JIS Z 2381  大気暴露試験方法通則

 JIS Z2381 2001年版,20178年版  大気暴露試験方法通則(General requirements for atmospheric exposure test) を  【序文・目次・適用範囲・用語】,   【暴露試験方法の種類・手順】,   【試料】,   【暴露試験場・環境因子】,   【暴露試験装置・暴露方法】【試料の評価試験】【附属書:試験用試料】【附属書:暴露環境区分】【附属書:環境因子測定項目】 に分けて紹介する。

 序文・目次・適用範囲・用語

 2001年版の JIS規格が 2017年に改定された。構成が変更されたので,2017年版を中心に紹介し,該当する項目の 2001年版を併記した。
 
 序文
  2017年版
 この規格は,1979年に制定され,その後 3回の改正を経て今日に至っている。前回の改正は 2001年に行われたが,その後の技術動向の変化に対応するために 2017年に改正した。 なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
 
 JIS規格の目次(ここでは青字の項目を説明)
  2017年版
 序文,1 適用範囲,2 引用規格(省略),3 用語及び定義4 暴露試験の種類及び内容,5 暴露試験を実施するための手順6 試料(6.1 試料の区分,6.2 試料の形状及び寸法,6.3 試料の個数,6.4 試料の標識,6.5 暴露試験用の試料の前処理), 7 暴露試験場(7.1 暴露試験場の環境,7.2 暴露試験場の要求事項), 8 暴露試験装置9 暴露試験方法(9.1 暴露試験面の方位及び角度,9.2 試料の取付け及び取外し,9.3 暴露試験期間,9.4 暴露試験期間中の試料の取扱い,9.5 暴露試験の種類別の要求事項), 10 環境因子(10.1 一般,10.2 環境因子の測定,10.3 環境因子の測定方法及び表示方法,10.4 その他の測定項目,10.5 環境因子の測定機器及び管理), 11 暴露試験用試料の評価試験における一般的な要求事項(11.1 初期値の測定,11.2 暴露試験の開始後及び終了後の評価試験,11.3 評価試験の方法,11.4 評価試験の項目), 12 試験報告書
 附属書 A(参考)暴露試験を実施するための手順の例, 附属書 B(参考)暴露試験用試料の形状及び寸法, 附属書 C(参考)暴露環境の区分, 附属書 D(参考)試料の種類の違いにおける環境因子の測定項目
  2001年版
 1 適用範囲,2 引用規格(省略),3 定義4 暴露試験方法の種類5 暴露試験場(5.1 暴露試験場の要求条件,5.2 暴露試験場の安全性,5.3 暴露試験場の環境,5.4 暴露試験場の種類), 6 試料(6.1 試料の区分,6.2 試料の形状及び寸法,6.3 試料の個数,6.4 試料の標識), 7 暴露試験方法(7,1 一般的な要求事項,7.2 暴露試験方法の種類別の要求事項), 8 暴露試験期間(8.1 暴露試験期間の設定,8.2 暴露試験期間の表わし方,8.3 暴露試験の開始時期) 9 環境因子(9.1 環境因子の測定,9.2 環境因子の測定項目,9.3 その他の測定項目,9.4 環境因子の測定機器及び管理) 10 暴露試験結果の評価試験における一般的な要求事項(10.1 初期値の測定,10.2 暴露試験の開始後及び終了後の評価試験,10.3 評価試験の方法,10.4 評価試験の項目), 11 記録
 附属書1(参考)暴露環境の区分, 附属書2(参考)暴露試験用試験片の形状及び寸法, 附属書3(参考)暴露試験場所の環境因子の測定項目
 
 1 適用範囲
 2017年版
 この規格は,屋外大気環境及び遮へい大気環境下における工業材料及び工業製品(以下,材料及び/又は 製品という。)の大気暴露試験方法の一般要求事項について規定する。
 警告: この規格に基づいて試験を行う者は,通常の試験室での作業に精通していることを前提とする。
 2001年版
 この規格は,開放大気環境,及び遮へい大気環境下における工業材料及び工業製品(以下,材料及び製品という。)の化学的性質,物理的性質,及び性能の経時変化を調査することを目的とした大気暴露試験方法の通則について規定する。
 
 3 用語及び定義
 2017年版
 大気暴露試験: 屋外及び遮蔽大気環境下で材料及び/又は製品を暴露して,それらの化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化を調査する試験(以下,暴露試験という。)。
 屋外大気環境: 屋外の自然状態における環境因子の影響を全て受ける大気環境。
 遮蔽大気環境: 自然状態における環境因子の一部を遮断した大気環境。
 試料: 暴露試験に用いる材料及び/又は製品。暴露試験用の試料,初期値測定用の試料,保存用試料及び参照試料がある。
 暴露試験場: 試料の暴露試験を行う場所。
 暴露試験装置: 試料を暴露するための試験装置。暴露架台,試料保持枠などで構成されている。
 暴露試験期間: 試料の暴露試験を継続して行う期間。
 試験箱: 試料を収納するか,又は上面に取り付けた状態で暴露するための容器。
 環境因子: 暴露試験場における気象因子,及び大気汚染因子の総称。
 気象因子: 気象観測の対象となる気温,湿度,太陽放射光の露光量,降水量,風向,風速などの因子。
 大気汚染因子: 自然的又は人為的に発生する海塩粒子,硫黄酸化物,窒素酸化物,硫化水素などの暴露試験に影響を及 ぼす因子。
 海塩粒子: 海岸の波打ち際,及び/又は海上で波頭が砕けたときに発生する海水ミストが,風で運ばれて飛来した粒子。海塩粒子の大きさは,約 0.01μm~20μmである。
 評価試験: 試料の化学的・物理的性質の変化,及び製品の変化の程度を評価する試験。
 2001年版
 大気暴露試験: 開放,及び遮へい大気環境下で材料及び製品を暴露して,それらの化学的性質,物理的性質,及び性能の変化を調査する試験(以下,暴露試験という)。
 開放大気: 日照,雨,雪,風などの自然状態における大気。
 遮へい大気: 自然状態における日照,雨,雪,風などの一部,又は全部を遮断した大気。
 試料: 暴露試験を行う材料及び製品。
 暴露試験場暴露試験装置暴露試験期間試験箱環境因子: 2017年版に同じ。
 気象因子: 気象観測の対象となる気温,湿度,太陽放射エネルギー量,降水量,風向,風速などの因子。
 大気汚染因子: 人為的・自然的に発生する硫黄酸化物,窒素酸化物,硫化水素,海塩粒子などの暴露試験に影響を及ぼす因子。
 海塩粒子評価試験: 2017年版に同じ。
 フレネル反射鏡: 平面鏡の形状・寸法と試料取付け部に反射する照射域の大きさが,同一になるように配列した複数の平面鏡からなる反射鏡装置。

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 暴露試験方法の種類・手順

 2017年版
 4 暴露試験の種類及び内容


表 1 暴露試験の種類及び内容
  種類   内容
  直接暴露試験   日照,雨,雪,風などの自然状態における大気環境下で試料を直接暴露する試験。
  ガラス越し暴露試験   板ガラスで覆った試験箱内に試料を取り付け,板ガラスを透過した太陽放射光に暴露する試験。アンダーグラス暴露試験ともいう。
  遮蔽暴露試験   遮蔽構造物の下,中又は屋内に試料を設置して,日照,雨,雪,風などの直接の影響を避けた状態で暴露する試験。
  ブラックボックス暴露試験   内側及び外側の全てを黒色処理した金属製試験箱の上面に試料を取り付けた状態で暴露する試験。

 5 暴露試験を実施するための手順
 暴露試験によって試料に関する様々な情報を得るためには,暴露試験の実施前に試験の目的,評価項目, 試験環境,暴露場所,暴露試験の種類,暴露試験期間などの試験計画を立て,検討するのがよい。
 暴露試験の計画立案から試験終了までに検討する事項及びその手順の例を,附属書 Aに示す。
 
 附属書A(参考) 暴露試験を実施するための手順の例
 暴露試験によって様々な情報を得るためには,暴露試験実施前に試験計画を立て,検討するのがよい。 暴露試験の計画⽴案から試験終了までに検討する事項及びその手順の例を,図 A.1(省略)に示す。
 図中に示される項目は次の通りである。
 (1) 試験目的の設定 : 試料のどのような化学的,物理的性質及び性能の経時変化を知りたいのか。
 (2) 評価項目の選定 : どのような性能(色差・光沢,腐食減量など)を評価したいのか。また,評価手法の検討・選定を行う。
 (3) 暴露試験環境の選定 : どのような環境因子(気温,湿度,紫外線量,海塩粒子量,日射量,降水量など)が必要か。
 (4) 暴露試験場の選定 : どのような試験場所(亜熱帯,寒冷地帯,海岸地帯など)を選ぶか。
 (5) 暴露試験の種類の選定 : 直接暴露,遮蔽暴露などを選択する。
 (6) 暴露試験期間の設定 : 暴露試験期間を設定する。
 (7) 試料数量の設定 : 試験条件に応じた必要な試料数を決定する。
 (8) 試料の準備・作製・前処理 : 材料を準備し,試料の加工,試験する試料の作製を行う。必要に応じて,試料の前処理を行う。
 (9) 試料の初期値測定 : 選定した評価項目に応じて初期値の測定を行う。
 (10) 暴露試験の実施 : 試験期間中の環境因子の測定及び試料の適切な管理を行う。
 (11) 暴露試験後の測定 : 設定した評価項目に係る試験を実施する。
 (12) 暴露試験結果の評価 : 試験環境のデータを検討し,目的としている試料の性能を評価する。
 
 2001年版
 4 暴露試験方法の種類

表 1 暴露試験方法の種類
  種類   特徴
  直接暴露試験方法   2017年版と同じ内容。
  アンダーグラス暴露試験方法
  遮へい暴露試験方法
  ブラックボックス暴露試験方法
  太陽追跡集光暴露試験方法   太陽放射光の光軸方向を追跡し,フレネル反射鏡を用いて
  太陽放射光を反射集光する部位に設置した試料保持枠に試料を取り付けて暴露する試験方法。

