JIS K 5600_7_2 塗料一般試験方法‐第7部‐第2節:耐湿性(連続結露法)

 JIS K 5600-7-2 1999年版  塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第2節:耐湿性(連続結露法) ( Testing methods for paints−Part 7 : Long-period performance of film−Section 2 : Resistance to humidity (Continuous condensation) )について  【序文・目次・適用範囲】,   【温度差固定式】,   【回転式】 に分けて紹介する。

 JIS規格の目次・種類

 序文
 この規格は,ISO 6270:1980, Paints and varnishes – Dtermination of resistance to humidity (continuous condensation) を翻訳したものである。
 この規格は,いかなる特別な適用に関しても次の補足情報によって補完することが必要である。この情報は試験をする製品に関する,国内規格又は国際規格若しくはその他の文書から引用し,又は適切であれば,受渡当事者間の協定に従う。
  a)  素地の材料,その厚さ及び表面調整
  b)  試験をする塗料の試験板への塗装方法,及び(要求すれば)試験板の端部並びに裏面のシール方法の詳細
  c)  乾燥塗膜の膜厚(マイクロメートル単位)及びその測定方法,並びに単一塗膜か多層塗膜系か。
  d)  試験前の塗装試験板(又は適用できるならば,焼付け及び養生の条件)
  e)  試験期間,及び中断の間隔(例えば,週末)
  f)  試験塗膜の検査を行う時期,及び適用できるならば,回収時期の詳細
  g)  試験塗膜の耐久性を評価する際に考慮すべき試験塗膜と素地の特性
 
 JIS規格の目次(ここでは青字の項目を説明)
 序文,1 適用範囲,2 引用規格,3 種類4 温度差固定式(4.1 要旨,4.2 装置,4.3 試料採取方法,4.4 試験板,4.5 手順),4.6 試験報告),5 回転式(5.1 要旨,5.2 装置及び材料,5.3 試験片の作製,5.4 操作,5.5 評価,5.6 製品規格の種類及び寸法
 
 1 適用範囲
 1.1  この規格は,塗膜,塗装系及び類似の製品の,高湿度条件に対する耐久性を測定するための方法について規定する。
 1.2  この方法は木材,石こう及び石こうボードのような多孔性素地,又は金属のような非多孔性素材に塗装された塗膜に適用できる。この方法は,表面に連続結露が生じるような過酷な条件で得られる,もっともらしい性能の指標を与えるものである。
 1.3  この手順によって,塗装の変状(膨れ,汚れ,軟化,しわ,ぜい化などを含む)及び素地の劣化を明らかにすることができるかもしれない。
 
 3 種類
 3.1  耐湿性の試験方法には,試験板を恒温恒湿槽に入れ,塗膜上に固定,又は回転して結露させる方法,及び塗膜上に結露させない方法がある。これらをそれぞれ温度差固定式,及び回転式と呼ぶ。

   ページのトップ

 4 温度差固定式 (fixed temperature-difference method)

 4.1 要旨
 試験片を電熱で加熱する水槽,及び試験板,又は空試験板からなる屋根板カバーで作られた装置で,塗膜の状態の変化を調べる。
 
 4.2 装置
 4.2.1  装置は基本的に電熱水槽と,試験板,又は空試験板からなるカバーによって構成され,その表面は雰囲気にさらされる。大きさ,150mm×100mmの試験板が載せられるように,設計されたものがよい。装置は化学的に不活性な材質で作られていなければならない。
 4.2.2  水槽の水は 40±2℃に保ち,装置は 23±2℃に保った通風のない環境の中で運転する。
 4.2.3  試験板の下 25mmで測定した空間の温度が均一で,±2℃で一定になり,35℃以下にならないようにするため,水槽の側面は適切に断熱されていなければならない。
 4.2.4  水槽の屋根は,凝結した水を排水できるように水平に対して 15±5°の角度で試験板を支えるように作られていなければならない。
 ただし,一つの試験板から流れた水が他の試験板に接しないようにする。
 4.2.5  試験板の数が屋根を覆うのに不十分である場合は,適切な不活性の空試験板(例えば不透明ガラスパネル)を装置の覆いに使う。
 
 4.3 試料採取方法
 試験する製品の代表試料(多層塗膜系の場合は各製品の)をJIS K 5600-1-2 「塗料一般試験方法‐第1部:通則‐第2節:サンプリング」 に従って採取する。
 試験用サンプルの検分及び調整は,JIS K 5600-1-3 「塗料一般試験方法‐第1部:通則‐第3節:試験用試料の検分及び調整」に従う。
 
