防食概論:塗料・塗装

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         JISフタル酸樹脂塗料

 フタル酸樹脂塗料を用いた JIS規格には,JIS K 5516「合成樹脂調合ペイント」(長油性,建築物及び鉄鋼構造物用),及び JIS K 5572「フタル酸樹脂エナメル」(乾性油,一般機器,建具用)がある。
 JIS K 5516長油性フタル酸樹脂を,JIS K 5572中油性フタル酸樹脂を用いた塗料規格である。

【JIS K 5516:2003 合成樹脂調合ペイント】

 適用範囲
 この規格は,建築物(鉄部,木部),及び鉄鋼構造物の中塗り,又は上塗りに用いる合成樹脂調合ペイントについて規定する。
 参考:合成樹脂調合ペイントは,着色顔料・体質顔料などを,主に長油性フタル酸樹脂ワニスで練り合わせて作った液状・自然乾燥性の塗料である。
 種類
 a) 合成樹脂調合ペイント 1 種 主に,建築物,及び鉄鋼構造物の中塗り,及び上塗りとして,下塗り塗膜の上に数日以内に塗り重ねる場合に用いる。
 b) 合成樹脂調合ペイント 2 種中塗り用 主に,大形鉄鋼構造物の中塗りに用いる。
 c) 合成樹脂調合ペイント 2 種上塗り用 主に,大形鉄鋼構造物の上塗りに用いる。


品質(合成樹脂調合ペイント)
 項  目  1 種  2 種 上塗り用   2 種 中塗り用 
  容器の中での状態    かき混ぜたとき,堅い塊がなくて一様になるものとする。 
  塗装作業性    はけ塗りで塗装作業に支障があってはならない。 
  乾燥時間(表面乾燥性)    16 時間 以下 
  指触乾燥性    ―    1 時間以下で指触乾燥してはならない。 
  塗膜の外観    塗膜の外観が正常であるものとする。 
  隠ぺい率 %
 (白及び淡彩)(1) 
  90以上    85以上 
  促進黄色度(白について)    0.2 以下    ― 
  鏡面光沢度(60度)    80以上    ― 
  重ね塗り適合性    重ね塗りに支障があってはならない。    ― 
  上塗り適合性    ―    上塗りに支障があってはならない。 
  加熱残分(%)    65以上    60以上    65以上 
  耐塩水性    ―    塩化ナトリウム溶液に浸しても,異常がないものとする。    ― 
  促進耐候性    膨れ,割れ及びはがれの等級は 0 であり,色とつやの変化の程度が見本品に比べて大きくないものとする。また,白及び淡彩では,白亜化の等級が 1 以下とする。    ― 
  屋外暴露耐候性    1 種では1 年間の試験で,2 種では2 年間の試験で,膨れ,はがれ及び割れがなく,色とつやの変化の程度が見本品に比べて大きくないものとする。また,白及び淡彩では,白亜化の等級が4 以下とする。    ― 
  (1) 淡彩とは,白エナメルを主成分として作った塗料の塗膜に現れる灰色,桃色,クリーム色,うすい緑,及び水色などのうすい色で,JIS Z 8721による明度 V が 6以上 9未満のものをいう。
 

【JIS K 5572:2010 フタル酸樹脂エナメル】

 適用範囲
 この規格は,一般機器,建具などの塗装の上塗りに用いるフタル酸樹脂エナメルについて規定する。
 注記:フタル酸樹脂エナメルは,有色の塗装に適する酸化乾燥性の液状塗料で,乾性油変性フタル酸樹脂を主な塗膜形成要素とし,自然乾燥中に,空気酸化によって塗膜を形成するようにしたものである。
 フタル酸樹脂エナメルは,乾性油変性フタル酸樹脂を混合炭化水素系溶剤に溶かして作ったワニスに,顔料を分散して作る。
 種類
 a) フタル酸樹脂エナメル 1 種 主に,屋内の一般機器,建具など塗装の上塗りに用いる。
 b) フタル酸樹脂エナメル 2 種 主に,屋外の一般機器,建具など塗装の上塗りに用いる。
 c) フタル酸樹脂エナメル 3 種 主に,屋内外の一般機器,建具など塗装で,特に速乾を要する上塗りに用いる。