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 試料

 2017年版
 6 試料
 6.1 試料の区分
 試料は,暴露試験の目的又は条件によって次のとおり区分する。
 6.1.1 暴露試験用の試料
 a) 試験体 暴露試験に用いる製品(部品を含む)。
 b) 試験片 材料又は製品を代表するものとして,材料を暴露試験の目的に合わせて加工した試料,又は試験体の一部を切り出して作製した試料。
 なお,製品から試験片を切り出す場合は,製品の使用状態を想定する。試験片が製品を代表するように,厚さ,残留応力,暴露試験面などを考慮して,切出し部位及び切出し方法を明記する。
 また, 加工方法などに起因した異方性のある試料は,縦及び横方向について,それぞれ試験できるようにする。
 6.1.2 初期値測定用の試料
 暴露試験を開始する前の化学的性質,物理的性質及び性能の初期値を測定するために,暴露試験用の試料と同一で同時に作製した試料。
 6.1.3 保存用試料
 a)  暴露試験用の試料と同一で同時に作製し,暴露試験を行った試料と比較対照するために暴露しないで保存する試料。
 b)  保存用試料は,試料の化学的性質,物理的性質が変化しにくいデシケータ内,冷暗所などで適切に保管しなければならない。
 6.1.4 参照試料
 a)  参照試料は,暴露試験用の試料と同時に暴露して,それらの暴露試験の結果を相対的に比較するもの。
 b)  参照試料は,暴露試験による化学的性質及び物理的性質の変化の傾向が既知であるものが望ましい。
 c)  製品規格などに規定がない場合,参照試料は受渡当事者間の協定による。
 注記 1  参照試料は,リファレンス材料(JIS K 7219-1「プラスチック­屋外暴露試験方法­第1部︓通則」)又はコントロール試験片(JIS K 6266「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム­耐候性の求め方」)ともいう。
 注記 2  金属材料の参照試料に相当するものとしては,JIS Z 2383 に規定する炭素鋼,耐候性鋼, 銅,亜鉛,アルミニウム合金又はステンレス鋼がある。
 ただし,JIS Z 2383 で規定する試料の使用方法はこの規格とは異なる。
 注記 3  ゴム材料の参照試料としては,JIS K 6266「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム­耐候性の求め方」の附属書 A(ウェザリング基準材料)にあるウェザリング基準材料(SBR,EPDM,CR及びNR)のいずれかがコントロール試験片として用いられる。
 6.2 試料の形状及び寸法
 暴露試験に用いる試料の形状及び寸法は,暴露試験の目的に適したものとする。暴露試験で用いる試料の形状及び寸法の例を,附属書 Bに示す。
 6.3 試料の個数
 暴露試験に供する試料の個数は,試料の化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化を正確に評価できる十分な数とする。ただし,試験結果のばらつきを特に考慮する場合は,3個以上の試料を用いることが望ましい。
 6.4 試料の標識
 6.4.1 標識の内容
 a)  標識の内容は,試料の種類,暴露試験場,試験条件などとし,記号,番号などを用いて簡単に表示する。
 b)  試料の端部への切込み,ドリル孔なども標識として利用してもよい。
 6.4.2 標識の位置
 a)  試料の端部,裏面など,暴露試験及びその結果の評価試験に支障がない位置とする。
 b)  試料に直接表示できない場合は,試料を取り付けた暴露架台,試料保持枠などに表示してもよい。
 6.4.3 標識の付け方
 a)  試料に化学的・物理的な影響を与えない方法で付ける。暴露試験期間中に標識を読み取ることができ,耐久性がなければならない。
 b)  標識によって影響を受ける面は,できるだけ小さくしなければならない。
 c)  試料の記号,暴露架台上の試料の位置など,暴露試験の状況が分かる配置図などを作成しておくことが望ましい。
 6.5 暴露試験用の試料の前処理
 暴露試験用の試料は,暴露試験の結果の変動を少なくして再現性をよくする目的で,必要に応じて,洗浄,端面及び裏面を保護するなどの前処理を行う。なお,製品規格などに規定がある場合は,その規定による。
 
 2001年版
 6 試料
 6.1 試料の区分
 試料は,暴露試験の目的,又は条件によって次のとおり区分する。
 6.1.1 暴露試験用の試料
 2017年版の 6.1.1 「暴露試験用の試料」とほぼ同様。
 6.1.2 初期値測定用の試料
 2017年版の 6.1.2 「初期値測定用の試料」とほぼ同様。
 6.1.3 保存用試料
 2017年版の 6.1.3 「保存用試料」とほぼ同様。
 6.2 試料の形状及び寸法
 2017年版の 6.2 「試料の形状及び寸法」とほぼ同様。  
 6.3 試料の個数
 試料の個数は,次による。
 a)  暴露試験に供する試料の個数は,試料の化学的性質,物理的性質,及び性能の経時変化を正確に評価できる十分な数で,最少 3個とする。
 b)  通常の評価試験では,それぞれの暴露試験期間ごとに3個の試料でよい。ただし,高度な統計処理,腐食生成物の分析などを行う場合には,3個を超える試料を用いることが望ましい。
 6.4 試料の標識
 6.4.1 標識の内容
 2017年版の 6.4.1 「標識の内容」と同じ。
 6.4.2 標識の位置
 2017年版の 6.4.2 「標識の位置」と同じ。
 6.4.3 標識の付け方
 2017年版の 6.4.3 「標識の付け方」と同じ。

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 暴露試験場・環境因子

 2017年版
 7 暴露試験場
 7.1 暴露試験場の環境

 暴露試験は,暴露試験場の環境因子である気象因子及び大気汚染因子の影響を大きく受けるので,暴露試験の結果を精度よく解析するためには,暴露試験場の環境区分を明確にしておくことが望ましい。なお,附属書 Cに暴露環境の区分を示す。
 注記 国内の場合には,地域的な気象の特徴による気候区分と硫黄酸化物などの大気の汚染状況による大気汚染区分とに分類する。
 また,金属材料などの腐食特性を評価する場合には,海塩粒子の飛来量による腐食への影響を考慮した海塩区分を設定する。
 7.2 暴露試験場の要求事項
 暴露試験場の要求事項は,次による。
  a)  暴露試験場は,当該地域の気候の影響を全面的に受ける場所とする。さらに,大気汚染因子量の年ごとの変動が少ない場所でなければならない。
  b)  暴露試験場の東,西及び赤道方向の仰角 20°以上,反赤道方向の仰角 45°以上に日照,降雨,通風などの環境条件に著しい影響を及ぼすような地形的特徴,建築物等の地上物件,樹木などがない場所でなければならない。
 ただし,市街地,工場地帯,火山・温泉地帯,河川,海浜の近傍などの特殊な環境における暴露試験を目的とする場合,この限りでない。
  c)  暴露試験場の位置は,暴露した試料を定期的に観察でき,箇条 10(環境因子)に規定する環境因子の測定及び記録ができる場所とする。
  d)  暴露試験装置の設置場所は,水はけのよい地面で,草地(芝など),砂利,コンクリート舗装,人工芝などを施した場所とする。
 なお,太陽放射光の照り返し,冠水,ほこりの舞い上がりなどを少なくするために,水はけのよい草地(芝など)が望ましい。ただし,暴露試験装置の設置場所における温度及び湿度分布に影響を与 えるおそれがあるので,暴露試験装置の下,周辺の草木などの高さを 0.2 m以下とする。
  e)  暴露試験装置付近の草木の成長を抑制するために除草剤などの薬品を使用すると,薬品が試料に飛来する可能性があるため,使用しないことが望ましい。
  f)  暴露試験場は,試料,暴露試験装置などが盗難,損傷などを受けないように,フェンスなどで暴露試験場を囲むなど適切な安全処置が採られていなければならない。ただし,暴露試験場を囲むフェンスなどが暴露試験に影響しないように注意する。
 
