JIS Z 2371

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「塩水噴霧試験方法」
Methods of salt spray testing

 【JIS規格の目次】(ここでは赤字の項目を説明)
 序文,1 適用範囲,2 引用規格,3 装置,4 試験片,5 試験片の調整,6 試験中の試験片の角度及び位置,7 試験用塩溶液(7,1 試験用塩溶液の調整方法,7.2 pH調整),8 供給空気,9 噴霧室の条件,10 装置の再使用,11 試験装置の再現性の試験方法(11.1 中性塩水噴霧試験,11.2 酢酸塩水噴霧試験,11.3 キャス試験),12 試験の開始,13 試験の継続,14 試験時間,15 試験後の試験片の取り扱い,16 判定方法,17 記録
 
 参考表1 化学的腐食生成物除去方法
 参考表2 電解による腐食生成物除去方法
 附属書1(規定)レイティングナンバ法
 附属書2(参考)装置の構造
 附属書3(参考)試験片の置き方及び位置
 
 【序文】
 この規格は,1990年に第1版として発行されたISO 9227, Corrosion tests in artificial atmospheres−Salt spray testsを元に,作成した日本工業規格であるが,対応国際規格に対して,規定項目,規定内容を追加し,また,規定する照合試験片の実験結果が規定値を満足しないことから,その一部を不採用にした。
 
 【適用範囲】
 この規格は,金属材料,又はめっき,無機皮膜若しくは有機皮膜を施した金属材料の耐食性試験を中性塩水噴霧試験(NSS),酢酸塩水噴霧試験(AASS)又はキャス試験(CASS)方法によって行う場合,必要となる装置,試薬,手法及び判定方法について規定する。

 

 【装置】

 塩水噴霧試験に必要な装置は,噴霧装置,試験用塩溶液貯槽,試験片保持器,噴霧液採取容器,温度調節装置などを備えた噴霧室,塩水補給タンク,圧縮空気の供給器,空気飽和器,排気装置などで構成され,次に示す条件を満たさなければならない。
 a) 噴霧装置は,噴霧液を上部から試験片に均等に噴霧する性能をもつものとする(附属書2参照)。
 b) 噴霧室の容積は,0.2m3以上でなければならない。ただし,形状及び寸法は任意でよい。
 c) 噴霧室の天井又はカバーは,その内面に付着した溶液の滴が試験片の上に落ちないような形状でなければならない。
 d) 装置の材料は,腐食性の材料を用いてはならない。
 e) 装置の構造は,噴霧室内温度,及び噴霧が外気の影響を受けず,また,試験片から落ちた溶液が再び試験に用いられない構造でなければならない。
 f) 試験片保持器は,試験片を所定の角度に支持できるものとする(注)。
:試験片の支持物の材料は,ガラス,ゴム,プラスチック又は適切な方法で被覆した木材とし,試験片は底裏又は側面から支持するのがよい。試験片が所定の位置に保たれるならば,ガラスかぎ又はビニルひもでつるしてもよく,この場合,必要であれば試験片の底を支持する。
 
 g) 噴霧液採取容器は,採取面が直径100mmで水平採取面積約80cm2の清浄な容器とし,噴霧の均一性が確認できるように2か所以上に置く。例えば,試験片の近くで,一つは噴霧装置に近く,一つは遠いところとする。
 h) 排気装置は,外気の風圧の影響を受けないようにしなければならない。
 i) 装置の維持管理は,常に所定の条件が得られるように正しく行わなければならない。

 

 【試験片】

 試験片の寸法及び形状は,70×150×1.0mm又は60×80×1.0mmの平板とするのがよい。ただし,受渡当事者間の協定によって,他の寸法又は部材を用いてもよい。
 
参考:互いに影響を及ぼすおそれのある異種金属の試験片は,同時に試験しないことが望ましい。

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 【試験片の調製】

 試験片は,汚れ,きずなどがあってはならない。試験片の調製は,次による。
 a) 試験片の切り口は,必要に応じて,試験の条件下で安定な被覆材で保護しなければならない(注)。
:被覆材としては,テープ,塗料,パラフィンなどがある。
 
 b) 金属及び金属皮膜の試験片は,あらかじめ適切な方法で清浄にしておかなければならない。試験片を清浄にするには,表面の性質及び汚れに応じた適切な方法で行う。
 ペースト状の沈降性炭酸カルシウム,酸化アルミニウム及び酸化マグネシウム以外の研磨剤,腐食性の又は保護皮膜を生じる洗浄剤を用いてはならない。
 また,試験片を処理した後,再び汚さないようにしなければならない。
 c) ペイント,及び非金属皮膜で被覆した試験片は,試験前に洗浄又は他の処理をしてはならない。ただし,試験に不都合な付着物は除去してよい。
 また,損傷部からの腐食の進行を測定することが必要なときには,試験前の素地金属を露出させるように,皮膜に引っかききずを作る。この場合,引っかききずの作り方は,受渡当事者間の協定による。
 
