防食概論:塗装・塗料
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ここでは,上塗り塗膜の基本性能である色彩(色)に関する試験項目の【測色・色差とは】, 【色差の求め方】に項目を分けて紹介する。
塗膜の評価(視覚特性;色の評価)
測色・色差とは
塗料(coating, paint)は,物体表面の保護(protection),色,光沢付与による美装(coloring),注意喚起,誘導などの情報伝達(information, communicatin)などを目的に用いる材料の一種である。
美装や情報伝達を主目的に使用される上塗り塗料(top coat, topcoat, finishing coat)は,塗料が完全に乾燥(硬化)した時に指定された色になるように,複数の着色顔料を用いて色合せ(調色;color matching)される。
実用では,調色された上塗り塗料が,設計通りの色であることの確認することが求められる。この場合は,前項の【色の目視比較】で紹介したように,目視による見本品との比較で行われる。
上塗り塗膜は,架設環境の外気に接触し水分,酸素などの外気成分の影響を受け,屋外ではさらに日射(紫外線)の影響を直接受ける。
このため,上塗り塗膜の表層は,時間経過による変色(tarnishing, discoloration)を受ける。一般的には,この影響を考慮した材料設計を実施するが,組み合わせた顔料の耐候性(weathering resistance)に差がある場合には,明度(value, lightness)の変化のみならず,例えば緑色が青色に,赤色が桃色に変わるなど色相(hue)の変化も起こり得る。
このような経年での色変化を評価しようとした場合には,目視による観察者の官能検査(sensory evaluation)では適切に評価できないため,定量的な評価,すなわち測色と測色結果を用いた色差による評価が求められる。測色や色差の計測は,塗料の開発研究に用いられるが,測定結果を JIS製品規格の品質として規定するのは困難で,参考値扱いされている。
例えば,JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」では,附属書 A(規定)「屋外暴露耐候性」のA.5“判定を終了した試験片の色差測定と記録”に次の記述がある。
“色差は,清浄にして乾燥した試料試験片と原状試験片を,JIS K 5600-4-6 「測色(色差の計算)」によって評価する。ただし,測定値の記録は,屋外暴露耐候性の判定には用いない。”
【参考】
官能検査(sensory evaluation)
物理的,化学的方法によらず,人間の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)で製品の品質を判定する。
測色(colorimetry)
表色系で必要な色表示に用いられる諸量を測定すること。色の測定。
備考 感覚としての色の測定及び心理物理量としての色の測定を含むが,通常,後者の意味で用いられる。心理物理量としての色の測定は,CIE(国際照明委員会)が定めた一連の規約に従って測定・計算され,その結果は,例えば,三刺激値,色度座標として表される。【JIS Z8120「光学用語」】
色差(color difference)
色の知覚的な相違を定量的に表したもの。【JIS K5500「塗料用語」】
二つの色の間に知覚される色の隔たり,又はそれを数量化した値。【JIS Z8105「色に関する用語」】
色の距離ともいわれ,2つの色の知覚的な相違を定量的に表したもの。一般的には,国際照明委員会 (CIE) の CIE Lab色空間におけるユークリッド距離として計算(CIELAB色差式)される色差が用いられる。
三刺激値(tristimulus values)
与えられた三色表色系において,試料の色刺激と等色にするための 3 個の原刺激の量。備考 2種類の CIE 表色系では,三刺激値は記号 X,Y,Z 及び X10,Y10,Z10 で表す。【JIS Z8105「色に関する用語」】,【JIS Z8120「光学用語」 】
三色表色系(trichromatic system)
適切に選ばれた 3個の原刺激の加法混色による等色に基づいて,色刺激を三刺激値によって記述する体系。
参考 特定の (R), (G), (B) の原刺激を用いた三色表色系を変換して,CIE(国際照明委員会)の XYZ 表色系及び X10,Y10,Z10 表色系が定められている。【JIS Z8105「色に関する用語」】,【JIS Z8120「光学用語」 】
XYZ 表色系とは,CIE 1931 (標準)表色系 (CIE 1931 standard colorimetric system (XYZ) )といい,CIE が 1931年に採択した原刺激 [X], [Y], [Z] 及び CIE 等色関数 x (λ) ,y (λ) ,z (λ) を用いて,任意の分光分布の三刺激値を決定する表色の体系。【JIS Z8105「色に関する用語」】
