防食概論塗装・塗料

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 ここでは,下塗り塗料の品質規格及び塗膜の評価方法について, 【下塗り塗料とは】, 【 JIS K5674 鉛・クロムフリーさび止めペイント】, 【 JIS K5553 厚膜形ジンクリッチペイント】, 【 JIS K5551 構造物用さび止めペイント】 に項目を分けて紹介する。

 塗膜の評価(下塗り塗料)

 下塗り塗料とは

 JIS K5500「塗料用語」

 下塗り塗料(undercoat,priming coat)
 塗料を塗り重ねて塗装仕上げするときの下塗りに用いる塗料。塗装系に対する素地の影響を防止し,付着性を増加させるために用いる。
 備考:1.ISO(International Organization for Standardization;国際標準化機構)用語規格では,“undercoat”と“intermediate coat”とは同じ定義で,“地肌塗り(priming coat)”と“上塗り(finishing coat)”との間の塗料(coat)をいう。また,“priming coat”は,素地に塗る塗装系の最初の塗料(coat)をいう。
 備考:2.BS(British Standards;英国規格)用語規格及び CED(Coatings Encyclopedic Dictionary)では“undercoat”は,上塗り塗料を塗る前に,目止め,肌直し,地肌塗りなどを行った素地面,又は素地調整を行った旧塗膜面に塗装される塗料をいう。
 下塗り(under coating, primer coating)
 中塗り用塗料や,上塗り用塗料を塗る前に,下塗り用塗料を塗る操作。
 
 下塗り塗料の概要は,【塗料の評価】・「下塗り塗料」で紹介した。
 ここでは,鋼橋などの防食塗装に用いられるJIS K 5674「鉛・クロムフリーさび止めペイント」JIS K 5553「厚膜形ジンクリッチペイント」 JIS K 5551「構造物用さび止めペイント」の品質規格の概要,及び塗膜の特性を評価する試験規格を紹介する。
 プライマー,下塗りそれぞれの塗料の品質項目と対応する試験方法の比較は,「品質試験の項目と手順」で紹介する。
 
 【参考】
 下塗り塗膜の品質に関連する用語を紹介する。
 フラッシュさび(flash rust, flash rusting)
 ブラスト処理後の鉄素地面に短時間に形成される非常に薄いさび,又は水性塗料を鉄面に直接塗装した後に急速に形成されるさび。【JIS K5500「塗料用語」】
 塗膜の外観(appearance of film)
 塗装作業性の試験に合格した試験片と見本品とを比較し,差異の有無を観察する。
 上塗り適合性(overcoatability)
 ある塗料の塗膜の上に,決められた塗料を塗り重ねたときに,塗装上の支障が起こらず,正常な組合せ塗膜層が得られるための,塗り重ねられる下地塗膜の性状。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐屈曲性(flexibility)
 乾燥塗膜が塗られている素地の変形に損傷を起こさずに順応する能力。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐衝撃性(impact resistance, shock resistance, chip resistance)
 塗膜が物体の衝撃を受けても破壊されにくい性質。【JIS K5500「塗料用語」】
 付着安定性(interlayer adhesion)
 JIS K 5674「鉛・クロムフリーさび止めペイント」に規定される品質で,中塗り塗料との層間付着性Ⅰをいう。
 層間付着性(interlayer adhesion)
 下塗り塗料と中塗り塗料との付着性(層間付着性Ⅰ),中塗り塗料と上塗り塗料との付着性(層間付着性Ⅱ)をいう。【JIS K5659「 鋼構造物用耐候性塗料」】
 付着性(adhesive property, adhesion)
 塗膜が下地面に付着して離れにくい性質。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐水性(water resistance, waterproof)
 塗膜が,水の化学的作用又は物理的作用に対して変化しにくい性質。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐アルカリ性(alkaliproof, alkali resistance)
 アルカリの作用に対して変化しにくい塗膜の性質。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐揮発油性(gasoline resistance)
 揮発油の作用に対して変化しにくい塗膜の性質。【JIS K5500「塗料用語」】
 耐塩水噴霧性(resistance to neutral spray)
 塩水噴霧試験に耐えて変化しにくい塗膜の性質。
 耐熱性(heat resistance, thermal resistance)
 塗膜が加熱されても変化しにくい性質。【JIS K5500「塗料用語」】
 サイクル防食性(resistance to cyclic corrosion conditions)
 JIS K5600-7-9 「サイクル腐食試験方法−塩水噴霧/乾燥/湿潤」に規定する装置,塩水噴霧/乾燥/湿潤のサイクル条件を用い,塗料製品規格に規定するサイクル数に耐える性能。
 防せい(錆)性(rust prevention, rust preventing property)
 耐候性を調べる試験で,屋外暴露耐候性と同義。
 屋外暴露耐候性(outdoor exposure test, natural weathering)
 試験片を,一定期間屋外にさらして,自然環境での腐食,さび,劣化などの状態を調べる試験。大気暴露試験,耐候性試験ともいう。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 耐候性(weathering resistance)
 屋外で,日光,風雨,露霜,寒暖,乾湿などの自然の作用に抵抗して変化しにくい塗膜の性質。【JIS K5500「塗料用語」】

