除去】

 平面部の塗膜除去(活膜を残す)
 塗膜除去では,用いる工具により,次のことに注意しなければならない。
 手工具を用いた作業
 手工具のスクレーパー(力棒),細のみ,鋲かきなどは,塗膜にせん断力を加えながらの作業となるので,活膜の判定を兼ねた素地調整といえる。で比較的容易に除去できる。
 せん断力や衝撃力を与えない動力工具による作業
 該当する工具としては,研磨布を取り付けたディスクグラインダ(ディスクサンダー),カップワイヤーなどである。これらの作業では,劣化塗膜であっても比較的付着力の残っている塗膜は除去できない。これらの工具を用いる場合は,手工具を用いて劣化塗膜と活膜を確認しつつ作業を行うようにしなければならない。
 次には,代表的な素地調整手順を示す。

     基本操作
  1. 活膜の確認
     塗膜割れや塗膜はがれ周辺の一見健全に見える塗膜に,広い面はスクレーパーを用い,狭い個所は鋲かきを用いて,刃を当てがい,塗膜面に斜めに剥ぎ取るつもりで力を加える。
     塗膜が面状での剥離や,小片となりポロポロ剥離するようであれば,劣化塗膜と判断し,その範囲を確認する。
     力を加えても剥離しない場合は,活膜と判断する。
  2. 塗膜除去範囲の確定
     活膜の確認操作を繰り返し,移動せず1回の作業で処理できる範囲の塗膜状態を確認する。
  3. 塗膜除去作業
     活膜の確認範囲を,適切な手工具動力工具を用いて劣化塗膜除去,及び活膜の面粗し作業を行う。

塗膜除去用具の例

塗膜除去用具の例

 広い平面の塗膜全除去
 塗膜割れが密に発生しているなど,ある程度の面積に対し,小面積の活膜部を含めて塗膜を除去しなければならない場合や,塗膜更新目的に旧塗膜を全部除去する場合は,上記の基本操作では効率が悪く,活膜が点々と残る可能性が高い。
 この場合は,活膜の除去能力を有する工具,すなわち衝撃力と強いせん断力を与えられるケレンハンマー,ジェットたがね,ダイヤモンドホイールなどを利用して,概略の塗膜除去後に,スクレーパーやディスクサンダーによる仕上げ作業を行うのが効率的である。
 【参考】
 活膜を意識せずに処理できるので,ブラスト処理の採用を検討するのが良い。さらに,塗膜更新でジンクリッチ系塗料を計画する場合は,鋼素地の粗面化が望ましいので,ブラスト処理が推奨される。
 
 狭あい部,ボルト・ナット部の塗膜除去
 狭あい部,ボルト・ナット部などは平面部用の工具が使用困難なので,狭い個所に対応できるジェットたがね,手工具(ケレンハンマ,鋲かきなど)の併用で処理し,仕上げに金ブラシを用いるのが良い。

 

【活膜の面粗し】

 活膜の表層には,劣化物,汚染物が付着し,塗り重ねた塗膜の付着阻害となる。そこで,表層を薄く削り取り,適度な凹凸を付与する素地調整(面粗しという)が求められる。一般にはディスクサンダー,網状研磨具,サンドペーパーなどが用いられる。

 

 ページのトップへ