防食概論:塗料・塗装

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         アルキド樹脂塗料

 JIS K 5500「塗料用語」では,アルキド樹脂塗料(alkyd resin coating,alkyd coating)とは,“塗膜形成要素として,アルキド樹脂を用いて作った塗料。”と定義している。
 アルキド樹脂は,前節で示したように,脂肪酸の含有量(油長の多いものから長油・中油・短油に分けられる。また,使用する油脂は,不飽和脂肪酸の量により,乾性油,不乾性油,半乾性油に分けられ,乾性油の使用程度により,アルキド樹脂を酸化形や非酸化形に分ける。
 
 乾性油を多く用いたアルキド樹脂,すなわち酸化形長油アルキド樹脂を用いて作った合成樹脂調合ペイント建築,船舶,鋼橋などの中・上塗り塗装に用いられる。酸化形中油アルキド樹脂,又は酸化形短油アルキド樹脂を用いて作った塗料は,鉄道車両,機械などの中・上塗り塗装に用いられている。
 

【アルキド樹脂塗料の油長と特性】

 油脂に多塩基酸と多価アルコール(ポリアルコール)類を加えて反応させると,材料の選択で硬さ,強靭さ,耐薬品性,電気抵抗などの性質を調節したアルキド樹脂が作れる。
 塗装作業性(塗料粘度,溶解性など),耐水性,耐候性,耐食性などの塗膜特性は,油脂の量,すなわち油長(樹脂分に対する脂肪酸の比率)の影響を受ける。
 アルキド樹脂は,油長 25%以下を超短油性,26~44%を短油性,45~57%を中油性,58~75%を長油性,76%以上を超長油性に分類される。
 一般的に,油長の塗料・塗膜の性質に与える影響は,次の通りである。
 油長が多いほど粘度が低く,溶解性が高くなるので作業性が良い。また,顔料混和性,たわみ性,及び耐水性は,油長の大きいものほど良い。付着性は中油性が最も良い。塗膜の光沢,硬度,耐油性,耐候性,及び耐食性は,油長の小さいものほど良い。
 超短油性と短油性
 極性が高く脂肪族系溶剤に溶解せず,芳香族系溶剤を用いる必要がある。超短油性は,芳香族系溶剤単独では溶解困難で,アルコール系溶剤との併用が必要になる。
 そのままでは,不飽和脂肪酸量が少なく,酸素による酸化重合が期待できないので,硬化剤(イソシアネート化合物)を用いたウレタン硬化型や架橋剤(アミノ樹脂)を用いたメラミン焼付型として用いる。これらの塗料は,自動車外板,鋼製家具に用いられている。
 中油性~超長油性
 各種溶剤に良く溶解し,触媒としてドライヤー(金属石鹸)を添加することで,常温でも酸化重合が実用時間内に進む常温乾燥形塗料として用いることができる。長油性は,鋼構造物や建築物で利用されている。
 

【変性アルキド樹脂塗料】

 上塗り塗料に用いる場合には,着色剤との適合性,施工性や耐久性の向上目的に,油脂を加えた油変性アルキド樹脂として用いることが多い。
 アルキド樹脂は,用途の広い材料で,各種変性剤を用いて特性の異なる変性アルキド樹脂が実用されている。例えば,玩具や木工には,光沢性に優れるロジン変性アルキド樹脂が用いられる。
 車両や機械には,付着性や耐食性に優れるフェノール変性アルキド樹脂が用いられ,大形機械には,耐水性に優れるウレタン変性アルキド樹脂が用いられる。
 高い耐候性を求める電車などには,耐候性に優れるシリコン(シリコーン)変性アルキド樹脂が用いられている。
 
 このように,変性により多種の特性を有するアルキド樹脂が製造されている。次には,主な変性アルキド樹脂を用いた塗料の例を示す。なお,( )内は特性向上項目(長所)を示す。
 硬質樹脂変性アルキド樹脂塗料
 ロジン変性アルキド樹脂塗料(耐食性,光沢),マレイン酸樹脂変性アルキド樹脂塗料,フェノール樹脂変性アルキド樹脂塗料(耐食性,付着性),エポキシ樹脂変性アルキド樹脂塗料(耐薬品性,付着性,耐食性)
 
 他の樹脂との混合アルキド樹脂塗料
 繊維素誘導体塗料,アミノアルキド樹脂塗料(乾燥性,硬度),ウレタン変性アルキド樹脂塗料(乾燥性,耐水性),シリコン(シリコーン)変性アルキド樹脂塗料(耐候性,耐熱性),塩化ゴム混合アルキド樹脂塗料
 
 不飽和モノマー変性アルキド樹脂塗料
 スチレン化アルキド樹脂塗料(硬度),ビニルトルエン化アルキド樹脂塗料,アクリル化アルキド樹脂塗料(耐候性,可とう性)

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