防食概論:塗料・塗装

 技術用語関連のページ探しは
    “キーワード索引”

 関連機関へのリンク,防食関連書籍は
    “お役立ち情報”

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食・防食とは” ⇒ “塗料・塗装” ⇒

         防食用 変性エポキシ樹脂塗料

 鋼橋などの鋼構造物では,後述する特性から,塗替え塗装などに変性エポキシ樹脂塗料を採用する例が多い。
 

【名称比較】
 塗料採用機関ごとの開発・採用の経緯の違いから,塗料名称も異なるのが通例である。表には,JIS,鉄道,及び道路で採用する変性エポキシ樹脂塗料の名称の比較例を示す。


主な変性エポキシ樹脂塗料の名称比較
   鉄 道
(SPS:鉄道総研規格) 
  JIS規格  道 路
(鋼道路橋塗装用塗料標準)
  厚膜型変性エポキシ樹脂系塗料     JIS K 5551:構造物用さび止めペイント C種1号    弱溶剤形変性エポキシ樹脂塗料 下塗A  
  無溶剤型変性エポキシ樹脂塗料    採用なし    無溶剤形変性エポキシ樹脂塗料 

【備 考】
 上表の塗料以外で,名称に“変性エポキシ樹脂”と称する物に,鉄道の「厚膜型変性エポキシ樹脂系塗料低温用,道路の「弱溶剤形変性エポキシ樹脂塗料 下塗 B」がある。同等の塗料として JIS製品規格では,JIS K 5551「構造物用さび止めペイント C種2号」が相当する。
 しかし,これらは,変性エポキシ樹脂塗料を適用できる気温( 10℃以上)を下回る場合の塗料(低温用)で,エポキシ反応(10℃以下の反応性低い)で硬化する塗料ではなく,ウレタン反応を用いた反応硬化形ウレタン樹脂系塗料である。
 従って,名称とは異なり厳密な意味でのエポキシ樹脂塗料ではない。鉄道では,このため,低温用を有する塗料種別を「○○変性エポキシ樹脂塗料」と称している。
 

【変性エポキシ樹脂塗料】

 変性エポキシ樹脂塗料とは,エポキシ樹脂塗料に,改質目的でエポキシ樹脂以外の樹脂(変性樹脂という)をブレンドした塗料である。一般的に用いられる変性樹脂は,クロマンインデン樹脂,トルエン樹脂,石油樹脂などである。
 変性エポキシ樹脂塗料の一般的な特徴は,次の通りである。
   ● 変性樹脂が,被塗面への塗料の濡れ性を改善する。
   ● エポキシ樹脂塗膜の内部応力を緩和し,素地や旧塗膜への付着性を向上する。
 この特徴のため,変性エポキシ樹脂塗料の用途として,素地の均一さに劣る塗替え塗装での採用例が多い。
 変性エポキシ樹脂塗料は,塗替え塗装時の一般外面の下塗り塗料として溶剤形が用いられ,箱桁内面などの閉空間では無溶剤形が用いられる。
 備考:クロマンインデン樹脂とは,クマロン,インデン,スチレンを共重合した樹脂で,エポキシ樹脂の吸水率低下,接着性向上目的の改質剤である。
 
 変性エポキシ樹脂塗料
 変性エポキシ樹脂塗料は,鋼橋等の新設時の箱桁内面塗装,塗替え塗装時の外面塗装の下塗り塗料として用いられる。
 変性エポキシ樹脂塗料のJIS規格は,2008年に初めて,JIS K 5551「構造物用さび止めペイント」C種1号(60μm:反応硬化形変性エポキシ樹脂系塗料)として規格化された。
 塗り替え塗装の一般外面に用いる塗料は,従来用いられていたタールエポキシ樹脂塗料の優れた特性を踏襲し,タールエポキシ樹脂塗料の欠点であった発がん性や色彩の限定(黒色または黒褐色)を解消することを目的に開発された材料である。
 道路鋼構造物の鋼床版裏面(内面)に用いる内面用 変性エポキシ樹脂塗料は,旧来用いられていたタールエポキシ樹脂塗料に比較して耐熱性に優れるよう設計され,グースアスファルト舗装時の熱で劣化しないなどの特徴を有する材料が用いられている。
 
 内面用 無溶剤形変性エポキシ樹脂塗料
 既に架設され,実用に供される箱桁構造の鋼構造物では,塗替え塗装時の内面塗装が密閉空間に近い状態での施工となる。揮発溶剤による爆発事故防止を目的に,溶剤を含まない塗料として用いられる。
 無溶剤形変性エポキシ樹脂塗料は,液状エポキシ樹脂に低粘度の変性樹脂を使用した材料である。液状樹脂の粘度調整に限度があるため,溶剤形塗料のような高い施工性は期待できない。また,施工では,塗料粘度の温度依存性にも大きく影響されるため,低温時や高温時の施工が制限される。
 硬化剤にアミンを用いるため,溶剤形変性エポキシ樹脂に比較して感作性が高いので,塗装作業時には適切な防護が求められる。

 ページのトップへ