 10 環境因子
 10.1 一般

 暴露試験結果を評価するためには,暴露試験場の気象状況,大気汚染状況などを詳細に分析する必要があるため,暴露試験に影響する全ての環境因子を測定し,記録することが望ましい。
 環境因子の測定項目は,表 2(環境因子の測定項目)による。また,試料の種類によって測定する環境因子の測定項目を附属書 Dに示す。
 10.2 環境因子の測定
 a)  環境因子の測定は,暴露試験場で行う。ただし,暴露試験場で測定できない気象因子については,最も近接した気象官署の観測資料によってもよい。その場合は,暴露試験場から気象官署までの距離及び方角を明記する。
 b)  環境因子の測定は,暴露試験期間の全期間を通じて行うことが望ましい。
 c)  環境因子の測定に⽤いる装置及び機器類の設置場所は,暴露試験装置の設置場所の近くとし,かつ, 暴露試験場を代表する環境因子の測定に適した場所とする。
 d)  気温及び相対湿度を測定する機器の受感部は,百葉箱又はこれに準じる装置内に設置する。
 e)  暴露試験の目的によって重要でない環境因子については,当該項目の測定を省略してもよい。
 10.3 環境因子の測定方法及び表示方法
 環境因子の測定方法及び表示方法は,表 2による。
 測定値の桁数は,次による。 なお,測定値の丸め方は JIS Z8401 「数値の丸め方」の規則 A又は規則 Bによる。
 a) 気温,絶対湿度,日照時間,降水量及び風速  小数点以下 1桁とする。
 b) 太陽放射光の露光量  小数点以下 2桁とする。
 c) 相対湿度  整数位とする。
 d) その他の因子  測定精度を考慮して,必要に応じて定める。
 表 2 環境因子の測定項目,測定方法及び表示方法
 表中の測定項目,測定方法のみを抜粋して以下に示す。
 気象因子
 気温 ℃: 白金抵抗体などの温度計を用いて,1日の気温を連続,又は 8点以上の定時間間隔で測定する。
 相対湿度 %: 露点式湿度計,乾湿球湿度計,又は毛髪湿度計を用いて,1日の相対湿度を連続又は 4点以上の定時間間隔で測定する。
 絶対湿度 g/m3: 露点式湿度計を用いるか,又は気温及び相対湿度の測定値から絶対湿度を求める。
 日照時間 h: 日照計を用い,1日の日照時間を測定する。
 太陽放射光の露光量 MJ/m2: 受光面を試料の暴露面と平行にした日射計,又は積算照度計を用い,1日の太陽放射光の露光量を測定する。ただし,紫外線などの特定波長域の太陽放射光の露光量は,選択波長フィルターを用いて測定する。
 降水量 mm: 雨量計を用い,1日の降水量を測定する。ただし,雪,あられなどが受水器内に積もったときは既知量の温水を注いで溶かし,水にして量った値から注いだ温水の量を減じて,降水量を求める。
 : 降水の pH,及び降水中の SO42−,NO3−,Clなどの含有量を測定しておくことが望ましい。
 風向 16方位: 風向計を用い,その日の風向を 16方位に区分して測定する。
 風速 m/s: 風速計を用い,その日の風速を測定する。
 環境汚染因子
 海塩粒子付着量 mgNaCl/(m2・d) : JIS Z2382に規定するウエットキャンドル法,又はドライガーゼ法で測定する。
 硫黄酸化物付着量 mgSO2/(m2・d) : JIS Z2382「大気環境の腐食性を評価するための環境汚染因子の測定」に規定する二酸化鉛プレート法,二酸化鉛円筒法,又はアルカリろ紙法によって測定する。
 10.4 その他の測定項目
 暴露試験の種類又は暴露試験の⽬的によっては,必要に応じて,次の測定を行う。
 a) ブラックパネル温度 バイメタル,白金抵抗体,サーミスタ,熱電対などの感熱体を黒色処理した金属板の中心に一致させて取り付け,感熱体保護管を固定した構造の感熱部を備えた温度計を用いて測 定する。
 なお,ブラックパネル温度計の構造は,JIS B7753「サンシャインカーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機」の6.5 b)(ブラックパネル温度計)に規定するブラックパネル温度計の規定による。
 b) ホワイトパネル温度 バイメタル,白金抵抗体,サーミスタ,熱電対などの感熱体を黒色処理した金属板の中心に一致させて取り付け,感熱体保護管を固定した構造の感熱部を備えた温度計を用いて測定する。
 c) 試料の表面温度 白金抵抗体,熱電対などの温度センサーを試料の表面に取り付け,試料の表面温度を測定する。
 d) 特定波長域の太陽放射光の露光量 全天日射計及び直達日射計は,太陽放射エネルギーの総量を測定するので,紫外線量,可視光線量及び赤外線量も測定値に含まれる。
 赤外線は,暴露された試料の温度に影響を及ぼすが,プラスチック,塗膜などの有機質の試料の耐候性における直接の光化学的効果は少ないので,光化学的に活性な波長域,すなわち,基本的には紫外線域の太陽放射光の露光量を測定することが望ましい。紫外線量の測定機器は,JIS K 7363「プラスチック­耐候性試験における放射露光量の機器測定­通則及び基本的測定方法」の規定による。
 e) ぬれ時間 白金線を電極に用いたセンサーに交流電圧を印加し,表面がぬ(濡)れたときの電極間抵抗値変化を捉えるもの,ガルバニック対及び電気化学インピーダンスを利用したものなどを用いて表面のぬれ時間を測定する。
 f) 降水時間,結露時間 ぬれ時間と同様の方法のほかに,試料表面温度と露点との比較によって時間を求める方法もある。
 g) オゾン濃度 JIS B7957「大気中のオゾン及びオキシダントの自動計測器」に規定する紫外線吸収方式又は化学発光方式による自動計測器によって,1日の平均濃度を求める。表示は,その月の日平均濃度の平均値(月平均濃度 pphm又は ppb)で表示する。
 h) 二酸化硫黄濃度 JIS B7952「大気中の二酸化硫黄自動計測器」に規定する紫外線蛍光方式又は溶液導電率方式による自動計測器によっ て,1日の平均濃度を求める。表示は,その月の日平均濃度の平均値(月平均濃度 ppm)で表示する。
 i) 二酸化窒素濃度 JIS B7953「大気中の窒素酸化物自動計測器」に規定する化学発光方式又は吸光光度方式による自動計測器によって,1日の平均濃度を求める。表示は,その月の日平均濃度の平均値(月平均濃度 ppm)で表示する。
 j) 硫化水素濃度 JIS K0108「排ガス中の硫化水素分析方法」の附属書 B(二酸化硫黄変換紫外線蛍光法),又はそれと同等以上の精度をもつ測定方法によって,1日の平均濃度を求める。表示は,その月の日平均濃度の平均値(月平均濃度 ppm)で表示する。
 
 2001年版
 5 暴露試験場
 5.1 暴露試験場の要求条件

 暴露試験場として満たすべき条件は,次による。
  a)  2017年版の 7.2 「暴露試験場の要求事項」 a) とほぼ同様。
  b)  暴露試験場の近傍に建築物などの地上物件,草木など及び河川,湖,丘陵,凹地などの特定な地形的特徴が存在すると,日照,風及び大気汚染因子による影響を受け,予測できなかった暴露試験結果となるので,そのような場所は,暴露試験場として避けることが望ましい。
  c)  2017年版の 7.2 「暴露試験場の要求事項」 c) と同じ。
  d)  暴露試験装置は,暴露試験場の状況に応じて,水はけのよい地面,芝地,砂利,コンクリート舗装処理などを施した場所に設置することが望ましい。ただし,標準的な暴露試験場に設置する暴露試験装置は,後に示す「暴露試験場の種類・標準的な暴露試験場」 による。
  e)  暴露試験装置の設置場所の付近に草木などが繁茂していると,暴露試験装置の設置場所における温度及び湿度分布に影響を与えるおそれがあるので,そのような場所に暴露試験装置を設置する場合は,草木などの高さを 0.2m以下とする。
  f)  暴露試験装置付近の草木の生長を抑制するために除草剤などの薬品を使用する場合は,薬品が試料に飛来しないようにしなければならない。
 5.2 暴露試験場の安全性
 暴露試験場は,試料,暴露試験装置などが盗難,損傷などを受けないように,適切な安全処置が採られていなければならない。ただし,暴露試験場を囲むフェンスなどが暴露試験に影響しないように注意する。
 5.3 暴露試験場の環境
 2017年版の 7.1 「暴露試験場の環境」の前文と同じ。後半のなお書きの表現は次の通り異なる。
 地球規模における暴露試験場の環境区分は,国際規格(ISO,IEC など)に採り入れられている。一方,国内の場合には,地域的な気象の特徴による気候区分,硫黄酸化物などの大気の汚染状況による大気汚染区分に分類される。
 また,金属材料の大気暴露試験の場合には,海塩粒子の飛来量による腐食への影響を考慮した海塩区分が設定される。
 附属書 1(参考)に暴露試験場の環境区分を示す。
 5.4 暴露試験場の種類
 暴露試験場の種類は,次の 3 種類とする。なお,以下の概要は 2017年版では 7.2 「暴露試験場の要求事項」に要約されている。
 5.4.1 標準的な暴露試験場
 標準的な暴露試験場は,次による。
  a)  地域的な気象の特徴が明らかな場所とする。
  b)  大気汚染因子量の年ごとの変動が少ない場所とする。
  c)  東,西,及び赤道の方向の仰角 20度以上,反赤道方向の仰角 45度以上に日照,降水,通風などの環境条件に著しい影響を及ぼす建築物などの地上物件,草木などがない場所とする。
  d)  暴露試験装置の設置場所は,水はけのよい芝地とし,太陽放射光の照り返し,ほこりの舞い上がり,冠水などを防止する処置を施す。
  e)  暴露試験装置の下,及び周辺の草木などの高さは,0.2m以下とする。
  f)  暴露試験に影響を及ぼす気象因子,及び大気汚染因子を測定できる場所とする。
 5.4.2 一般的な暴露試験場
 一般的な暴露試験場は,次による。
  a)  地域的な気象の特徴が明らかな場所とする。
  b)  大気汚染因子量の年ごとの変動が少ない場所とする。
  c)  日照,降水,通風などの環境条件に著しい影響を及ぼす建築物などの地上物件,草木などがない場所とする。
 備考: a)~b)の条件を満たす建築物の屋上に設置された暴露試験場は,この範ちゅうに含まれる。
 5.4.3 特殊な暴露試験場
 特殊な暴露試験場は,特殊な環境条件を備えた場所とする。
 
 9 環境因子
 暴露試験に影響する気象因子,及び大気汚染因子のすべての環境因子を測定し,記録することが望ましい。試料の種類によって測定する環境因子の項目を附属書 3(参考)に示す。
 暴露試験結果を評価するためには,暴露試験場の気象状況大気汚染状況などを詳細に分析する必要がある。
 9.1 環境因子の測定
 環境因子の測定は,次による。
 a) c) e) は,2017年版「10.2 環境因子の測定」と同じ表現。  
 d)  気象因子としての気温,及び相対湿度を測定する機器の受感部は,百葉箱,又はこれに準じる装置内に設置する。
 9.2 環境因子の測定項目
 2017年版の「 10.3 環境因子の測定方法及び表示方法」とは,表 2の項目(削除)を除き同じ内容である。
 表 2 環境因子の測定項目,測定方法及び表示方法
 2017年版で削除された項目を次に示す。
 降水時間 h: 雨,雪の降り始めと降り終わりの時刻を測定し,1日の降水時間を求める。
 結露時間 h: 結露によるぬれ始めと乾いた時刻を測定し,結露時間を求める。
 ぬれ時間 h: 1日ごとに測定した降水時間と結露時間の合計を求める。
 9.3 その他の測定項目
 2017年版「 10.4 その他の測定項目」のうち a),b),c) のみが規定されている。
 9.4 環境因子の測定機器及び管理
 環境因子の測定に用いる機器及びその管理は,次による。
 a) 気象因子を測定する機器は,気象業務法(昭和 27年法律第 165号)に基づく気象測器検定規則(昭和27年運輸省令第 102号)に適合するものを用いる。ただし,結露時間など気象業務法に規定のない気象因子の測定は,正確に測定できる機器を用いる。
 b) 大気汚染因子を測定する機器は,日本工業規格,及び国際規格(ISO,IEC など)に規定されている場合は,それに従う。規定がない場合は,大気汚染因子の成分,濃度などの測定が正確に測定できる機器を用いる。
 c) 測定機器の管理は,次による。
  1) 気象因子の測定に用いる測定機器類は,気象業務法に基づく気象測器検定規則に適合するように管理する。
  2) 大気汚染因子の測定に用いる測定機器類は,測定値の信頼性を維持するため,定期的に検査・校正を行い,その精度を適切に管理する。

