防食概論:塗料・塗装

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         ローラ塗り

 ウールなどの繊維毛や合成繊維毛を筒状に仕上げたローラ(roller)に塗料を含ませて,被塗物の表面を転がして塗料を付ける方法である。
 人手による作業で手軽なうえ,刷毛塗りほどの技能を必要としない。作業効率(work efficiency)は,刷毛塗りより高い(スプレー塗り程度)などの特徴から現場塗装で広く用いられている。
 ローラには,塗料の種類や被塗面の材質により適する材質や形状があるので,適切に選択する必要がある。また,形状で明らかなように,ローラ塗り(roller application)は,刷毛塗り(brush application)とは異なり,広い平坦な面の施工が前提となる工具である。
 ローラは,下図に示す形状のため,凹凸の大きい面,細い部材,狭あい部やボルト・ナット周りの塗装には向かない。また,塗り付ける際に,塗料と下地界面にせん断応力(shear stress)が作用せず,塗料を置くだけの作業となるため,下地との塗膜密着性は,刷毛塗りより低いといわれている。
 さらに,塗膜の仕上がりは,作業者の技能に大きくは依存しないが,の巻き込みやうろこ状のローラ目が残りやすく,塗膜の仕上がりは刷毛塗りより劣る。

ローラーはけの例

ローラはけの例
写真出典:大塚刷毛製造株式会社 カタログ


 
 【塗り付け方】
 ローラによる塗装は,ローラに適量の塗料を含ませ,W字を描くように動かして塗り拡げる。塗り時に空気を巻き込むと,塗膜に気泡を生じるので,適切な材質のローラを選択するとともに,適切な速度で動かさなければならない。
 また,ローラ塗りでは,刷毛塗りのような平滑で光沢のある表面は得られないので,平滑な仕上がりを必要とする場合は,塗り付けちらしの作業をローラで行った後,刷毛でむら切りをして仕上げる必要がある。
 
 【ローラ用繊維の種類と特徴】
 ローラは,被塗面の材質や使用する塗料別に,繊維の材質,長さ,固定方法,及びローラの直径が異なる。使用に際して,作業状況に適したローラの選定が必要になる。
 ローラに用いられる繊維の種類と特徴は次の通りである。
 アクリル繊維
 ソフトでしなやかな繊維,塗料含みが良く,耐酸・耐アルカリ性に優れ,多くの種類の塗料に対応できる。
 ポリエステル繊維
 強度が強く,耐摩耗性,耐久性に優れ,弾力性が大きいので粘度の高い塗料に対応できる。
 ナイロン繊維
 強度が強く,塗料離れが良く,弾力性に富むが,耐酸性に劣るので,床材や防水材用に用いられる。
 
 【参考】
 アクリル樹脂(acrylic resin, acrylics)
 いろいろなアクリル又はメタクリルモノマーから,及び,それ以外のモノマーも加えて,重合又は共重合によってつくられる合成樹脂。【JIS K5500「塗料用語」】
 アクリル基 : CH2=CH‐CO‐ ,メタクリル基 : CH2=C(CH3)‐CO‐ , MMA(Methyl Methacrylate)モノマー : CH2=C(CH3)‐CO‐CH3
 アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体で,透明性の高い非晶質のアクリル樹脂には熱可塑性アクリル樹脂,熱硬化アクリル樹脂がある。
 アクリル樹脂は,比重が小さく(約1.2),硬く衝撃に強い性質(ロックウェル硬度Mスケール100,シャルピー衝撃強さ約17MJ/m2)を持ち,高い光透過性(日射透過率 約88%)を有するため,有機ガラスとして自動車から航空機および建築物まで広い用途がある。
 ポリエステル樹脂(polyester resin)
 多価塩基酸と多価アルコールとの縮重合によって作られる合成樹脂。備考:この樹脂は,その構造によって分類される。例えば,飽和及び不飽和ポリエステル樹脂。【JIS K5500「塗料用語」】
 多価カルボン酸とポリアルコールとの重縮合体。ポリアルコール(-OH を複数有する化合物)と多価カルボン酸(-COOH を複数有する化合物)を反応(脱水縮合)させて作ることを基本とする。テレフタル酸とエチレングリコールとから製造されるポリエチレンテレフタレート(Poly-Ethylene-Terephthalate ,PET)の生産量が最も多い。
 樹脂の用途によって分類名が異なる。.繊維やペットボトルなどでは,テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするポリエチレンテレフタレートを,略してペットと称したり,ダクロン(アメリカ・デュポンの商標),テトロン(帝人と東レの共同商標)などの商品名で称することもある。
 成形品やFRP(ガラス繊維などで強化したプラスティック)では,ポリエステルの主鎖に不飽和基(二重結合)を含ませ,スチレンなどのビニル基(H2C=CH-)をもったモノマーと成形時に共重合させたものが用いられ,不飽和ポリエステルと称している。塗料等では,油脂や他の樹脂(たとえばエポキシ樹脂)を用いて変性(性質を調整)したポリエステル樹脂をアルキド樹脂と称している。
 ナイロン(nylon , polyamide)
 “ナイロン”は,一般名称として用いられているが,元来はデュポン社の商品名で,化学名はポリアミドである。
 繰り返しているアミド結合の 85%以上が脂肪族又は環状脂肪族単位と結合している長鎖状合成高分子から成る繊維。【JIS L 0204 「繊維用語」】
 脂肪族系のポリアミドを示す名称で,元来は商標であったが,今日では化合物を示す慣用名として定着している。ラクタムの重縮合で得られるナイロン 6 (ε-カプロラクタム;C6H11NO ),ジアミン( ヘキサメチレンジアミン;H2N–(CH2)6–NH2 )とジカルボン酸(アジピン酸;HOOC–(CH2)4–COOH )の共重縮合で得られるナイロン 66 など,伝統的な名称の中の数値は,原料としたモノマー成分の炭素数に由来する指数である。
 ポリアミド(polyamide)
 連鎖中の繰返し構造単位がアミドの形のものである重合体。【JIS K 6900「プラスチック―用語」】
 略号 PA,カルボニル基と窒素の結合(アミド結合)で重合した結晶性の熱可塑性プラスチック(結晶性エンジニアリング・プラスチック)である。
 脂肪族骨格を含むポリアミドはナイロン(Nylon)と総称し,芳香族骨格のみで構成されるポリアミドはアラミド(aramid)と総称される。

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