 なお,一例として,次の方法がある。
:試験片の周辺5mm程度を被覆材で保護した後,試験片の長いほうの下 1/2∼1/3 に×のようにきずを付ける。きずは,素地金属面に達する深さで,切り口の寸法は常に一定とすることが望ましい。きずを付ける器具としては,カッタナイフ,かみそり刃などがよい。

 

 【試験中の試験片の角度及び位置】

 試験中,噴霧室内の試験片の角度及び位置は,次の条件に適合しなければならない(附属書3参照)。
 a) 試験片の角度は,鉛直線に対し20±5°とする。ただし,部材の場合には,その有効面が鉛直線に対して20±5°になるように置く。
 なお,受渡当事者間の協定によって他の角度を用いてもよい。試験片の表面は,自由な噴霧の動きにさらされるようにし,噴霧ノズルからの噴霧の流れ方向に直交しないように噴霧室内に置く。
 b) 試験片は,支持物以外のものに触れてはならない。
 c) 試験片の位置及び間隔は,噴霧の自由落下を妨げないようにしなければならない。
 d) 試験片からの塩溶液の滴が,他の試験片に滴らないようにしなければならない。

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 【試験用塩溶液】

  試験用塩溶液の調製方法
 塩溶液の調製方法は,次による。
 a) 塩 JIS K 8150「塩化ナトリウム(試薬)」に規定する特級の塩化ナトリウム,又は同等以上とする(注)。
:同等以上とは,塩化ナトリウムを原子吸光分析法,又は同じ精度のその他の分析方法で測定した場合,銅含有量0.01g/kg未満,ニッケル含有量0.01g/kg未満とする。さらに,よう化ナトリウムが1.0g/kgを超えないか又は乾燥塩換算で不純物総量が5.0g/kgを超えてはならない。
 b) 水
 25±2℃で電導率20μS/cm以下の脱イオン水,又は蒸留水とする。なお,電導率を1μS/cm以下にすることが望ましい。
 c) 調製方法
 a)の塩をb)の水に溶かして,塩濃度50±5g/lに調製する。調製結果は,比重計を用いて密度を測定し,25℃で1.029~1.036の範囲にあることを確認する。なお,この範囲を外れたときには再調製する。
  pH調節
 中性塩水噴霧試験
 試験用塩溶液は,噴霧前に懸濁物がなく(注1),噴霧したときに採取した噴霧液がpH6.5~7.2の範囲にあるようにしなければならない(注2)。
 pHの調節に際しては,必要によってJIS K 8576「水酸化ナトリウム(試薬)」に規定する水酸化ナトリウム又はJIS K 8180「塩酸(試薬)」に規定する塩酸のそれぞれ0.1mol/l水溶液を用いる。
 pHの測定は,25±2℃でJIS Z 8802「pH測定方法」によって行う。なお,日常の確認では,0.3の位まで読み取りが可能なpH試験紙を用いてpHを調べてもよい。
 
注1:よくかき混ぜても懸濁物が消失しないときには,ろ紙などを用いて,ろ過したものを用いる。
注2:試験用塩溶液を35℃で噴霧したときに採取した噴霧液のpHが6.5~7.2の範囲に入るようにするには,次の方法がある。
 a) 塩溶液のpHを室温で調節し,35℃で噴霧する場合,その採取液のpHは,溶液中の溶存二酸化炭素の揮散によって,元の溶液のpHより一般に高くなる。したがって,塩溶液のpHを25±2℃で調節する場合には,pHを約 6.5 に保つ。
 b) 塩溶液を約30秒間静かに煮沸した後,25℃に冷却するか,又は35℃で48時間維持した後,pHを調節する。
 c) 35℃以上に加熱して二酸化炭素を含まない水(JIS K 0557「用水・排水の試験に用いる水」の 4.の備考4.)を用いて塩溶液を調製し,pHを調節する。
 