 JIS K 56742019 鉛・クロムフリーさび止めペイント

 適用範囲
 この規格は,一般的な環境下での鉄鋼製品,鋼構造物などのさび止めに用いる塗料で,鉛フリー及びクロムフリーのさび止め顔料を含む鉛・クロムフリーさび止めペイントについて規定する。
 注記 この規格は,環境対応で廃止された,各種鉛含有 JISさび(錆)止めペイントの代替えとして開発され,JIS K5621 「一般さび止めペイント」よりも長期にわたる屋外での防食性を求められている塗料である。
 種類:種類は,次とする。
 a) 1種 有機溶剤を揮発成分とする液状・自然乾燥形のさび止め塗料。
 b) 2種 を主要な揮発成分とする液状・自然乾燥形のさび止め塗料。
 
 塗料の品質
 鉛・クロムフリーさび止めペイントの品質には,塗料性状の規定として,容器の中での状態,加熱残分に加えて,水を溶媒とする2種には低温安定性が規定されている。塗装作業に関連する規定には塗装作業性,乾燥時間(表面乾燥性)が規定されている。塗料品質の試験法は,【塗料の評価】・「鉛・クロムフリーさび止めペイントで紹介する。
 【塗膜の品質】
 塗膜形成機能として,塗膜の外観,上塗り適合性,付着安定性,耐屈曲性が規定されている。
 塗膜の性能や耐久性については,サイクル防食性,防錆(せい)性が規定されている。なお,品質項目“防錆(せい)性”は,JIS K5500「塗料用語」の“耐候性”を調べる試験で,JIS Z0103「防せい防食用語」の“屋外暴露耐候性”と同等である。


JIS K 5674 鉛・クロムフリー鉛さび止めペイントの品質
太字;塗料の品質,青太字:塗膜の品質
  項  目    1 種(溶剤系)    2 種(水系) 
  容器の中での状態    かき混ぜたとき,堅い塊がなく一様になる。 
  低温安定性(-5℃)    ―    変質しない。 
  塗装作業性    支障がない。 
  表面乾燥性    表面乾燥する。(8時間) 
  塗膜の外観    正常である。 
  上塗り適合性    支障がない。 
  耐屈曲性    折り曲げに耐える。(6mm) 
  付着安定性    はがれを認めない。 
  サイクル防食性    膨れ,さび及びはがれがない。(36サイクル) 
  加熱残分(質量分率 %)    75以上    50以上 
  塗膜中の鉛(質量分率 %)    0.06以下 
  塗膜中のクロム(質量分率 %)    0.03以下 
  防せい(錆)性    防せい(錆)性を持つ。(24 か月) 

 形成塗膜の品質試験

 7.3 試験の一般条件は,JIS K 5600-1-1 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」 ,JIS K 5600-1-6 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」及び JIS K 5601-1-1 「塗料成分試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」による。ほか,次による。
 a) 試験の場所:標準条件(温度 23±2℃,相対湿度 50±5%),目視観察のときの光源(拡散昼光,色観察ブース)
 b) 試験板の作製: JIS G 3141に規定する SPCC-SBの鋼板,JIS R 6253に規定する耐水研磨紙 P280を用いた研磨による調整
 c) 試料の塗り方: はけ塗りとし,JIS K 5600-1-5「塗料一般試験方法−第1部:通則−第5節:試験板の塗装(はけ塗り)」によって,1回ごとの塗付け量が,乾燥膜厚で 30~40μmとなるように塗る。乾燥膜厚を JIS K 5600-1-7「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」の方法 No.6又は No.7によって測定し,7日間乾燥後の厚さが,規定の範囲に入るようにする。
 d) 乾燥方法: 他に規定のない場合は,標準状態で乾燥する。
 
