防食概論:塗料・塗装

 技術用語関連のページ探しは
    “キーワード索引”

 関連機関へのリンク,防食関連書籍は
    “お役立ち情報”

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食・防食とは” ⇒ “塗料・塗装” ⇒

         新設時塗装管理(素地調整)

 新設時の塗装は,橋梁製作工場の敷地内で実施される。多くのケースでは,素地調整作業を建屋内で実施し,塗装は屋外の塗装ヤードで行われる。
 小規模の橋梁製作の場合に,屋内や雨よけの簡易テント内で塗装されることもあるが,大型橋梁の製作では橋梁ブロックの数も多く,屋外での塗装が主流である。このため,塗装作業は,気象条件に直接影響を受ける環境で実施される。

鋼橋新設時の塗装例

鋼橋新設時の塗装例
写真出典:片山ストラテック(株)ホームページ

 【素地調整時の施工管理】
 素地調整の施工管理では,次の項目の確認,検査,記録が必要となる。
 素地調整前
 ブラスト処理など機械的処理で除去困難な油分などの汚れ状況,腐食の程度など表面状態を観察し,計画した素地調整方法が表面状態に応じた適切な方法・手順であることを確認する。
 
 素地調整作業時の気象
 ブラスト処理開始から第1層目の塗装作業完了時までの気象予測と温度・湿度の記録,第1層目の塗装を屋外で実施する場合は,塗装終了時間から少なくとも半日先までの気象予測が必要である。
 【腐食概論:鋼の腐食】の【大気環境の腐食】で解説したように,大気,及び鋼表面とも清浄であっても,相対湿度 80%を超える環境では,鋼表面に水膜が形成される。
 従って,ブラスト作業中,及び第 1層目塗装までの間は,相対湿度 80%以下の気象条件で行う必要がある。  
 一方で,腐食が進む前に第 1層目を塗装する必要がある。このため,後に示す清掃作業,表面粗さの確認などの実作業行程を考慮した規定が発注機関ごとに定められている。例えば,鋼橋の施工では,ブラスト処理後直ちに(鉄道橋では 3時間以内,道路橋では 4時間以内)第 1層目を塗装しなければならないと定めている。
 施工管理においては,施工期間中の気象予報を確認するとともに,気温,相対湿度を記録しておく。
 
 素地調整後の検査
 清浄度(除せい度)の検査
 ブラスト処理後に,発注者が定める清浄度を満足しているかを検査する。特に,橋梁製作中に発生したさびに関しては,除せい度として Sa2 1/2以上が求められる。除せい度は,ISO 8501-1に定める見本写真との対比で検査される。
 なお,除せい度 Sa2 1/2とは,拡大鏡なしで,表面には,目に見えるミルスケール,さび,塗膜,異物,油,グリース及び泥土がない。残存するすべての汚れは,そのこん跡が斑点又はすじ状のわずかな染みだけとなって認められる程度である。

表面粗さの評価

表面粗さの評価
写真出典:片山ストラテック(株)ホームページ


 表面粗さの検査
 表面粗さは,鋼鉄道橋では 10点平均粗さ 70μmRz JIS以下,鋼道路橋では 80μmRz JIS以下と規定している。無機ジンクリッチペイントの鋼に対する付着性は,表面粗さが粗いほど向上する。しかし,鋼材の疲労き裂(表面粗さが金属疲労に与える影響)や第 2層目以後の塗膜仕上がりに与える影響などを考慮して,粗さの上限が定められている。
 表面粗さは,短時間での評価が求められるので,比較板(JIS Z 0313)との対比や,携帯式の表面粗さ計(触針式 JIS B 0651,光波干渉式 JIS B 0652)を用いた検査が一般的である。
 
 【参考:粗さの表示について】
 10点平均粗さは,日本独特の粗さ表記である。このため,JIS規格(JIS B 0601)の ISO規格との整合化を図った 2001年の改訂で,この表記が規格から削除された。しかし,日本では広く普及しているので,JIS規格の附属書 1(参考)として残されている。
 JISの 2001年改訂まで用いられていた10点平均粗さの記号“ Rz”には, JIS改訂に伴い異なる意味(最大高さ粗さ)が与えられた。そこで,10点平均粗さの記号は Rz JISに変更された。また,それ以前の JIS規格(1982年版,1994年版)に従うことを厳密に表記したい場合は,例えば,Rz JIS 82や Rz JIS 94と年号を入れることが求められている。

 ページのトップへ