 酢酸塩水噴霧試験
 試験用塩溶液は,噴霧前に懸濁物がなく,噴霧したときに採取した噴霧液がpH3.1~3.3になるように,JIS K 8355「酢酸(試薬)」に規定する酢酸を十分に加える。採取液のpHを規定の範囲に入れるようにするためには,塩溶液のpHを当初3.0~3.1に調節すればよい。
 pHの測定は,25±2℃でJIS Z 8802「pH測定方法」によって行い,必要に応じてJIS K 8355「酢酸(試薬)」に規定する酢酸又はJIS K 8576「水酸化ナトリウム(試薬)」に規定する水酸化ナトリウムを適宜追加して補正をする。
 なお,日常の確認では0.1の位まで読み取り可能なpH試験紙を用いてpHを調べてもよい。
備考:酢酸及び水酸化ナトリウムは,0.1mol/l水溶液を用いることが望ましい。
 
 キャス試験
 試験用塩溶液1リットルにつき,塩化銅(II)0.205+0.015g(JIS K 8145「塩化銅 (II) 二水和物(試薬)」 に規定する塩化銅(II)二水和物0.26±0.02g)を加える。次に酢酸塩水噴霧試験に規定する方法によってpHを調節する。

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 【供給空気】

 塩溶液を噴霧するために噴霧ノズルへ送る圧縮空気は,油及びほこり(挨)を含まず,その圧力は0.07~0.17MPaに保たれなければならない。
 なお,0.098±0.010MPaに保つことが望ましい。

 

 【噴霧室の条件】

 a) 温度
 噴霧室内の試験片保持器付近の温度は,中性及び酢酸塩水噴霧試験では 35±2℃に,キャス試験では50±2℃に保つ。温度の測定位置は,壁から少なくとも100mm以上離した位置とする。
 b) 試験用塩溶液貯槽の温度及び水位
 試験用塩溶液貯槽の温度は,中性及び酢酸塩水噴霧試験では35±2℃に,キャス試験では50±2℃に保つ。また,試験用塩溶液貯槽の水位を一定に保つ。
 c) 噴霧
 噴霧は,自由落下を原則とし,噴霧が直接試験片にかからない方向に噴霧ノズルを向けることによって,噴霧の直射を遮断しなければならない。
 d) 噴霧採取液
 噴霧室内が所定の寸法及び形状の試験片で満たされた状態で24時間の運転をした後,噴霧液の採取量は,水平採取面積各80cm2に対して1時間当たり平均1.5±0.5mlとする。この場合,採取した噴霧液の塩濃度は50±5g/lでなければならない。
 また,そのpHは中性塩水噴霧試験では6.5~7.2で,酢酸塩水噴霧試験,及びキャス試験では,3.1~3.3でなければならない。pH測定は,7.2に規定する方法によって行う。
参考:比重計を用いて測定したとき,中性塩水噴霧試験の場合,密度は25℃で1.029~1.036の範囲であれば,噴霧液の塩濃度は規定に適合している。

 

 【装置の再使用】

 装置が異なる試験用塩溶液を用いた噴霧試験,又は他の目的のために使用された場合には,使用前に装置を清浄にする。
 試験を再開する場合,試験片を槽内に設置する前に最低24時間装置を稼働し,また,採取溶液のpHが全噴霧期間にわたり所定値内であることを確認しなければならない。

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 【試験装置の再現性の評価方法】

 1台の試験装置での試験結果の再現性,又は異なった試験所での同種の装置での試験結果の再現性を確認するため,装置を次に従って定期的に動作確認することが必要である。
 
 中性塩水噴霧試験
 照合試験片
 装置の動作確認をするために,70×150mm,厚さ1±0.2mmの欠陥のない表面をもった,JIS G 3141「冷間圧延鋼板及び鋼帯」によるSPCE級の鋼板の照合試験片4個を用いる[粗さ(算術平均)Ra=0.8±0.3μmの偏差,ただし,圧延方向に沿った方向の値]。これらの照合試験片は冷間圧延鋼板から切り出す。
 照合試験片を試験直前に注意深く洗浄する。洗浄は試験結果に影響するおそれのある汚れ,油分及びその他の不純物を除去しなければならない。その場合,次のいずれかの方法を用いる。
 a) 清潔な柔らかいブラシ,又は超音波洗浄機を用い,適切な有機溶剤(炭化水素の沸点範囲,60~120℃)で照合試験片を十分に洗浄する。洗浄は,室温で溶剤を満たした容器中で行う。洗浄後,照合試験片を新しい溶剤ですすぎ,乾燥する。
 b) 同様な結果が得られるならば,受渡当事者間の協定によって,他の方法でもよい。
 照合試験片を1mgのけたまでひょう量する。照合試験片の片面を可はく性の被覆材,例えば,接着テープで保護する。
 
 照合試験片の配置
 4個の照合試験片を試験槽内の4隅に,被覆材を施さない面を上向きにして,角度20±5°で置く。照合試験片の保持器は,プラスチックなどの不活性材料で作るか又は被覆する。
 通常の平板状試験片と同じように暴露されるように照合試験片の下端は,噴霧採取器の上端とほぼ同じ位置にする。試験時間は96時間とする。
 
