JIS K 5600_2_7 塗料一般試験方法‐第2部‐第7節:貯蔵安定性
JIS K 5600-2-6 1999年版 塗料一般試験方法−第2部:塗料の性状・安定性−第7節:貯蔵安定性 (Testing methods for paints−Part 2 : Characteristics and stability of paints Section 7 : Storage stability)について 【序文・目次・適用範囲・種類】, 【低温安定性】, 【皮張り性】, 【常温貯蔵安定性】, 【加温安定性】 に分けて紹介する。
序文・目次・適用範囲・種類
序文
この規格は,現行の ISO 塗料一般試験方法規格に含まれていないが,塗料製品規格の制定並びに改正に当たって必要とする貯蔵安定性の試験方法を追加して作成した日本工業規格である。
JIS規格の目次(ここでは青字の項目を説明)
序文,1 適用範囲,2 引用規格,3 種類,4 低温安定性(4.1 要旨,4.2 装置及び器具,4.3 操作,4.4 判定,4.5 製品規格の規定条件),5 皮張り性(5.1 要旨,5.2 容器,5.3 操作,5.4 判定,5.5 製品規格の規定条件),6 常温貯蔵安定性(6.1 要旨,6.2 容器,6.3 操作,6.4 判定,6.5 製品規格の規定条件),7 加温安定性(7.1 要旨,7.2 装置,7.3 操作,7.4 判定,7.5 製品規格の規定条件),8. 試験報告
1 適用範囲
この規格は,塗料,及び関連製品が貯蔵されたとき,使用に当たって安定であるかどうかを調べる試験方法について規定する。
3 種類
塗料の貯蔵安定性の種類は,製品の特性によって,次の 4 種類がある。
a) 低温安定性 (storage stability at low temperature)
b) 皮張り性 (skinning)
c) 常温貯蔵安定性 (storage stability at room temperature)
d) 加温貯蔵安定性 (storage stability at warm temperature)
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4. 低温安定性
4.1 要旨
試料を低温に保存した後,室温に戻す操作を 3回繰り返した後,かき混ぜて一様になるかどうかを調べ,さらに,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”を試験して,試料の変質の有無を判定する。
この方法は,主としてエマルション塗料に適用する。
4.2 装置及び器具
a) 低温恒温器:温度 −5±2℃に保持できるもの。
b) 容器:容器は,容量約 1リットル,直径 100~120mmの金属製内面コート缶とする。
c) 塗装用具:試料の製品規格に規定するもの。
d) 試験板:鋼板(500×200×1mm)又は試料の製品規格に規定するもの。
4.3 操作
a) 試料を容器にほぼ満たして密閉し,温度 −5±2℃に保持した低温恒温器に 18時間入れた後,容器を取り出して室内に 6時間放置する。
b) 上記の操作を 3回繰り返した後,容器の口を開き試料をかき混ぜて一様になるかどうかを調べ,一様になった場合には,試料の製品規格に規定する方法で,“塗装作業性”を試験し,さらに,“塗膜の外観”を調べる。
4.4 判定
試料が容易に一様になり,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”に異常がないときは,“-5℃に冷やしても変質しない”とする。
4.5 製品規格の規定条件
製品規格の規定条件には,
a) 塗装用具
b) 鋼板以外の試験板の材質・寸法
c) 試料の塗装・乾燥方法
が必要である。
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5. 皮張り性
5.1 要旨
容器の中で塗料の表面に,皮ができやすいかどうかを調べる。
5.2 容器
容量が約 300ml,内径が 70~80mmの金属製の缶又はガラス瓶で密封できるもの。ただし,ガラス製のときは,周囲を黒い紙で包むか,又は,黒い塗料で塗り包み,光が入らないようにする。
5.3 操作
a) 容器に試料を約 250ml入れ,製品規格に規定する時間後,ふたをして室内に静置する。
b) 24時間後に容器のふたを取り,容器を傾け,ガラス棒で試料の表面に触れて表層の流動性を調べる。
5.4 判定
