JIS K_5600_1_7(膜厚)|技術情報館「SEKIGIN」(セキジン)

  JIS K 5600_1_7 1999年,2014年

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「塗料一般試験方法−第1部:通則−第7節:膜厚」
Testing methods for paints−Part 1 : General rule−Section 7 : Determination of film thickness

 2007 年に改定された ISO 2808 との整合を図るため,これまで紹介していた 1999年版の JIS 規格が 2014 年に改定された。構成と表現が変更されているので,変更の大きい部分を中心に 1999 年版と併記して紹介する。
 
 【JIS規格の目次】(ここでは青字の項目を説明)
 1999 年版
 序文1 適用範囲,2 引用規格,3 必要な補足情報,4 定義5 共通要求事項6 方法 No.1 ぬれ膜厚の測定,7 方法 No.2 単位面積当たりの塗膜質量から算出する乾燥膜厚の測定,8 方法 No.3 機械的接触法による乾燥膜厚の測定,9 方法 No.4 プロフィロメトリック法による乾燥膜厚の測定,10 方法 No.5 乾燥膜厚の測定:顕微鏡法11 方法 No.6 磁気法12 方法 No.7 渦電流法,13 方法 No.8 非接触法,14 方法 No.9 分析法(溶出法),15 方法 No.10 ブラスト処理鋼板の乾燥膜厚の測定,16 試験報告
 附属書 A(規定)方法 No.2 単位面積当たりの塗膜質量 から算出する乾燥膜厚の測定
 2014 年版
 序文1 適用範囲,2 引用規格,3 用語及び定義4 ぬれ膜厚の測定(4.1 共通事項,4.2 機械式測定方法,4.3 質量法),5 乾燥膜厚の測定(5.1 共通事項,5.2 機械式測定方法,5.3 質量法,5.4 光学的方法,5.5 磁気法,5.6放射線法, 5.7 音響法),6 未硬化の粉体塗料層の厚さの測定(6.1 共通事項,6.2 質量法,6.3 磁気法),7 粗面上の膜厚の測定(7.1 共通事項,7.2 機器及び材料,7.3 手順),16 試験報告
 附属書 A(参考)試験方法一覧,附属書 B(参考)ダイヤルゲージ,附属書 C(参考)熱的性質を利用する方法附属書 D(参考)磁束膜厚計
 
 【序文】 1999年版
 この規格は,1996年に発行されたISO/DIS 2808, Paints and varnishes−Determination of film thickness [Revision of second edition (ISO 2808:1991)]を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
 参考意見:なお,翻訳が直訳に近いため,日本での一般的な膜厚測定や旧JIS 5400に慣れた技術者にとって,理解に苦しむ表現が多い。
 【序文】 2014年版
 この規格は,2007 年に第 4 版として発行された ISO 2808 を基に,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
 
 【 1 適用範囲】 1999 年版
 この規格は,被塗物基板に塗装された有機系塗料の厚さの測定に適用する幾つかの試験方法について規定する。
 この規格は,メタリック系塗料には適用しない。ここに記載する試験方法には,単離塗膜の厚さの測定に適用できるものもある。
 【 1 適用範囲】 2014年版
 この規格は,塗料の一般試験方法の通則として,素地に塗装した塗料のぬれ膜厚,乾燥膜厚及び未硬化の粉体塗料層の厚さの求め方について規定する。
 注記 1 附属書 A に,この規格に規定する測定方法に関する一覧を示す。概説は,附属書 A に示されており,その中でそれぞれの方法について適用分野,既存の規格及び精度が特定されている。

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 【 3 報告に必要な補足情報】 1999年版

 ここに規定した試験方法を個別に適用する際には,次の補足情報で補完しなければならない。この情報は,供試製品についての国際規格,国内規格又はその他の情報から求めることが望ましいが,適切であれば受渡当事者間の協定事項としてもよい。
 a) 素地に対する塗装方法,及び単層塗膜又は多層塗膜系(適用できる場合)かどうかの区別
 b) 試験前の塗膜の乾燥(又は焼付)及び養生(適用できる場合)期間並びに条件
 c) 用いる膜厚測定の方法
 d) 塗装物体の有効面積,及び必要なら測定回数
 
 膜厚の定義は,ある程度,用いる測定方法に依存する。塗膜及び被塗面が平らで均一な表面である場合に限り正確な定義を与えることが可能となる。
 実際問題として,塗膜表面も素地表面もどちらも平らではない。多くの場合,表面の不規則性(凹凸)は,膜厚の10%を超える
 異なる試験方法による測定結果は,これらの不規則性に影響される。その影響は,試験方法ごとに固有なものである。そのため,同じ試験片に適用した異なる試験方法の結果は,かなり違うこともある。
 これが,膜厚の測定結果の補足情報として共に報告しなければならない理由である。

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 【 4 用語の定義】 1999年版

 膜厚 (film thickness):素地に塗装された膜厚:塗膜表面と素地表面との間の距離。
 有効表面領域 (significant surface area):有用性,及び/又は外観上,塗料を絶対に必要とする物体の塗膜で被覆された,又は被覆される部分。
 参照領域 (reference area):その範囲内で規定回数の単一測定を行わなければならない有効表面領域の一部分。
 測定領域 (measurement area):その上で単一の測定が行われる場所。
 この規格に規定する試験方法の測定領域(試験領域:test area)は,次の通り定義する。
  a) 溶出法の場合:塗膜を除去する範囲。
  b) 顕微鏡法の場合:単一の測定を行う点。
  c) 非破壊試験方法の場合:プローブ面の触れる範囲,又はその読取りに影響する範囲。
 局部膜厚 (local film thickness):ある参照領域内で行った規定回数の膜厚測定値の平均。
 最低局部膜厚 (minimum local film thickness):ある特定の物体の有効表面領域で求められた局部膜厚の最低値。
 最大局部膜厚 (maximum local film thickness):ある特定の物体の有効表面領域で求められた局部膜厚の最大値。
 平均膜厚 (mean film thickness):有効表面領域全体に一様に分布させた規定個数の局部膜厚測定値の平均。
 ぬ(濡)れ膜厚 (wet-film thickness):溶剤の蒸発を避けてできる限り速やかに測定した塗装直後の塗料の厚さ。
 
 【 3 用語及び定義】 2014 年版
 この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 5500 によるほか,次による。
 素地(substrate):塗装に供する材料及び材料表面。
 試験板(test panel):素地に対して塗装前の表面調製をしたもの。
 試験片(test piece):素地に塗装後,試験に供するために適度の大きさに調製したもの。
 塗膜(coating):塗料を素地に 1 回又は複数回塗装することによって形成する連続した塗料層。
 膜厚(film thickness):塗膜の厚さ。塗膜の表面と素地の表面との間の距離。
 ぬれ膜厚(wet-film thickness):塗装直後の未乾燥状態での膜厚。
 乾燥膜厚(dry-film thickness):塗料乾燥後の膜厚。
 未硬化の粉体塗料層の厚さ(thickness of uncured powder layer):粉末状態塗料の塗装直後で焼き付け前の膜厚。
 当該表面領域(relevant surface area):塗装した又は塗装する成形品の表面で,塗装が成型品の有用性及び/又は外観の必須な要素を果たしている表面領域。
 試験領域(test area):受渡当事者間で合意した回数の単一測定が,抜取検査として,実施される当該表面領域の代表的領域。
 測定領域(measurement area):単一測定が行われる塗膜の領域。
 最小局部膜厚(minimum local film thickness):試験片の当該表面領域の上で測定した局部膜厚の最小値。
 最大局部膜厚(maximum local film thickness):試験片の当該表面領域の上で測定した局部膜厚の最大値。
 平均膜厚(mean film thickness):試験領域の中の個々の乾燥膜の厚さ測定値の算術平均又は厚さの重量測定の結果の算術平均。
 校正(calibration):たどることができる校正標準で測定機器で測定し,その精度が公称値の範囲内にあることを証明するための,管理され,文書化されたプロセス。
  注記 1 校正標準は,測定結果の不確かさが測定器具の公称精度より小さいものである。
  注記 2 初期校正は,器械の製造業者又は資格のある試験所が行う。
 確認(verification):参照標準を使用し,使用者が行う測定器具精度の点検。
 参照標準(reference standard):使用者が,測定器具の精度を確認するための既知の厚さをもつ板。
  注記 1 受渡当事者間の合意によって,試験板の一部を特定の仕事のための厚さの標準としてもよい。
  注記 2 参照標準は,上塗を施してある既知の膜厚の塗板又は既知の厚さの金属板が用いられる。
 調整(adjustment):測定器具の読取値を参照標準の厚さに一致させるため,膜厚既知の金属板の値に変更する行為。
 精度(accuracy):測定器具を参照標準を使用して測定した測定値と,参照標準の厚さとの差。