 減量測定
 試験終了時,被覆材を取り除き,照合試験片を冷水ですすぎ,塩の付着物を除く。JIS K 8180「塩酸(試薬)」に規定する塩酸1容に水1容を加えて調製した溶液[50% (v/v)]1リットルにつき,腐食抑制剤としてJIS K 8847「ヘキサメチレンテトラミン(試薬)」に規定するヘキサメチレンテトラミン3.5gを加えた洗浄液に照合試験片を浸して,減量の変化がほとんどなくなるまで洗浄を繰り返して十分に腐食生成物を除去する。
 洗浄液の温度は,25±2℃が望ましい。除去後,照合試験片を常温の水で十分に洗い,最後に乾燥する。
備考:水で十分洗うには,水道水で表面の浮遊物を洗い流すようにするのがよい。
 照合試験片を1mgのけたまでひょう量し,質量の減量をg/m2単位で計算する。
 
 装置運転状況の検査
 4か所の照合試験片の質量減がいずれも140±30g/m2ならば,装置は満足に運転されているものとする。
備考:鋼板の代わりに亜鉛板を用いてもよい。この場合,試験片の寸法,洗浄方法及び減量測定の方法は,酢酸塩水噴霧試験に準じて行い,質量の減量が50±15g/m2ならば,装置は満足に運転されているものとみなす。
 
 酢酸塩水噴霧試験
 照合試験片
 装置の動作確認をするために,70×150mm,厚さ1±0.2mmの欠陥のない表面をもった,表1(ここでは省略する)の化学成分を満足する亜鉛板の照合試験片4個を用いる[表面粗さ(算術平均)Ra=0.05±0.02μmの偏差,ただし,圧延方向に沿った方向の値]。これらの照合試験片は板材から切り出す。切り出す方法は,板材から圧延方向に沿って4個切り出す。
 
 照合試験片を試験直前に注意深く洗浄する。洗浄は試験結果に影響するおそれのある汚れ,油分及びその他の不純物を除去しなければならない。その場合,次のいずれかの方法を用いる。
 a) 清潔な柔らかいブラシ又は超音波洗浄機を用い,適切な有機溶剤(炭化水素の沸点範囲,60~120℃)で照合試験片を十分に洗浄する。洗浄は,室温で溶剤を満たした容器中で行う。洗浄後,照合試験片を新しい溶剤ですすぎ,乾燥する。
 b) 同様な結果が得られるなら,受渡当事者間の協定によって,他の方法でもよい。
 照合試験片の質量を1mgのけたまでひょう量する。照合試験片の片面を可はく性の被覆材,例えば,接着テープで保護する。
 
 照合試験片の配置
 4個の照合試験片を試験槽内の4隅に,被覆材を施さない面を上向きにして,角度20±5°で置く。照合試験片の保持器は,プラスチックなどの不活性材料で作るか又は被覆する。通常の平板状試験片と同じように暴露されるように照合試験片の下端は,噴霧採取器の上端とほぼ同じ位置にする。試験時間は24時間とする。
 
 減量測定
 試験終了時,被覆材を取り除き,照合試験片を冷水ですすぎ,塩の付着物を除く。表2(ここでは省略する)の化学成分を満足するクロム酸水溶液 (注)を,水で希釈したクロム酸水溶液(300g/l)中に25±2℃で3分間浸すか,又はクロム酸水溶液(200g/l) 中に80℃で1分間浸して減量の変化がほとんどなくなるまで洗浄を繰り返して十分に腐食生成物を取り除く。
 照合試験片を温水(40±5℃)ですすぎ,次いで,105℃の乾燥機で乾燥し,更に,室温で放冷する。
 照合試験片の質量を1mgのけたまでひょう量し,質量の減量をg/m2単位で計算する。
:酸化クロム及びクロム酸水溶液は毒性があるので,その取扱いは皮膚及び粘膜に触れないように十分に注意する。
 
 装置運転状況の検査
 4か所の照合試験片の質量の減量が,いずれも40±12g/m2ならば,装置は満足に運転されているものとする。
 
 キャス試験
 照合試験片,照合試験片の配置,減量測定は,酢酸塩水噴霧試験による。
 
 装置運転状況の検査
 4か所の照合試験片の質量減がいずれも95±25g/m2ならば装置は満足に運転されているものとする。

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 【試験の開始】

 噴霧室の条件を確認した後,一時的に噴霧を止めて,試験片を噴霧室に置き,試験を開始する。
 
 【試験の継続】
 試験は,試験期間中連続して行わなければならない。ただし,受渡当事者間の協定によって,断続的に行ってもよい。
 試験片の検査・出し入れなどのために試験を中断する場合には,噴霧だけを止めて行い,その中断の時間は最小になるように努めなければならない。
 