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 暴露試験装置・暴露方法

 2017年版
 8 暴露試験装置
 a)  暴露試験装置は,暴露架台,試験箱,試料保持枠,試料取付器具などで構成し,暴露試験に適した堅ろうな構造とする。
 b)  暴露試験装置の構成材料は,暴風雨,積雪による重さ及び暴露架台の全面に試料を取り付けた場合の最大の負荷に耐える強度及び耐久性をもつものとする。
 c)  暴露試験装置の構成材料は,試料の化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化に影響を与えない耐食性のあるステンレス鋼,アルミニウム合金,塗覆装を施した鉄鋼などの金属の形材,適切な防腐処理を施した木材,セラミックスなどの不活性な材料とする。
 d)  暴露試験装置は,暴風雨,積雪,凍上などの影響を受けないように,適切かつ堅固に設置する。
 e)  暴露架台,試験箱,試料保持枠及びこれらに附属する取付器具類は,暴露試験の種類・目的,試料の種類,形状,寸法及び暴露試験条件の設定に適した構造とする。
 f)  腐食生成物による汚染などが暴露試験を行う試料に影響を及ぼすおそれがある場合は,暴露架台・試験箱・試料保持枠・金具類などの部材,遮蔽構造物の部材,応力又はひずみを加えるための装置類及び附属器具類には,防せい・防腐処理などの適切な保護処理を施す。
 g)  試料の取付機構は,試料の自由変形を妨げず,試料が脱落するおそれがない構造とし,試料の取付け及び取外しが容易で,安全に取り扱うことができなければならない。
 h)  暴露試験装置は,試料⾯が規定の暴露方位及び角度に設定でき,維持できる構造とする。
 i)  暴露試験装置の接地面から暴露試験を行う試料の最下端部までの距離は,0.5m以上とする。ただし, 暴露した試料の材料又は製品規格に,接地面からの距離が規定されている場合は,その規定による。 また,暴露する試料の使用状態を考慮し,接地面に直接又は近接して暴露試験を行う場合,接地面から試料の最下端部までの距離は,その限りでない。
 注記  接地面から暴露試験を行う試料の最下端部までの距離については,JIS 及び ISO規格に次のような規定例があるので,参照することが望ましい。
 ­ 0.5m以上: JIS H 0521「 アルミニウム及びアルミニウム合金の大気暴露試験方法」,JIS H 8502「めっきの耐食性試験方法」,JIS K 7219-2「プラスチック­屋外暴露試験方法­第2部︓直接暴露試験及び窓ガラス越し暴露試験」,ISO 8565(Metals and alloys­Atmospheric corrosion testing­General requirements)など
 ­ 0.45m以上: ISO 2810(Paints and varnishes­Natural weathering of coatings­Exposure and assessment)
 