品質(フタル酸樹脂エナメル)
 項  目  1 種  2 種  3 種
  容器の中での状態    かき混ぜたとき,硬い塊がなくて一様になる。 
  塗装作業性    支障がない。 
  表面乾燥性    8時間以内で表面乾燥する。    2時間以内で表面乾燥性する。 
  重ね塗り適合性    支障がない。 
  塗膜の外観    正常である。 
  隠ぺい率 %(銀色・透明色b)には適用しない)    白,淡彩a)及び黒は,90 以上,無鉛・無クロムの黄色,緑及びだいだい(橙)色は 50 以上,その他の色は,70 以上 
  耐光性(水銀ランプ式)    耐光性を持つ    ―e)    ― 
  鏡面光沢度(60度)    85以上 
  にじみd)(白・銀色には適用しない)    にじみがない。 
  耐屈曲性    直径 3 mm のマンドレルの折り曲げに耐える。    直径 6 mm のマンドレルの折り曲げに耐える。 
  引っかき硬度(鉛筆法)    鉛筆硬度 B 以上 
  耐水性    異常がない。 
  耐酸性    ―    異常がない。 
  耐揮発油性    異常がない。 
  加熱残分 %    白及び淡彩a)50以上,その他の色 42 以上 
  鉛含有量f)    塗膜中の鉛分が質量分率%で 0.06%以下とする。 
  クロム含有量f)    塗膜中のクロム分が質量分率%で 0.03%以下とする。 
  促進耐候性    ―    さび,膨れ,割れ及び剥がれを認めず,色の変化の 程 度 が 見本 品 よ り 大きくなく,光沢保持率が70 %以上。    さび,膨れ,割れ及び剥がれを認めず,色の変化の 程度 が見 本品 より 大きくなく,光沢保持率が60 %以上。 
  屋外暴露耐候性    ―    屋外暴露耐候性試験に耐える。 
  a) 淡彩とは,白エナメルを主成分として作った塗料の塗膜に現れる色が,灰色,桃色,クリーム色,うすい緑色,水色などのうすい色で,JIS Z 8721 による明度 V が 6 以上 9 未満のものをいう。
  b) 透明色とは,この色の塗料を上塗りしたとき,この塗料の色に加えて,その下の塗膜の色が透けて見える塗料の色をいう。
  c) 鏡面光沢度(60°)が 85 未満で,特定の値の範囲を受渡当事者間の協定とする場合には,その値を適用することができる。
  d) 特殊な色の指定のため,にじみがあることを受渡当事者間での協定による場合には,にじみの項を除くことができる。
  e) ダッシュ(−)は,品質項目として規定しないことを示す。
  f) 鉛・クロム顔料から有機顔料に変更した色[黄色,緑,だいだい(橙)色]についてだけ試験を行う。

 

【品質項目と試験方法】

 JIS規格の品質項目に対応する試験方法は次の通りである。


JIS品質項目の試験方法一覧
  項   目   試験 方法
  容器の中での状態    JIS K 5600-1-1 の 4.1(容器の中の状態) 
  塗装作業性    JIS K 5600-1-1 の 4.2(塗装作業性) 
  乾燥時間(表面乾燥性)    JIS K 5600-3-2 
  指触乾燥性    JIS K 5600-1-1 の 4.3(乾燥時間) 
  塗膜の外観    JIS K 5600-1-1 の 4.4(塗膜の外観) 
  隠ぺい率    JIS K 5600-4-1 の 4.1.2方法B(隠ぺい率) 
  促進黄色度    JIS K 5600-4-5 
  にじみ    塗料規格に規定する方法 
  耐光性(水銀ランプ式)    塗料規格に定める方法 
  鏡面光沢度    JIS K 5600-4-7 
  重ね塗り適合性,上塗り適合性    JIS K 5600-3-4 
  耐屈曲性    JIS K 5600-5-1 の 6.2.1(タイプ1) 
  引っかき硬度(鉛筆法)    JIS K 5600-5-4) 
  加熱残分(%)    JIS K 5601-1-2 
  耐塩水性,耐水性,耐酸性,耐揮発油性    JIS K 5600-6-1の 7.[方法1.(浸漬法)] 
  鉛含有量    塗料規格に定める方法 
  クロム含有量    塗料規格に定める方法 
  促進耐候性    JIS K 5600-7-7 
  屋外暴露耐候性    JIS K 5600-7-6 
 JIS K 5600-1-1「塗料一般試験方法−第 1 部:通則−第 1 節:試験一般(条件及び方法)」
 JIS K 5600-3-2「塗料一般試験方法−第 3 部:塗膜の形成機能−第 2 節:表面乾燥性(バロチニ法)」
 JIS K 5600-3-4「塗料一般試験方法−第 3 部:塗膜の形成機能−第 4 節:製品と被塗装面との適合性」
 JIS K 5600-4-1「塗料一般試験方法−第 4 部:塗膜の視覚特性−第 1 節:隠ぺい力(淡彩色塗料用)」
 JIS K 5600-4-5「塗料一般試験方法−第 4 部:塗膜の視覚特性−第 5 節:測色(測定)」
 JIS K 5600-4-7「塗料一般試験方法−第 4 部:塗膜の視覚特性−第 7 節:鏡面光沢度」
 JIS K 5600-5-1「塗料一般試験方法−第 5 部:塗膜の機械的性質−第 1 節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法)」
 JIS K 5600-5-4「塗料一般試験方法−第 5 部:塗膜の機械的性質−第 4 節:引っかき硬度(鉛筆法)」
 JIS K 5600-6-1「塗料一般試験方法−第 6 部:塗膜の化学的性質−第 1 節:耐液体性(一般的方法)」
 JIS K 5600-7-6「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 6 節:屋外暴露耐候性」
 JIS K 5600-7-7「塗料一般試験方法−第 7 部:塗膜の長期耐久性−第 7 節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」
 JIS K 5601-1-2「塗料成分試験方法−第 1 部:通則−第 2 節:加熱残分」

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