 7.8 塗膜の外観の試験は,次による。
 a) 試験片:7.6(塗装作業性)の試験によって“支障がない”と判定された試験片を用いる。
 b) 試験方法: 試験方法は, JIS K 5600-1-1 の 4.4(塗膜の外観)による。試験片を7.3 d)(標準状態で乾燥)によって 48 時間乾燥する。
 c) 評価及び判定: 評価は,拡散昼光の下で目視によって観察し,試験片の塗膜の色及びつやが,見本品 に比べて差異が少なく,また,色むら,つやむら,はけ目,流れ及びしわの程度が見本品に比べて差異が大きくなく,更に 2種の場合は,フラッシュさびがないとき,“正常である”とする。
 7.9 上塗り適合性の試験は,次による。
 a) 試験板: 7.3 b)に規定する鋼板( 200mm×100mm×0.8)mmとする。
 b) 試験片の作製: 片面に試料を 7.3 c)の方法で 1回塗り,48時間乾燥後,上塗り塗料を乾燥膜厚で 20μm~30μm になるようにはけで 1回塗り重ねて 48時間乾燥したものを試験片とする。上塗り塗料は,1種の場合は,JIS K 5516に規定する合成樹脂調合ペイント 1種白を,2種の場合は,JIS K 5660に規定するつや有合成樹脂エマルションペイント白を用いる。
 原状試験板は,1種の場合,別の試験板に同じ上塗り塗料だけを同じ方法で塗装した後,48時間乾燥したもの,2種の場合,JIS G 3303の電気めっきぶりき板( SPTE5.6/5.6/T-2;寸法 200mm×100mm×0.3mm ),同じ上塗り塗料だけを同じ方法で塗装した後,48時間乾燥したものとする。
 c) 評価及び判定: 試験片を拡散昼光の下で目視によって観察する。判定は,塗装作業に支障がなく,試験片の上塗り塗膜に,はじき,割れ,穴,膨れ及び剝がれを認めず,原状試験片に比べて,つやの差異,粘着及びしわの程度が大きくないとき,更に2種の場合は,フラッシュさびがないとき,“支障がない”とする。
 7.10 耐屈曲性の試験は,次による。
 a) 試験板: 7.3 b)に規定する寸法 150mm×50mm×0.3mmの鋼板とする。
 b) 試験片の作製試験板の片面に試料を 7.3 c)の方法で1回塗って 24時間乾燥後,120±2 ℃に保った恒温器で 1時間加熱し,標準状態で 1時間置いたものを試験片とする。
 c) 試験方法 JIS K 5600-5-1 「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法)」による。タイプ 1の試験装置を用い,試験片を直径 6 mmのマンドレルの周りに沿って折り曲げる。
 d) 評価及び判定: 目視によって観察を行い,試験片 2枚について,塗膜に割れ及び素地からの剝がれを認めないとき,“折り曲げに耐える”とする。
 7.11 付着安定性の試験は,次による。
 a) 装置及び材料は,次による。
  1) 促進耐候性試験機は,JIS K 5600-7-7による。
  2) ろ紙は,JIS P3801に規定する化学分析用のもの,又は同等品とする。
  3) セロハン粘着テープは,JIS Z1522に規定する幅 18 mmのもの,又はは同等品とする。
  4) カッタナイフは,図1に⽰す形状及び寸法のもので,JIS G4401に規定するSK120,又は同等品で,折取線から折り取って新しい刃先を出し,適切なホルダーに取り付け,手に持って用いるようにしたものとする。
  5) プラスチック字消しは,JIS S6050に規定するもの,又は同等品とする。
 b) 試験板: 7.3 b) に規定する寸法 150mm×70mm×0.8mm の鋼板。
 c) 試験片の作製の作製は,次による。
  1) 試料を 7.3 c) に規定する方法で 1回塗り付ける。標準状態で 24時間乾燥後,1回目と同様の方法で 2回目を塗り重ねる。
 24時間乾燥させた後,JIS K 5600-7-7「促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」に規定する表 3(試験片ぬれサイクル)のサイクル Aの条件で 60時間照射する。
  2) 1)で得られた試験片に,1種では,JIS K 5516の合成樹脂調合ペイント 1種白を,2種では,JIS K 5660の有合成樹脂エマルションペイント白を,乾燥膜厚 20μm~30μmとなるようにはけで塗り付ける。16時間乾燥させた後,再び同じ条件で,促進耐候性試験装置を用いて 60時間照射する。
  3) 2)で得られた試験⽚を,JIS K 5600-6-1の箇条7[方法1(浸せき法)]によって23±1 ℃の水に24時間浸せき(漬)した後,取り出して表面の水をJIS P3801に規定するろ紙(化学分析用)で拭き 取り,一般状態で 1種は 30分間乾燥したものを,2種は 24時間乾燥したものを試験片とする。
 d) 試験方法
 試験片 2枚の中央にカッタナイフを用いて,互いに約 30度の角度で交わり素地に達する長さ 40mmの切りきずを付ける。交差する 2本の切りきずの上から,接着部分の長さが約 50mmになるようにセロハン粘着テープを完全に付着させる。
 セロハン粘着テープを付着させてから 90±30秒の間に,セロハン粘着テープの一方の端をもって塗面に直角に保ち,瞬間的に引き剝がす。
 d) 評価及び判定:試験片 2枚の双方に,切りきずに沿って幅 1mm以上の下塗りと上塗りとの塗膜間の剝がれを認めないとき,“剝がれを認めない”とする。
 7.12 サイクル腐食性の試験は,次による。
 a) 試験板: 7.3 b)に規定する寸法 150mm×70mm×0.8mm の鋼板とする。
 b) 試験片の作製:試験板に試料を乾燥膜厚 30μm~40μmtとなるように塗り付けて 24時間乾燥する。7.11 c) 1)と同じ条件で,促進耐候性試験装置によって 60時間照射した試験片を 3枚作製する。
 c) 試験方法
  1) 切り込みきずの付け方は,JIS K 5600-7-9「サイクル腐食試験方法−塩水噴霧/乾燥/湿潤」の 7.5(切り込みきずの付け方)の a)による。
  2)  サイクル腐食試験装置に試験片を取り付け,附属書 1(サイクル D)の条件で 36サイクルの試験を行った後,試験片を取り出して流水で洗う。一般状態で 2時間乾燥後,塗膜を調べる。
 d) 評価及び判定:目視によって,塗膜の膨れ,剝がれ及びさびの有無を観察し,試験片 3枚のうち 2枚の塗膜に,膨れ,剝がれ及びさびを認めないとき,“膨れ,剝がれ及びさびがない”とする。
 7.16 防せい(錆)性は,による。
 a) 試験板: 7.3 b)に規定する寸法 300mm×150mm×1mmの鋼板を試験板とし,6枚作製する。
 b) 試験片の作製
 試験片の枚数は,試料用及び見本品用それぞれ 3枚とする。試料及び見本品の塗り方は,吹付け塗り(エアスプレー塗り)1回で乾燥膜厚 30μm~40μmになるように,又は,はけ塗り 2回で乾燥膜厚 30μm~40μmになるように塗り付ける。はけ塗りの場合の塗り重ね間隔は 24時間とする。
 塗装後,48時間~96時間の間に,1種の場合は,JIS K 5516の合成樹脂調合ペイント 2種中塗り用の白を,乾燥膜厚 20μm~30μm になるように塗り付け,24時間乾燥した後に,JIS K 5516の合成樹脂調合ペイント 2種上塗り用の灰色(明度 6~7)を,吹付け塗りで同様に塗り重ねたものを 1種の試料及び見本品の試験片とする。
 2種の場合は,JIS K 5660のつや有合成樹脂エマルションペイントの白を,乾燥膜厚 20μm~30μm になるように吹付け塗りで塗装し,24時間乾燥した後,JIS K 5660の有合成樹脂エマルションペイントの灰色(明度 6~7)を,吹付け塗りで重ね塗りしたものを 2種の試料及び見本品の試験片とする。一般状態で 7日~14日間乾燥後,試験を開始する。
 d) 試験の開始・期間は,次による。
  1) 試験の開始は,4月又は 10月とする。この時期以外に試験を開始する必要が生じた場合には,これ以外に試験を開始することができる。
  2) 試験の期間は,24か月とする。
 e) 試験方法 JIS K 5600-7-6 「屋外暴露耐候性」による。ただし,試験片の暴露の角度は,水平に対して 30度の角度を保つ。
 f) 評価: 屋外暴露を終了した試験片の塗面について,さびの有無を観察し,更に試験片を適切な溶剤(例えば,キシレンなど)に浸して塗膜を全部剝がし,試験板素地のさびの発生状態を JIS K 5600-8-3 「さびの等級」によって評価する。同時に同様に処理した見本品試験片と試料試験片とを比較する。
 g) 判定: 試験の期間が 24か月に達したとき,3枚のうち 2枚の試験片の塗面にさびがなく,塗膜を剝がした場合,さびの程度が見本品試験片に比べて大きくないとき,“防せい(錆)性をもつ”とする。
 7.17 塗膜からのホルムアルデヒド放散等級は,JIS K 5601-4-1「塗料成分試験方法-第4部:塗膜からの放散成分分析-第1節:ホルムアルデヒド放散量の求め方」の箇条 5(デシケータ法)によるほか,次による。
 試験板の寸法は,JIS K 5601-4-1の5.5.2(試験板の寸法及び枚数)によって,長さ150±1 mm,幅150±1 mmとする。試験板の枚数は,2枚二組とする。
 試験片は 4枚作製する。はけ塗り 1回塗りで,乾燥膜厚 30μm~40μm になるように塗り付けたものを試験片とし,養生時間は,7日間とする。