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 【 5 共通要求事項】 1999年版

 共通事項
 この規格では,代表的な試験板(JIS K 5600-1-4「塗料一般試験方法−第1部:通則−第4節:試験用標準試験板」)上の膜厚を測定する際に適用される試験領域の数,及び位置に関する情報を示す。
 その他の試験板,及び塗装物体上の試験領域の数及び位置とは,膜厚を代表できるものでなければならず,かつ,受渡当事者間の協定事項でなければならない。
 計器の操作は,製造業者の指示に従って行い,常に計器の繰返し精度を点検し,プローブ端子の校正,及びその状態は定期的に点検する。プローブ端子に圧力を加えても膜厚が変わらないことを確認しておく。
 粗面
 素地の表面粗さは,膜厚の測定に影響を与える。光学的方法の場合,参照線又は参照領域に関して合意(受渡当事者間)することを推奨する。
 非破壊試験方法を用いる場合,計器の校正は,試験片に使用する同種の未塗装試験板で行い,かつ,点検しなければならない。
 ブラスト処理鋼素地の場合,特殊な条件を適用する。
 端部効果
 ある計器は,物体に存在する端部の影響を受けるが,中にはこの端部効果を考慮にいれて校正することができる計器もある。測定は,物体又は試験板の端部から25mm以上離れた部位,又は端部からの距離がその計器を校正したときと同じ距離の部位で行わなければならない。
 表面の湾曲
 ある種の計器は,特に表面の湾曲に敏感であり,常に試験片と同じ湾曲面をもつ見本類を用いて校正しなければならない。

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 【 6 方法No.1 ぬれ膜厚の測定】 1999年版

  【共通事項】
 ぬれ塗膜(wet paint film)の厚さを測定する3種の測定方法について記載する。
 これは,主に塗料の塗り面積 (spreading rate:単位量の塗料で塗れる面積)を測定するために用いられる。
 塗り面積 As(m2/l)とぬれ膜厚 twとの関係を示す式は,次の通りである。
      As=1000/ tw
 ここに,As:塗り面積(m2/l) ,tW:ぬれ膜厚(μm)
 備考
 塗り面積は,通常 JIS K 5600-1-5「塗料一般試験方法−第1部:通則−第5節:試験板の塗装(はけ塗り)」を用いて測定する。
 乾燥膜厚の測定方法が,塗膜を損傷するか,又はあまり正確でないとき,塗装直後のぬれ膜厚を測定し,適切な相関分析の手法を用いることで,概略の乾燥塗膜を推定することが可能である。
 例えば,木材,又は無機質素地の場合に有用である。乾燥膜厚は,次の式によって算出する。
      tD=tW×VS /100
 ここに,tD:乾燥膜厚(μm) ,tW:ぬれ膜厚(μm) ,VS:不揮発分(容量%)
 方法1A くし形ウエットフィルム膜厚計 (Comb gauge)
 装置
 この膜厚計は,外側の歯が基準線を形成し,内側の歯は基準線との間に一連のすき間ができるように順次短くなっている。
 手順
 ・塗料を塗装後,直ちに,歯が表面の平面に対して垂直に,滑らないように膜厚計を置く。
 ・膜厚計を外して,ぬれ塗膜に触れている最も短い歯を調べる。
 ・最後に触れた歯と最初に触れなくなった歯との間に刻印された歯の目盛を記録する。
 塗装領域全体を代表する結果を得るために,同じやり方で異なる場所で,少なくとも更に2回以上の読取り値を求める。
 計器固有の偏り,精度など
 膜厚計に刻まれた歯の間隔の値の範囲が得られる。すなわち,おおよその目安を得ることが目的の方法である。
 方法1B  ロータリ形ウエットフィルム膜厚計 (Wheel gauge)
 装置
 この膜厚計は,周辺部に三つの等間隔の枠(リム)のある輪からなり,中央の輪は外側の2つの輪より小さく,偏心している。
 膜厚計をぬれ塗膜の上で転がして,中央の偏心輪が塗膜表面にちょうど触れた位置にあるとき,外輪に刻まれた目盛がこの点におけるぬれ膜厚を示す。
 ぬれ塗膜と偏心輪の接触は,塗料の表面張力に影響を受ける。従って,最初と最後の接触位置を観察し,その平均を求めなければならない。
 手順
 ・最大間隔の点で基板に接するように膜厚計の外輪を塗膜中におく。
 ・膜厚計を表面に沿ってほぼ360°回転させて外す。
 ・回転方向の,ぬれ塗膜と接触し始めた位置(最初の接触位置)を調べる。
 ・回転で濡れ塗膜との接触が断たれた位置(最後の接触位置)を調べる。
 その平均を求め,記録する。
 塗装領域全体を代表する結果を得るために,同じ要領で異なる場所で少なくとも2回繰り返す
 計器固有の偏り,精度など
 偏り:±2.5%+1μm
 現場での使用が可能である。
 方法1C  質量測定による
 この方法は,質量を的確に測定できる“はかり”の制限を受ける。すなわち, 研究室で試験片に塗られた塗料のぬれ膜厚,乾燥膜厚の測定に適している。
 (ここでは,防食塗装での実用実績のない次の手順を省略)
 ここでは,防食塗装の試験室や屋外現場で活用されていない方法,【方法 No.2 単位面積当たりの塗膜質量から算出する乾燥膜厚の測定】,マイクロメータやダイヤルゲージを用いた【方法 No.3 機械的接触法による乾燥膜厚の測定】,表面粗さ計を用いた【方法No.4 プロフィロメトリック法による乾燥膜厚の測定】

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 【 10 方法No.5 乾燥膜厚の測定:顕微鏡法】 1999年版

 共通事項
 この方法は,塗装系の個々の塗料層の乾燥膜厚を,顕微鏡を用いて測定する 3 種類の手順について規定する。
 測定法Aは,切り出した断面について乾燥膜厚を2μm以内の精度で測定する一般的方法である。例えば,グリットブラスト鋼材のように素地の凹凸によって生じる厚さの変動の測定に有用である。
 測定法Bは,素地まで規定の角度で切断し,その断面を化っ区大観察する方法である。この方法は,もろいか,又は砕けやすい塗料,又は2μm以下の膜厚の塗料には適用できない。
 測定法 C は,特殊な顕微鏡で,塗膜を除去した素地と塗膜表面のプロファイルを観察する装置を用いる。この方法は,十分な光が塗膜/素地から反射されて顕微鏡中に明確な像を与える場合に用いることができる。
 方法5A 断面の顕微鏡観察
 塗膜断面の顕微鏡観察による厚み測定方法である。一般的には,樹脂に埋め込み,作製した塗膜断面の観察であり,一般的ではないので内容については省略する。
 方法5B くさび形切削法
 この方法は,現場構造物の塗膜厚み測定にも活用されている。後述の電磁式などと異なり,破壊試験となるので,調査後に傷つき部の補修が必要になる。
 装置
 照明器具付き顕微鏡及び切削工具を含む特殊な装置。
 顕微鏡
 適切な対物レンズ,及び2μm又はそれ以内の精度で測定できるスケールの付いた接眼レンズをもつもの。
 切削工具
 膜厚に適する切削角度の刃をもつもの(表参照)。切削工具は,適切なガイドに取り付けられているもの。
 手順
 ・測定を容易にするために,対照的な色のフエルトペンで測定領域に印を付ける。
 ・切削工具を動かして,素地に達するまで,くさび形に塗膜を切り取る。
 ・顕微鏡でくさび形切削部の投影幅bをマイクロメートル(μm)単位で測定する。
 計算
 膜厚は,次の式によって算出する。
    t=b×tanα
 ここに,t:膜厚(μm),b:顕微鏡で測定された切削部の投影幅(μm),α:切削工具の切削角度(度)
 計器固有の偏り,精度など
 再現精度:±10%,測定下限2μm
 塗膜の切削には,特殊な切削工具,又は塗膜せん(穿)孔器を必要とする。塗膜は,試験の際,損傷を受ける。
 方法5C 表面プロファイル測定顕微鏡法
 断面形状測定顕微鏡(スプリットビーム顕微鏡,ライトセクション顕微鏡)という特殊な装置を用いた測定法で,防食塗装分野での活用例はないので,その内容については省略する。