 9 暴露試験方法
 9.1 暴露試験面の方位及び角度

 a)  直接暴露試験,ガラス越し暴露試験,ブラックボックス暴露試験の場合,暴露試験面の方位は赤道面とし,暴露試験面の角度は,水平面に対して 0°,20°,30°,45°,60°又は 90°のいずれかとする。ただし,他の製品規格などに規定がある場合は,その規定による。
 b)  遮蔽暴露試験の場合は,試験面の角度を水平面から 90°の間として暴露する。ただし,他の製品規格などに規定があるか又は受渡当事者間の協定がある場合は,それによる。
 c)  プラスチック,塗料,ゴムなど,太陽放射光の影響を大きく受ける試料の場合には,年間に最も多く太陽放射光を受ける角度とし,水平面からの暴露試験面の角度は,暴露試験場の緯度から 5°~10°引いた角度にすることが望ましい。
 d)  金属材料などの腐食特性を評価する試料の場合には,腐食に大きな影響を及ぼす大気汚染因子の発生源に試験面を向けて暴露試験を行ってもよい。
 e)  建築材料など実際に使用される状態を考慮する試料の場合には,その状態を模擬した方法で暴露試験を行ってもよい。
 9.2 試料の取付け及び取外し
 a)  暴露試験の実施に際しては,清浄な手袋を使用して試料を取り扱う。
 b)  暴露試験の目的に従い,規定の暴露方位及び暴露角度に設置した暴露試験装置に試料を取り付ける。
 c)  試料の取付けは,試料が自由に変形できるゆとりをもたせる。ただし,使用状態に合わせて試料を固定する場合又は応力を負荷した状態で暴露試験を行う場合はその限りではない。
 d)  暴露試験に影響を与えないようにするため,試料相互及び試料と他の物質とが接触しないように試料を暴露架台に取り付ける。
 e)  試料,試料保持枠などからの腐食生成物,雨水を含んだ汚染物質などが他の試料表面に滴下しないように取り付ける。
 f)  試料の取付け及び取外しの際は,試料の表面に指紋,きず,汚れ,変形などの暴露試験結果に影響を及ぼす原因を作らないように注意する。
 g)  試料が暴露架台,試料保持枠,試料取付器具などに接触して腐食などの異常を起こすおそれがある場合は,暴露架台,試料保持枠,試料取付器具などに適切な絶縁処置を施す。
 h)  試料は,表面及び裏面を大気が自由に流れるような方法で試験装置に取り付ける。ただし,製品規格などに規定があるか受渡当事者間の協定がある場合はその限りではない。
 i)  試料に裏当てをする場合は,合板を使用することが望ましい。合板の厚さ及びコーティングの種類については,受渡当事者間の協定による。
 9.3 暴露試験期間
 9.3.1 暴露試験期間の設定
 a)  暴露試験期間は,試料の種類,用途などを考慮するとともに,試料の化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化をできるだけ正確に把握できるように設定する。
 b)  暴露試験期間は,暴露試験の目的,試料及び暴露試験の種類によって,次のいずれかを設定する。ただし,他の暴露試験期間を設定してもよい。
  1) 時間を単位とする方法
   1.1) 週︓ 1,2,3,4週
   1.2) 月︓ 1,3,6,9か月
   1.3) 年︓ 1,1.5,2,3,5,7,10,15,20年
  2) 太陽放射光の露光量を単位とする方法  試料に照射される太陽放射光の露光量(MJ/m2)によって設定する。
  3) 性質又は性能の変化の程度による方法  試料が所定の化学的性質,物理的性質又は性能の変化を生じるまでの期間によって設定する。
 9.3.2 暴露試験期間の表し方
 a) 時間を単位とする場合
 単位は,次による。いずれの場合も暴露試験の開始日及び終了日を明記する。
  1) 1週  翌週の同じ曜日までの期間。
  2) 1か月  翌月の同じ日までの期間。ただし,翌月に同じ日がない場合は,翌月の末日までの期間。
  3) 1年  翌年の同じ日までの期間。ただし,翌年に同じ日がない場合は,その前日までの期間。
 b) 太陽放射光の露光量を単位とする場合
 露光量(MJ/m2)で表示するとともに,暴露試験の開始日及び終了日を明記する。
 c) 性質又は性能の変化の程度による場合
 試料の化学的性質,物理的性質又は性能が,所定の変化の程度に達するまでの期間。この場合は,暴露試験の開始日及び終了日を明記する。
 9.3.3 暴露試験の開始時期
 暴露試験の開始時期は,次によることが望ましい。
 a) 暴露試験期間が 1年未満の場合で,かつ,試料の化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化を把握できるものについては,通常,暴露試験開始の時期を次の 2期に分けて実施する。
  1) 春を開始時期とする場合 :  3月又は 4月。
  2) 秋を開始時期とする場合 :  9月又は 10月。
 b) 暴露試験期間が 1年以上の場合は,暴露試験の開始時期を特に定めない。ただし,暴露試験期間が 2年未満で,かつ,暴露試験の開始時期が異なる場合には,その暴露試験の結果は,同一暴露水準として取り扱わない。
 注記 1  いずれの暴露試験の種類においても,同じ暴露試験期間による試験が試料に同様の化学的性質,物理的性質及び性能の変化を与えるとは限らない。特に,直接暴露試験の場合には,暴露試験を行う場所の季節による影響を大きく受けることがある。
 注記 2  暴露試験期間が長い場合は,季節による試料の化学的性質,物理的性質及び性能への影響は平均化されるが,暴露試験期間が 1年未満の暴露試験結果は,暴露試験を開始した季節に依存することがある。
 9.4 暴露試験期間中の試料の取扱い
 a)  暴露試験期間中は,規定された条件に正しく維持されるように試料を適切に管理する。
 b)  暴露試験の目的,試料の種類などによって試料の洗浄を行う場合は,その方法を定めて実施する。
 c)  暴露試験期間中に実施する評価試験のために試料の洗浄,観察などを行う場合は,試料に指紋,きず, 変形など,継続して行う暴露試験に影響を及ぼす原因を作らないように注意する。
 d)  暴露試験期間中に力学的性質などの評価試験を行った結果,著しいひずみ又はきずが生じた試料は,継続して暴露試験を行ってはならない。
 e)  試料の端面及び裏面の保護処理が損傷した場合は,補修する。
 f)  積雪などに対する処置は,暴露試験の目的,試料の種類などによって受渡当事者間によって定める。
 9.5 暴露試験の種類別の要求事項
 9.5.1 直接暴露試験
 この試験では,日照,雨,風などが直接影響する大気環境に試料を暴露して,それの化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化を調査する。
 a)  直接暴露試験に用いる暴露試験装置は,次による。直接暴露試験装置の一例を,図 1(省略)に示す。
  1)  日照,雨,風などの大気環境に試料を直接に暴露することができる構造とする。
  2)  試料に試験の目的以外の外力が加わらないように,暴露架台に試料を直接取り付けられるか又は暴露架台の試料保持枠に取り付けて固定できる構造とする。
  3)  日陰,水滴の落下,試料以外からの腐食生成物などによる汚染などが,暴露試験期間中の試料に影響を与えない構造とする。
 b)  試料相互間の接触による影響が生じないように,適当な間隔をあけて試料を取り付ける。
 9.5.2 ガラス越し暴露試験
 この試験では,雨,雪,風などの直接的な影響を除くために,上面を板ガラスで覆った試験箱内に試料を取り付け,板ガラスを透過した太陽放射光に暴露して,試料の化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化を調査する。
 a) 試験装置 ガラス越し暴露試験に用いる暴露試験装置の構造及び取扱いは,次による。ガラス越し暴露試験装置の一例を,図 2(省略)に示す。
  1)  上面を板ガラスで覆った試験箱は,規定の角度で試料を取り付けることができる構造とする。
  2)  暴露架台などに規定の角度で,安定した状態で試験箱を取り付けることができる構造とする。
  3)  試験箱の構造の型式は,次の 3種類とする。
   3.1) 自然通風型  雨水の影響を受けず,試験箱外の大気が自由に流通し,試験箱内の温度の上昇を少なくするために,試験箱側面の一部及び底面は開放した構造とする。
   3.2) 強制通風型  試験箱内の温度を調節するための換気機構をもつ構造とする1)
    注1)  強制通風に伴って大気中の汚染物質を試験箱内に蓄積する可能性があるので注意する。
   3.3) 密閉型  試験箱の全面を塞ぎ,大気が自由に流通できない構造とする。
  4)  試料の上面と試験箱の板ガラス下面との距離が 50mm以上ある構造とする。
  5)  使用する板ガラスは,JIS R 3202「フロート板ガラス及び磨き板ガラス」に規定するフロート板ガラスとする。板厚は,通常,3mmとするが,風圧,積雪,降ひょうなど,その地域の気象条件によって変更できる。ただし,3mm以外の板厚の板ガラスを使用した場合は厚さを明記する。
  6)  板ガラスの使用期間は,通常,5年とする。
  7)  他の種類のガラス又は窓用プラスチック材料は,受渡当事者間の協定によって用いることができる。
  8)  板ガラスは,弾性シーラント又はガスケットを用いて試験箱にはめ込み,雨,雪及び漏水の影響が試料に生じないような構造とする。
 b)  試料は,試験箱の側壁による日射を遮らない位置に取り付ける。
 c)  暴露試験期間中は,板ガラスの面を常に清浄にしておく。
 d)  暴露試験期間中は,必要に応じて,試験箱内の温度,相対湿度及び太陽放射光の露光量を測定する。
 9.5.3 遮蔽暴露試験
 この試験では,遮蔽構造物の下若しくは中又は屋内に試料の一部又は全部を設置して,日照,雨,雪,風などの直接的な影響を避けた状態で暴露し,試料の化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化を調査 する。
 大気暴露試験の場合には,大気汚染物質,腐食生成物などが試験片上に堆積したり,それらが降水によって流されないようにするため,遮蔽物で覆った暴露試験が必要になることもある。この場合は,対象となる環境因子に対する暴露試験の目的によって,遮蔽構造物の構造及び大きさを設計する。
 ただし,暴露試験場で,付近に設置されている暴露試験装置に取り付けられた試料に,日照,通風などを妨げないように適切な処置をとる。
 a)  遮蔽暴露試験に用いる試験装置は,次による。試験装置の一例を図 3(省略)に示す。
  1)  遮蔽暴露試験装置は,試料を日照,雨,雪,風などの一部又は全部の直接的な影響から遮断できる構造とする。
  2)  遮蔽暴露試験装置の型式は,次の 3種類とし,遮蔽暴露試験の目的,試料の種類などに応じて型式を定める。
   2.1) 自然通風型  遮蔽暴露試験装置外の大気が自由に流通できる構造とする。
   2.2) 通風制御型  特定方向からの大気の流通を遮断できる構造とする。
   2.3) 密閉型  大気が自由に流通できない構造とする。
 b)  試料が,風,振動などによって,移動,破損などがないように保持できる構造とする。
 注記  必要に応じて,遮蔽暴露試験装置の下又は中の温度及び相対湿度を測定することが望ましい。
 9.5.4 ブラックボックス暴露試験
 この試験では,内側及び外側の全てに黒色処理を施した底のある金属製試験箱の上面に試料を取り付けて暴露試験を行い,金属試験箱の蓄熱効果に伴う温度上昇によって試料の化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化を調査する。
 注記 この試験方法は,太陽放射光によって高温になる建物の屋根,自動車などの部位に使用される 材料及び/又は製品の暴露試験方法として有効である。
 a)  ブラックボックス暴露試験に用いる試験装置の型式は,次の 2種類とする。
  1) 上面開口型
 試験装置は,次による。試験装置の一例を,図4に示す。
   1.1)  上面を開口型とし,他の 5面は黒色処理を施した金属製試験箱で,開口した上面(暴露試験面)に試料を取り付ける機構を備えた構造とする。
   1.2)  金属製試験箱は,水がたまらない構造とする。
   1.3)  試料を暴露する開口面の寸法及び試料の取付方法は,暴露試験の目的に応じて定める。
   1.4)  試料が開口部の全面を満たさない場合は,残りの開口部を黒色処理した金属板で塞ぐ。
  2) 全面密閉型
 試験装置は,次による。
   2.1)  使用する金属製試験箱は,開口面がなく 6面の内外面とも全面に黒色処理を施したもので,その上面に試料を直接取り付ける機構を備えた構造とする。
   2.2)  金属製試験箱は,水がたまらない構造とする。
   2.3)  金属製試験箱の上面(暴露試験面)を除く 5面の内側に保温材を張りつけた構造のものを用いてもよい。
 b)  上面開口型のブラックボックス暴露試験装置を使用する場合は,次による。
  1)  開口部全面に隙間が生じないように,試料を取り付ける。
  2)  開口部が残った場合は,黒色処理を施した金属板を取り付けて,開口部に空きがないようにする。
  3)  試料の表面温度を測定する。
  注記  金属製試験箱の内部の相対湿度を測定することが望ましい。
 c)  全面密閉型のブラックボックス暴露試験装置を使用する場合は,次による。
  1)  試料の裏面が密接するように試験装置の上面に取り付ける。
  2)  試料の表面温度を測定する
 
 2001年版
 7 暴露試験方法:7,1 一般的な要求事項,7.2 暴露試験方法の種類別の要求事項
 
 7,1 一般的な要求事項  
 7.1.1 暴露試験装置
 項目 a) e) g) j) は,2017年版の 8 「暴露試験装置」と同等である。 
 f)  試料と直接接触する試料保持枠,試料取付け器具などの部材は,試料の化学的性質,物理的性質,及び性能の経時変化に影響を及ぼさない不活性な材料とする。
 7.1.2 暴露試験面の方位及び角度
 暴露試験面の方位及び角度は,次による。
 a)  暴露試験面の方位は,赤道面とする。
 b)  暴露試験面の角度は,水平面から 45°(許容される場合は30°)とし,試験面を天向きに暴露する。ただし,暴露する試料の材料,又は製品規格に規定がある場合は,その規定による。
 c)  遮へい暴露試験における試験面の角度は,水平面に対して 0°,30°,45°,60°又は90°のいずれかとする。ただし,別に規定,又は受渡当事者間の協定がある場合は,それによる。
 d)  太陽放射光の影響を大きく受けるプラスチックの場合には,年間に最も多く太陽放射光を受ける角度とし,水平面からの暴露試験面の角度は,暴露試験場の緯度マイナス10°の角度にすることが望ましい。
 e)  金属材料の場合には,腐食に大きな影響を及ぼす大気汚染因子の発生源に試験面を向けて暴露試験を行ってもよい。
 f)  建築材料の場合には,実際に使用される状態を模擬した方法で暴露試験を行ってもよい。
 7.1.3 暴露試験用の試料の前処理
 2017年版の 6 「試料」,6.5 「暴露試験用の試料の前処理」と同等である。
 7.1.4 試料の取付け及び取外し
 2017年版の 9「暴露試験方法」,9.2 「試料の取付け及び取外し」の項目a) i) と同等である。
 7.1.5 暴露試験期間中の試料の取扱い
 項目a) c) e) は,2017年版の 9「暴露試験方法」,9.4 「暴露試験期間中の試料の取扱い」と同等である。
 b)  暴露試験期間中の試料の洗浄は,通常,行わない。ただし,試料の洗浄を行う場合は,暴露試験の目的,試料の種類などによって,その方法を定めて実施する。
 f)  積雪などに対する処置は,暴露試験の目的,試料の種類などによって定める。
 7.1.6 標準試験片
 標準試験片は,次による。
 a)  暴露試験を行う試料は,地域,気象,暴露試験の開始時期などの影響を大きく受けるので,標準試験片を同時に暴露して,それらの暴露試験結果を相対的に比較することが望ましい。
 b)  標準試験片は,暴露試験による化学的性質及び物理的性質の変化の傾向が既知であるものを使用する。
 c)  金属材料の標準試験片は,JIS Z 2383「大気環境の腐食性を評価するための標準金属試験片及びその腐食度の測定方法」に規定する炭素鋼,耐候性鋼,銅,亜鉛,アルミニウム合金,又はステンレス鋼のいずれかを用いることが望ましい。ただし,規定がない材料については,当事者間の協議によって標準試験片を決めることができる。
 