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 JIS K 5553 厚膜形ジンクリッチペイント

 適用範囲
 この規格は,鋼材の防せい(錆)に用いる厚膜形ジンクリッチペイントについて規定している。
 備考 厚膜形ジンクリッチペイントは,亜鉛末,及びアルキルシリケート,又はエポキシ樹脂(主剤,硬化剤),顔料,及び溶剤を主な原料としたものである。
 種類: 厚膜形ジンクリッチペイントは,次の 2 種類に分ける。
 アルキルシリケートをビヒクルとした 1液 1粉末形厚膜形無機ジンクリッチペイント1種,及びエポキシ樹脂をビヒクルとした 2液 1粉末形,又は 2液形(亜鉛末を含む液と硬化剤)の厚膜形有機ジンクリッチペイント2種がある。2種の硬化剤にはポリアミド,アミンアダクトなどが用いられる。
 
 塗料の品質
 厚膜形ジンクリッチペイントの品質には,塗料性状の規定として,容器の中での状態,加熱残分を,塗装作業に関連する規定は乾燥時間,ポットライフ,厚塗り性が規定されている。塗料品質の試験法は,【塗料の評価】・「厚膜形ジンクリッチペイントで紹介する。
 【塗膜の品質】
 塗膜形成機能として,塗膜の外観,耐衝撃性が規定されている。
 塗膜の性能や耐久性については,耐塩水噴霧性,耐水性,屋外暴露耐候性が規定されている。


JIS K 5553 厚膜形ジンクリッチペイントの品質
太字;塗料の品質,青太字:塗膜の品質
  項  目    1 種(無機)    2 種(有機) 
  容器の中での状態    粉は微小で一様な粉末であるものとする。液はかき混ぜたとき堅い塊がなくて一様になるものとする。 
  乾燥時間 h     5以下    6以下 
  塗膜の外観    塗膜の外観が正常であるものとする。 
  ポットライフ    5時間で使用できるものとする。 
  耐衝撃性(デュポン式)    衝撃によって割れ及びはがれが生じてはならない。(500g,500mm) 
  厚塗り性    厚塗りに支障があってはならない。 
  耐塩水噴霧性    塩水噴霧に耐えるものとする。 
  耐水性    ―    水に浸したとき異常がないものとする。 
  混合塗料中の加熱残分(%)    70以上    75以上 
  加熱残分中の金属亜鉛(%)    75以上    70以上 
  屋外暴露耐候性    2年間の試験でさび,割れ,はがれ及び膨れがあってはならない。 