 【試験時間】
 試験時間は,試験する材料,製品規格などで規定されたものとする。規定がない場合は,受渡当事者間での協定による。
 なお,推奨する暴露時間は,2h,6h,24h,48h,96h,168h,240h,480h,720h及び1000hである。
参考:腐食の発現を見る場合には,腐食が発現するまで試験を行ってもよい。

 

 【試験後の試験片の取扱い】

 試験片は,試験後,次のように取り扱わなければならない。
 a) 試験片は,試験槽から注意深く取り出し,直ちに試験片を0.5~1.0時間乾燥する。
 b) 試験片の表面に付着した塩化ナトリウムを除くために試験片を常温15~40℃の水で洗浄し,直ちに乾燥する。
参考:乾燥は200kPaを超えない圧力の空気で,約300mm離れた位置から空気を当てて乾燥してもよい。
 
 c) 腐食生成物を除く場合,その除去は,ブラシ掛け,超音波照射,細粒噴射,水噴射などの機械的方法,化学的方法若しくは電解による方法(参考表1又は参考表2参照)又はこれらを組み合わせた方法による。

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 【判定方法】

 試験結果の判定方法は,次のいずれかによる。ただし,受渡当事者間の協定によって,他の方法(注1)で行ってもよい。
 a) 面積法
 附属書1に規定するレイティングナンバ法によって判定する(注2)。
 b) 質量法
 試験前と試験後の腐食生成物を取り除いた後,試験片の質量変化を調べて判定する。
注1:他の方法には,外観,顕微鏡写真による変化の記録,最初の腐食の兆候が出現するまでの経過時間による方法などがある。
注2:面積法によって腐食結果を判定する場合は,70×150×1mmの平板を用いる。

 

 【記録】

 記録は,次の事項を記録することが望ましい。
 a) 試験の種類
 b) 試験装置の名称,形式及び噴霧装置の方式。
 c) 試験片,部材の形状及び寸法又は部品の番号若しくは種類。
 d) 試験前後の試験片の清浄方法
 e) 試験に供した試験片の数
 f) 試験片の調製方法
 g) 引っかききずの有無,大きさ及びきずを付けた器具。
 h) 試験片の支持角度。部材の場合には,その支持角度及び方法。
 i) 試験用塩溶液を調製するために用いた塩及び水の種類
 j) 噴霧室内の試験片保持器付近の温度
 k) 次に事項について,各採取容器から得られた数値の毎日の記録。
   1) 約 80cm2について1時間当たりの噴霧採取液の量 (ml)
   2) 噴霧採取液の塩濃度及び比重計による密度の測定値 (25℃)(中性塩水噴霧試験の場合)
   3) 噴霧採取液の pH
 l) 試験を断続的に行った場合には,噴霧の時間及び噴霧休止の時間。
 m) 試験を中断した場合には,その理由及び中断時間
 n) 試験時間
 o) 試験装置の再現性の評価方法に用いた照合試験片の仕様
 p) 腐食生成物を除去した場合には,その方法の明細。
 q) 判定方法及び結果の表示(中間で検査したときの結果も含む。)
 r) 必要な場合には,試験片の写真。

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 参考表1 化学的腐食生成物除去方法

 ここでは,JIS規格の表を参考に、金属種別に整理しなおしたものを示す。
備考:薬品の括弧内の JIS 番号は,日本工業規格で規定されている試薬。


アルミニウム及びアルミニウム合金
  薬品   時間   温度   備考
  りん酸(JIS K 9005)50ml,酸化クロム(VI)(CrO3)20g,蒸留水を加えて1000mlにする。   5~10分間   90℃煮沸   腐食生成物の膜が残っているときは,次の硝酸による方法を続けて行う。
  硝酸(JIS K 8541)   1~5分間   20~25℃   素地金属の過剰な除去を誘引する反応を防ぐため,外周の付着物及びかさのある腐食生成物を取り除く。


アルミニウム陽極酸化皮膜
  薬品   時間   温度   備考
  塩酸(JIS K 8180)10ml,蒸留水を加えて110mlにする。   1~5分間   20~25℃   溶液を浸したナイロブラシなどを用いて洗浄し,水洗後,通風乾燥する。腐食生成物が残っているときは,この操作を繰り返す。