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 【 11 方法No.6 磁気法】 1999年版

 共通事項
 この方法は,磁性金属素地上の非磁性塗膜の厚さを測定する非破壊試験手順について規定する。
 原理
 【磁気又は電磁誘導(感応)原理(方法No.6A)】
 この方法に用いる装置は,塗膜と基板を通過する磁束の磁気抵抗を測定する。磁束(Magnetic flux)を発生させる方法には、永久磁石(Permanent magnet)を用いた装置,及び電磁石(Electromagnet)を用いる装置がある。
 【永久磁石プルオフ原理(方法No.6B)】
 この方法に用いる装置は,塗膜の存在によって影響される永久磁石と基板との間の磁気吸引力を測定する。
 装置の校正
 共通事項
 各装置は,適切な校正用標準を用いて校正しなければならない。校正のできない装置については,校正標準と比較して目盛呼び値からの偏差を測定するものとし,すべての測定値について目盛呼び値からの偏差を考慮に入れなければならない。使用中,装置の校正をしばしば行わなければならない。
 校正標準
 既知の一定厚さの校正標準は,フォイル,又はシムの形で,又は公的に認定された標準に基づく指定値の塗装標準板として入手できる。
 校正用フォイルは,一般に適切なプラスチック材料で作られている。これらは,きずが付きやすくそのためしばしば交換しなければならない。
 校正用塗装標準板の素材金属の表面及び磁気的性質は,試験片と類似したものでなければならない。また,試験片が定義する臨界厚さ以下の場合,試験片及び校正標準の基板の厚さは同一でなければならない。
 手順
 共通事項
 試験場所において装置を作動させるたびに,また,使用中頻繁に(少なくとも 1 時間に 1 回)適切に作動していることを確認するため,装置の校正を行う。
 基板金属の厚さ 各装置には基板金属の臨界厚さが存在し,これを超えると,測定値は,基板金属の厚さによって影響を受けなくなる。
 基板金属の厚さが臨界厚さを超えているか否かを点検しなければならない。超えていない場合,バックアップ法(すなわち,十分な厚さの同種金属で基板金属を裏打ちする。)を用いるか,又は試験片と同じ厚さと磁気的性質をもつ校正用標準で校正されていることを確認する。
 測定値の数
 個々の参照領域で数回の測定(例えば,3回の測定)を行い,測定値の平均を局部膜厚とする。
 塗装物体の平均膜厚を得るために必要な参照領域の数及び分布は,受渡当事者間の協定に従ってもよい。
 計器固有の偏り,精度など
   方法No.6A 偏り:±2% +1μm,再現精度:±10%
   方法No.6B 偏り:±5% +1μm
 塗膜はプローブの圧力に十分に耐える硬さのある場合とする。現場で用いてもよい。

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 【 12 方法No.7 渦電流法】 1999年版

 共通事項
 この方法は,非磁性金属素地上の非導電性乾燥塗膜の厚さを測定する非破壊試験手順について規定する。
 原理
 渦電流装置は,装置のプローブシステム中で発生させた高周波電磁場によって,プローブを置いた導体中に渦電流を生じ,この渦電流の振幅及び位相は,導体とプローブの間の非導電性塗膜の厚さの関数であるという原理で作動する。
 校正
 各装置は,適切な校正用標準を用いて校正しなければならない。使用中,装置の校正をしばしば行わなければならない。
 校正標準
 既知の一定膜厚の校正標準は,フォイル又はシムの形で,又は公的に認定された標準に基づく指定値の塗装標準板として入手できる。
 校正用フォイルは,一般に適切なプラスチック材料で作られている。これらは,きずが付きやすく,そのためしばしば交換しなければならない。
 塗装標準板は,基板に永久に付着する既知の一様な厚さの非導電性塗膜で構成されている。
 手順
 共通事項
 試験場所において装置を作動させるたびに,また,使用中頻繁に(少なくとも1時間に1回)適切に作動していることを確認するために,装置の校正を行うものとする。
 測定値の数
 通常の機器変動のため,数回の測定(例えば,3回の測定)を行い,測定値の平均を局部膜厚とする。塗装物体の平均膜厚を得るために必要な参照領域の数及び分布は,受渡当事者間の協定に従ってもよい。
 計器固有の偏り,精度など
   偏り:±2% +1μm,再現精度:±10%
 計器は渦電流原理で作動する。塗膜はプローブの圧力に十分に耐える硬さのある場合とする。現場で用いてもよい。
 ここでは,コイルコーティングの評価のようなオンライン工程管理に用いられる【方法 No.8 非接触法】,塗膜を溶解し,質量変化から膜厚を求める【方法 No.9 分析法(溶出法)】は省略した。

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 【 15 方法No.10 ブラスト処理鋼板の乾燥膜厚の測定】 1999年版

 共通事項
 ブラスト処理鋼材素地に塗料を塗装する場合,その膜厚の測定は,平らな表面の場合よりも,更に複雑である。
 測定結果は,場所によって変化する素地の性質及び測定装置,例えば,プローブの構造に影響される。ブラスト処理素地上で装置を作動させる通常の手順は,乾燥膜厚の測定値に事実上大きなばらつきをもたらす結果となっている。
 この方法は,磁気感応形装置を平らな鋼板表面で校正した後,膜厚を測定する際のばらつきを最小にし,一様な結果を得ることを目的としている。
 この方法は,膜の厚さが素地の凹凸表面の先端の厚さより大きい場合,凹凸表面の磁気平面に対してそれを超える膜厚を測定する。この厚さは,約25μm に相当する(ブラスト処理表面のピークの底から先端までの高さで表される表面粗さの約半分に相当する。)。
 ブラスト処理表面で装置を校正すると,プローブ及び装置の種類に伴う通常のばらつきに加えて,次のような問題が生じる。
 a) 低い繰返し測定精度
 b) ブラスト処理鋼板のような表面上でのシムの厚さ測定のばらつき(シムの厚さが大きいほどシムの見掛けの厚の増加は大きい。)
 c) 表面粗さ未知の塗装鋼板表面
 適用範囲
 この手順は,ブラスト処理鋼板素地に塗装された乾燥膜厚に関する変数の測定について規定する。方法 No.6Aで測定される実際の膜厚は,25μm 以上,意味のある結果を得るにはむしろ50μm 以上でなければならない。
 装置及び材料
 方法 No.6A に用いられる磁気感応形のもの
 測定値を平均標準偏差及びその他の統計値に変換する機能を追加して取り付けた装置の使用は,注意して扱うことが望ましく,むしろ統計的技術の熟練者によってだけ使用することが望ましい。
 国家認定標準にトレサブルな合意値をもつフォイル状の校正用シム
 未認証の校正用のシムは,マイクロメータを用いて現場で検証するなら,用いてもよい。校正用には,ミルスケール及びさびがなく,塗装鋼板に類似の磁気的性質をもつ滑らかな鋼片で,少なくとも1.2mmの厚さのもの。
 手順
 校正
 すべての汚れ及び腐食生成物を除去するために,使用前に 400 番研磨紙で研磨した平らな鋼板片を用い,校正しなければならない。
 校正用シムは,プローブと平らな鋼板片の間に挟み,測定する膜厚の予想値より上及び下の厚さの校正板(シム)を用いる。
 測定
 試験場所において装置を作動させるたびに,また,使用中頻繁に(少なくとも 1 時間に 1 回)適切に作動していることを確認するため,装置の校正を行う。
 基板金属の厚さ 各装置には基板金属の臨界厚さが存在し,これを超えると,測定値は,基板金属の厚さによって影響を受けなくなる。
 基板金属の厚さが臨界厚さを超えているか否かを点検しなければならない。超えていない場合,バックアップ法(すなわち,十分な厚さの同種金属で基板金属を裏打ちする。)を用いるか,又は試験片と同じ厚さと磁気的性質をもつ校正用標準で校正されていることを確認する。
 読取り値の数
 各参照領域に均等に分布する少なくとも 3 個の読取り測定値を取ることが望ましい。
 備考 手引きとして,平らな板の場合,各平方メートルごとに2か所の参照領域,ウエブ (web) の場合,長さ1mごとに4か所,フランジの場合,長さ1mごとに2か所,パイプの場合,長さ1mごとに2か所,直径の大きいパイプの場合は,更に多くの場所の参照領域をとることが望ましい。
 一般に,海洋構造物及び船舶の場合には,より頻度の高い読取り測定を行うことが望ましい。

