防食概論塗装・塗料

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 ここでは,塗膜の耐久性評価に用いられる JIS試験規格について, 【 JIS K(塗膜の長期耐久性)規格一覧】, 【塗膜の長期耐久性関連 JIS Z 規格一覧】 に項目を分けて紹介する。

 塗膜の評価(塗膜耐久性;長期耐久性評価法)

 JIS K(塗膜の長期耐久性)規格一覧

 JIS (日本産業規格,旧日本工業規格;Japanese Industrial Standards)に規格される“塗膜の長期耐久性”関連の試験には,“耐中性塩水噴霧性”,“耐湿性”,“環境因子繰り返し性”,“耐候性”,“促進耐候性”,“サイクル腐食性”がある。関連する JIS K 試験規格は次の通りである。
 
 ● JIS K 5600-7-1: 「塗料一般試験方法−第 7部:塗膜の長期耐久性−第 1節:耐中性塩水噴霧性(Testing methods for paints−Part 7 : Long-period performance of film−Section 1 : Resistance to neutral spray)」
 序文(抜粋)
 塩水噴霧の作用に対する塗膜の抵抗性と他の環境における腐食に対する抵抗性とは直接の関係はほとんどない
 これは保護膜の生成のような腐食の進行に与えるいろいろな因子のそれぞれの効果が試験条件とは大きな差があるからである。したがって,試験によって得られた結果は,その試料が使用されるすべての環境での腐食抵抗性の直接の指標になるものではない
 また,試験での異なった試料の性能は,海洋暴露のような厳しい条件の下でも,それらの塗料の腐食抵抗性の比の直接の指標にしてはならない
 それにもかかわらず,この方法は,塗料又は塗装系の品質のチェックとして意味のあるものである。
 適用範囲
 この規格は,塗料又は製品の仕様の要求に従って,塗膜の中性塩水噴霧試験に対する抵抗性を決定する方法について規定する。
 
 ● JIS K 5600-7-2: 「塗料一般試験方法−第 7部:塗膜の長期耐久性−第 2節:耐湿性連続結露法)(Testing methods for paints−Part 7 : Long-period performance of film−Section 2 : Resistance to humidity (Continuous condensation))」
 適用範囲
 この規格は,塗膜,塗装系及び類似の製品の,高湿度条件に対する耐久性を測定するための方法について規定する。
 この方法は木材,石こう及び石こうボードのような多孔性素地,又は金属のような非多孔性素材に塗装された塗膜に適用できる。この方法は,表面に連続結露が生じるような過酷な条件で得られる,もっともらしい性能の指標を与えるものである。
 この手順によって,塗装の変状(膨れ,汚れ,軟化,しわ,ぜい化などを含む)及び素地の劣化を明らかにすることができるかもしれない。
 
 ● JIS K 5600-7-3: 「塗料一般試験方法−第 7部:塗膜の長期耐久性−第 3節:耐湿性不連続結露法)(Testing methods for paints−Part 7 : Long-period performance of film−Section 3 : Resistance to humidity (Intermittent condensation))」
 適用範囲
 この規格は,塗料及びその関連製品のサンプリング並びに試験を取り扱う一連の規格の一つである。この規格は塗料及び関連製品の単一塗膜あるいは多層塗膜系の断続的な結露に対する抵抗を,標準状態のもとで測定する試験法について規定する。この方法は,多孔性及び非多孔性の素材上の塗膜の試験を含む。
 
 ● JIS K 5600-7-4: 「塗料一般試験方法−第 7部:塗膜の長期耐久性−第 4節:耐湿潤冷熱繰返し性(Testing methods for paints−Part 7 : Long-period performance of film−Section 4 : Humidity and cool-heat cycling test)」
 適用範囲
 この規格は,塗膜が湿潤又は浸せきの状態を経た後,温度変化を受けた場合の塗膜の変化を調べる試験方法について規定する。
 
 ● JIS K 5600-7-6:「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 6 節:屋外暴露耐候性(Testing methods for paints−Part 7 : Long-period performance of film−Section 6 : Natural weathering)」
 適用範囲
 この規格は,塗料及び関連製品のサンプリング方法及び試験を取り扱う一連の規格の一つである。屋外暴露試験は,太陽の放射及び大気に対して塗膜及び塗装系(以下,塗膜という。)の耐久性を測定するために適用する。特別の大気の影響,例えば,工業的な汚染はこの規格に適用しない。
 この規格は,屋外暴露試験の種類,及び屋外暴露試験方法(直接暴露試験又は窓ガラス越しの暴露試験)を選択するのに必要な条件を規定する。
 