銅及び銅合金
  薬品   時間   温度   備考
  塩酸(JIS K 8180)500ml,蒸留水を加えて1000ml にする。   1~3分間   20~25℃   純度の高い窒素による溶液の空気除去は,素地金属の除去を抑制する。
  シアン化ナトリウム(JIS K 8447)4.9g,蒸留水を加えて1000ml にする。   1~3分間   20~25℃   上記の塩酸による方法で除去されないような腐食生成物を除去する。例えば,硫化銅。
  硫酸(JIS K 8951)100mlを蒸留水に加えて1000mlにする。   1~3分間   20~25℃   試験片表面上に銅の再付着するのを抑えるために,処理前にかさのある腐食生成物を取り除く。
  硫酸(JIS K 8951)120ml,二クロム酸ナトリウム二水和物(JIS K 8518)30g,蒸留水を加えて1000mlにする。   5~10秒間   20~25℃   上記の硫酸による方法によって生じる銅の再付着を除く。
  硫酸(JIS K 8951)54mlを蒸留水に加えて1000mlにする。   30~60秒間   40~50℃   窒素で酸素を液から分離する。腐食生成物を取り除くため,試験片のブラシ掛けを行った後,3~4秒間再び浸すことが望ましい。


鉄及び鋼
  薬品   時間   温度   備考
  塩酸(JIS K 8180)1000ml,酸化アンチモン(III)(JIS K 8407)20g,塩化すず(II)二水和物(JIS K 8136)60g   1~25分間   20~25℃   溶液はよくかぎ混ぜるか,試験片をブラシ掛けする。場合によっては,より長時間行ってもよい。
  水酸化ナトリウム(JIS K 8576)50g,粒状亜鉛(JIS K 8012)の細片200 g,蒸留水を加えて1000mlにする。   30~40分間   80~90℃   空気に触れると自然発火することがあるので,亜鉛粉末の使用に際しては注意が必要。
  水酸化ナトリウム(JIS K 8576)50g,粒状亜鉛(JIS K 8012)のチップ20g,蒸留水を加えて1000mlにする。   30~40分間   80~90℃   空気に触れると自然発火することがあるので,亜鉛粉末の使用に際しては注意が必要。
  くえん酸水素二アンモニウム(JIS K 8284)200g,蒸留水を加えて1000mlにする。   20分間   75~90℃   ―
  塩酸(JIS K 8180)500ml,ヘキサメチレンテトラミン(JIS K 8847)3.5g,蒸留水を加えて1000mlにする。   10分間   20~25℃   場合によってはより長時間行ってもよい。


鉛及び鉛合金
  薬品   時間   温度   備考
  酢酸(JIS K 8355)10ml,蒸留水を加えて1000mlにする。   5分間   煮沸   ―
  酢酸アンモニウム(JIS K 8359)50g,蒸留水を加えて1000mlにする。   10分間   60~70℃   ―
  酢酸アンモニウム(JIS K 8359)250g,蒸留水を加えて1000mlにする。   10分間   60~70℃   ―


マグネシウム及びマグネシウム合金
  薬品   時間   温度   備考
  酸化クロム(VI)(CrO3)100g,クロム酸銀(Ag2CrO4)10g,蒸留水を加えて1000mlにする。   1分間   煮沸   クロム酸銀は,塩化物を沈殿させるためのもの。
  酸化クロム(VI)(CrO3)200g,硝酸銀(JIS K 8550)10g,硝酸バリウム(JIS K 8565)20g,蒸留水を加えて1000mlにする。   1分間   20~25℃   硝酸バリウムは,硫化物を沈殿させるためのもの。


ニッケル及びニッケル合金
  薬品   時間   温度   備考
  塩酸(JIS K 8180)150ml,蒸留水を加えて1000ml にする。   1~3分間   20~25℃   ―
  硫酸(JIS K 8951)100ml を蒸留水に加えて水で1000mlにする。   1~3分間   20~25℃   ―


ステンレス鋼
  薬品   時間   温度   備考
  硝酸(JIS K 8541)100ml,蒸留水を加えて1000mlにする。   20分間   60℃   ―
  くえん酸二水素アンモニウム(JIS K 8284)150g,蒸留水を加えて1000mlにする。   10~60分間   70℃   ―
  くえん酸一水和物(JIS K 8283)110g,硫酸(JIS K 8951)50ml,抑制剤(ジオルソトリールチオユリア,キノリンエチダイド又はβ-ナフトールキノリン)2g,蒸留水に加えて水で1000mlにする。   5分間   60℃   ―
  水酸化ナトリウム(JIS K 8576)200g,過マンガン酸カリウム(JIS K 8247)30g,くえん酸水素二アンモニウム(JIS K 8284)100g,蒸留水を加えて1000mlにする。   5分間   沸騰   ―
  硝酸(JIS K 8541)100ml,ふつ化水素酸(JIS K 8819)20ml,蒸留水を加えて1000mlにする。   5~20分間   20~25℃   ―
  水酸化ナトリウム(JIS K 8576)200g,亜鉛粉末(JIS K 8013)50g,蒸留水を加えて1000mlにする。   20分間   沸騰   空気に触れると自然発火するので注意する。


