防食概論:塗料・塗装

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         耐久性とは

 塗装の耐久性に影響する要因は, 塗料の品質 塗装系(塗料の組合せ 塗装技術 塗装作業管理 暴露環境因子といわれている。
 
 塗膜の耐久性評価では,これらの要因全てを考慮した試験方法の選択が望ましい。実際には,塗装技術,作業管理,及び環境因子の影響を任意に制御できるように試験条件を一般化するのは困難である。
 従って,実際に用いる耐久性評価試験は,試験対象の塗料・塗装系に対し,試料の性能を最大限発揮できる塗装技術と施工管理を選択して試験片を作製し,一部の環境因子を用いた試験となっている。
 このことは,採用した環境因子に対する塗膜の抵抗性について,塗膜間の相対比較はできるが,実用上で最も知りたい情報の実用環境での“塗膜の耐久年”を評価するのは,不合理であることを示す。
 従って,JIS 規格の長期耐久性試験を実施したとしても,各種要因・因子の総合的影響の結果である塗膜耐久性(塗膜寿命)を直接評価できないこと,単一の試験結果から寿命推定するのは危険であることを認識しなければならない。

【塗膜の長期耐久性】

 一般的に,塗膜の長期耐久性評価を目的に用いられる試験項目には,耐湿性耐塩水噴霧性環境因子繰り返し性耐光性(促進耐候性)耐候性などがある。
 それぞれの概要は次の通りである。なお,赤字の項目は,別の項で,JIS 製品規格での扱いを含めてより詳細に紹介した。  
 「耐湿性」
 高湿度下での塗膜付着性耐ふくれ性腐食性などを評価することを目的とし,試験方法には,塗膜表面に結露が生じない程度の高湿度下で試験する方法,塗膜表面を結露させて試験する方法がある。
 「耐塩水噴霧性」
 塩化ナトリウム水溶液を連続的に噴霧し,塩化ナトリウム水で表面が薄く覆われた状況下での塗膜下腐食や塗膜傷部からの腐食進行に対する抵抗性を評価する。
 噴霧水には,塩水に加えて酸性成分を添加した水溶液など,腐食性を強化したものを用いる試験もある。  
 「環境因子繰り返し性」
 サイクル試験などとも呼ばれ,選択された環境因子を組み合わせ,これの繰り返しの負荷で塗膜の変化(表面特性,ふくれ,割れ,さび)に対する抵抗性を評価する試験である。
 主なものには,低温と高温を繰り返す耐湿潤冷熱繰返し性,塩水噴霧,乾燥,湿潤などの条件を組合せ,これを繰り返すサイクル腐食性などがある。この中で,湿潤,紫外線を組み合わせた試験の促進耐候試験は,別で紹介する。
 「耐光性」
 JIS K 5500 「塗料用語」では,耐光性とは,“顔料,及び塗膜の特性,特に色が光の作用に抵抗して変化しにくい性質”と定義されている。
 カーボンアーク灯や水銀ランプを用いて,光(主に紫外線)を当て,塗膜表面の変化(色,光沢,白亜化)を評価し,塗膜表面の耐紫外線性を評価する。塗膜表面の濡れ条件と組み合わせた試験方法もある。この中で,湿潤,紫外線を組み合わせた試験の促進耐候試験は,別に紹介する。
 「促進耐候性」
 「促進耐候試験」の概念は,「環境因子繰り返し性」,及び「耐光性」の概念に含まれる特性試験であり,「促進耐候性」の定義はないが,日本では広く用いられている用語である。
 試験は,太陽光を模擬した紫外線灯と塗膜表面の濡れ・乾燥条件下での,塗膜表面の変化(色,光沢,白亜化)に対する抵抗性を評価する。
 評価試験法は,直接暴露による塗膜表面の変化を試験室内で模擬・促進することを狙って開発されたが,直接暴露で影響する要因の相互作用を考慮していないため,直接暴露とは様相の異なる結果となるケースが多く,直接暴露の促進になっていないというのが統一見解である。
 この試験結果の解釈では,“塗膜の耐候性と相関がある”と結論するのは危険であることを認識しておかなければならない。耐候性との相関を誤解されないように,「促進耐候試験」の名称を「人工環境試験」などに変更すべきと考える技術者がいる。
 「耐候性」
 塗膜の耐候性とは,“屋外で,日光,風雨,露霜,寒暖,乾湿などの自然の作用に抵抗して変化しにくい塗膜の性質”と定義されている。
 耐候性の評価は,試験片を屋外に直接暴露し,塗膜表面変化,ふくれ,割れ,さびの発生などの経時観察で行われる。
 屋外暴露では,暴露地の気象因子,試験片の形状,暴露開始時期など多くの因子が影響する。このため,耐候性の評価では,規定された暴露条件下で,暴露期間中の気象因子が把握されていない限り,異なる暴露地,暴露期間の試験結果を相互比較できないなどの問題もある。

【JIS製品規格での扱い例】

 品質項目に「塗膜の長期耐久性」が規定されている防食塗装用塗料のJIS 製品規格を次に示す。
 JIS K 5633 「エッチングプライマー」では,“耐候性
 JIS K 5552 「ジンクリッチプライマー」では,“耐塩水噴霧性”と“耐候性
 JIS K 5674 「鉛・クロムフリーさび止めペイント」では,“サイクル腐食性”と“耐候性
 JIS K 5553 「厚膜形ジンクリッチペイント」では,“耐塩水噴霧性”と“耐候性
 JIS K 5551 「構造物用さび止めペイント」では,“サイクル腐食性”と“耐候性
 JIS K 5516 「合成樹脂調合ペイント」では“促進耐候性”と“耐候性
 JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」では“耐湿潤冷熱繰返し性”,“促進耐候性”と“耐候性
 
 まとめると,防食性能を重視する下塗り塗料では,“耐塩水噴霧性”,“サイクル腐食性”,及び“耐候性”が採用され,景観性能を重視する上塗り塗料(中塗り塗料とのセット)では,“耐湿潤冷熱繰返し性”,“促進耐候性”,及び“耐候性”が採用されている。

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