 ● JIS K 5600-7-7: 「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 7 節:促進耐候性及び促進耐光性キセノンランプ法)(Testing methods for paints−Part 7 : Long-period performance of film−Section 7 : Accelerated weathering and exposure to artificial radiation (Exposure to filtered xenon-arc radiation))」
 適用範囲
 この規格は,光源としてキセノンアークランプを用いた促進試験装置内で,水及び水蒸気の作用を含めて,促進耐候性試験又は促進耐光性試験によって,塗膜を暴露する方法について規定する。
 この試験方法では,試験前,試験中及び試験後の選択した要因を比較測定することによって,個別に評価することができる。
 この規格は,試験の最も重要な要因及び暴露装置の条件を規定する。
 
 ● JIS K 5600-7-9: 「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 9 節:サイクル腐食試験方法塩水噴霧/乾燥/湿潤(Testing methods for paints−Part 7 : Long-period performance of film−Section 9 : Salt fog/dry/humidity)」
 適用範囲
 この規格は,塩水噴霧・乾燥・湿潤のサイクルに対する塗膜の耐久性を評価する方法について規定する。

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 塗膜の長期耐久性関連 JIS Z 規格一覧

 塗膜の長期耐久性試験と関連する JIS Z 試験規格には次のものがある。
 
 ● JIS Z 2371:塩水噴霧試験方法(Methods of salt spray testing)」
 適用範囲
 この規格は,金属材料,及びめっきなどの無機皮膜又は塗膜などの有機被膜を施した金属材料の耐食性試験として,中性塩水噴霧試験,酢酸酸性塩水噴霧試験及びキャス試験を行う場合,必要となる塩溶液,試験装置及び手法(腐食性に関わる装置の再現性の検証方法,試験片,試験条件,試験結果の表し方など)について規定する。
 警告 この規格に基づいて試験を行う者は,通常の試験室での作業に精通していることを前提とする。この規格は,その使用に関して起こる全ての安全上の問題を取り扱おうとするものではない。この規格の利用者は,各自の責任において,安全及び健康に対する適切な措置をとらなければならない。
 
 ● JIS Z 2381:大気暴露試験方法通則(General requirements for atmospheric exposure test)」
 適用範囲
 この規格は,開放大気環境,及び遮へい大気環境下における工業材料及び工業製品(以下,材料及び製品という。)の化学的性質,物理的性質,及び性能の経時変化を調査することを目的とした大気暴露試験方法の通則について規定する。
 
 ● JIS Z 2382: 「大気環境の腐食性を評価するための環境汚染因子の測定(Determination of pollution for evaluation of corrosivity of atmospheres)」
 適用範囲
 この規格は,大気中の二酸化硫黄(硫黄酸化物),及び大気浮遊塩分(海塩粒子)の付着度を測定する方法について規定する。
 備考 この規格に包含される測定方法は,試験場所の腐食性の特性化に適用する。
 
 ● JIS Z 2383: 「大気環境の腐食性を評価するための標準金属試験片及びその腐食度の測定方法(Standard specimens of metals and alloys, Determination of corrosion rate ofstandard specimens for the evaluation of corrosivity of atmospheres)」
 序文(抜粋)
 ISO 9226 (Corrosion of metals and alloys−Corrosivity of atmospheres −Determination of corrosion rate of standard specimens for evaluation of corrosivity)では,
 “腐食性に関する大気腐食試験場所及び使用地域の特性化は,それぞれの地域において大気に1年間暴露した標準金属試験片の腐食度の測定(直接的な腐食性評価)によって成し遂げられる。
 標準試験片は,6種類の標準構造材料:アルミニウム,銅,亜鉛,鋼,耐候性鋼及びステンレス鋼の平板及びヘリックス試験片である。
 これらの方法は,すべての局地的な環境の影響を考慮に入れ,腐食性評価に関して経済的な方法を表している。”
 と記述している。
 規格の名称を“大気環境の腐食性を評価するための標準金属試験片及びその腐食度の測定方法”とし,規定内容の一部を我が国の実状に即して変更した。
 適用範囲
 この規格は,大気環境の腐食性を評価するための標準金属試験片,及びその腐食度を測定する方法について規定する。
 備考 測定で得られた値(暴露による最初の1年間の腐食度)は,ISO 9223(Corrosion of metals and alloys−Corrosivity of atmospheres−Classification)による大気の腐食性の評価のための分類基準として利用される。

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