 7.2 暴露試験方法の種類別の要求事項
 7.2.1 直接暴露試験方法
 2017年版の 9「暴露試験方法」,9.5 「暴露試験の種類別の要求事項」,9.5.1 「直接暴露試験」と同等である。
 7.2.2 アンダーグラス暴露試験方法
 項目 a) 6) 及び 7) を除き,2017年版の 9「暴露試験方法」,9.5 「暴露試験の種類別の要求事項」,9.5.1 「ガラス越し暴露試験」と同等である。ただし,“ガラス越し”⇒“アンダーグラス”
 a) 試験装置
  6)  一般的に,使用する板ガラスは,平らで均一透明な欠陥のないもので,可視域を含む波長 370nm~830nmの範囲の分光透過率が約 90%,波長 310nm以下の分光透過率が 1%以下の板ガラスが望ましい。
  7)  板ガラスの使用期間は,通常,2年とする。
 7.2.3 遮へい暴露試験方法
 2017年版の 9「暴露試験方法」,9.5 「暴露試験の種類別の要求事項」,9.5.3 「遮蔽暴露試験」とほぼ同等である。
 7.2.4 ブラックボックス暴露試験方法
 2017年版の 9「暴露試験方法」,9.5 「暴露試験の種類別の要求事項」,9.5.4 「ブラックボックス暴露試験」とほぼ同等である。
 7.2.5 太陽追跡集光暴露試験方法
 この試験方法は,太陽放射光の光軸方向を垂直に追跡し,フレネル反射鏡を用いて太陽放射光を反射集光した部位に試料を取り付け,集光した太陽放射光によって試料の化学的性質,物理的性質,及び性能の変化を促進させ,その経時変化を調査する暴露試験方法である。
 フレネル反射鏡を用いた太陽追跡集光暴露試験は,乾燥した天気のよい年間 3500時間以上の日照時間があり,年間の日中の平均相対湿度が 30%以下の場所で行うのが最もよい。
 この試験を実施するための最低条件は,太陽に垂直な面での直達日射(注2)と全天日射(注3)との比率を 0.8とする。
  注(2)   太陽光線に垂直な面に入射する直達太陽放射照度。
  注(3)  単位時間,単位面積当たりに,面に入射する全太陽放射照度。
 相対湿度の高い地域,浮遊粒子の多い地域など,太陽放射光の散乱光が多い地域では,紫外線域の放射光が天空へ散乱されるため,試料の照射位置に紫外線を集中する効率が大きく減少し,促進倍率は大きく減少する。
 この試験方法による促進倍率は,乾燥した砂漠地帯及び海抜の高い地域で実施されたとき,最も大きくなる。
 a)  太陽追跡集光暴露試験に用いる試験装置の構造及び取扱いは,次による。
  1)  太陽放射光の光軸を垂直に自動的に追跡する機構を備え,試料取り付け照射面に太陽放射光を反射集光するための 10枚の平らな鏡からなるフレネル反射鏡,及びその照射面に試料取り付け機構を備えた構造とする。
  2)  フレネル反射鏡は,試料取り付け照射面の試料に太陽放射光が均一に反射するように,試料照射面を中心とする放物線面の接線方向と平行に配置する。
  3)  フレネル反射鏡は,295nm~750nmの紫外域及び可視域の波長域で高い分光反射率を保持し,310nmの波長での分光反射率が 65%以上でなければならない。また,試料取り付け照射面に集光された太陽放射光の露光量のばらつきが,5%以下になるように調節できなければならない。
  4)  試料取り付け照射面は,フレネル反射鏡による太陽放射光を集光する中心に位置し,その有効照射面積は,使用される一枚の反射鏡の面積よりわずかに小さいものとする。
  5)  反射鏡部には,最小 25mm角の大きさの取り外しができる分光反射率モニター用の反射鏡を取り付ける場所を備えた構造とする。
  6)  試料取り付け照射面を温度調節できる空冷機構を備えた構造とする。
  7)  暴露試験中の試料に水噴霧が規定のサイクルで行える機構を備えた構造とする。
  8)  配水管などのすべての材料は,水を汚染させないような材質のものでなければならない。
 b)  試料は,試験装置が回転しても,移動又は脱落しないように取り付ける。
 c)  試料の表面温度を測定する。
 d)  試料に照射された反射光の特定波長域の太陽放射光の露光量を測定する。
 e)  太陽放射光の光軸を常に垂直に追跡することができるように,試験装置を維持管理する。
 f)  フレネル反射鏡は,常に清浄な表面を保持するように管理する。
 g)  材料及び製品が熱劣化を起こす温度以上に過熱されない範囲内に,試料の表面温度を制御する。
 h)  水噴霧の有無,及び噴霧条件は,暴露試験の目的によって定める。試料に噴霧する水は,シリカ含有量 0.01mg/l以下,全固形物の含有量 20mg/l以下でなければならない。水は,蒸留,又はイオン交換などによって脱ミネラル処理をすることが望ましい。
 
 8 暴露試験期間
 いずれの暴露試験方法においても,同じ暴露試験期間による試験が試料に同様の化学的性質,物理的性質,及び性能の変化を与えるとは限らない。
 特に,直接暴露試験の場合には,暴露試験を行う場所の季節による影響を大きく受けることがある。従って,暴露試験期間の設定に当たっては,暴露試験場及び暴露試験期間中の環境因子を考慮することが重要である。
 8.1 暴露試験期間の設定
 2017年版の 9「暴露試験方法」,9.3 「暴露試験期間」,9.3.1 「暴露試験期間の設定」と同等である。
 8.2 暴露試験期間の表し方
 2017年版の 9「暴露試験方法」,9.3 「暴露試験期間」,9.3.1 「暴露試験期間の設定」と同等である。
 8.3 暴露試験の開始時期
 暴露試験期間が1年未満の暴露試験結果は,暴露試験を開始した季節に依存することがある。
 暴露試験期間が長い場合は,季節による試料の化学的性質,物理的性質及び性能への影響は平均化されるが,暴露試験を開始した季節によって,その結果は異なることがある。
 暴露試験の開始時期の主要な項目は,2017年版の 9「暴露試験方法」,9.3 「暴露試験期間」,9.3.3 「暴露試験の開始時期」と同等である。

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 試料の評価試験

 2017年版
 11 暴露試験用試料の評価試験における一般的な要求事項
 11.1 初期値の測定

 暴露試験を開始する前の初期値の測定は,次による。
 a)  初期値を測定する前の試料の調整は,11.3 評価試験の方法の a)による。
 b)  測定によって試料の損傷,破壊など暴露試験に影響を及ぼさないと想定される場合は,暴露試験用の試料を用いて初期値を測定する。
 c)  測定によって試料の損傷,破壊など暴露試験に影響を及ぼすと想定される場合は,初期値測定用の試料を用いて,それの化学的性質,物理的性質及び/又は性能の初期値を測定する。
 11.2 暴露試験の開始後及び終了後の評価試験
 暴露試験の開始後,及び終了後の評価試験は,次による。
 a)  試料の外観に関する経時変化を常時,又は一定期間ごとに観察し,著しい変化が発生した場合は,その発生時期,及び状況をカラー写真などで記録する。
 b)  所定の暴露試験期間で,暴露架台,又は試料保持枠上で試料を目視観察を行う場合は,天候などによる支障がない限り,暴露試験期間の最終日に行う。
 c)  所定の暴露試験が終了した場合は,暴露試験装置から試料を取り外した後,可能な限り早い時期に,必要に応じて,11.3 評価試験の方法の a)によって状態調節を行い,評価試験を実施する。
 11.3 評価試験の方法
 a)  試料に関する JIS(日本産業規格),ISO規格(国際標準化機構),IEC規格(国際電気標準会議)などに規定されている場合は,評価試験を行う前に試料の調整を行う。
 b)  評価試験の項目は,暴露試験の目的,及び試料の種類によって選択する。
 c)  評価試験結果の評価方法は,初期値に対する変化率,残存率などの試料の性質,及び性能のの経時変化を正しく捉えることができるようにする。
 d) 試験結果の再現性を得るため,できる限り同じ試験装置を用いて規定の方法で評価試験を行う。この場合は,同一の試験員が担当することが望ましい。
 e)  評価試験に異常な結果が観察された場合は,その状況を詳細に記録する。
 11.4 評価試験の項目
 暴露試験終了後の評価試験として,次に示す主要な評価項目のうちの必要な項目について実施する。
 a)  外観観察
 b)  写真撮影
 c)  表面の顕微鏡観察
 d)  断面形態
 e)  質量変化(腐食減量)
 f)  腐食度(単位時間における単位面積当たりの腐食減量)
 g)  局部腐食の状況(腐食面積率,孔食深さなど)
 h)  腐食生成物の分析
 i)  光沢(光沢度,光沢保持率)
 j)  色差・変退色
 k)  付着性(塗料,めっき,溶射など)
 l)  (被)膜厚さ(塗料,めっき,溶射など)
 m)  高分子の官能基・分子量の変化
 n)  透過率,反射率などの光学的物性の変化
 o)  引張強さ,伸びなどの機械的物性の変化
 p)  その他
 
 2001年版
 10 暴露試験結果の評価試験における一般的な要求事項
 10.1 初期値の測定

 2017年版の 11「暴露試験用試料の評価試験における一般的な要求事項」,11.1 「初期値の測定」と同等である。
 10.2 暴露試験の開始後及び終了後の評価試験
 2017年版の 11「暴露試験用試料の評価試験における一般的な要求事項」,11.2 「暴露試験の開始後及び終了後の評価試験」と同等である。
 10.3 評価試験の方法
 2017年版の 11「暴露試験用試料の評価試験における一般的な要求事項」,11.3 「評価試験の方法」とほぼ同等である。
 10.4 評価試験の項目
 2017年版の 11「暴露試験用試料の評価試験における一般的な要求事項」,11.4 「評価試験の項目」とほぼ同等である。