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 【 4 ぬれ膜厚の測定】  2014年版

 4.1 共通事項
 ぬれ膜厚の測定に用いる方法の一覧を示す(附属書 A 参照)。この規格では,機械式測定方法くし形ゲージ及びロータリ形ゲージ)及び質量法(質量の差による方法)を規定する。
 4.2 機械式測定方法
 原理
 機械式測定方法では,素地の表面は塗膜を貫通した測定器具の測定部と接触し,塗膜の表面は,同時に(図 1 省略)又は継続的に(図 2 及び図 3 省略)測定器具の別の部位と接触する。ぬれ膜厚は,これら二つの接触しているポイント間の高さの差であり,直接読むことができる。
 適用分野
 機械式測定方法は,全ての塗膜と素地との組合せに適用できるが,次の素地及び塗膜の性質によって表 A.1(附属書 A 試験方法一覧)の中の方法から選択する必要がある。素地の測定を行う部分の形状は,平面でなければならず,球体などには,用いることができない。ただし,管の内部又は外部の表面のように一方向でも平滑部があればよい。
 共通事項
 膜厚測定において,破壊試験法又は非破壊試験法のいずれを用いるかについては,次の条件による。
  a) 塗膜材料の粘弾性特性
  b) 測定器械の接触面と,塗膜材料の間の濡れ接触の性質
  c) 厚さの測定をすることで,対象の塗膜が不適切な状態になるようなことがないか。
 測定機器の接触面と素地との間に顔料の粒子が残存する可能性を除くことができないので,全ての機械式測定方法は測定方法に起因する誤差を含んでいる。すなわち,表示されるフィルム厚さは,顔料の粒子の少なくとも平均直径だけ実際のぬれ膜厚より小さい。
 ロータリ形ゲージ(測定法 1B,4.2.5 参照)の場合には,輪は塗膜材料によってぬれなければならない。ぬれていなければ,この測定方法に起因する一層の誤差要因となり,過大な膜厚の読みとなり得る。このようなことを制御する要因として,次のものが挙げられる。
 − 塗膜材料の表面張力と粘弾性特性,− ロータリ形ゲージの材質,− 測定時の輪が回る速度
 測定法 1A くし形ゲージ
 くし形ゲージ
 くし形ゲージは,両端部に沿って歯をもつ耐食性材料で作られた平らな板である(図 1 省略)。板の両端の一対の歯の内側に隙間の異なる歯列があり,両端の歯は間隙の基準線となっている。各歯には,割り当てられた隙間と基準線との距離が,刻印されている。
 市販のくし形ゲージによって測定することができる最大の膜厚は,一般的に 2000μm であり,最小の間隙増分は,一般的に 5μm である。
 手順
  a) くし形ゲージの歯に汚れがなく,摩耗及びきずがないことを確認する。
  b) ぬれた塗膜面に,歯が垂直になるように,くし形ゲージを置く。
  c) ゲージを取り除くまでに,ぬれた塗膜が歯をぬらすだけの十分な時間をとる。
  d) 一つの平面で湾曲した試験片の場合には,くし形ゲージは,湾曲の軸線に対して平行に当てる。厚さの測定の結果は,塗装後,測定までの時間の影響を受ける。したがって,厚さは,塗装の後できるだけ早く測定する。ぬれ膜厚は,塗料によってぬれる歯の最も大きいギャップの読みとする。
 測定法 1B ロータリ形ゲージ
 ロータリ形ゲージ
 ロータリ形ゲージは,強化防しょく(蝕)性鋼鉄で作られており,円筒から 3 組の枠(リム)が出ている構造となっている(図 2 省略)。二つの枠は,丸く同じ直径であり,同軸となるように形状が決められている。第 3 の枠は,直径が小さく偏心している。外側の枠の一方には,目盛が刻まれており,偏心枠の数値は,同心枠の目盛と対比して読み取ることができる。
 次の 2 種類の方式のゲージがある。
  − 方式 1 では,同心の枠の間に偏心した枠がある。
  − 方式 2 では,偏心した枠は,同心の二つの枠の外側にあり,そのうちの一つに隣接している。
 方式 2 は,方式 1 より,視差の少ないぬれ膜厚の読取りができる。
 市販のロータリ形ゲージによって測定することができる最大の膜厚は,一般的に 1500 μm,最小の膜厚測定間隔は,一般的に 2 μm である。ロータリ形ゲージの場合には,枠は,塗膜材料によってぬれなければならない。ぬれていなければ,この測定方法に起因する一層の誤差要因となり,過大な膜厚の読みとなり得る。このようなことを制御する要因として,次のものが挙げられる。
  − 塗膜材料の表面張力及び粘弾性特性,− ロータリ形ゲージの材質,− 測定時の枠が回る速度
 手順
  a) 親指及び人差し指で,ロータリ形ゲージの回転軸をつかみ,目盛の最も大きい読み点で接するように同心の枠をぬれた塗膜面に押し付ける。一つの平面で曲がった試験片の場合には,湾曲の軸線とゲージの枠とは平行にする。
  b) 軸を中心として一方向にロータリ形ゲージの枠を転がし,ぬれた塗膜面から持ち上げ,偏心した枠がまだ塗料材料によってぬれている最も高い目盛の値を読み取る。
  c) ゲージをきれいにし,他の方向で繰り返す。
  d) これらの読みを算術平均して,ぬれ膜厚を計算する。
 厚さの測定結果は,塗装から測定までの時間によって影響を受ける。したがって,厚さは,塗装の後,できるだけ早く測定する。結果に対する表面張力の影響を最小にするために,偏心した枠が塗料でどのようにぬれるかを観察し,最初の接触点の目盛を記録する。この記録の方法は,ロータリ形ゲージの方式 2 にだけ可能である。
 4.3 質量法
 原理
 ぬれ膜厚 tw(μm)は,塗膜材料の質量を,密度及び塗装された面積で除すことにより,次の式(1)によって計算される。
      tw = (m - m0)/(A×ρ)   (1)
  ここに,m0 :未塗装の試験板の質量(g),m :塗装した試験片の質量(g),A :塗装した表面領域の面積(m2),ρ:塗料の密度(g/ml)
 塗料の密度は,ISO 2811-1(Paints and varnishes−Determination of density−Part 1: Pyknometer method:対応する JIS K5600-2-4),ISO 2811-2(Paints and varnishes−Determination of density−Part 2: Immersed body (plummet) method),ISO 2811-3(Paints and varnishes−Determination of density−Part 3: Oscillation method)又は ISO 2811-4(Paints and varnishes−Determination of density−Part 4: Pressure cup method)によって決定する。
 適用分野
 質量法は,一般的に液状塗料中の高揮発性物質の量が少ないものに用いる。
 共通事項
 質量法の測定では,全塗装表面領域を通してのぬれ膜厚の平均値が得られる。スプレー塗装においては,試料の裏面は,部分的なオーバースプレーによる測定誤差を防ぐために覆う必要がある。裏面に覆いを施した場合は,試験片の質量を測定する前に,覆いを取り除く。
 測定法 2 質量の差による方法
 機器
 最小桁 1 mg で,500 g まで質量を量ることができるはかり。
 手順及び結果のまとめ方
 未塗装の試験板の質量を測定し,次に塗装した試験板の質量を測定し,式(1)によってぬれ膜厚を算出する。

