防食概論:塗料・塗装

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         塗料の環境影響 

 今日の塗料は,多岐に渡る要求性能に応えるべく,数多くの化学物質(1000種以上)を使用している。これらの材料の中には「環境・健康・安全」に影響を与える物質も含まれている。
 特に,次に挙げる項目は,塗料製造や塗装作業で無視できない環境上,及び健康上の問題となっている。
 
 【VOC】
 VOC(Volatile Organic Compounds;揮発性有機化合物)とは,一酸化炭素(CO),二酸化炭素(CO2),炭酸(H2CO3),金属炭化物,金属炭酸塩,炭酸アンモニウム((NH4)2CO3)を除く炭素を含む化合物で,大気中で光化学反応に関与する物質をいう。
 溶剤型塗料は,塗料製造時のみならず塗装作業時にも大気中に有機溶剤を多量に排出する。大気に排出された有機溶剤は,作業者の健康阻害を引き起こすにとどまらず,NOx,SOx等の共存下で,太陽光(紫外線)の作用を受けオゾン(O3光化学オキシダント)や浮遊粒子状物質(SPM)の発生原因となる。このため,VOCは,環境汚染因子として注目されている。

 VOCの影響

VOCの影響
出典:経済産業省ホームページ VOC対策

 VOCは,対流圏(地表と成層圏の間)におけるオゾン濃度増加と浮遊粒子状物質(発がん性)の増加に影響することで問題視される。
 一般的に,混同されやすいハロゲン物質による成層圏のオゾン濃度低下(オゾンホール)は,地表に降り注ぐ有害紫外線や放射線量の増加で問題となるが,対流圏のオゾン濃度変化とは相関のない現象である。
 対流圏のオゾン濃度変化は,生物活動で発生するオゾンに加え,人工的原因で発生するオゾンによる濃度増加により,比較的広域の動植物生態に影響することで問題視される。
 日本ではオゾン濃度 60ppbが環境基準値として定められている。また,オゾン発生そのものは地域的な問題ではあるが,その影響は発生源から数十から 100km離れたところにも影響するため,比較的広域の環境問題として取り扱われる。
 2004年の大気汚染防止法の改訂においても,業界,業態別の削減目標が掲げられている。
 
 【重金属化合物】
 これまでに,汎用的に用いていた塗料の塗膜副要素(添加剤)や顔料に,人体に有害な重金属化合物も使用されていた。近年に,これらの化合物が与える影響,すなわち作業者の健康阻害,塗装された構造物周辺の土壌や水質汚染に対する取り扱いが注目されている。
 防せい塗料に比較的多く使用され鉛化合物クロム化合物は,健康被害の観点から使用量削減に関して世界的な関心を集めている。日本では,具体的な法規制になっていないが,欧米では塗料中の鉛含有量に対して法規制を実施している。
 日本では,自主的であるが,早急の対策が必要な重金属として注目し,鋼構造物用の塗装仕様から排除する動きが2005年頃から出ている。これらの動向は,各事業者の自主的活動に止まらず,業界としても活動が進み,2008年には鉛系さび止めペイントのJIS塗料規格を廃止するなどの広がりが見て取れる。
 
 【その他】
 化学物質は,程度の差はあれ危険性・有害性を有している。危険性・有害性を十分に把握し,適切に使用することで,人や環境へのリスク回避が可能となる。
 塗料に使用されている化学物質の危険性・有害性に関しては,1997年10月に公表された(社)日本塗料工業会の「塗料産業に関わる化学物質の有害性調査報告書」が参考になる。
 また,PRTR制度によりMSDS{製品(化学物質)安全データシート}の発行が義務付けられているので,塗料に使用される化学物質の有害情報を容易に入手できる環境が整っている。

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