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 附属書:試験用試料

 2017年版
 附属書 B(参考)暴露試験用試料の形状及び寸法
 B.1 一般
 暴露試験の目的が,化学的性質の経時変化,特に金属材料の耐食性,塗装材料の耐候性などを調査する場合には,平板形状の試験片が多く用いられる。物理的性質の経時変化を調査する場合には,材料の評価試験方法に規定された形状の試験片又は応力を加えた試験片などを使用する。また,製品の耐候性などを調査する場合には,試験体として製品又はその部品そのものを使用する。
 B.2 金属関係
 B.2.1 試験片の形状
 試験片の形状は,平板形状のものが望ましい。
 B.2.2 試験片の寸法
 試験片の寸法は,次によるのが望ましい。
 めっき  150×70mm又は 100×100mmが望ましい(JIS H8502「めっきの耐食性試験方法」参照)。
 標準金属試験片 100mm×150mm(最低 50mm×100mm),厚さ 1~6mm(JIS Z2383「大気環境の腐食性を評価するための標準金属試験片及びその腐食度の測定方法」参照)
 金属材料 100 mm×150 mm,厚さ 1~3mm(ISO8565(Metals and alloys­Atmospheric corrosion testing­General requirements)参照)
 金属被覆材料  表面積 50cm2( 5cm×10cm)以上
 B.3 塗装関係
 B.3.1 試験片の形状
 試験片形状は,平板形状のものが望ましい。
 B.3.2試験片の寸法
 試験片の寸法は,次のとおりにすることが望ましい(JIS K 5600-7-6「塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第6節:屋外暴露耐候性」参照)。
 面積 0.03m2以上,いずれの辺も 100mm以上
 B.4 プラスチック関係
 測定する物性に応じて,あらかじめ試験片を作製して暴露試験に供するのが一般的である。
 試験片の形状及び寸法は, JIS K 7362「プラスチック—アンダーグラス屋外暴露,直接屋外暴露又は実験室光源による暴露後の色変化及び特性変化の測定方法」の 4.1.3(試験片)に,“用いる特定の暴露方法に関する規格の要求事項に適合するものとする(2.参照)”と規定されている。
 この引用規格の箇条には,各物性ごとの試験方法規格が掲載されており,それらの規格の中に試験片寸法がそれぞれ示されている。
 B.5 ゴム関係
 B.5.1 試験片の形状
 試験片の形状は,平板形状のものが望ましい。
 B.5.2 試験片の寸法
 試験片の寸法は,次のとおりにすることが望ましい(JIS K 6266「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐候性の求め方」参照)。
 長さ:約 100mm以上,幅:約 50mm以上,厚さ: 20±0.2mmの短冊状で,かつ,表面が平滑なもの。  
 B.6 その他
  自動車・鉄道などの運輸機器,電子・通信機器,コンクリート・鋼構造物などの耐候性を調査する場合は,受渡当事者間の協定によることが望ましい。
 
 2001年版
 附属書 2(参考)暴露試験用試験片の形状及び寸法
 暴露試験用試験片の形状,及び寸法は,暴露試験の目的に適したものが望ましい。暴露試験の目的が,化学的性質の経時変化,特に金属材料の耐食性,塗装材料の耐候性などを調査する場合には,平板形状の試験片が多く用いられ,物理的性質の経時変化を調査する場合には,材料の評価試験方法に規定されたダンベル形状のものが使用される。
 金属材料,めっきなどの無機被覆金属材料,さび止め処理金属などの耐食性,及び塗料,プラスチック,ゴムなどの耐候性を評価する目的で使用する試験片の形状及び寸法は,関係規格に次のように規定されているので,それらを使用することが望ましい。
 2.1 金属関係
 2017年版の B.1 「金属関係」,B.2.1 「試験片の形状」とほぼ同等である。
 2.1.1 試験片の形状
 2017年版の B.1 「金属関係」,B.2.1 「試験片の形状」とほぼ同等である。
 2.1.2 試験片の寸法
 試験片の寸法は,暴露試験関係のJIS,及びISO規格に次のように規定されている。
 JIS H 8502「めっきの耐食性試験方法」:幅 70mm×長さ 150mm,又は幅 100mm×長さ 100mm
 JIS Z 0304「さび止め処理金属の大気暴露試験方法」:幅 50mm×長さ 100mm以上,辺の長さは 50mmの倍数
 JIS Z 2383「大気環境の腐食性を評価するための標準金属試験片及びその腐食度の測定方法」:幅 100mm×長さ 150mm(最低幅 50mm×長さ 100mm),厚さ 1~6mm
 ISO 8565「Metals and alloys -- Atmospheric corrosion testing -- General requirements for field tests」金属材料:幅 100mm×長さ 150mm,厚さ 1~3mm,めっき:表面積 50cm2(5cm×10cm)以上
 2.2 塗装関係
 2017年版の B.3 「塗装関係」とほぼ同等である。
 2.3 プラスチック関係
 2017年版の B.4 「プラスチック関係」とほぼ同等である。
 2.4 ゴム関係
 2.4.1 試験片の形状
 試験片の形状は,平板形状のものが望ましい。
 2.4.2 試験片の寸法
 試験片の寸法は,JIS K 6266「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐候性の求め方」に次のように規定されている。
 長さ:約 150mm,幅:約 70mm,厚さ: 20±0.2mm

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 附属書:暴露環境区分

 2017年版
 附属書 C(参考)暴露環境の区分
 C1 日本の気候の区分
 日本の気は,気温・降水量・日照率・水分過剰量の四つの気象要素による代表的な日本の気候区分“関口による日本の気候区分(資料 1)”を基礎として,金属材料の腐食度に注目して区分すると,次の九つの気候区分に区分(資料 2)できる。その気候区分図を,附属書1図1(ここでは省略)に示す。
 a) 北海道・西:北海道の日本海側
 b) 北海道・東:オホーツク海,太平洋側
 c) 太平洋・北:伊豆半島以北(関東・東北地方)の太平洋側,甲信地方
 d) 太平洋・南:東海・中部・近畿・四国・九州地方の太平洋側
 e) 瀬戸内海:四国・中国・九州地方の瀬戸内海側
 f) 日本海・北:能登半島以北(北陸・東北地方)の日本海側
 g) 日本海・南:福井・近畿・中国地方の日本海側
 h) 九州・西:玄界灘に面した九州西部
 i) 南西諸島:鹿児島県の南部の島から琉球列島に属する島(亜熱帯海洋性気候に類似した地域)
 C.2 大気汚染区分(大気汚染物質による区分)
 大気汚染物質[硫黄酸化物(SOx),窒素酸化物(NOx),降下ばいじんなど]の発生源及び飛来による影響,並びに火山,温泉などの特殊環境によって,次の五つの環境に区分(資料 2)する。
 a) 工業地域:生産活動に伴って,大気汚染物質を発生する地域。
 b) 都市地域:商業及び生活活動に伴って大気汚染物質を発生する地域。
 c) 田園地域:大気汚染物質の影響が少ない地域。
 d) 酸性雨地域:酸性雨の原因物質の直接の発生源ではないが,原因物質の飛来による影響の大きな地域。
 e) 火山・温泉:火山性物質及び温泉からのガス(硫化水素ガスなど)の影響を大きく受ける地域(自然現象による特殊環境として区分する)。
 C.3 海塩区分(海塩粒子の影響度合いによる区分)
 金属材料の腐食に大きく関与する飛来海塩粒子の影響を考慮して,海岸線からの距離によって,次の五つの環境に区分(資料 2)される。ただし,降雪のある地域では塩化物系の融雪剤を使用する場合があるので,塩分の影響を無視できない場合もある。
 a) 海上
 b) 海浜:海岸線から 300m以内の地域(飛来する海塩粒子の影響が最も激しい地域)。
 c) 沿岸:海岸線から 300mを超えて 2km以内の地域(飛来する海塩粒子の影響が比較的大きい地域,ただし,南西諸島の島は,海岸線から2kmを超えても,すべてこの区分に入れる。)。
 d) 準沿岸:海岸線から 2kmを超えて 20km以内の地域(飛来する海塩粒子の影響が比較的小さい地域)。
 e) 内陸:海岸線から 20kmを超えた地域(飛来する海塩粒子の影響が無視できる地域)。
 C.4 世界の気候の区分
 C.4.1 一般
 世界の気候区分は,一般的によく知られている Köppenの気候区分を基にGlenn T. Trewarthaによって変更されたもの(資料 3)が使用されている。表C.1(省略)に気候区分とその説明を示す。次には,表から抜粋した気候区分を紹介する。
 区分 A 熱帯多雨気候(A)
 熱帯雨林(Af):乾季なし,
 熱帯モンスーン(Am):短い乾季の他は激しいモンスーン雨季
 熱帯サバンナ(Aw):冬季乾燥
 平均気温: 1年中 17 ℃以上
 乾燥気候(B)
 亜熱帯砂漠(Bwh):低緯度砂漠
 亜熱帯ステップ(Bsh):低緯度乾燥
 中緯度砂漠(Bwk):中緯度砂漠
 中緯度ステップ(Bsk):中緯度乾燥
 平均気温: 蒸発が降水を上回る区分 B気候には適用しない。区分 B気候の気温は 3番目の文字に示されている。“h”は乾季の平均気温が 0 ℃以上,“k”は少なくとも 1か月の平均気温が 0 ℃以下を示す気候。
 温帯中緯度気候(C)
 地中海性気候: Csa(温暖,乾燥して暑い夏),Csb(温暖,乾燥して暖かい夏)
 湿潤亜熱帯: Cfa(温暖,乾季なし,暑い夏),Cwa(温暖,乾燥した冬,暑い夏)
 西岸海洋性: Cfb(温暖,乾季なし,暖かい夏),Cfc(温暖,乾季なし,涼しい夏)
 平均気温:1年の 8 ~12か月で 9 ℃以上
 寒冷中緯度気候(D)
 湿潤大陸性: Dfa(湿潤,寒冷な冬,乾季なし,暑い夏),Dfb(湿潤,寒冷な冬,乾季なし,暖かい夏),Dwa(湿潤,寒冷で乾燥した冬,暑い夏),Dwb(湿潤,寒冷で乾燥した冬,暖かい夏)
 平均気温: 1年の 4~7か月で 9 ℃以上
 亜極地性: Dfc(寒冷な冬,乾季なし,涼しい夏),Dfd(寒冷な非常に寒い冬,乾季なし,涼しい夏),Dwc(寒冷,乾燥した冬,涼しい夏),Dwd(寒冷,非常に寒い乾燥した冬)
 平均気温: 1年の 1~3か月で 9 ℃以上
 極地気候(E)
 平均気温: 平均気温 9 ℃以上の月なし
  ツンドラ(ET):極地ツンドラ,夏なし
  氷雪気候(EF):永久凍土
 区分無し高地(H)
 平均気温: 適用しない
 