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 【 5 乾燥膜厚の測定】  2014年版

 5.1 共通事項
 乾燥膜厚の測定に使用する方法の一覧を示す(附属書 A 参照)。この規格では,機械式測定方法,質量法,光学的方法,磁気法,放射線法及び音響法を規定する。
 
 5.2 機械式測定方法
 原理
 マイクロメータ又はダイヤルゲージを用いて,全体の厚さ(素地+塗膜)と素地の厚さとの差として膜厚を測定する。膜厚の測定には,次の二つの方法がある。
  a) 塗膜除去法(破壊的試験法) 最初に一定の測定領域で全体の厚さを測定し,その後測定領域の塗膜を取り除いて素地の厚さを測定する。
  b) 塗装法(非破壊的試験法) 最初に素地の厚さを測定し,塗装後に同じ測定範囲の全体の厚さを測定する。
 乾燥膜厚は,塗装有無での二つの厚さの差として算出する。
 マイクロメータ又はダイヤルゲージは,塗装法で用いる。デプスゲージ又はプロフィロメータは,塗膜除去法で用いる。
 なお,塗膜の除去は,試験片の塗膜の一部をナイフ又は切削工具によって,素地に達するまで削り,段差を生じさせる。素地が柔らかい場合には,溶剤によって塗膜を取り除かなければならない。
 適用分野
 機械的方法は,基本的に全ての塗膜と素地との組合せに適用できる。機械的方法を実施する場合は,測定端子がへこ(凹)みを作ることによって誤った結果の読みとなることを避けるため,素地と塗膜とは十分に硬くなければならない。マイクロメータ又はダイヤルゲージは,円形断面をもつ円筒形試料の乾燥膜厚測定にも適用できる(例えば,ワイヤ及びパイプ)。また,プロフィロメータは,問題があったときの判定方法として認められている。
 共通事項
 “塗装法”による測定では,素地の厚さと全体の厚さとの測定が,正確に同じ点で確実に実行できるように,ラベルを付けた穴をもつテンプレートを用いる。
  注記 1 ほとんどのプラスチック素地の場合,素地にきずを付けずに除去することができないので“塗装法”による測定を適用する。
 “塗膜除去”による測定では,測定領域を丸く囲み,区別しなければならない。塗膜は,素地を機械的又は化学的に損傷することなく,測定領域の中で,注意深く完全に取り除かれなければならない。
 塗装の各段階を明確にするために,次の層を塗装する前に,素地を粘着テープで部分的にマスキングすることがある。デプスゲージ及びプロフィロメータの場合,測定領域の中で取り除かない塗膜は,損傷のないようにしなければならない。プロフィロメータの場合,素地と塗膜表面との間の肩の部分は,十分に明確になっていなければならない。
 硬い素地(例えば,ガラス)に塗った塗膜は,機械的に取り除くことができるが,少し硬度の低い素地(例えば,鉄)に塗った塗膜は,溶剤又は塗料剝離剤を用いて化学的に取り除かなければならない。
  注記 2 鉄のような多少柔らかい素地の場合,塗膜は直径 10 mm のコアドリルを用いて素地ごと切り離すことができる。切り離した円盤状の試験片から塗膜は,溶剤又は塗料剝離剤で取り除くことができる。
 接触又は測定する全ての表面(塗膜,素地及び標本の裏面)は,清浄に保ち,塗膜の残留物がないようにしなければならない。
 測定法 4A 厚さの差による方法
 機器
 マイクロメータ
 マイクロメータは,JIS B 7502 に規定するものを用いる。
 方式 1−スタンド固定 スピンドルの測定面が,平らなマイクロメータのヘッド(JIS B 7502「マイクロメータ」 参照)を,高さ調整ができる平らな支持台をもった堅固なスタンドに固定する。測定面は,支持台の天面に対し平行に調整する。
 方式 2−手持ち 外側マイクロメータ(JIS B 7502「マイクロメータ」 参照)を用いる。
  注記 外側マイクロメータはキャリパとしても知られているが,この種の器具の一般用語は,外側マイクロメータである(図 3 省略)。スピンドルとアンビルの測定面は,平滑でお互いに平行なものを用いる。
 ダイヤルゲージ
 ダイヤルゲージは,JIS B 7503「ダイヤルゲージ」に規定するものを用いる。測定子の形状は,厚さを測定する塗膜の硬さの程度によって選択する(硬い物質用には測定面が球状,柔らかい物質用には測定面が平面状の測定子を用いる。)。
  方式 1−スタンド固定 ダイヤルゲージは,図 4(省略)に示すようなスタンドに固定する。平面状の測定子を用いる場合は,測定面は,支持台と平行に配置しなければならない。
  方式 2−手持ち 手持ちのためのグリップがついているダイヤルゲージの例を,図 5(省略)に示す。プランジャを持ち上げるための装置は,シックネスゲージが,片手で操作できる構造になっている。交換可能なアンビルの端子は,可動測定子の反対側に位置する。測定子の形状は,試験体の硬さによって選択する(硬い物質用には測定面が球状,柔らかい物質用には測定面が平面状の測定子を用いる。)。図 5(省略)のフォイルシックネスゲージのように,測定子とアンビルが平面状の場合,測定面は互いに平行でなければならない。
 手順
  a) “塗膜除去法”及び“塗装法”による測定のため,測定試料を準備する(原理参照)。
  b) “塗膜除去法”及び“塗装法”による測定においては,試験片の塗装面又は未塗装面がスピンドル(マイクロメータ 参照)又は接触端子(ダイヤルゲージ 参照)に向き合うように器具を操作する。スタンドに固定した器具(マイクロメータ,ダイヤルゲージそれぞれの方式 1 )を使用するときは,試験片を支持台の上に置く。手持ちタイプ(マイクロメータ,ダイヤルゲージそれぞれの方式 2 )を使用するときは,固定した測定子に向けて試験片を保持する。
   注記 マイクロメータ,ダイヤルゲージそれぞれの方式 2 に規定する器具のグリップは,操作を容易にするためスタンドに固定することができる。
  c) 塗膜除去後又は塗装後に,2 回目の測定のため手順を繰り返す。
  d) それぞれの測定は次のように実施する。
  − “機器”で規定するマイクロメータを使用するときは,ラチェットが機能するまでスピンドルをテスト面に向かって動かす。
  − “機器”で規定するダイヤルゲージを使用するときは,ばねで荷重をかけた接触端子を注意深く表面に接触させる。
  e) 膜厚は,全体の厚さとして得られた読みと素地の厚さとして得られた読みとの差である。
 測定法 4B デプスゲージ法
 機器及び参照標準
  方式 1−マイクロメータデプスゲージ
 JIS B 7502「マイクロメータ」に規定するマイクロメータで,図 6 の 4(省略)のような平滑な台又は脚を備えているものを用いる。
  方式 2−ダイヤルデプスゲージ
 JIS B 7503「ダイヤルゲージ」に規定するダイヤルゲージで,塗膜表面に置く平らな台又は脚をもつものを用いる(図 7 省略)。
 ゲージゼロ点調整用参照標準
 ゲージのゼロ点調整には平らな参照板が必要である。参照板は平らなガラス板でできており,平滑度の公差は,1 μm を超えてはならない(ISO 1101(Geometrical Product Specifications (GPS) − Geometrical tolerancing − Tolerances of form, orientation, location and run-out)参照)
 手順
  a) 測定領域から塗膜を取り除く(“共通事項” 参照)。
  b) 参照板を用いてゼロ点を確認し,機器のゼロ点調整を行う。
  c) マイクロメータデプスゲージを用いるときは,スピンドルが,露出領域の上にくるように脚を塗膜表面に置き,端子が素地に触れてラチェットが機能するまでねじを回してスピンドルを下げる。
  d) ダイヤルデプスゲージを用いるときは,接触部を露出した素地の上に置き,脚(又は接触ピン)を塗膜の上に置く(接触ピンタイプのゲージの場合は,接触ピンが試料表面と確実に垂直になるように注意する。)。
  e) 膜厚は,深さ(depth)の読みとして直接読み取る(必要に応じ,いかなるゼロ点エラーもないように補正する。)。
 測定法 4C 表面輪郭の走査(サーフェスプロファイルスキャナ)
 機器
 この機器は,増幅及び記録装置を適切に接続したトラバース針を含む。膜厚測定の目的で,この機器は塗膜の一部分を取り除いてできる素地表面の輪郭及び,素地表面と塗膜との間の肩の輪郭とを記録するために使用される(図 8 省略)。その先端部の半径が,素地及び塗膜表面の粗さに適合するように選択された自由に動く触針を備えた粗さ計,輪郭計などが最も適している。
  注記 測定は,光学的又は音響的方法でも可能である(すなわち,試料との接触なしに測定が可能である。)。
 手順
  a) 測定試料を準備する。
  b) サーフェスプロファイルスキャナに適切なモニタとプロッタを接続し,測定領域の塗膜表面から素地 部分を横断する直線の表面輪郭を走査し,記録する。次の要因は読みに悪影響を与える。
 − 洗浄が不充分な面 ,− 測定装置の振動 ,− 不適切な触針の使用
  c) 塗膜表面として記録された線の平均高さ(上方線)と素地として記録された線の平均高さ(下方線)との参照線を引く。
  d) 参照線の間の距離として膜厚を測定する。
 