 形成塗膜の品質試験

 6.3 試験の一般条件は,JIS K 5600-1-1 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」 ,JIS K 5600-1-6 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」及び JIS K 5601-1-1 「塗料成分試験方法−第1部:通則−第1節:試験一般(条件及び方法)」によるほか,次による。
 6.3.1 試験の場所: 養生及び試験を行う場所は,標準条件(温度 23±2℃,相対湿度 50±5%),目視観察のときの光源(拡散昼光,色観察ブース)
 6.3.2 試験片の作製
 6.3.2.1 試験板JIS K 5600-1-4「塗料一般試験方法−第1部:通則−第4節:試験用標準試験板」による。ただし,特に規定する以外は,ブラスト洗浄によって調整した鋼板 (150×70×3.2mm) とする。鋼板は,JIS G 3101に規定する SS400の鋼板,ブラスト条件は,除せい度 ISO 8501-1 Sa2・1/2以上,研削材 グリット,表面粗さ 25μmRZJISを標準とする。
 6.3.2.3 試料の塗り方: 混合した試料は,よくかき混ぜた後,目開き 600μm の金網でろ過し,直ちに塗る。試料の塗り方は,特に規定する以外は,吹付け塗り(エアスプレー塗り)とし,7日間乾燥したときに測定して,塗膜の厚さが 75±10μm になるように 1回塗る。吹付け条件は製品に指定された条件による。
 strong>6.3.2.6 膜厚の測定: JIS K 5600-1-7「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」による。
 
 6.6 塗膜の外観の試験は, JIS K 5600-1-1 の 4.4(塗膜の外観)による。ただし,判定は,試料を塗ってから 48時間おいて,目視によって観察し,流れ,むら,割れ及びはがれを調べる。
 6.8 耐衝撃性の試験は, JIS K 5600-5-3 「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第3節:耐おもり落下性」の 6.(デュポン式)による。この場合,6.7(ポットライフ)に用いた試験片を更に 5日間置いて,質量 500±1g のおもりを高さ 500mm から撃ち型の上に落とす。塗面の試験 位置を変えてこの操作を 2回繰り返し,割れ及びはがれのないときは,“衝撃によって割れ及びはがれができない。”とする。
 6.10 耐塩水噴霧性の試験は, JIS K 5600-7-1 「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第1節:耐中性塩水噴霧性」による。
 試験板として,6.3.2.1によってブラ ストで処理した鋼板(150×70×3.2mm)を,試料 1個について 2枚ずつ用意し,その両面を 6.3.2.3の方法で 1回塗り,直ちに周辺をはけで 1回塗り増し,1種は 48時間,2種は 7日間置いて試験片とする。試験は 1種で 360時間,2種では 240時間行い,試験片を取り出して流水で洗い,室内に 24時間置いて目視によって観察する。2枚の試験片の双方の塗膜に,赤さび及び膨れを認めないときは,塩水噴霧に耐える。とする。
 6.11 耐水性の試験は, JIS K 5600-6-1 「塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法)」の 7.[方法 1(浸せき法)]による。
 試験板として,6.3.2.1 によってブラストで処理した鋼板(150×70×3.2mm)を,試料 1個につき 3枚ずつ用意し,その両面を 6.3.2.3の方法で 1回塗り,直ちに周辺をはけで 1回塗り増し,7日間置いて試験片とする。そのうち 1枚を評価用の塗膜見本に用いる原状試験片とし,2枚を 23±1℃の脱イオン水に 240時間浸す。試験片を液から取り出した直後と 2時間置いた後に,目視によって観察し,試験片 2枚の液面から幅約 10mm を含む双方の塗膜にしわ,膨れ,割れ及びはがれを認めず,更に 2時間置いた後の塗膜を原状試験片と比べて,つやの変化,くもり及び変色の程度が大きくないときは,水に浸したとき異常がない。とする。
 6.15 屋外暴露耐候性の試験は, JIS K 5600-7-6 「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第6節:屋外暴露耐候性」による。ただし,試験片の作製,試験の開始時期及び期間,観察の時期,評価項目と評価方法,判定及び記録の保存期間は,次による。
 6.15.1 試験片の作製
 6.3.2.1によってブラストで処理した鋼板(300 mm×150 mm×3.2 mm)の片面に乾燥塗膜の厚さが 75±10μm になるように 1回吹付け塗り(エアスプレー塗り)し,7日間置いて試験片とする。この場合,試験片の周辺及び裏面は試料と同じ塗料を用い,1時間ごとに 2回以上塗って試験に影響がないように塗り包んでおく。なお,試験片の枚数は 2枚とし,そのうち 1枚は原状試験片とする。
 6.15.2 操作
 a) 試験の開始時期は,毎年 4月又は 10月とする。
 b) 試験の期間は,2年とする。
 c) 観察の時期は,試験開始から 12か月後及び 24か月後とする。
 d)評価項目と評価方法 膨れは JIS K 5600-8-2 「膨れの等級」によって,さびは JIS K 5600-8-3 「さびの等級」によって,割れは JIS K 5600-8-4 「割れの等級」によって,はがれは JIS K 5600-8-5 「はがれの等級」によって評価する。
 6.15.3 判定: 試料耐候試験片について,原状試験片と目視によって比べ,表 1に示す屋外暴露耐候性の項による。ただし,亜鉛の腐食生成物は判定の対象外とする。
 6.15.5 記録の保存期間: 5年間とする。
 6.15.6 耐候試験の実施及び管理: 試験の実施及び管理は, JIS K 5600-7-6 の附属書による。