すず及びすず合金
  薬品   時間   温度   備考
  りん酸三ナトリウム・12水(JIS K 9012)150g,蒸留水を加えて1000mlにする。   10分間   沸騰   ―
  塩酸(JIS K 8180)50ml,蒸留水を加えて1000mlにする。   10分間   20℃   ―


亜鉛及び亜鉛合金
  薬品   時間   温度   備考
  アンモニア水(JIS K 8085)150ml,蒸留水を加えて1000ml にする。
 次いで,酸化クロム(VI)(CrO3)50g,硝酸銀(JIS K 8550)10g,蒸留水を加えて1000mlにする。
  5分間
 15~20秒間
  20~25℃
 沸騰
  硝酸銀は水に溶かし,沸騰した酸化クロム水溶液を加えて過剰なクロム酸銀の結晶化を防ぐ。
 亜鉛の素地金属のアタックを避けるため,酸化クロムには硫酸塩が混じっていてはならない。
  塩化アンモニウム(JIS K 8116)100g,蒸留水を加えて1000mlにする。   2~5分間   70℃   ―
  酸化クロム(VI)(CrO3)200g,蒸留水を加えて1000mlにする。   1分間   80℃   塩雰囲気中に形成されている腐食生成物からの酸化クロム溶液の汚染は亜鉛の素地金属のアタックを防ぐために取り除く。
  よう化水素酸(JIS K 8917)85ml,蒸留水を加えて1000mlにする。   15秒間   20~25℃   亜鉛の素地金属は取り除いてもよい。コントロール試験片を使用する。
  ペルオキソ二硫酸アンモニウム(JIS K 8252)100g,蒸留水を加えて1000mlにする。   5分間   20~25℃   電気めっきした試験片に特によい。
  酢酸アンモニウム(JIS K 8359)100g,蒸留水を加えて1000mlにする。   2~5分間   70℃   ―

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 参考表 2 電解による腐食生成物除去方法

 ここでは,JIS規格の表を参考に、金属種別に整理しなおしたものを示す。
備考:薬品の括弧内の JIS 番号は,日本工業規格で規定されている試薬。


鉄,鋳鉄,鋼
  薬品   時間   温度   備考
  水酸化ナトリウム(JIS K 8576)75g,硫酸ナトリウム(JIS K 8987)25g,炭酸ナトリウム(JIS K 8625)75g,蒸留水を加えて1000mlにする。   20~30分間   20~25℃   電流密度100~200A/m2で陰極処理をする。陽極には,炭素,白金又はステンレス鋼を用いる。
  硫酸(JIS K 8951)28ml,抑制剤(ジオルソトリールチオユリア,キノリンエチダイド,又はβ-ナフトールキノリン)0.5g,蒸留水に加えて水で1000mlにする。   3分間   75℃   電流密度2000A/m2で陰極処理をする。陽極には,炭素又は白金を用いる。
  くえん酸水素二アンモニウム(JIS K 8284)100g,蒸留水を加えて1000mlにする。   5分間   20~25℃   電流密度100A/m2で陰極処理をする。陽極には,炭素,白金又はステンレス鋼を用いる。


鉛及び鉛合金
  薬品   時間   温度   備考
  硫酸(JIS K 8951)28ml,抑制剤(ジオルソトリールチオユリア,キノリンエチダイド又はβ-ナフトールキノリン)0.5g,蒸留水に加えて水で1000mlにする。   3分間   75℃   電流密度2000A/m2で陰極処理をする。陽極には,炭素又は白金を用いる。


銅及び銅合金
  薬品   時間   温度   備考
  塩化カリウム(JIS K 8121)75g,蒸留水を加えて1000mlにする。   1~3分間   20~25℃   電流密度100A/m2で陰極処理をする。陽極には,炭素又は白金を用いる。


亜鉛及びカドミウム
  薬品   時間   温度   備考
  りん酸水素二ナトリウム(JIS K 9020)50g,蒸留水を加えて1000mlにする。   5分間   70℃   電流密度110A/m2で陰極処理をする試験片は浸せきするに先立ち,活性化する。陽極には,炭素,白金又はステンレス鋼を用いる。
  水酸化ナトリウム(JIS K 8576)100g,蒸留水を加えて1000mlにする。   1~2分間   20~25℃   電流密度110A/m2で陰極処理をする試験片は浸せきするに先立ち,活性化する。陽極には,炭素,白金又はステンレス鋼を用いる。