 5.3 質量法
 原理
 質量法は,未塗装試験片と塗装試験片との質量の差を,密度及び塗装された面積で除すことにより,乾燥膜厚 td(μm)を求める[式(2)]。
      td = (m - m0)/(A×ρ0)   (2)
  ここに,m0 :未塗装試料の質量(g),m :塗装試料の質量(g),A :塗装された表面領域の面積(m2),ρ0:塗膜の乾燥密度(g/ml)
 塗料の乾燥塗膜密度は,ISO 3233(Paints and varnishes−Determination of percentage volume of non-volatile matter by measuring the density of a dried coating)によって決定する。
 適用分野
 質量法は,一般的に適用可能である。
 共通事項
 スプレー塗装においては,試料の裏面は,部分的なオーバースプレーによる測定誤差を防ぐために覆う必要がある。裏面に覆いを施した場合は,未塗装試料の質量を測定する前に,覆いを取り除く。
 測定法 5 質量の差による方法
 機器
 最小桁 1 mg で,500 g まで質量を量ることができるはかり。
 手順及び結果の求め方
 清浄な未塗装試料の質量をはかり,塗装し,乾燥して再度質量をはかる。乾燥膜厚 td は,式(2)によって計算する。乾燥条件は,受渡当事者間の取り決めによる。
 
 5.4 光学的方法
 原理
 断面法では,顕微鏡を使って直接膜厚を測定できるように,試験片を塗膜に対し垂直な面に沿って切削する(図 9 省略)。
 くさび形切削法(測定法 6B )では,塗膜断面の輪郭をはっきりさせるため,切削具を用い,表面に,指定された角度で塗膜に切り込みを入れる。膜厚 t(μm)は,式(3)によって算出する。
      t = b×tan α  (3)
  ここに,b:切削部(端から素地まで)の投影幅の半分であり,顕微鏡を使用して測定する。α:切削角度
 顕微鏡を用いて膜厚 t(μm)を測定する(図 10 対称切削,円すい掘削,傾斜切削:省略)。
 注記 対称切削は,特別な刃で,円すい掘削は,特別なせん孔具で,傾斜切削は,平削り道具で塗膜中に作ることができる。
 適用分野
 光学的方法は,基本的に,全ての乾燥塗膜と素地との組合せに適用できる。個々の層が十分に区別されていれば,多層膜中の各層の厚さも測定できる。断面法又はくさび形切削法を用いる場合,素地には,薄片に切ったり,せん孔したり,切断したりできる特性をもつものを用いる。この方法によって膜厚の判定がしづらい場合には,断面法が,判定法として認められる。
 共通事項
 くさび形切削法のための試験片は,平滑なものを用いる。塗膜が,弾性をもつ場合,断面法及びくさび形切削法では変形するので,測定結果は無効となる。この影響は,切削前に試験片を冷却することで低減できる場合がある。
 塗膜がもろい場合及び/又は不十分な付着の塗膜の場合,塗膜の剝離は,塗膜と素地との真の界面の決定を困難にする。したがって,目盛を読み間違える場合がある。
 測定法 6A 断面法
 方式 1−研削によるもの
 機器及び材料
 研削機及び研磨機:金属顕微鏡の組織標本を作るために用いる装置が適している。
 充塡剤 :塗膜に有害な影響を及ぼさず,隙間なく埋め込める低温硬化樹脂を用いる。
 研削材及び研磨材:耐水研磨紙を用いる場合は,JIS R 6252「研磨紙」又は JIS R 6253「耐水研磨紙」で規定する番手のもの(例えば,280 番,400番又は 600 番手)を用いる。研磨材を用いる場合は,適切な等級のダイヤモンドペースト又は類似のペーストを用いる。
 測定用顕微鏡:最適な像のコントラストを与えるのに適切な照明システムを備えた顕微鏡であることが必要である。倍率は,膜厚の 1.5~3 倍に相当する程度の視野となるように選ぶ。接眼レンズ又は光電式測定装置は,少なくとも 1 μm の精度の測定が可能なものを用いる。 
 手順
  a) 試験片を低温硬化樹脂中に埋め込む。
  b) 研削機又は研磨機を用いて,試験片を塗膜表面に垂直な面に沿って湿潤研摩する。
  c) この工程をより細かい番手の研削材及び研磨剤で繰り返し行う。
  d) 顕微鏡を使用して露出した層の厚さを計測する。
 方式 2−切削によるもの
 機器
 研削工具:適切な構造のカーバイド製の刃を備えた横断又は回転式のミクロトロームと,試験片を適所に固定できる固定具が必要である。
 測定用顕微鏡:最適な像のコントラストを与えるのに適切な照明システムを備えた顕微鏡であることが必要である。倍率は,膜厚の 1.5~3 倍に相当する程度の視野となるように選ぶ。接眼レンズ又は光電式測定装置は,少なくとも 1 μm の精度の測定が可能なものを用いる。 
 手順
 試験片から得られた代表的なサンプルをミクロトロームの試料ホルダの中に固定し,塗膜表面に対し垂直な面に沿って素材層が見えるまで塗膜層を切断する。顕微鏡を使用して露出した層の厚さを測定する。
 測定法 6B くさび形切削法
 機器
 共通事項:くさび形切削法には,切削具及び測定用顕微鏡が必要である。これらは両方とも一つの器具に組み入れることができる。
 研削具:指定された角度での正確な切断を行うための,取替可能な切断具を備えた特別の器具。切削工具(切削刃,特殊塗料せん孔具又は平削り道具)は,次の機能をもつ。
 − カーバイド製 ,− 正確に削られた切削具側面 ,− 確実に精密なくさびを切るのに適した構造
 標準切削角は,α=5.7°(tan α=0.1)~α=45°(tan α=1)の範囲である。
 測定用顕微鏡:約 50 倍の拡大顕微鏡と照明装置を必要とする。接眼レンズは 20 μm まで判別が可能でなければならない。 
 手順
 測定領域の中で,例えば,対照的な色のフェルトペンで印を付ける。この印に沿って切削又はせん孔を行う。切削,せん孔は素地にまで深く入り込むように行う。膜厚 t(μm)は,式(3)によって算出する。
 