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 JIS K 5551 構造物用さび止めペイント

 適用範囲
 この規格は,橋りょう(梁),タンク,プラントなどの鉄鋼構造物,及び鉄,鋼,ステンレス鋼,アルミニウム,アルミニウム合金の建築などの金属部分の塗装に用いる構造物用さび止めペイント(塗料)について規定する。
 ただし,この規格の塗料には,発がん性のおそれのあるタール成分を含まないものとする。
 種類
 荷姿には,「 1液形,又は多液形a) 」がある。
 A 種:有機溶剤を揮発成分とする反応硬化形エポキシ樹脂系塗料で,膜厚が約 30μmの標準形塗料。主に鋼構造物及び建築金属部の防せい(錆)に用いるもの。
 B 種:有機溶剤を揮発成分とする反応硬化形エポキシ樹脂系塗料で,膜厚が約 60μmの厚膜形塗料。主に鋼構造物の長期防せい(錆)に用いるもの。
 C 種
   1 号:有機溶剤を揮発成分とする反応硬化形変性エポキシ樹脂系塗料,又は反応硬化形変性ウレタン樹脂系塗料で,標準の膜厚が約 60μmの厚膜形塗料のうち,常温環境下で施工する,主に鋼構造物の長期防せい(錆)に用いるもの。
   2 号:有機溶剤を揮発成分とする反応硬化形変性エポキシ樹脂系塗料,又は反応硬化形変性ウレタン樹脂系塗料で,標準の膜厚が約 60μmの厚膜形塗料のうち,低温環境下で施工する,主に鋼構造物の長期防せい(錆)に用いるもの。
 D種を主要な揮発成分とする反応硬化形エポキシ樹脂系塗料で,膜厚が約 30μm の標準形塗料。主に建築金属部の防せい(錆)に用いるもの。
 E種を主要な揮発成分とする反応硬化形エポキシ樹脂系塗料で,膜厚が約 60μm の厚膜形塗料。主に鋼構造物の長期防せい(錆)に用いるもの。

 塗料の品質
 塗料性状の規定として,容器の中での状態を,塗装作業に関連する規定は塗装作業性,半硬化乾燥性(乾燥時間),ポットライフ,たるみ性が規定されている。塗料品質の試験法は,【塗料の評価】・「構造物用さび止めペイントで紹介する。
 【塗膜の品質】
 塗膜形成機能として,塗膜の外観,上塗り適合性,耐衝撃性が,塗膜の性能や耐久性については,付着性,耐アルカリ性,耐揮発油性耐熱性サイクル付着性,屋外暴露耐候性が規定されている。
 なお,“耐熱性”は,鋼床版下面などの用途を想定し,アスファルト敷設時の熱影響に対する抵抗性評価を目的とした特殊な試験項目である。


JIS K 5551構造物用さび止めペイント
太字;塗料の品質,青太字:塗膜の品質
  項  目    A 種    B 種    C 種 1号    C 種 2号    D 種    E 種 
  容器の中での状態    かき混ぜたとき,堅い塊がなくて一様になる。 
  低温安定性(−5±2℃)    ―    変質しない 
  半硬化乾燥性    半硬化乾燥している。(常温 16時間)    低温 24時間    常温 16時間 
  塗装作業性    支障がない。 
  塗膜の外観    正常である。 
  ポットライフ    23℃ 5時間    5℃ 5時間    23℃ 3時間 
  たるみ性    ―    たるみがない。(すき間200μmで流れがない)    ―    たるみがない。 
  上塗り適合性    支障がない。(中塗り塗料を塗り付けて,作業性,外観などを評価) 
  耐衝撃性    割れ及びはがれがない。(デュポン式300g,500mm) 
  付着性    分類 0    分類 1又は分類 0    分類 0    分類1又は分類0 
  耐アルカリ性    異常がない。    ― 
  耐揮発油    異常がない。    ― 
  耐熱性    ―    外観が正常である。試験後の付着性試験で分類 2,分類 1,又は分類 0    ―    外観が正常である。試験後の付着性試験で分類2,分類1又は分類0 
  サイクル腐食性    さび,膨れ,割れ及びはがれがない。(120サイクル) 
  塗膜中の鉛の定量
(質量分率%) 
  0.06以下 
  塗膜中のクロムの定量
(質量分率%) 
  0.03以下 
  屋外暴露耐候性    さび,膨れ,割れ及びはがれがない。(24か月) 

