防食概論:塗料・塗装

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         機能別分類

 塗料に求める特殊機能で分類される塗料を解説する。分類は多数あり,ここで解説した主な分類以外にも,耐熱塗料,導電塗料,電波吸収塗料,屋根用高日射反射率塗料,つやなしペイント,メタリックエナメルなどがある。
 
 さび止めペイント(anticorrosive paint,rust inhibiting paint)
 JIS用語では,金属素地を腐食から守るために用いる塗料と定義されている。
 次節で紹介する防せい顔料(さび止め顔料)と塗膜形成要素との相互の作用で,さび止め効果を現すものと,塗膜形成要素自体のさび止め効果によるものとがある。前者には,用いる防せい顔料の名称を付けて呼ぶのが通例である。
 防せい顔料は,金属素地と直接接触する下塗り塗料に用いられる。次に,主な防せい顔料を示す。
 鉛化合物は,健康影響への懸念から使用量が減少しているが,安価で性能が高いため,長い使用実績がある。主なものには,亜酸化鉛(Pb2O),鉛丹(Pb3O4),鉛酸カルシウム(2CaO・PbO2),シアナミド鉛(PbCN2),塩基性硫酸鉛(mPbO・nPbSO4)などがある。
 クロム化合物では,ジンククロメート(ZPC型:K2CrO4・3ZnCrO4・ZnO・3H2O,ZTO型:ZnCrO4・4Zn(OH) 2),ストロンチウムクロメート(SrCrO4),鉛とクロムの化合物である塩基性クロム酸鉛(PbO・mPbCrO4)などがある,
 鉛やクロム化合物を含まない防せい顔料には,亜鉛末(Zn),りん酸亜鉛系防せい顔料(Zn3 (PO4)2・nH2Oなど),りん酸アルミニウム系防せい顔料(PaH2P3O10・2H2Oなど),モリブデン酸塩系防せい顔料(ZnMoO4/ZnOなど),亜りん酸亜鉛系防せい顔料(ZnPHO3/ZnOなど)などがある。
 
 電気絶縁塗料(electrical insulating varnish)
 JIS用語では,電気絶縁性の大きい塗膜を作る塗料と定義されている。
 コイルワニス,コアーワニス,エナメル銅線用ワニス,接着用ワニス,絶縁布用ワニスなどがある。
 JIS C 2351「エナメル線用ワニス」では,油性エナメル線(乾性油),ポリウレタン線(ポリウレタン),ホルマール線(ポリビニルホルマール),ポリエステル線(テレフタル酸系ポリエステル),及びポリエステルイミド線(ポリエステルイミド)が規格され,要求品質に絶縁破壊電圧が規格されている。
 
 防火塗料(fire-retardant paint)
 JIS用語では,難燃性の塗膜形成要素を用いるか,加熱したとき塗膜が泡立ち,膨れ上がって断熱層になるように作った塗料,又は特に厚塗りして,断熱の効果があるようにしたものと定義されている。
 主として建築物の屋内用を目的としている。
 JIS K 5661「建築用防火塗料」では,次の3種が規定されている。
   防火塗料 1 種:発ぽう性のもの。
   防火塗料 2 種:発ぽう性のもので下塗用と上塗用とに分け,両方で効果をあげるもの。
   防火塗料 3 種:厚塗りするもの。
 塗料の性能は,JIS A 1321「建築物の内装材料および工法の難燃性試験方法」により試験し,難燃 2 級または難燃 3 級に合格することが求められる。
 建築材料の難燃性,不燃性は,平成14年6月に改正された建築基準法施行令に準じて定められている。施工例によると,加熱試験で次の3要件を満す時間により,不燃材料(20分間),準不燃材料(10分間),及び難燃材料(5分間)に分けられる。
 3要件:① 燃焼しない,② 有害な変形,溶解,亀裂,その他を生じない,③ 避難上有害な煙又はガスを発生させない。
 塗料に添加される難燃剤には,三酸化アンチモン(Sb2O3),水酸化マグネシウム(Mg(OH) 2),水酸化アルミニウム(Al(OH) 3),ポリりん酸アンモニウムなどがある。
 
 かび防止塗料(fungus resistant coating)
 JIS用語では,素地又は塗膜に,かびが発生するのを防ぐために用いる塗料と定義されている。
 かび防止剤を加えて作る。防かび塗料などともいい,建築物内装,特に浴室,台所,醸造工場,食品工場の内装材に一般的に用いられている。
 一般的には,塗料副要素(添加剤)として,バイオサイド薬剤(防黴剤,防菌剤などの総称)を添加した塗料を用いる。使用する薬剤については,製造会社の関連団体として(社)抗菌製品技術協議会(SIAA)を設立し,標準試験方法の策定,性能評価を行っている。
 
 防汚塗料(anti-fouling paint)
 JIS用語では,船底の腐食防止,生物付着防止,生物侵入防止などに用いる塗料を船底塗料(ship bottom paint)という。
 船底塗料には鋼船船底塗料と木船船底塗料とがある。鋼船船底塗料は,塗膜形成要素の種類によって油性塗料,ビニル樹脂塗料,塩素化樹脂系塗料などに分かれ,目的によって A/C (さび止め塗料,anti-corrosibe paint), A/F (防汚塗料,anti-fouling paint), B/T (水線塗料,boot topping paint)の 3 種類がある。
 A/C はさび止め用で,下塗りと中塗りとに用い,A/F は生物付着防止のための防汚用として上塗りに用い,B/T は水線部の防汚用又は耐候性の上塗りに用いる。一般に,さび止め用は,さび止め顔料を加えて作り,防汚用は防汚顔料又は防汚性物質を加えて作る。なお,塗膜形成要素自体が防汚性能をもち,海水中で徐々に溶出するタイプの A/F もある。
 防汚剤には,高い効果の持続が期待できる有機すず化合物を長年使用してきた。しかし,海洋汚染(生態系に影響)の観点から1990年に使用禁止となった。その後は,亜酸化銅(Cu2O)などの銅化合物や塗膜形成要素が徐々に溶解するタイプの塗料などが使用されている。

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