 5.5 磁気法
 大部分の磁気タイプ乾燥膜厚計では,読取りに先立って確認が必須である。製造業者の指示に従った検定は,その塗膜に予想される厚さの範囲内で実行する。
 原理
 膜厚は,磁場と金属素地との間での相互作用によって決定する。より具体的には,塗膜から永久磁石を取り除くのに必要な力,又は磁場の変化によって決定する。
 適用分野
 磁気法は,金属素地上の塗膜に適している。測定法 7A 及び測定法 7C では,素地は強磁性体でなければならず,測定法 7D では非強磁性体でなければならない。
 塗膜の特性は,機器が塗膜表面に触れる場合に,読取りが無効とされないような状態であるものとする。
 共通事項
 機器によって作る磁場は,次の要因によって影響を受ける場合がある。
 − 素地の構造(大きさ,湾曲及び厚さ),− 素地材料の特性(例えば,透磁性,伝導性及び何らかの前処理によって生じる特性),− 素地の粗さ ,− 他の磁場(素地に残る磁場,外部の磁場など)
 測定法 7A 磁気プルオフ膜厚計
 原理
 この器具は,塗膜の存在によって変化する永久磁石と素地との間の磁気吸引力を測定する(図 11 省略)。
 注記 図 11 の方式 1(省略)で示した器具は,どんな位置でも用いることができるように設計している。図 11 の方式 2(省略)で示した器具は,重力の影響によるため単一の方向で用いるように設計している。
 手順
  a) 塗膜に磁石付き器具を押しつける。
  b) 磁石を塗膜表面に対して垂直方向へ持ち上げる。
  c) 膜厚は,試料から磁石を取り除く力に由来し,膜厚計の目盛を読み取る。
 測定法 7C 磁気誘導膜厚計
 原理
 磁気誘導膜厚計は,強磁性の素地に電磁石が接近するときに磁場中で起こる電流の変化を測定してから膜厚を決定するものである(図 12 省略)。低周波(LF,例えば,60 Hz~400 Hz)の交流電磁場は,電磁石によって発生する。
 手順
  a) 塗膜に垂直になるように図 12(省略)で示す電磁石をもつ探触子を置く。
  b) 表示から直接厚さを読むか,又は製造業者の取扱説明書に従って膜厚を計算する。
 測定法 7D 渦電流膜厚計
 原理
 渦電流膜厚計は,導電性素地中の渦電流によって生じた磁場の変化から膜厚を決定するものであり,電磁石を備えている(図 13 省略)。高周波(HF,例えば,0.1 MHz~30 MHz)の交流電磁場は,電磁石で発生する。
 手順
 塗膜に垂直になるように探触子を置く(図 13 省略)。
 
 5.6 放射線法
 原理
 膜厚は,電離放射線と塗膜との相互作用から得られる。放射線源としては,放射性同位元素が用いられる。
 適用分野
 塗膜材料の原子番号と素地材料との原子番号の差が 5 以上あれば,放射線法の原理はどのような塗膜と素地との組合せにも適用できる(ISO 3543「Metallic and non-metallic coatings−Measurement of thickness−Beta backscatter method」参照)
 共通事項
 膜厚測定は,次の項目に影響を受ける。
 − 素地の構造(寸法,湾曲),− 塗膜表面の不純物,− 塗膜密度の変動
 測定法 8 β 線後方散乱法
 機器
 β 線後方散乱装置は,次に示す部位で構成する(図 14 省略)。
 − 測定する膜厚に適したエネルギーをもつ,β 線を主に発生する放射線源(放射性同位元素),− 開口部領域の後方散乱 β 線の数を計測する β 線探知器を含む探測機又は測定システム(例えば,計数機),− 情報処理及び表示システム
 検定
 測定する試験片に可能な限り同じ構成の塗膜と素地とからなる標準板で装置を検定し,必要に応じて調節する。
 手順
 機器は,製造業者の取扱説明書に従って操作する。
 
 5.7 音響法
 原理
 音響法では,膜厚は,塗膜を通過する超音波パルスの伝ぱ(播)時間から測定する。
 適用分野
 音響原理は,どのような塗膜と素地との組合せにも適用できる。音の速さは,個々の層の中で均一だが,隣接した塗膜層の中と素地の中での音速とは著しく異なる。
 共通事項
 塗膜中の不均一性(例えば,アルミニウムフレークの存在)又は素地中の不均一性(例えば,木の木目)は,結果に影響を与える。機器によって作られる音場は,次の要因によって影響を受けることがある。
 − 素地の構造(湾曲及び厚さ),− 素地の粗さ
 測定法 10 超音波膜厚計
 機器
 機器は,超音波膜厚計を用いる。この機器は,音の伝ぱ(播)時間から膜厚を測定するために,超音波発信機及び受信機(レシーバ)を備えている(図 15 省略)。
 手順
 膜厚を測定する塗膜に接触媒質(カプラント)を塗る。塗膜上に探触子を水平に置く。探触子を操作し,製造業者の取扱説明書に従って膜厚を測定する。

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 【 6 未硬化の粉体塗料層の厚さの測定】 2014年版

 共通事項
 未硬化の粉体塗料層厚さの測定に使用する方法の一覧を示す(附属書 A 参照)。この規格では,質量法及び磁気法を規定する。
 
 6.2 質量法
 原理
 未硬化の粉体層の膜厚 tp は,未塗装試験片と塗装試験片との質量の差から算出する。
 適用分野
 質量法は,一般的に適用できる。
 共通事項
 質量法は,全ての塗装した表面領域についての膜厚の平均値を測定する方法である。粉体を塗装するときは,裏面の部分的塗装(オーバースプレー)によって生じる測定誤差を防ぐため,試験板の裏側は,覆い隠さなければならない。裏面に覆いを施した場合は,試験片の質量を測定する前に,覆いを取り除く。
 測定法 11 質量の差による方法
 装置
 最小桁 1 mg で,500 g まで質量をはかることができるはかり。
 手順
 清浄な試験板の質量をはかり,それを塗装し,もう一度質量を量る。式(4)によって未硬化の粉体層の膜厚 tp (μm)を計算する 2 回目の質量測定は,粉体塗装後ただちに実施する。
      tp =(m ‐ m0)/(A×ρp  (4)
  ここに,m0 :未塗装試験片の質量(g),m :塗装試験片の質量(g),A :塗装された表面領域の面積(m2),ρp :塗布された未硬化の粉体塗膜材料の密度(g/mL)
 塗装された未硬化の粉体塗膜材料の密度は,ISO 8130-2「Coating powders−Part 2: Determination of density by gas comparison pyknometer (referee method)」又は ISO 8130-3「Coating powders−Part 3: Determination of density by liquid displacement pyknometer」によって決定する。
 
