腐食概論:腐食の基礎

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  【腐食し易さとは】

 原子から電子を引き抜き,イオン化するためのエネルギーについては,既に述べたように,定義の異なる第一イオン化エネルギー仕事関数,及び標準酸化還元電位の 3種がある。

金属元素の電極電位,仕事関数,イオン化エネルギー順列

金属のイオン化 定義の違いによる順位比較

 主な金属元素について,3種のエネルギー順位の相対比較結果を右図に示す。図より,第一イオン化エネルギーと仕事関数の順列が著しく異なることが分かる。
 これは,第一イオン化エネルギーが原子の周りに拘束される軌道電子の持つエネルギーであるのに対し,仕事関数は,金属結晶内の自由電子で構成されるエネルギーバンドの中の電子が持つ最も小さいエネルギーと,電子を取り巻く環境の違いが反映したものと考えられる。
 従って,金属の腐食し易さを評価するには,エネルギーの定義からは,第一イオン化エネルギーより仕事関数や標準酸化還元電位での比較が適していると考えられる。
 一方,標準酸化還元電位と仕事関数では,一部の金属で順位が異なるのが分かる。仕事関数は,気体中で外部からエネルギーを与え励起した電子の放出エネルギーを評価しているのに対し,酸化還元電位は液体中で生じる酸化還元反応でイオン化するためのエネルギーを評価している。
 水の関与する腐食の場合は,「腐食反応と溶存酸素」で示したように,電子を放出した金属イオンは,水分子で囲まれる(水和)。この過程を含む場合,陽イオンの電荷やサイズで水和の影響が異なる。

金属元素の電極電位,海水中の自然電位列

海水中の自然電位列


 これらの定義の違いの結果として,図のように標準酸化還元電位仕事関数の順列に違いが生じたと考えられる。すなわち,水が関与する腐食の場合は,腐食し易さを標準酸化還元電位で評価するのが望ましいことを示す。
 以上をまとめると,乾食のし易さは仕事関数で,湿食のし易さは標準酸化還元電位で評価するのが望ましいと言える。
 
 実際の水の関与する腐食環境では,水に溶解するイオン相互の影響が無視できない。右図に海水中の自然電位列と標準酸化還元電位の比較を示す。
 イオン間の相互作用がない条件で求められる標準酸化還元電位と海水中で計測した自然電位の順列では,アルミニウム,チタン,亜鉛の順列が大きく入れ替わっている。すなわち,実用環境で評価する場合には,その環境下における電極電位を計測して評価するのが望ましいことを示す。

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