防食概論:塗料・塗装

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         研削材

 ブラスト処理では,処理物の材質,ブラスト処理の目的に適した研削材(研掃材や投射材などともいう)を用いる。研削材の材質形状及び粒径(0.1~3mmと幅広い)の違いで,処理性能や処理面の特性が変わる。ブラスト目的やブラスト処理装置の種類に応じて適切なものを選択しなければならない。

研削材の形状

研削材の形状
写真出典:(株)藤浪商店 カタログ

 主な研削材を次に示すが,研削材の詳細は,金属系研削材は JIS Z 0311「ブラスト処理用金属系研削材」を,非金属系研削材は JIS Z 0312「ブラスト処理用非金属系研削材」によるのがよい。
 研削材の形状は,図に示すように,グリット,ショット,及びカットワイヤーに分けられる。グリットとは,りょう(稜)角をもつ角張った形状であり,丸い部分がその粒子の1/2未満の粒子を,ショットとは,りょう(稜)角,破砕面又は他の鋭い表面欠陥がなく,長径が短径の2倍以内の球形状の粒子をいう。

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【金属系研削材】

 鋼の素地調整に活用される金属系研削材には,スチールグリット,スチールショット,カットワイヤーに分けられる。
 
 スチールグリット
 鋳鉄・鋳鋼製の鋭角の多い多角形の材料である。比重が大きく,研削能力が高いので,各種下地処理や除せい目的に幅広く使用されている。
 硬さの大きい鋳鉄系(ビッカース硬さでHv800以上)は,石材加工,鋼構造物の素地調整に,硬さの小さい(Hv約400~700)鋳鋼系は鋳造品の砂落としなどの表面清掃用途で用いられることが多い。
 鋳鉄グリッド(M/Cl):溶融鋳鉄を空気中に噴霧し,得られた球状物を粉砕したもの。硬さはHv650以上である。
 高炭素鋳鋼グリット(M/HCS-G):溶融高炭素鋼を空気中に噴霧し,得られた球状物。鋳鋼グリットは硬さにより4等級(例えば,等級A;Hv390~520,等級D;Hv710以上)に分類される。
 
 スチールショット
 鋳鍛造,熱処理品の砂落としやスケール除去,ダル加工(表面に模様を付ける加工,梨地仕上げや艶消し仕上げなどある),コンクリートの表面仕上げ,石材面粗し,塗装剥離,及びショットピーニングなどに使用される。
 ショットピーニングとは,ショットを金属表面に打ち付け,表面の圧縮残留応力を高めて疲労強度の向上,応力腐食割れ防止,耐摩耗性向上,クラック発生を防止を目的とした加工をいう。 一般研削用途には,硬さHv450~590のものが,ピーニング用途にはHv530~730のものが用いられる。
 高炭素鋳鋼ショット(M/HCS-S):溶融高炭素鋼を空気中に噴霧し,得られた球状物を粉砕したもの。
 低炭素鋳鋼ショット(M/LCS):溶融低炭素鋼を空気中に噴霧し,得られた球状物。
 
 カットワイヤー
 スケール除去,鋳造品の砂落とし,バリ取り,塗装剥離,ショットピーニングに用いられる。
 耐久性が良くスチールショットと同様の目的に使用される。処理物の材質により,鉄鋼以外にもステンレス鋼,ニッケル,アルミニウム,亜鉛,プラスチック等の材質のものが用いられる。一般的にはステンレス鋼,非鉄金属製品のブラスト処理に用いられている。

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【非金属系研削材】

 非金属系の研削材は,天然鉱物,造鉱物(スラグ系ともいい,鉱石の精錬スラグ),及び溶融アルミナに分けられる。
 これらは,ブラスト作業で,処理物に衝突した際に粉砕され,粉じんの発生がある。一般的に,ブラスト時の粉じん発生量は次の順に少ないと言われている。
 ケイ砂≫銅スラグ>高炉スラグ≫ガーネット>スタウロライト>フェロニッケルスラグ>溶融アルミナ
 
 天然鉱物
 けい砂(N/SI:現在はJISから除外されている)
 けい酸分の質量分率90%以上の天然けい砂,又は岩石を破砕した粒子で石英(モース高度7,比重2.7)を主成分とするグリット状の研削材である。遊離シリカが多く(90%以上),粉じんによる健康影響が懸念され使用が自粛されている。
 オリビンサンド(N/OL)
 天然のオリビン鉱石(MgO・SiO2・Fe2O3)を粉砕したグリット状の研削材。モース高度8,比重3.1~3.4の遊離シリカの少ない鉱物である。
 スタウロライト(N/ST)
 天然のスタウロライト(十字石:おおよそ FeAl5SiO12OH)を主成分とするショット状の研削材である。モース高度7~8,比重3.5~3.9の遊離シリカが0.1%以下と非常に少ない鉱物である。
 アルマンダイト・ガーネット(N/GA)
 ガーネット(ざくろ石)の一種で,天然の鉄ばんざくろ石(Fe3Al2(SiO4)3)を破砕したグリット状の研削材である。モース硬度7~7.5,比重約4の遊離シリカが0.1%以下と非常に少ない鉱物である。
 
 造鉱物(スラグ系)
 鉱石の精錬スラグ(鉱滓)を粉砕したもので珪砂と同様の用い方をする。カラミとも呼ばれる。
 硬さや密度は,スラグ種で異なる。例えば,銅スラグでモース硬度4~7,密度3.3~3.9,フェロニッケルスラグでモース硬度7~8,密度2.5~3.3,高炉スラグでは,モース硬度6~7,密度3.3~3.8である。
 製鉄スラグ(N/FE)
 石灰−けい酸系である製銑時のスラグを水砕したグリット状の研削材。
 製鋼スラグ(N/SS)
 石灰−酸化鉄系である製鋼時のスラグを空気中で粒化したショット状の研削材。
 銅スラグ(N/CU)
 酸化鉄−けい酸系である銅製錬時のスラグを水中で粉砕(水砕)したグリット状の研削材。
 石炭灰スラグ(N/CS)
 アルミナ−けい酸系である石炭だ(焚)きボイラーの燃焼灰を水砕したグリット状の研削材。
 ニッケルスラグ(N/NI)
  酸化鉄−けい酸系であるニッケル製錬時のスラグを水砕したグリット状の研削材。
 フェロニッケルスラグ(N/FN)
 けい酸−マグネシア−酸化鉄系であるフェロニッケル製錬時のスラグを水中で粉砕(水砕)又は空気中で粉砕(風砕)したグリット状の研削材。
 フェロクロムスラグ(N/FC)
 マグネシア−アルミナ−けい酸系であるフェロクロム製錬時のスラグを空気中で粒化したショット状の研削材。
 
 溶融アルミナ(N/FA)
 溶融したボーキサイト,又は高純度のアルミナを冷却した後,粉砕したグリット状の研削材である。 溶融したボーキサイトから製造したものをレギュラー褐色アルミナ,高純度のアルミナから製造したものを高純度アルミナという。モース硬度9,比重4と非常に硬い材料である。
 硬度の高い鉄鋼製品,ステンレス鋼,非鉄金属製品のブラスト処理で用いられる。粒度の細かいものは,精密なブラスト処理,装飾・化粧仕上げ用に使用されている。

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