 6.2 磁気法
 原理
 膜厚は,磁場と金属素地の間の相互作用による磁場の変化から得られる。
 適用分野
 磁気法は,塗装された金属素地に適している。測定法 12A では,素地は強磁性体でなければならず,測定法 12B では素地は非強磁性体でなければならない。
 共通事項
 装置によって作る磁場は,次の要因に影響を受ける。
 − 素地の構造(寸法及び厚さ),− 素地材料の特性(例えば,透過性,伝導率及び前処理に起因する特性),− 素地の表面粗さ ,− 他の磁場(素地の残留磁気及び外部磁場)
 磁気法は,平らな金属素地平面上の測定にだけ用いる。
 測定法 12A 磁気誘導膜厚計
 機器
 この機器は,強磁性素地に接近するときに起こる磁場の変化から,膜厚を測定するための電磁石を備えている(図 16 省略)。低周波(LF,例えば,60 Hz~400 Hz)の交流磁界は,電磁石で発生させる。探触子を置くとき,探触子の未硬化粉体塗料層の膜厚への影響が最小となるよう注意する。  
 手順
 塗膜に対して垂直に探触子を置く。表示から直接厚さを読むか,又は製造業者の取扱説明書に従って計算する。
 測定法 12B 渦電流膜厚計
 機器
 この装置は,電気伝導素地の渦電流によって発生する磁場の変化から膜厚を測定するための電磁石を備えている(図 13 省略)。高周波(HF,例えば,0.1 MHz~30 MHz)の交流磁界は,電磁石で発生させる。探触子を置くとき,探触子の未硬化粉体塗料層の膜厚への影響が最小となるよう注意する。
 手順
 塗膜に対して垂直に探触子を置く。表示から直接厚さを読むか,又は製造業者の取扱説明書に従って計算する。

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 【 7 粗面上の膜厚の測定】 2014年版

 7.1 共通事項
 素地の表面粗さは,膜厚の測定の結果に影響を及ぼす。したがって,ブラスト処理された鋼鉄素地上の膜厚測定には特別な配慮を要する。塗料がブラスト処理された鋼鉄素地に塗装されると,その厚さの測定は,滑らかな表面のときよりも,更に複雑となる。
 測定結果は,場所ごとに変化する素地の特性又は測定装置の設計によって影響される。ブラスト処理された素地の上に装置を置くときに用いる手順によっても,乾燥塗膜の読取りは,大きく影響を受ける。
 用いる装置の種類による測定結果のばらつきに加えて,ブラスト処理した素地の上でのゼロ点調整は,次に示す問題を引き起こす。
 − 低い繰返し精度 ,− ブラスト処理鋼板表面上に置かれた標準板の測定膜厚のばらつき(標準板が厚いほど厚さの見かけの増分は大きくなる。),− 表面粗さが,未知の鋼板による,測定結果の不確かさ
 この規格では,ブラスト処理された鋼鉄表面上の塗膜の厚さを測定するときに,ばらつきを最小にし,操作の統一性を得る手順について規定する。
 この膜厚測定方法では,事前に滑らかな鋼鉄表面でゼロ点調整された磁気誘導タイプの機器が必要である。この方法は,ISO 8503-1「Preparation of steel substrates before application of paints and related products−Surface roughness characteristics of blast-cleaned steel substrates−Part 1: Specifications and definitions for ISO surface profile comparators for the assessment of abrasive blast-cleaned surfaces」で“fine”と定義される表面特性等級まで処理された表面を除いて,素地の粗面の頂点と谷との間に位置する仮想平面(通常は頂点から 25 μm 下にある。)からの塗膜の厚さを測定する(仮想平面は,ブラスト処理した表面の頂点における,底から先端までの高さで表現される表面粗度のおよそ半分に位置する。)。
 この手順は,ブラスト処理された鋼鉄素地上に塗装された乾燥膜厚に関する変数の測定について規定する。参照標準との比較によって測定された実際の膜厚が有意な結果であるためには,少なくとも 25 μm 以上で,むしろ 50 μm 以上が望ましい。
 粗面上の塗膜の厚さを定めるための他の方法は,ISO 19840「Paints and varnishes−Corrosion protection of steel structures by protective paint systems−Measurement of, and acceptance criteria for, the thickness of dry films on rough surfaces」に規定する。
 
 7.2 機器及び材料
 磁気誘導膜厚計
 測定法 7C で使用する,磁気誘導型の膜厚測定装置。測定値の平均標準偏差,他の統計値などを計算する機能をもつ装置を用いる場合は,統計的技術の訓練を受けた者によってだけに用いることができる。
 確認用の標準板
 確認用の標準板は,フォイル状で,国家認証標準に繋がる保証膜厚値に近い値をもった標準板。未認証標準板は,受渡当事者間の協定によって,現地で検定されるならば,用いることができる。
 滑らかな鋼板
 装置の確認に使用するための,ミルスケール及びさびがなく,塗装された鋼板に類似の磁気的性質をもち,厚さが少なくとも 1.2 mm の JIS G 3141「冷間圧延鋼板及び鋼帯」に規定する冷間圧延鋼板。
 7.3 手順
 確認
 使用の前に,鋼板について,製造業者による処理状態を確認し,必要ならば次の手順の作業を行う。前もって全ての汚れ及び腐食生成物を取り除くために,400 番研磨紙で研磨した滑らかな鋼板を使用する。確認用標準板は,測定用端子と滑らかな鋼板との間に置く。予想される膜厚の上下の厚さの検定用標準板を使用する。
 測定
 乾燥膜厚の測定は,装置の製造業者の JIS G 3141 に規定する冷間圧延鋼板に対する測定の取扱説明書による。 読取り回数については,次を参照する。
 読取りの回数
 各試験領域で均等に広がって少なくとも 3 か所の読取りをすることが望ましい。目安としては,平らな板の場合,各平方メートルごとに 2 か所,ウェブの場合,長さ 1 m ごとに 4 か所,フランジの場合,長さ 1 m ごとに 2 か所,管の場合,長さ 1 m ごとに 2 か所又はそれ以上(管の直径による。)の試験領域とすることが推奨される。
 一般に,海洋構造物及び船舶の場合には,より頻度の高い読取り測定を行うことが望ましい。

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 【附属書 C 熱的性質を利用する方法 】 2014年版

 C.1 原理
 膜厚は,熱波が塗膜に向かって放射された時間と,再放射された波(熱又は超音波)を検出した時間との差から決定する(図 C.1 省略)。
 励起の方式又は検出の方法にかかわらず,全ての光熱的方法に対して,“試料の中への熱の形態を取ったエネルギーを周期的に又は脈動的に導入し,それによって起こる局所的温度の上昇を検出する。”という原理を共通に用いる。
 測定した時間差は,一定の条件(励起エネルギー,脈動の長さ,励起周波数など)の下で既知の厚さの塗膜に対して,測定した値と比較する。
 
 C.2 適用分野
 光熱的原理は,全ての塗膜と素地との組合せに対して,基本的に適用できる。各層が,熱伝導性及び反射の特性に関して十分に互いを区別できる場合は,多層塗膜の個々の層の厚さを決定するのにも用いることができる。
 測定に必要な最小の素地の厚さは,用いる測定装置並びに塗膜と素地との組合せに関係する。
 
 C.3 共通事項
 破壊試験又は非破壊試験としてどちらを選ぶかは,塗膜の用途によって異なる。塗膜によって吸収された熱エネルギーが引き起こす局所的な熱影響のために,塗膜に衝撃を及ぼすことがある。
 
 C.4 機器及び参照標準
 測定システム
 塗膜材料の中に熱波を作り出したり,試験片の加熱された部位に引き起こされる熱効果を検出したりするための様々な方法がある(EN 15042-2 参照)。
 熱放射源(例 レーザー光源,発光ダイオード,白熱光源)は,主として塗料塗膜の励起システムとして用いる。
 次の検出方法が使用される。
 − 再放出された熱放射又は超音波(光熱的放射測定)の検出
 − 屈折率の変化の検出(測定区域の上の熱せられた空気中で)
 − 焦電検出(熱流の測定)
 参照標準
 異なった吸収特性をもった参照標準板及び一連の厚さの塗膜が校正目的のために必要である(EN 15042-2 参照)。
 検定
 塗膜と素地との組合せごとに(主として膜の構成成分),参照標準板で測定システムを検定する。
 手順
 器具を操作し,製造業者の取扱説明書に従って,塗膜の厚さを測定する。

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