 4.4 試験板
 4.4.1 材料
 試験板は,適用できるならば,JIS K 5600-1-4 「塗料一般試験方法-第1部:通則-第4節:試験用標準試験板」に規定された材料を用い,他に規定がなければ,その大きさは 150mm×100mmとする。
 備考:結果は素地の厚さに著しく影響されることがあるので,試験板の寸法が使用目的に合致していることを確認することが重要である。
 4.4.2 調整及び塗装
 適切であれば,JIS K 5600-1-4「試験用標準試験板」に規定された方法によって試験板を調整する。製品又は塗装系の規定に従って塗装し,規定された期間,乾燥(又は焼付け,及び養生)する。
 他に合意事項がない限り,JIS K 5600-1-6 「塗料一般試験方法-第1部:通則-第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」による標準状態温度 23±2℃,相対湿度 50±5%下で,空気の自然循環のもとで乾燥する。
 多くの目的に対して,試験片の片面だけの塗装で十分である。しかし,裏面及び/又は周辺を被覆するかどうか,もし被覆するなら,試験製品又は塗装系で行うか,他の適切な被覆材で被覆するかを規定する必要がある。
 
 4.4.3 塗膜の厚さ
 JIS K 5600-1-7 「塗料一般試験方法-第1部:通則-第7節:膜厚」に規定された手順を用い,規定の方法によって乾燥塗膜の膜厚をマイクロメートル単位で測定する。塗膜に切りきずを入れる破壊法は避ける。
 
 4.5 手順
 4.5.1  空試験板で装置を組み立てる。規定された条件に達したとき,速やかに空試験板を試験片と取り替える。試験片は試験表面が水面に向くようにする。電池の形成を防ぐために,試験板相互の接触,又は他の金属材との接触をさせてはならない。試験片の間には,非金属製の充てん材片を挟まなければならない。
 4.5.2  規定された期間,試験を継続し,中断する際に試験片を装置から取り外す場合には,直ちに空試験板でふたをする。試験片を取り外した場合,試験片は JIS K 5600-1-6「養生並びに試験の温度及び湿度」に従って標準状態に保持する。自動的に水位を調節する装置でなければ,定期的に水を補充する。
 4.5.3  もし試験期間中の中間検査が規定されている場合は,装置から試験板を取り出し,吸水紙で拭いて,劣化の徴候を検査し,直ちに試験片を装置に戻す。検査に時間を要する場合は,空試験板を試験板の位置に置く。
 4.5.1  規定の試験期間の終了時に,試験片を装置から取り出し,吸水紙で水分を拭き取り,直ちに表面の劣化の有無を検査する。要求がある場合,規定の回復期間,JIS K 5600-1-6「養生並びに試験の温度及び湿度」に規定された標準状態で試験片を保持し,再び表面の劣化を検査する。もし素地が侵された徴候を検分する必要があるならば,適切な方法で塗膜をはく離する。

   ページのトップ

 5 回転式 (rotary method)

 5.1 要旨
 試験片を湿潤箱の中につるして緩やかに回転させたときの塗膜の状態の変化を調べる。
 
 5.2 装置及び材料
 5.2.1 湿潤箱
 装置の条件は,次のとおりとする。
  a) 試験片の位置の温度 50±1℃
  b) 相対湿度 95%以上
  c) 空気流量 湿潤箱内容積の約 3倍/h
  d) 水 脱イオン水
  e) 回転環の速さ 毎分約 1/3回転
  f) 試験片保持数 36枚
 5.2.2 試験板
 製品規格に規定のない場合は,鋼板(150×70×0.8mm)を用いる。直径約 5mmの孔を開け,つり下げることができるようにする。
 
 5.3 試験片の作製
 試験片を3枚用意し,試料の製品規格に規定する方法によって塗装した後,乾燥したものを試験片とする。さらに,製品規格で,塗膜に切り傷を付ける規定があるものは,JIS K 5600-5-6 「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第6節:付着性(クロスカット法)」: 4.1.1に規定する工具の刃先で,塗膜の上から試験板の素地に達するように,交差する 2本の対角線を引いたものを試験片とする。試験片の周囲及び裏面は同一の試料を塗るか又は試験条件の高温高湿に影響を受けない塗料又は材料を塗る。
 
 5.4 操作
 5.4.1 試験片は 2枚について試験を行い,残りの 1枚は原状試験片として試験が終わるまで保管する。
 5.4.2 試験片の長辺を水平にし,塗面を回転方向に向けて,湿潤箱の中の回転環の内側と外側の 2か所からつり具を用いて試験片をつるす。試験片がつるされていない箇所には同一形状のステンレス鋼板をつり下げ,製品規格に,規定する時間試験を行った後,試験片を取り出し,直ちに目視によって原状試験片と比べて塗膜を調べる。
 5.4.3 さらに,試験片に付着した水を振り切って室内に立て掛けて 2時間静置した後,再び塗膜を調べる。
 ただし,特に,規定のない場合は,塗膜につけた傷の両側をそれぞれ 3mm及び試験片の周囲 10mm以内は観察の対象としない。
 
 5.5 評価
 試験片 2枚について,試験後取り出した直後の観察,及び室内に 2時間静置した後の観察によって,塗膜にしわ,膨れ,割れ,さび,はがれなどが認められず,2時間静置した後の観察でくもり,白化,変色などがないときは,“耐湿性に異常がない”とする。
 なお,評価が困難なときは原状試験片と比べて評価する。

 ページのトップ