 参考資料
 1) 関口,教養の気象学,朝倉書店,p158
 2) 鉄鋼系社会資本材料の耐候性・耐食性試験評価方法に係わる調査研究,平成8年度報告書,p50,社団法人日本建材産業協会
 3) Trewartha, T. T. : An Introduction to Weather and Climate, McGraw−Hill, NewYork, 1974, Plate 1(ISO 877-1,Plastics­Methods of exposure to solar radiation­Part 1: General guidance)
 
 2001年版
 附属書1(参考)暴露環境の区分
 1.1 世界の気候の区分
 一般的によく知られている気候の分類は,次に示す。
 熱帯多雨気候
  熱帯雨林(Af,Am)
  熱帯サバンナ(Aw)
 乾燥気候
  ステップ(Bs):熱帯及び亜熱帯ステップ(Bsh),中緯度ステップ(Bsk)
  砂漠(Bw):熱帯及び亜熱帯砂漠(Bwh),中緯度砂漠(Bwk)
 温帯気候
  地中海・亜熱帯/乾燥した夏(Cs)
  多湿・亜熱帯/温暖な夏(Ca):乾燥した冬(Caw),乾燥した季節がない(Caf)
  海洋・涼しい夏(Cb,Cc)
 多湿亜寒帯気候
  多湿・大陸性/温暖な夏(Da)
  多湿・大陸性/涼しい夏(Db)
 高温気候
 極地気候
  ツンドラ(ET)
  氷雪気候(EF)
 1.2 日本の気候の区分
 日本の気候区分は,世界的に広く使われている植生の分布に基づいて作成されたケッペンの気候区分によると,北海道は,“冷帯多雨気候型”その他の日本各地は,沖縄まで含めて“温帯多雨気候型”に区分される。
 気温・降水量・日照率・水分過剰量の四つの気象要素による代表的な日本の気候区分“関口による日本の気候区分”をベースにし,金属材料の腐食度に注目して区分すると,次の九つの気候区分に区分できる。その気候区分図を,附属書1図1(ここでは省略)に示す。
 以下九つの気候区分は,2017年版の C.1 「日本の気候区分」と同等である。
 1.3 大気汚染区分(大気汚染物質による区分)
 2017年版の C.2 「大気汚染区分(大気汚染物質による区分)」と同等である。
 1.4 海塩区分(海塩粒子の影響度合いによる区分)
 2017年版の C.3 「海塩区分(海塩粒子の影響度合いによる区分)」と同等である。
 
 参考資料
 1) Trewartha, T. T. : An Introduction to Weather and Climate, McGraw−Hill, NewYork, 1974, Plate 1(ISO 877-1,Plastics­Methods of exposure to solar radiation­Part 1: General guidance)
 2) 関口,教養の気象学,朝倉書店,p158
 3) 鉄鋼系社会資本材料の耐候性・耐食性試験評価方法に係わる調査研究,平成8年度報告書,p50,社団法人日本建材産業協会

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 附属書:環境因子測定項目

 2017年版
 附属書 D(参考)試料の種類の違いにおける環境因子の測定項目
 D.1 一般
 暴露試験結果を精度よく解析するためには,暴露試験場の環境条件を特性付けることが非常に重要である。特に,暴露試験場における気象因子及び大気汚染因子それぞれのレベルは,暴露試験結果に大きな影響を及ぼすおそれがある。
 異なる暴露試験場での暴露試験の結果を対比する場合には,それぞれの暴露試験場の環境条件が明確にされているならば正確な評価が可能になる。
 暴露試験結果に影響を及ぼす環境因子は,材料/及び製品の種類によって異なることが一般的に知られている。金属材料・めっきなどの無機被覆金属の耐食性及びプラスチック・塗装などの有機被覆金属の耐候性を的確に評価するのに望ましい環境因子の測定項目の例を,D.2及び D.3に示す。
 D.2 金属材料・無機被覆金属材料に対する環境因子の測定項目
 a) 気温:月平均,及び年平均 ℃
 b) 相対湿度:月平均,及び年平均 %
 c) 絶対湿度:月平均及び年平均 g/m3
 d) 降水量:月及び年合計 mm
 e) ぬれ時間:月及び年合計 h
 f) 風向:月最多風向及び年最多風向 16方位
 g) 風速:月平均風速及び年平均風速 m/s
 h) 海塩粒子付着量:月平均及び年平均 mg・NaCl/ (m2・d)
 i) 硫黄酸化物付着量:月平均及び年平均 mg・SO2/ (m2・d)
 D.3 プラスチック・塗装材料に対する環境因子の測定項目
 a) 気温
   月最高及び最低気温並びに年最高及び最低気温 ℃
   月平均最高気温及び年平均最高気温 ℃
   月平均最低気温及び年平均最低気温 ℃
   月平均気温及び年平均気温 ℃
 b) 相対湿度
   月平均最高湿度及び年平均最高湿度 %
   月平均最低湿度及び年平均最低湿度 %
   月平均湿度及び年平均湿度 %
 c) 降水量:月及び年合計 mm
 d) ぬれ時間:月及び年合計 h
 e) 日照時間:月及び年合計 h
 f) 太陽放射光の露光量:月及び年合計 MJ/m2
 g) 紫外線の露光量:月及び年合計 MJ/m2
 h) 風向:月最多風向及び年最多風向 16方位
 i) 風速:月平均風速及び年平均風速 m/s
 j) 海塩粒子付着量:月平均及び年平均 mg・NaCl/ (m2・d)
 k) 硫黄酸化物付着量:月平均及び年平均 mg・SO2/ (m2・d)
 参考文献
 [1] 日本気象学会編,教養の気象学,朝倉書店,p158(1980)
 [2] 鉄鋼系社会資本材料の耐候性・耐食性試験評価方法に係る調査研究,平成8年度報告書,p50,社団法人 日本建材産業協会
 [3] ISO 877-1,Plastics­Methods of exposure to solar radiation­Part 1: General guidance
 [4] JIS D 0205 自動車部品の耐候性試験方法
 [5] JIS H 0521 アルミニウム及びアルミニウム合金の大気暴露試験方法
 [6] JIS H 8502 めっきの耐食性試験方法
 [7] JIS K 5600-7-6 塗料一般試験方法­第7部︓塗膜の⻑期耐久性­第6節︓屋外暴露耐候性
 [8] JIS K 6266 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム­耐候性の求め方
 [9] JIS K 6860 接着剤の耐候性試験方法通則
 [10] JIS K 7081 炭素繊維強化プラスチックの屋外暴露試験方法
 [11] JIS K 7219-1 プラスチック­屋外暴露試験方法­第1部︓通則
 [12] JIS K 7219-2 プラスチック­屋外暴露試験方法­第2部︓直接暴露試験及び窓ガラス越し暴露試験
 [13] JIS K 7362 プラスチック­アンダーグラス屋外暴露,直接屋外暴露又は実験室光源による暴露後の色変化及び特性変化の測定方法
 [14] JIS Z 2383 大気環境の腐食性を評価するための標準金属試験片及びその腐食度の測定方法
 [15] ISO 877-2,Plastics­Methods of exposure to solar radiation­Part 2: Direct weathering and exposure behind window glass
 [16] ISO 2810,Paints and varnishes­Natural weathering of coatings­Exposure and assessment
 [17] ISO 4582,Plastics­Determination of changes in colour and variations in properties after exposure to daylight under glass, natural weathering or laboratory light sources
 [18] ISO 4665,Rubber, vulcanized or thermoplastic­Resistance to weathering
 [19] ISO 8565,Metals and alloys­Atmospheric corrosion testing­General requirements
 [20] ISO 9370,Plastics­Instrumental determination of radiant exposure in weathering tests­General guidance and basic test method
 
 2001年版
 附属書 3(参考)暴露試験場所の環境因子の測定項目
 2017年版の D.1 「一般」と同等である。
 3.1 金属材料・無機被覆金属材料に対する環境因子の測定項目
 2017年版の D.2 「金属材料・無機被覆金属材料に対する環境因子の測定項目」とほぼ同等である。
 3.2 プラスチック・塗装材料に対する環境因子の測定項目
 2017年版の D.3 「プラスチック・塗装材料に対する環境因子の測定項目」とほぼ同等である。
 関連規格
 2017年版と異なる資料を次に示す。
 JIS K 5400:1990「塗料一般試験方法」
 JIS K 7219:1998「プラスチック−直接屋外暴露,アンダーグラス屋外暴露及び太陽集光促進屋外暴露試験方法(ISO 877:1994 の翻訳規格)」
 JIS Z 0304:1974「(1992 確認) さび止め処理金属の大気暴露試験方法」
 ISO 877:1994「Plastics−Methods of exposure to direct weathering, to weathering using glass-filtered daylight and to intensified weathering by daylight using Fresnel mirrors」
 ISO 4665:1998「Ruber, vulcanized and thermoplastic−Resistance to weathering」
 ISO/DIS 2810:1999「Paints and varnishes−Notes for guidance on the conduct of natural weathering tests」

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