表層が液状を保っていると認められるときは,“皮が張らない”とする。
5.5 製品規格の規定条件
製品規格の規定条件には,
a) 容器の材質
b) 容器のふたをする時期
が必要である。
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6. 常温貯蔵安定性
6.1 要旨
試料を常温で一定期間貯蔵した後,使用に適する状態を保っているかどうかを“容器の中の状態”,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”を調べて判定する。
6.2 器具及び材料
a) 容器: 容量が約 300ml,内径が 70~80mmの金属製の缶又はガラス瓶で密封できるもの。ただし,ガラス製のときは,周囲を黒い紙で包むか,又は,黒い塗料で塗り包み,光が入らないようにする。
b) 粘度計: 試料の製品規格に規定するもの。
c) 塗装用具: 試料の製品規格に規定するもの。
d) 試験板: 鋼板(500×200×1mm) 又は試料の製品規格に規定する材質・寸法のもの。
6.3 操作
a) 試料に皮が張っているときは皮を除いてよくかき混ぜた後,約 250mlを容器に取り密閉し, JIS K 5600-1-1「塗料一般試験方法‐第1部:通則‐第1節:試験一般(条件及び方法)」の一般状態で試料の製品規格に規定する期間貯蔵する。
貯蔵期間中は,容器は静置し,ふたを開き,揺り動かし,又はかき混ぜてはならない。
b) 規定の貯蔵期間を過ぎた後,“容器の中の状態”を調べ,次に,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”を試料の製品規格に規定する方法で調べる。
6.4 判定
貯蔵後の“容器の中の状態”,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”が,貯蔵前に比べて著しい差異を認めず,試料を塗装粘度に薄めるために用いたシンナー又は薄め液の量が,貯蔵前の 2倍を超えないときは“安定である”とする。
6.5 製品規格の規定条件
製品規格の規定条件には
a) 容器の材質
b) 粘度計の種類
c) 塗装用具
d) 鋼板以外の試験板の材質・寸法
e) 貯蔵期間
f) 試料の塗装・乾燥方法
が必要である。
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7. 加温安定性
7.1 要旨
試料を容器に入れて密封し,温度35℃で3か月間保存した後,室温に戻し“容器の中の状態”,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”の変化の有無を調べて判定する。
7.2 装置・器具及び材料
a) 容器: 容量が約 300ml,内径が 70~80mmの金属製の缶又はガラス瓶で密封できるもの。ただし,ガラス製のときは,周囲を黒い紙で包むか,又は,黒い塗料で塗り包み,光が入らないようにする。
b) 恒温器: 温度 35±2℃で 90日間保持できるもの。
c) 粘度計: 試料の製品規格に規定するもの。
d) 塗装用具: 試料の製品規格に規定するもの。
e) 試験板: 鋼板(500×200×1mm)又は試料の製品規格に規定する材質・寸法のもの。
7.3 操作
a) 試料に皮が張っているときは,皮を除いてよくかき混ぜた後,約 250mlを容器に取り密閉し,温度 35±2℃に保持した恒温器の中で,試料の製品規格に規定する期間貯蔵する。貯蔵期間中は,容器は静置し,ふたを開き,揺り動かし,又はかき混ぜてはならない。
b) 規定の貯蔵時間を過ぎた後,“容器の中の状態”を調べ,次に,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”を試料の製品規格に規定する方法で調べる。
7.4 判定
貯蔵後の“容器の中の状態”,“塗装作業性”及び“塗膜の外観”が,貯蔵前に比べて著しい差異を認めず,試料を塗装粘度に薄めるために用いたシンナー又は薄め液の量が,貯蔵前の2倍を超えないときは“安定である”とする。
7.5 製品規格の規定条件
製品規格の規定条件には
a) 容器の材質
b) 粘度計の種類
c) 塗装用具
d) 鋼板以外の試験板の材質・寸法
e) 貯蔵期間
f) 試料の塗装・乾燥方法
が必要である。
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