測色・色差とは
塗料(coating, paint)は,物体表面の保護(protection),色,光沢付与による美装(coloring),注意喚起,誘導などの情報伝達(information, communicatin)などを目的に用いる材料の一種である。
美装や情報伝達を主目的に使用される上塗り塗料(top coat, topcoat, finishing coat)は,塗料が完全に乾燥(硬化)した時に指定された色になるように,複数の着色顔料を用いて色合せ(調色;color matching)される。
実用では,調色された上塗り塗料が,設計通りの色であることの確認することが求められる。この場合は,前項の【色の目視比較】で紹介したように,目視による見本品との比較で行われる。
上塗り塗膜は,架設環境の外気に接触し水分,酸素などの外気成分の影響を受け,屋外ではさらに日射(紫外線)の影響を直接受ける。
このため,上塗り塗膜の表層は,時間経過による変色(tarnishing, discoloration)を受ける。一般的には,この影響を考慮した材料設計を実施するが,組み合わせた顔料の耐候性(weathering resistance)に差がある場合には,明度(value, lightness)の変化のみならず,例えば緑色が青色に,赤色が桃色に変わるなど色相(hue)の変化も起こり得る。
このような経年での色変化を評価しようとした場合には,目視による観察者の官能検査(sensory evaluation)では適切に評価できないため,定量的な評価,すなわち測色と測色結果を用いた色差による評価が求められる。測色や色差の計測は,塗料の開発研究に用いられるが,測定結果を JIS製品規格の品質として規定するのは困難で,参考値扱いされている。
例えば,JIS K 5659 「鋼構造物用耐候性塗料」では,附属書 A(規定)「屋外暴露耐候性」のA.5“判定を終了した試験片の色差測定と記録”に次の記述がある。
“色差は,清浄にして乾燥した試料試験片と原状試験片を,JIS K 5600-4-6 「測色(色差の計算)」によって評価する。ただし,測定値の記録は,屋外暴露耐候性の判定には用いない。”
【参考】
官能検査(sensory evaluation)
物理的,化学的方法によらず,人間の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)で製品の品質を判定する。
測色(colorimetry)
表色系で必要な色表示に用いられる諸量を測定すること。色の測定。
備考 感覚としての色の測定及び心理物理量としての色の測定を含むが,通常,後者の意味で用いられる。心理物理量としての色の測定は,CIE(国際照明委員会)が定めた一連の規約に従って測定・計算され,その結果は,例えば,三刺激値,色度座標として表される。【JIS Z8120「光学用語」】
色差(color difference)
色の知覚的な相違を定量的に表したもの。【JIS K5500「塗料用語」】
二つの色の間に知覚される色の隔たり,又はそれを数量化した値。【JIS Z8105「色に関する用語」】
色の距離ともいわれ,2つの色の知覚的な相違を定量的に表したもの。一般的には,国際照明委員会 (CIE) の CIE Lab色空間におけるユークリッド距離として計算(CIELAB色差式)される色差が用いられる。
三刺激値(tristimulus values)
与えられた三色表色系において,試料の色刺激と等色にするための 3 個の原刺激の量。備考 2種類の CIE 表色系では,三刺激値は記号 X,Y,Z 及び X10,Y10,Z10 で表す。【JIS Z8105「色に関する用語」】,【JIS Z8120「光学用語」 】
三色表色系(trichromatic system)
適切に選ばれた 3個の原刺激の加法混色による等色に基づいて,色刺激を三刺激値によって記述する体系。
参考 特定の (R), (G), (B) の原刺激を用いた三色表色系を変換して,CIE(国際照明委員会)の XYZ 表色系及び X10,Y10,Z10 表色系が定められている。【JIS Z8105「色に関する用語」】,【JIS Z8120「光学用語」 】
XYZ 表色系とは,CIE 1931 (標準)表色系 (CIE 1931 standard colorimetric system (XYZ) )といい,CIE が 1931年に採択した原刺激 [X], [Y], [Z] 及び CIE 等色関数 x (λ) ,y (λ) ,z (λ) を用いて,任意の分光分布の三刺激値を決定する表色の体系。【JIS Z8105「色に関する用語」】
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色差の求め方