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 附属書 1(規定) レイティングナンバ法

 1.適用範囲
 この附属書は,塩水噴霧試験方法における試験結果の判定に用いるレイティングナンバ法について規定する。
 
 2.結果の比較方法 試験片の有効面で,少なくとも5000mm2の面積を選ぶ。評価する面を決めるために,50×100mmの窓をもったマスクを用いてもよい。有効面の腐食欠陥の寸法及び数を附属書1付図1~12の標準図(ここでは省略する)と比較し,試験片に最も近い標準図のナンバ,例えば,9.8-2,9.5-5 などのように判定する。
 ただし,切り口(エッジ)から生じた腐食欠陥は評価から除く。
:レイティングナンバ標準図は,個々のレイティングナンバの最大腐食面積率で表したもの。
 なお,レイティングナンバ10は,肉眼で識別できない腐食を示し,レイティングナンバ0は,腐食欠陥の最大値を示す。
 試験結果の表示は,判定したレイティングナンバによって行う。また,腐食面積率レイティングナンバとの関係を,附属書1付表1に示す。


附属書1付表1 腐食面積率とレイティングナンバの関係
  腐食面積率,A (%)   レイティングナンバ (RN)
  0.00   10
  0.02以下   9.8
  0.02を超え0.05以下   9.5
  0.05を超え0.07以下   9.3
  0.07を超え0.10以下   9
  0.10を超え0.25以下   8
  0.25を超え0.50以下   7
  0.50を超え1.00以下   6
  1.0を超え2.5以下   5
  2.5を超え5以下   4
  5を超え10以下   3
  10を超え25以下   2
  25を超え50以下   1
  50を超える   0
また,レイティングナンバ(RN)と腐食面積率(A)との関係は,次の式のとおりである。
    RN=3(2−log10A)
 ただし,レイティングナンバ(RN)が9.3~9.8の間は,次の式となる。
    RN=10−A/0.1

 

 附属書 2(参考) 装置の構造

 この附属書は,本体及び附属書の規定に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
 本体の要求している条件に合う装置の構造を,この附属書に示す。
 塩水噴霧の塩濃度の変動をなくすため,供給空気には噴霧放出の際に相対湿度95∼98%をもたせなければならない。このためには,中性塩水噴霧試験で供給空気の圧力が0.098MPaの場合,空気飽和器の温度を47±2℃に保持する。
 また,空気飽和器の水は,空気中の不純物の除去ができるように,一定期間ごとに取り替えねばならない。なお,水は,JIS K 0557 に規定する A2 又は A3 を用いる。
 
 噴霧室及び試験片が外気温の変動に影響されないようにするために保温を考慮した構造でなければならない。温度調節並びに温度及び湿度表示のためのセンサは,噴霧室内の壁から少なくとも100mm以上離したところに置き,温度及び湿度が外部から読み取りできなければならない。
 排気は,強制排気とせず,また,外気の風圧がかからないような排気処理装置を使用して行うことが望ましい。排水は,排水処理装置で処理することが望ましい。
 長時間の運転ができるよう,塩水補給タンクには自動塩水補給装置を設けることが望ましい。

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 附属書 3(参考) 試験片の置き方及び位置

 この附属書は,本体及び附属書の規定に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
 
 附属書 3 付図 1 試験片の置き方及び位置(ここでは省略する)
 
 関連規格:JIS C 0023「環境試験方法(電気・電子)塩水噴霧試験方法」,JIS H 8502「めっきの耐食性試験方法」,JIS H 8681-1「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法−第1部:耐アルカリ試験」,JIS H 8681-2「アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法−第2部:キャス試験」,JIS K 2246「さび止め油,JIS K 5400 塗料一般試験方法」,JIS Z 0304「さび止め処理金属の大気暴露試験方法」,ISO 4611「Plastics−Determination of the effects of exposure to damp heat, water spray and salt mist」,ISO 7253「Paints and varnishes−Determination of resistance to neutral salt spray (fog)」,ISO 8407「Corrosion of metals and alloys−Removal of corrosion products from corrosion test specimens」,ISO 8993「Anodized aluminium and aluminium alloys−Rating system for the evaluation of pitting corrosion−Chart method」,IEC 60068-2-11「Environmental testing−Part 2 : Tests. Test Ka : Salt mist」,IEC 60068-2-52「Environmental testing−Part 2 : Tests. Test Kb : Salt mist, cyclic (sodium, chloride solution)」

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