 形成塗膜の品質試験

 7.3 試験の一般条件は,次による。
 a) 試験の場所
 1) 養生及び試験を行う場所は,他に規定がない場合は,JIS K 5600-1-6 「塗料一般試験方法−第1部:通則−第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」の4.1(標準条件)に規定する条件[温度 23±2℃,相対湿度(50±5)%]
 2) 目視観察のときの光源(拡散昼光,色観察ブース)
 b) 試験片の作製
 1) 試験板: 研磨によって調整した SPCC-SB の鋼板とする。
 2) 試料の調製: かくはん(攪拌),混合し均一にする。なお,多液形塗料は,混合したときから A種,B種及び C種は 5時間,D種及び E種は 3時間を過ぎたものは, 試験に供してはならない。
 3) 試料の塗り方: 2)で調製した試料を使用直前によくかくはん(攪拌)し,直ちに試験板の片面にエアスプレー塗り 1回とする。乾燥膜厚は 7時間乾燥後に測定し,A種及び D種で 25μm~35μm,B種,C種及び E 種で 55μm~65μmになるようにする。
 4) 乾燥方法: 自然乾燥による。試験までの乾燥時間は,他に規定がない場合は,7時間とする。
 
 7.8 塗膜の外観の試験は,次による。
 a) 試験片の作製: 試験片は,7.7「塗装作業性」に適合した試験片を用いる。
 b) 試験方法: 試験方法は, JIS K 5600-1-1 の 4.4(塗膜の外観)による。試料を塗ってから 48時間放置し,目視によって観察する。
 7.11 上塗り適合性は,次による。
 研磨によって調整した SPCC-SB の鋼板を試験板とする。ただし,大きさ 150mm×70mm×0.8mm とし,2枚とする。試験片は,試験板 1枚に試料を 7.3 b) 3)によって,1回塗りで塗装し,48時間置いたものに,A種,B種及び C種の場合には JIS K5659「鋼構造物用耐候性塗料」に規定する A種中塗り塗料を,D種及び E種の場合には,JIS K5659に規定する B種中塗り塗料を上塗り塗料として武器付け塗りする。上塗り塗料として塗り重ねた,中塗り塗料の乾燥膜厚は 25μm~35μm になるようにする。
 評価及び判定: 上塗り作業に支障がない。上塗り後 48時間置いて,塗膜の外観を目視によって観察したとき,上塗り塗料にはじき,割れ,穴,膨れ及び剝がれを認めない。上塗り後 48時間置いた試験片と,同時に作製した原状試験片とを比べ,指触によって粘着及び目視によってしわの程度が大きくない。これら全てを満たすとき“支障ない”と判定する。
 7.12 耐おもり落下性の試験は,次による。
 試験板は,7.3 b) 1)による。ただし,大きさは 150mm×70mm×0.8mmとし,2枚とする。試料を試験板にエアスプレー塗りし,7日間置いて試験片とする。試験方法は, JIS K 5600-5-3 「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第3節:耐おもり落下性」の 6.(デュポン式)による。500mm の高さから 300±1g のおもりを水平に置いた試験片上に落とし,塗膜の外観を目視によって観察したとき,試験片 2枚のいずれにも,塗膜の割れ及び剝がれを認めないときは,“割れ及び剝がれがない”とする。
 7.13 付着性の試験は,次による。
 7.8「塗膜の外観」に適合した試験片を,更に 5日間乾燥し,JIS K 5600-5-6「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」の 7.(手順)によって 2mm 間隔の格子状に 6本の切り込み(マス目の数 25)を入れる。切り込みを入れた面に粘着テープを圧着した後,引き剝がし,目視視で塗面を観察する。
 評価は,目視によって行い,判定は,JIS K 5600-5-6の表 1(試験結果の分類)を適用する。
 7.14 耐アルカリ性の試験は,次による。
 試験板は,7.3 b) 1)による。ただし,大きさは 150mm×70mm×0.8mmとする。試験片の枚数は 3枚とし,A種は乾燥膜厚 25μm~35μm,B種は 55μm~65μmとなるようにエアスプレー塗りで 1回塗る。24時間置いた後,7.11で用いた JIS K5659「鋼構造物用耐候性塗料」に規定する中塗り塗料をにエアスプレー塗りで 1回塗り重ね,6日間置いて試験片とする。3枚の内 1枚は原状試験片とする。
 試験方法は,水酸化ナトリウムを水に溶解した 50g/L の水溶液を試験液とし,JIS K 5600-6-1 「塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法)」の 7.4[手順 A(単一の液相を使用)]による。
 試験容器に試験液を 150mm の深さまで入れ,試験片 2枚を長辺が垂直になるよう 120mm の深さまで浸し,23±1℃で 168時間浸せきする。浸せき終了後,洗浄等の処置を行い,直ちに目視で 1回目の観察を行う。次いで,2時間後に 2回目の観察を行う。目視観察によって 1回目及び 2回目の観察のいずれでも,原状試験片と比べて,2枚とも液面から幅約 10mm 外部に出た部分を含む塗膜に,膨れ,割れ,剝がれ,穴及び軟化を認めないときは,“異常がない”とする。
 7.15 耐揮発油性の試験は,次による。
 試験板は,7.3 b) 1)による。ただし,大きさは 150mm×70mm×0.8mmとする。試験片は 7.14(耐アルカリ性)と同様にして 3枚作成する。
 JIS K8594に規定する石油ベンジンと,JIS K8680に規定するトルエンとを容量比で 8:2 に混合したものを試験液とし,JIS K 5600-6-1 「塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法)」の 7.4[手順 A(単一の液相を使用)]による。
 試験容器に試験液を 150mm の深さまで入れ,試験片 2枚を長辺が垂直になるよう 120mm の深さまで浸し,23±1℃で 48時間浸せきする。浸せき終了後,室内に立て掛けて保持し 2時間置いた後,目視によって観察する。原状試験片と比べて,2枚とも液面から幅約 10mm 外部に出た部分を含む塗膜に,しわ,膨れ,割れ及び剝がれを認めず,さらに,液の着色及び濁りの程度が大きくないときは,“異常がない”とする。
 7.16 耐熱性の試験は,次による。
 試験板は,7.3 b) 1)による。ただし,大きさは 150mm×70mm×0.8mmとする。 試料をエアスプレーで塗装し,7日間放置したものを試験片とする。
 160±5℃に保った乾燥器で 30分間加熱し,取り出して直ちに塗膜の外観を調べる。更に 1時間標準状態で放置後,7.13(付着性)によって付着性試験を行う。ただし,切り込み間隔 5mm で 4本の切り込み(マス目数 9 )とする。外観は,目視によって評価し,判定は,膨れ,割れ,剝がれ及び穴が認められないとき,“外観が正常である”とする。さらに,付着性試験の判定は,JIS K 5600-5-6 「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」の表 1(試験結果の分類)を適用する。
 7.17 サイクル腐食性の試験は,次による。
 試験板は,JIS G3101に規定する SS400(炭素鋼)の鋼板 150mm×70mm×3.2mmとし,ブラスト処理(除せい(錆)度 JIS Z0313に規定する Sa2・1/2 以上,研掃材 グリット,表面粗さ 25μmRZJIS )したものを 3枚用いる。
 試験片は,試験板にエアスプレー塗りによって,A種及び D種は,塗装間隔を 24時間とし,1回につき乾燥膜厚 25μm~35μm となるように 2回塗る。B種,C種及び E種は,乾燥膜厚 55μm~65μm となるように 1回塗る。
 6日間乾燥後,JIS K 5600-7-7 「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)」 の 6.2 に規定する条件(方法 1),及び表 3(サイクル A)で 60時間照射したものを試験片とする。
 試験は,JIS K 5600-7-9 「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第9節:サイクル腐食試験方法−塩水噴霧/乾燥/湿潤」 の7.5 a) による切り込みきずを付け,JIS K 5600-7-9の附属書 1(サイクル D)の条件で試験を行う。ただし,試験サイクルは 120サイクルとする。
 試験終了後,流水で洗い,2時間置いた後,目視によって塗膜のさび,膨れ,割れ及び剝がれの有無を観察する。この時,さび汁による汚れは評価の対象外とする。判定は,試験片 3枚のうち 2枚の塗膜にさび,膨れ,割れ及び剝がれを認めないとき,“さび,膨れ, 割れ及び剝がれがない”とする。
 7.20 屋外暴露耐候性の試験は,附属書Dによる。
 