色差計算の基本となる色の測定原理は, JIS K 5600-4-4「塗料一般試験方法−第 4 部:塗膜の視覚特性−第 4 節:測色(原理)」に規定されている。
色の測定方法については,JIS K 5600-4-5「塗料一般試験方法−第 4 部:塗膜の視覚特性−第 5 節:測色(測定)」で規定している。
色変化の程度は,色変化の前後で測色し,色差を計算することで評価できる。
色差の計算方法は,JIS K 5600-4-6 「塗料一般試験方法−第 4 部:塗膜の視覚特性−第 6 節:測色(色差の計算)」に定める方法で行われる。
JIS K 5600-4-4「第4節:測色(原理)」
1. 適用範囲この規格は,測色用語を記載し,また,塗膜及び関連物体の色座標を決定するのに必要な 基本的な要求事項について規定する。
内容(項目抜粋)
3. 色座標( 3.1 CIE 1964 補助標準表色系の色座標,3.2 (CIE 1976)L*a*b* 色空間の色座標),4. 標準の光,5. 分光放射特性( 5.1 一般,5.2 照射及び受光の条件)
JIS K 5600-4-5「第5節:測色(測定)」
1. 適用範囲この規格は,塗膜の色座標を測定する方法について規定する。この方法は,正常な色覚で見た場合に,均等な一つの色(すなわち,単色)に見える塗膜だけに適用できる。素地を完全に隠ぺいしてない非透明の塗膜は,不透明の系を意味し,この規格で規定する方法を用いて測定してもよい。
夜光塗料の塗膜,透明塗料の塗膜及び半透明の塗膜(例えば;ディスプレイ用又はランプガラス用) ,再帰反射塗料(例えば交通標識)及びメタリック塗料の塗膜などは,この規格の適用範囲外である。
3. 原理
次の方法から一つを選んで三刺激値 X10, Y10, 及び Z10 を測定する。
− 分光光度計による塗膜の分光測光特性(分光反射率又は分光立体角反射率)の測定及びその三刺激値の計算。
− 三刺激値色彩計による三刺激値の測定。
色度座標 x10, y10 の計算,又は JIS K 5600-4-4 に規定されている三刺激値からの近似的均等色の CIE 1976 (L*a*b*) 色空間の色座標の計算。
その他内容(項目抜粋)
4. 照射及び受光の条件の選択( 4.1 テクスチャーのない平滑な塗膜,4.2 表面にテクスチャーのある塗膜),5. 測色標準観測者及び標準光の選択,6. 装置( 6.1 分光光度計,6.2 簡易型分光光度計,6.3 積分器,6.4 三刺激値色彩計),7. 試料採取方法及び試験用試料の調整,8. 反射率標準( 8.1 一次標準,8.2 二次標準,8.3 実用標準),9. 手順( 9.1 分光光度計を用いる方法,9.2 簡易型分光光度計又は三刺激値色彩計を用いる方法)
JIS K 5600-4-6「第6節:測色(色差の計算)」
序文この測色に関する規格は,JIS K 5600-4-4「第4節:測色(原理)」,JIS K 5600-4-5「第5節:測色(測定)」,JIS K 5600-4-6「第6節:測色(色差の計算)」で構成されている。
これらは,次に示す目的に必要なものとして,計測器による塗膜の色座標,及び色差の測定方法を規定する。
a) 試験試料(塗装された試験板,又は塗装した物品からの試料)及び参照標準間の色差の客観的な記載。
b) その測定結果が工程の管理,又は調節に使用できるように,塗装製品の生産における色の偏差を測定する。
c) 屋外暴露,及び他の化学的,又は物理的な影響によって生じる色の変化の客観的な記載。
d) 色参照標準の実際的な管理。
備考:色参照標準は老化を免れない。そしてその老化は,そのうちに,はっきりした色の変化となる。
これらの変化を,適時検出するためには,高度に正確な測色が必要である。このことは,そのような変色した参照標準について発注するときに,特に重要である。
1. 適用範囲
この規格は,塗膜間の小色差の定量的測色的な数値を求める方法について規定する。
備考:二つの試料の色座標から色差を計算する多数の色差式がある。
種々の理由から,ここで定めた色差式を含めてそのような色差式で計算した結果は,すべての場合について,目視による認識と満足するように合致するとは限らないし,またその各結果間でも,同じく合致しないこともある。
CIE(国際照明委員会)は 1976年に,一般用に二つの色差式を勧告した。それの一つ, (CIE 1976) ,L*a*b*色差式(参照:CIE Publication No.15, Supplement No.2)は,塗膜の測色的評価に対して,実際的な数値であることが判明していて,この規格で規定されている。
3. 計算(項目)
3.1 共通事項,3.2 CIELAB色差式を用いる色差,3.3 明度差,3.4 彩度差,3.5 色相差,3.6 白に近い試験試料の色差
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