 附属書 D(規定) 屋外暴露耐候性
 D.1 一般事項: 屋外暴露耐候性の試験は,少なくとも 3年に 1回は実施する。観察の時期は,試験開始から 12か月後及 び 24か月後とする。
 D.2 試験片の作製
 a) 試験板: 研磨によって調整した大きさが 300mm×150mm×1mmの鋼板 4枚用いる。
 b) 試験片の作製: 試験板 2枚に,A種については,エアスプレー塗りで 24時間間隔をおいて 2回塗り,24時間おいてから,JIS K5659「鋼構造物用耐候性塗料」に規定する A種中塗り塗料を 1回塗る。B種及び C種については,エアスプレー塗りで 1回塗り,24時間おいてから,JIS K5659に規定する A種中塗り塗料を 1回塗る。D 種については,エアスプレー塗りで 24時間間隔をおいて 2回塗り,24時間おいてから,JIS K5659 に規定する B種中塗り塗料を 1回塗る。E種については,エアスプレー塗りで 1回塗り,24時間おいてから,JIS K5659に規定する B種中塗り塗料を 1回塗る。中塗りの乾燥膜厚は,25μm~35μmとする。塗装後,A種,B種,C種,D種及び E種は,7日間おいて試験片とする。
 見本品は,箇条 6(⾒本品 )による塗料見本,社内見本品及び限度見本品とし,試料を同じ方法によって作製した試験片とする。試験片は,試料及び見本品とも 2枚ずつとし,2枚のうち 1枚を屋外暴露耐候性試験に用い,残りの 1枚は原状試験片とする。
 D.3 試験方法
 屋外暴露耐候性試験は,JIS K 5600-7-6 「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第6節:屋外暴露耐候性」による。ただし,試験期間は,24か月,試験開始時期は,4月又は 10月とする。
 D.4 観察による評価
 試料の屋外暴露耐候性試験片と原状試験片とで,さび,膨れ,割れ及び剝がれを目視によって比較観察し差を評価する。さらに,屋外暴露耐候性試験片と見本品の屋外暴露耐候性試験片とを比べて,さび,膨れ,割れ及び剝がれを目視視によって観察し差を評価する。ただし,試験片の周辺及び端から 10mm 以内の塗膜は観察の対象外とする。
 D.5 判定
 試験開始後 24か月たったときの評価によって,屋外暴露耐候性試験片と見本本品及び原状試験片とで,さび,膨れ,割れ及び剝がれに差がないときは,“さび,膨れ,割れ及び剝がれがない”とする。
 D.6 記録の保存期間
 記録する項目は,受渡当事者間の協定とし,記録の保存期間は,5年間とする。

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